中国で宗教活動はとても正常に行われている

唐元

 先日北京で第9期全国人民代表大会第5回会議と第9期全国政治協商会議第5回会議が開かれた期間に、イスラム教を信仰する全国人民代表大会代表と政治協商会議委員が泊まっているホテルの部屋の中で、生花のそばに一枚の祝賀カードが置いてあり、カードにはアラビア語で、イスラム教徒の間で使われる挨拶の言葉が書いてあり、壁には緑色の「西」という字が貼ってある……。

 南京市から来た全国政治協商会議委員、江蘇省イスラム教協会副会長の伍貽業氏はこれにとても満足し、「イスラム教徒は西の方に向かって礼拝するが、ホテルの中をぐるぐる回っているうちに、方向を見分けられなくなる。いまは方向をはっきり示してくれるので、とても便利になった」と語った。

 毎日の朝あるいは夕方に、68歳の全国人民代表大会代表、新疆ウイグル自治区カシュガル地区イスラム教協会副会長のシャディク・カジアジ氏は宿泊先のホテルで、メッカで買って持ち帰ってきた自分の最も好きな緑色の礼拝用カーペットを広げ、ひざまずいてイスラム教の朝拝をする。

 関係ある宗教指導者が実証しているように、中国の宗教聖職者と信者のすべての正常な宗教活動は、宗教の場所あるいは家の中で、例えば仏像礼拝、誦経、礼拝、祈祷、経文講義と伝道、ミサ、洗礼を受ける、受戒、断食、宗教の祭日を祝うなどは、いずれも宗教の組織と信者が自分で行い、法律の保護を受け、他人は干渉してはならない。

 全国政治協商会議委員、中国キリスト教「自治、自養、自伝」愛国運動委員会主席の羅冠宗(82歳)氏は、中国の宗教信者の合法的権益に対する高度の重視と保護が「二つの会議」で最もよく体現されている、人民代表大会と政治協商会議で宗教界の代表と委員が国の重要な政策・方針の制定と協議に参加している。今年の「政府活動報告」の起草過程で、朱鎔基国務院総理は広く各方面の意見を聴取し、「草案」は北京からファックスで上海に送られ、わたしの意見を求めたので、わたしはキリスト教界を代表して修正の意見を出したと語った。

 統計によると、中国では、各クラス人民代表大会の代表と政治協商会議の委員に選ばれた宗教界の人は17000余人いる。

 シャディク老人の所在するカシュガル地区は新疆の南西部に位置し、同地の300余万の人口は大部分がムスリムである。現在、カシュガル地区にモスクが10700余カ所あり、アホンとイマムなど専門の宗教聖職者は13000余人いる。

 カシュガル地区最大のモスクでは、氏が日常の誦経儀式を主宰する時に、朝拝に参加する人は3000人前後ある。日曜日になると、参加者は1万人に達する。氏によると、現地の政府はこれらの正常な宗教活動をこれまで干渉したことがない。

 ここ数年、新疆と中国のその他の地区からメッカに行って聖地を巡礼するムスリムはますます多くなり、新疆だけでも毎年メッカに行く人は2000余人もいる。シャディク氏は、解放前、全中国で毎年メッカに行く人は200余人にすぎなかったが、現在新疆の経済が発展し、人々が豊かになったので、多くのムスリムの財布がふくらみ、メッカに行くことを望んでいると語った。

 羅冠宗主席は「海外の一部の人は中国が宗教の発展を抑えていると非難しているが、彼らのうちの一部の人は状況を知らないためにそうしたのだが、もう一部の人は悪意からそうしているのだ」、正義感と良知のある人たちは、客観的かつ善意に中国の宗教の発展を評価するものと信じていると語った。

 全国人民代表大会代表、中国カトリック教愛国会主席の傅鉄山司教は、中国では数千年来「和を以って貴しとなし」、内容や性質の異なるものを差別なく受け入れる文化的伝統および新しいタイプの政教分離と宗教信仰自由の政策のおかげで、中国の宗教はすばらしい状態に入り、歴史上の「ゴールデンエージ」に入りつつある」と見ている。

宗教信仰の自由

 今年221日、江沢民中国国家主席はブッシュ米大統領と北京で正式に会談を行った後に行った共同記者会見で、中国の憲法は、公民に宗教信仰の自由があると明確に規定していると指摘した。

 江沢民主席がアメリカの記者の質問に回答した際、中国に宗教を信仰する公民は大勢いる。わたしは宗教を信仰しないが、宗教にはとても興味を持っており、『聖書』、『コーラン』、『金剛経』などさまざまな宗教の経典を読んだことがあり、しばしば国内の宗教界の指導者と一緒に話し合っていると述べた。

 昨年12月中旬、中国共産党中央政治局常務委員は全員北京で開かれた「全国宗教工作会議」に出席した。江沢民主席は会議の席上、「宗教工作は中国共産党と中国政府の活動の重要な構成部分である」と強調した。

 全国政治協商会議委員、中国カトリック教愛国会副主席の劉柏年氏は、中国の各宗教は仲よく付き合い、社会の発展と進歩のために心を合わせて協力しているが、その主な原因は、中国共産党と中国政府が一貫して宗教工作を非常に重視し、正しい宗教政策を制定し、真剣に貫徹していることにあると見ている。

 20世紀90年代から、中国の指導者と中央政府は宗教工作に対し一連の重要な論述、政策決定、配置を行い、宗教信仰自由の政策が貫徹され、正常な宗教活動と宗教団体の合法的権益が保障されている。それと同時に、中国政府の宗教事務管理は法制化、規範化の軌道に乗り、民族、宗教の要素にかかわる問題は憲法と法律の範囲内で善処され、宗教界の人びとと宗教を信仰する広範な人びとは積極的に現代化建設に身を投じ、中国共産党と宗教界との愛国統一戦線は絶えず強固になり発展している。

 中国は宗教の多い国である。現在信者をわりに多く擁している宗教は主に仏教、道教、イスラム教、カトリック教、キリスト教がある。統計データが顕示しているように、宗教信仰自由の政策が真剣に貫徹されたため、ここ半世紀近く以来、特に改革・開放20余年来、中国各宗教の信者数がわりに速く増加し、現在各宗教の信者は合計1億余人に達し、宗教活動場所は10万余カ所あり、宗教聖職者は約30万人で、宗教団体は3000余りある。

 仏教は中国ですでに2000年以上の歴史がある。現在中国に仏教の寺院が13000余カ所あり、出家した僧と尼は約20万人で、そのうちチベット語系仏教のラマ僧、尼僧は約12万人、活仏は1700余人、寺院は3000余カ所ある。巴利語殺仏教の比丘、長老は1万人近く、寺院が1600余カ所ある。

 道教は中国「生え抜き」の宗教であり、1700年以上の歴史がある。中国に現在道教の宮、観が1500余カ所あり、乾道、坤道は25000余人いる。

 イスラム教は7世紀に中国に伝わってきて、中国の回族、ウイグル族など10余の少数民族の人びとに信仰されている。これらの少数民族の総人口は約1800万で、現在モスクが3万余カ所あり、イマム、アホンは4万余人いる。

 カトリック教は7世紀から中国に伝わってきて、1840年の中英「アヘン戦争」以後大規模に広まっていった。中国は現在カトリック教徒が400余万人おり、住職者は約4000人で、教会堂は4600余カ所ある。

 キリスト教(プロテスタント)は19世紀初めに中国に伝わってきて、「アヘン戦争」後に大規模に広まっていった。近年は急速な発展をとげ、教徒は1949年の70万人から現在の1500万人へと、22倍増え、布教者は2万人近くおり、教会は12000余カ所、簡易活動場所は25000余カ所ある。

 全国政治協商会議委員、山西省仏教協会常務副会長の根通氏は、宗教信仰の自由は実際には精神面と社会面という二方面の内容を含んでいる。精神面の自由は信仰者の精神の必要と追求を表し、内心の活動であり、個人の私事であり、国は干渉しない。社会面は、信仰者が信仰を追求する表現方式を表し、それには宗教組織、場所、礼儀、祭りなどが含まれ、社会活動であり、法律と政策の許す範囲内で活動しなければならず、相対的な自由である。だから、信仰の自由は完全に宗教の自由であるわけではなく、それは政策と法律の範囲内と保護下の自由であり、精神自由と行動自由の統一であると見ている。

 宗教界の大多数の人は、宗教信仰の自由を尊重するのは、決して邪教組織に社会に危害を加える自由と権利を与えることではなく、邪教は根から宗教ではなく、一種の邪悪な説教と勢力である。正当な宗教信仰を愚昧迷信と区別し、正常な宗教活動を宗教を利用して違法犯罪に従事することと区別し、人びとの善良な願いをごく少数の悪人の腹黒い魂胆と区別しなければならない。

独立自主に宗教を運営

 調べによると、中国の各宗教団体は自らの必要に応じて宗教聖職者を育成する宗教関係大学と学校を70余校創設し、また社会公益サービス事業を興したが、これらはいずれも自身の教務を自主的に運営し、民主的な管理メカニズムを構築している。そのほか、仏教の仏経、道教の「道教経典」、イスラム教の『コーラン』、キリスト教とカトリック教の『聖書』などの宗教経典はいずれも各宗教団体が責任をもって出版、発行し、各宗教団体はいずれも全国的な定期刊行物を出版し、国内外で発行している。

 中国共産党中央政治局常務委員、全国政治協商会議主席の李瑞環氏は全国的な宗教団体の指導者と行ったある座談会で、中国の宗教政策の最も基本的なものは二つある、一つは宗教信仰の自由を尊重することであり、もう一つはあくまで独立自主に宗教を運営することであると特に強調した。

 国家宗教事務局の葉小文局長は歴史を総括してから次のように指摘した。中国の宗教は半封建・半植民地社会の下で、「封建的な家族性」と「外国宗教」という二つの際立った特徴を持っている。50年余りの思考と実践を経、正反両面の経験と教訓をしめくくって、中国は宗教の政策理念に対しいっそう揺るぎない、はっきりした認識をもつようになった。

 カトリック教とキリスト教はかつて帝国主義の中国侵略の道具になったことがあり、当時中国の宗教は外国人に支配されていたが、1949年の新中国成立後、帝国主義の侵略と蹂躙という歴史を受けた広範な中国の信者は、宗教問題の上では独立自主に自らの宗教を運営し、帝国主義の「外国宗教」のイメージから抜け出し、国外に支配された局面から脱却しなければならないことを深く体得した。

 「中華人民共和国憲法」の規定によれば、中国の宗教団体と宗教事務は外国勢力の支配を受けず、その核心は中国人が独自に教会を運営することである。中国宗教界の多くの人は、宗教団体は「自治、自養、自伝」という「三自」を堅持すべきだと考え、「三自」という方針は最初はカトリック教、キリスト教に対して提出されたものだが、独立自主に自営する原則はあまねく中国の各宗教団体と宗教場所に適用すると指摘した。

 傅鉄山司教は、「独立自主」に含まれている意味は、なによりもまず中国の信者が自分の祖国を愛し、国家の発展と建設に積極的に参加することであると考えている。氏はカトリック教が中国に伝わってからの数百年の経験と教訓を総括してから、カトリック教が中国で生存し、発展したいなら、国を愛する態度と立場をとるべきだ、つまり感情の面から自分の国を愛しなければならず、教会と信徒は自分の祖国のために尽力し、国の独立、主権と領土保全を守らなければならず、全国の400余万のカトリック教徒が積極的に物質文明建設と精神文明建設に貢献をするよう動員し、呼びかけなければならないと指摘した。

 朱鎔基総理が「政府活動報告」の中で「愛国的宗教勢力の建設を強化する」を提出したことに、宗教界の政治協商会議委員たちは大きな喜びを覚えた。中国キリスト教「自治、自養、自伝」愛国会副主席兼秘書長のケ福村委員は、中国の宗教界は絶えず愛国主義の意識を強める必要があり、布教も主権の意識がなければならないと表明した。

 傅鉄山司教は、「わたしたちが教会を運営するにあたって、中国の司教、神父がいなければならず、信者仲間が自ら運営し、自ら広め、また経費をできるだけ自ら解決する必要があり、こうしてのみはじめてわたしたちの教会は国際教会の付属品にならないで済む」。「わたしたちも排外するのではなく、「独立自主、教会自営」という方針の導きの下で、世界各国のカトリック教会と平等で友好的な関係を樹立し、互いに交流、促進、発展、協力を行い、共に人類の平和と発展を守るべきである」と指摘した。

 全国政治協商会議委員、中国イスラム教協会副会長、陝西省イスラム教協会会長の馬良驥アホンはパキスタン、シンガポール、スペイン、ノルウェーなどの諸国の指導者と外国宗教界の人びとと広く接触し長時間話し合ったことがある。氏は、「イスラム」の意味は「平和」であり、キリスト教とイスラム教の信仰が違うとはいえ、イスラム教は「平和、安定」を重視し、キリスト教も「平和、博愛」を重視しており、その目標は一致したものであり、それはつまり平和であると指摘した。   

 国家宗教事務局の楊同祥副局長によると、中国の宗教界は70余カ国の宗教団体と広い連係を保ち、宗教、文化などの面で交流を行っている。

外国人は中国国内で宗教活動に従事してもよい

 その他の国および都市と同じように、日曜日はカトリック教徒たちが教会に行ってミサをする日であり、教会が最も忙しい日でもある。午前10時前に、多くの外国人は北京宣武門にある「南堂」へ行って英語のミサを聞く。

 教会の聖職者によると、一般の状況の下では、毎週日曜日の英語のミサに欧米、アフリカ、東南アジアなどの諸国から700余人の信徒が参加する。彼らの中には大使館の関係者もあれば、中国で商売するビジネスマンもあり、観光客もいれば、留学生もいる。どこにいても、条件さえあれば、カトリック教徒はみなミサをする義務があり、北京教区の17カ所のカトリック教会はこれら北京在住の外国信者のために条件をつくり出した。

 「南堂」で英語とフランス語でミサが行われるほか、北京東交民巷の教会は韓国人のためにわざわざ韓国語のミサを行い、韓国の神父が主宰する。外国語でミサを行うのは、疑いもなく外国の信者に便宜を図るものである。一部の外国人は中国の信者と一緒に中国語でミサを行いたい時もあり、このような時でも、関係方面はそれ相応に便宜をはかってやっている。実際にはその気持ちさえあれば、どの外国人も北京のすべてのカトリック教会でミサ、結婚、洗礼、追憶などを含むいろいろな宗教サービスを得ることができる。

 北京常駐のあるジンバブエ高級外交官は、「中国での暮らしを、わたしは非常に楽しく思っている、自分の家にいると同じように、ここの信仰、ミサの儀式はわたしの故里のと同じだ」と語った。

 しばしば上海キリスト教「国際礼拝堂」ヘ行って英語の礼拝をするある米国会社の取締役も、「わたしの受けた感じはとてもよく、アメリカで礼拝をするのはみんなアメリカ人だが、ここでは異国の兄弟が大勢おり、わたしはここで異国の人びとの状況を理解することができる、これはわたしにとってはすばらしい経歴だ」と語った。

 中国政府は中国国内にいる外国人の宗教信仰の自由と正常な宗教活動を尊重し、その保護を重視している。1994年、中国は「中華人民共和国国内の外国人宗教活動管理規定」を公布したが、7年後に、関係各方面の意見を広く求めてから、国家宗教事務局はまた「中華人民共和国国内の外国人宗教活動管理規定実施細則」を公布した。同細則は前者を細分化し、補足し、完全なものにし、操作可能性を強めた。

 同「実施細則」は次のように規定している。中国の国内にいる外国人は自らの宗教信仰に基づき、法によって登録した寺院、宮観、モスク、教会で宗教活動に参加することができる。中国の宗教社会団体の同意を経て、国内にいる外国人は中国の宗教聖職者を招いて各宗教の習慣に基づいて自分のために洗礼、婚礼、葬式、法事、法会などの宗教儀式を行ってもらうことができる。外国人は関係ある宗教文化学術交流のプロジェクトあるいは取り決めに基づいて、宗教文化学術交流に用いる宗教用品を携帯して入国することができる。認可を経て外国の宗教聖職者は中国の宗教活動場所で経文を講義し、道を説くことができ、中国の宗教関係の大学と学校で教壇に立つこともできる。中国の宗教団体は関係規定に基づいて関係者を選んで外国に留学させることができ、外国人も中国の宗教関係大学と学校に留学することができる。国内にいる外国人が集団で宗教活動を行う問題については、同「細則」はまた県クラス以上人民政府の宗教事務部門が認可し、法によって登録した寺、観、教会などの宗教活動場所内で行うべきである、特殊な原因がある場合は、省クラス人民政府の宗教事務部門の指定した臨時宗教事務活動場所で行うこともできると規定している。

 「実施細則」は独立自主に宗教を運営する原則をいちだんと体現し、外国人が中国国内で宗教活動を行う時、中国の法律、法規を順守すべきであり、いかなる方式にせよ中国の宗教事務に干渉してはならないことに対し、具体的かつ明確な規定を行っている。