江沢民主席、重要演説でWTO加盟後の
積極的な取り組みを強調

 江沢民中国共産党中央総書記・国家主席・中央軍事委員会主席は225日、省・部級の主要指導幹部による「国際情勢とWTO」研究班(セミナー)受講者と座談会を開いた際、重要演説を行い、世界貿易機関(WTO)加盟は中国の改革・開放の過程で歴史的意義をもつ大きな出来事であると強調し、次のように述べた。

 激しい国際競争の中で主導権を握るには、▽確固たる姿勢でわれわれ自身のことをしっかりやり、総合国力と国際競争力を絶えず強めること▽改革・開放を堅持し、社会主義市場経済体制を確立、整備すること▽国際・国内政治の大局的見地から問題を考えることに習熟し、国の安全と根本的利益を確実に擁護することが必要である。

 WTO加盟は、中国の対外開放が新たな段階に入ったことを示している。この新しいスタート地点からさらに改革を深化させ、開放を拡大し、一層積極的な姿勢で世界に向かい、経済グローバル化の発展という新たな情勢に適応し、引き続き全方位、多段階、広分野の対外開放を推し進め、中国の経済発展に新たな強大な原動力を与えなければならない。

 党中央主催の省・部級主要指導幹部による「国際情勢とWTO」セミナーは5日間の学習を経て、同日終了し、座談会が開かれた。座談会は李鵬・党中央政治局常務委員が主宰し、朱鎔基、李瑞環、胡錦涛、尉健行、李嵐清の各党中央政治局常務委員が出席した。

 座談会では8人の受講者代表が発言し、セミナーに参加しての学習の成果や感想を語った。彼らは、数日の学習と討論を通じ、いま中国が直面している国際情勢について一層はっきりと認識し、党中央が行ったWTO加盟という重要な政策決定への理解を一層深め、加盟後の諸活動への取り組みについて一層十分に理解することができたと表明し、中央の要求に従い、思想解放、実事求是をさらに進め、さらに認識を統一し、自信を強め、学習を強化し、しっかり仕事に取り組み、時代と共に歩み、開拓・革新の精神で、改革・開放と現代化建設の諸活動に、さらにしっかり取り組む必要があると語った。

 これらの発言に真剣に耳を傾けたあと、江沢民総書記は重要演説を行った。内容は次の通り。

 WTO加盟をめぐる15年間の経験を真剣に総括し、有益な啓示を汲み取るべきである。いかなる時代の国際競争も実力が基礎になる。WTO加盟交渉が成功したのは、つまるところ、改革・開放後の20余年間に中国の総合国力がたえず増強し、国際的地位が日増しに向上したからである。あくまでも経済建設を中心にし、改革・開放を堅持し、刻苦奮闘、一意専心の姿勢で、中国の経済力、国防力と民族の結集力を絶えず強めることが、対外活動をうまく進める強固な保証である。発展は至上命題であり、これは常に銘記しておかなければならない重要な歴史的教訓である。

 今日の世界は開かれた世界であり、国際的な経済・技術交流と協力を強めることが各国の経済発展にとってますます重要になっている。現代化を進めるには、対外開放をしなければならない。対外開放を実行し、経済・技術交流と協力を進めるうえでカギとなるのは、有効な体制とメカニズムを築き上げ、開放に有利な経済・社会環境をつくり出すことだ。社会主義市場経済の発展、全方位対外開放の枠組みの形成、さらに巨大な潜在的市場は、中国のWTO加盟に際しての最も重要な推進力であった。経済グローバル化の下で、対外開放を堅持し、「導入」と「進出」を結合した開放戦略を実施し、中国経済の国際競争力と外国企業への吸引力を絶えず強めるには、改革を通じて社会主義市場経済体制を打ち立て、これをたえず充実させ、対外開放に有利な体制と環境をたえず築いていく必要がある。

 国際競争が日増しに激化する21世紀の大環境から見て、現代化を進めるには、国際市場という大海の中で泳ぎ、しかも懸命に泳いで、常に高い目標をめざし、波風とたたかう能力を絶えず高めなければならない。このことは、中国の国際競争力を高め、国際的な総合国力の勝負において主動権を握るのに有利である。WTO加盟のプラス面とマイナス面、チャンスとチャレンジについて、科学的に分析し、全面的に認識して、プラス面についてはチャンスを逃さず積極的に活用し、マイナス面については仕事をゆるがせにせず、リスクを回避するよう努めなければならない。

 WTO加盟後の諸活動への取り組みについて

 確実で有効な措置を講じ、中国の産業と企業の競争力を絶えず高めなければならない。産業の構造調整と技術改造を大いに強化し、科学技術の創造・革新能力と市場競争力を高め、内外市場の激しい競争の中で足場を固め、大きく発展できるようにすべきだ。劣勢な産業を強くし、優勢な産業をより強くすべきだ。企業は改革をさらに深め、社会化された大規模生産の発展と市場経済のニーズに適った現代的企業制度を早急に打ち立て、市場競争能力と技術創造力、リスクに対する抵抗力を強めなければならない。長期的にみると、より強力に国際競争を繰り広げるには、国際競争力をもつ一群の大型企業と多国籍企業を作り上げなければならない。WTO加盟後の新たな情勢下で、あらゆるチャンスを逃さず、中国型の多国籍企業を形成させ、大きく発展させるよう努力する必要がある。これは、中国が対外開放を拡大し、経済力と国際競争力を強め、経済グローバル化のさまざまな挑戦と試練に耐えて、中国を真の経済強国にするために差し迫って必要なことである。同時に、技術レベルが高く、市場競争力をもつ一群の中小企業、とりわけ「専門、精密、特殊、新規」の科学技術型企業を発展させて、大企業との間に密接な協力関係を確立させ、生産の社会化レベルを高めなければならない。チェーン経営、集中配送などの現代的流通方式を強力に支援、推進して、経済の発展を促し、競争力を高めなければならない。

 改革の一層の深化と社会主義市場経済体制のたゆまぬ充実について

 WTOに加盟したことで、各級政府は経済管理方式と方法を大きく改善することを求められている。市場経済の一般法則に従って、社会主義市場経済の要請に合った行為規範と法律体系をさらに調整し、充実させなければならない。政府の機能をさらに転換させ、政府と企業の分離、政府と事業の分離を進め、ミクロ経済活動への直接介入を減らし、資源配分における市場の基礎的役割を十分に発揮させ、市場主体としての企業の地位を強めなければならない。WTOルールに沿って市場経済秩序を規範化し、社会主義市場経済を正しく導き、中国経済の国際競争力を培い、強めることを政府の経済調整・統制と管理の主要な任務としなければならない。市場経済の秩序を整頓、規範化し、誠実かつ信頼され、公平な競争ができる市場環境と法制を打ち立て、これを健全化させなければならない。総じて言えば、改革の深化を通じて、生産力の発展に影響する体制上の障害をさらに取り除かなければならない。そうしてこそ、中国の経済発展を強力に推進することができ、しかも、これはWTO加盟後のさまざまな挑戦に対処するための根本的方途でもあるのだ。

 WTO加盟後の諸活動の取り組みにおいて、カギとなるのは人材である。科学技術・教育による国家振興戦略をさらに徹底させ、各方面で資質の高い人材の養成に力を入れなければならない。国民の教育・教養水準をあまねく高めると同時に、専門人材の養成を強化し、特にWTOルールに精通した専門人材の養成を急ぐ必要がある。専門人材養成の仕事には、必ず早急に力を入れなければならない。

 WTO加盟後、中国は国際経済競争と国際協力に一層広く、深く参与することになり、対外開放をさらに拡大する必要がある。同時に、中国は国際経済・貿易ルールの下で国際経済競争と国際協力に参与することになり、対外開放の要求はより高まっている。われわれの諸活動は新たな環境に直面しており、最も重要な変化は、国際市場の競争が国内市場の競争と一層深く結びつき、国際市場競争の一部の重要要素が国内市場競争の構成部分となることだ。新たな情勢の新たな要求に早急に適応し、対外貿易成長の空間を一層積極的に広げ、国際地域経済協力に参与し、合理的かつ効果的に外資を利用し、進んだ技術と管理経験を導入し、経済のグローバル化がもたらす生産力の発展に有利な要素をよりよく活用し、われわれの強みを発揮し、中国経済の発展を速めなければならない。対外開放の全過程では、常に、対外開放および国際経済協力の発展と国の利益・安全の擁護との関係を正しく処理するよう留意し、国の利益と安全に十分留意し、これを確実に守らなければならない。

 新たな条件のもとで対外開放を拡大するには、「導入」と「進出」を並行させ、相互に促進させるという開放戦略を上手に実施し、「進出」面で顕著な進展がみられるよう努力する必要がある。「進出」戦略の実施は、対外開放を新たな段階に向かわせるための重要な措置であり、国外と国内の二つの市場、二つの資源をよりよく利用するための必然的な選択である。

 WTO加盟の新情勢下で、引き続き改革・開放と社会主義現代化を進めることは、われわれ全党にとって、新たな勉強であり、新たな試験でもある。それは、われわれの学習能力、対応能力、競争能力、政策決定能力、創造・革新能力の非常に実際的で具体的な検証となる。全党が学習を急ぎ、研究を強めなければならない。指導幹部は、開放の条件下に経済発展全体の管理と舵取りをする能力を身につけるよう努力しなければならない。そして仕事の中では、国内国外二つの要素を全面的に考慮し、内外二つの市場、二つの資源を利用することと国際市場が中国にもたらすリスクを最小にすることに習熟し、中国の現代化をよりよく促進しなければならない。全党の同志が共に努力しさえすれば、必ず、WTO加盟がもたらすさまざまなチャンスを生かし、改革・開放と現代化建設をよりよく前進させることができるだろう。

 座談会を主宰した李鵬常務委員は、次のように述べた。

 江沢民同志の演説は、われわれが15年間の交渉で得た重要な経験を掘り下げて総括し、中国のWTO加盟後のチャンスとチャレンジについて説明し、仕事に取り組むにあたっての努力の方向を示した。江沢民同志の演説は、われわれが情勢をさらにはっきり認識し、思想を統一し、自信を強め、WTO加盟後の諸活動に取り組み、改革・開放と現代化建設を一層推し進めるうえで、重要な指導的意義を持つものである。だれもが真剣に学習し、深く体得し、真剣に実行する必要がある。

 WTO加盟は中国にチャンスをもたらすとともに、チャレンジをももたらしたが、全体的にはチャンスのほうがチャレンジより大きく、中国の発展の根本的利益にかなっている。肝心な点は、うまくチャンスをつかみ、改革・開放と現代化建設を引き続き前進させることであり、それはわれわれがさまざまな挑戦に対処する根本的措置である。同時に、各地区、各部門は、中国が直面する挑戦について、それぞれの実情に合わせ、全面的かつ具体的な分析と検討を加え、確実で実行可能な政策と措置を定め、各方面の仕事に着実に取り組まなければならない。各級の党委員会と政府は確固たる姿勢で、中央の要求に従って活動に取り組み、思想解放、実事求是を進め、自信を強め、開拓精神で前進し、改革・開放と現代化建設の新局面を絶えず切り開かなければならない。

 セミナーの開催期間中、朱鎔基党中央政治局常務委員・総理はWTO加盟後の活動への一層の取り組みについて重要演説を行い、次のように述べた。

 党中央、国務院は今回のセミナー開催を非常に重視しており、春節が過ぎたばかりで各方面の仕事が忙しい中、各地区、各部門と軍隊の関係機関の主要な指導者を集め、当面の国際情勢とWTO加盟問題について系統だった学習と特別の検討を行うことを決めたが、これはぜひとも必要なことであり、きわめてタイムリーなことであった。

 WTO加盟が中国にもたらすチャンスとチャレンジについて、全面的に掘り下げて分析し、認識する必要がある。中国のWTO加盟は、経済のグローバル化という趨勢に直面して下した戦略的政策決定であり、中国の改革・開放と現代化建設の促進に有益である。われわれはWTO加盟という歴史的チャンスを十分に生かし、新たな挑戦に積極的に対処し、競争力の向上に重点を置き、発展を速め、自らを強大にしなければならない。「進出」戦略を強力に実施し、市場の多元化をさらに進め、積極的かつ主動的に国際市場を開拓しなければならない。市場を開拓するには質で勝負しなければならず、カギは品質の著しい向上にある。品質を企業の命と見なさなければならず、製品の質を高めてこそ、国際市場を持続的に、手堅く占有し、広げることができるのである。

 現在、世界の経済成長は鈍化しており、発展の見通しにも多くの不確定要素があり、むしろ困難を多めに見積もっておいたほうがよい。不要な支出を厳しく抑えるよう留意し、勤勉・節約の精神を発揚すべきである。大衆の生活、とりわけ低所得者らの生活に関心を寄せるべきだ。各地区、各部門は一致団結し、着実に仕事をし、国民経済の持続的、急速かつ健全な発展を促さなければならない。

 銭其シン党中央政治局委員・副総理は、セミナーで国際情勢と外交活動について報告した。