民意を政府に伝える政協委員

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　以前、中国で毎年の7月7日から9日までの大学入試の三日間を「ブラックの三日間」という人がいた。というのは、この三日間が「今後の運命を決定する三日間」となる可能性が大いにあるからだ。こればかりではなく、「ブラック」は毎年多くの受験生が酷暑の中で過ごさなければならないことをも意味している。受験生の暑気あたりに備えて、試験場の外で救急車が待機し、受験生の親たちが烈日の下で暑気避け用品をぶら提げて待っている……

　しかし、数十年も7月に実行されてきた大学入試は来年から6月に繰り上げて行われることになった。これは喜ばしいことである。この歴史的変革を実現させた人は、全国政協委員、江西九江民生グループ公司総裁の王翔氏である。

　1998年、洪水に見舞われた王翔氏の故里では、700余名の受験生は解放軍兵士の護送の下で無事試験場にたどりついた。一部の学校では試験場を屋上や山の上に移さなければならなかった。受験生や父兄、学校、政府は悪天候と環境が大学入試にもたらしたマイナス影響をなくすため、大量の人員、物資、金銭を投入せざるを得なかった。大学入試の日を酷暑や洪水発生期からずらすことができればどんなによいかと議論する人がとても多かった。

　1999年3月、第9期全国政協第2回会議で、王翔氏は広く民意調査を行い、繰り返し考慮したうえで作成した「大学入試の試験日を適度に繰り上げることについての提案」を提出し、「さまざまな状況と結びつけて考えると、6月初めに繰り上げるのが適当である」と提言した。

　大学入試の試験日の調整が大学、中学、とくに高校段階の授業計画及び試験、採点の実施にかかわるため、王翔氏の提案が絶対に採用されないと考える人がかなりいた。しかし、王氏はまもなく「真剣に検討し、十分に考慮する」という返答を得た。昨年3月初め、教育部は部長会議を開いて大学入試の試験日の調整問題について討論を行い、また真剣かつ詳細な調査研究を繰り返して行い、気象部門にも密接に協力した。

　王翔氏は、政協委員として、できるだけ民意を伝えなければならない、と語った。

　李瑞環全国政協主席は、政協は民意を調査し、伝える面で独特な強みを持っている、と指摘した。

　政協は国家機構体系内の国家機関でもなければ、普通の社会団体でもなく、中国人民の愛国統一戦線の組織であり、中国の政治生活の中で社会主義民主を発揚する重要な形式である。政協は「長期に共存し、相互に監督し」、「肝胆相照らし、栄辱をともにする」という方針に基づいて、中国共産党の指導する多党合作と政治協商制度を絶えず充実させ、完全なものにし、民主諸党派、無党派、人民団体、各少数民族、台湾同胞、香港・澳門同胞と帰国華僑同胞の代表及び特別招請された各界の愛国人士が国家の政治生活の中で重要な役割を果たし、国家の重要な政策と方針、建設諸事業及び人民生活の中の重大な問題について協議、討論するとともに、民主監督を実行することに努めている。関係者は、これは社会主義民主政治を建設し、中国共産党の指導を改善、強化し、政府の活動を改善、支持し、重大な政策決定の民主化、科学化を実現するうえで、いずれも重要な役割を果たしている、と見ている。

　政協委員たちは末端の多くの重要な状況と大衆の情緒、願望、問題を提言、提案の形で迅速かつ如実に上級に提出し、あることやある局部、ある地区についての具体的な提案と問題を伝え、あるいはマクロ戦略から出発して、一定の代表性と全局性をもつ意見と提案を提出して、関係部門の科学的政策決定に根拠を提供し、民主監督の実質的内容を増加することができる。

　政協の「提案」は政協に参加する関係部門と委員の民主的権利である。どの提案も「提案委員会」が「提案活動条例」の関係要求に基づいて審査、立案することを経てはじめて成立する一種の組織的行為である。

　説明によると、第9期全国政協第5回会議の開催期間に立件された提案は3368件に達した。関係規定によれば、提案を実施する部門は今年7月末以前に政協開催期間の提案を処理し、報告しなければならないが、会議期間以外に提出された提案は、受け取った日から3カ月以内に処理、報告しなければならず、難度が大きく、期限どおりに処理できない提案は、まず提案人に説明し、年内に処理、報告するように努めるべきである。

　全国政協はかつて常務委員会を開いて、「新しい情勢の下で民意伝達活動の強化、深化に関する若干の問題」を検討し、大衆が関心をもち、社会の代表性と傾向性が際立った問題を真実に伝えなければならず、政協が中央政府が真実の状況を知り、信頼できる情報を入手し、意見や不満を聴取する重要な機構とらなければならないと強調した。会議の後はまた政協全国委員会の「民意反映活動をいっそう強化することについての若干の意見」の文書を作成して試行し、この活動をいっそう規範化、制度化させた。

　ここ数年、各級政協は専門機関を設立し、連絡のルートを広げ、情報のネットワークを整備し、社会の真実の状況と大衆の意見や声をすかさず伝えるようにしている。「全国政協情報センター」は民情を伝える専門機関として、委員たちの意見や提案などをさまざまな形で中共中央、国務院及び地方の関係部門に提出している。1998年の第9期全国政協第1回会議以来、全国政協が専門ルートを通じて伝送した各種情報は5000件以上もあり、政協弁公庁が整理してから各関係部門に伝送したものは1500余件に達している。このほか、大衆からの投書や陳情は延べ1万4500件を超えた。

　昨年、全国政協弁公庁は27の視察団を組織し、737人の委員が参加し、楊汝岱氏ら11人の副主席が16回も視察団を率いて視察を行った。視察団は社会に深く入って、状況を調査し、幅広く各界人士の意見を聴取し、調査研究報告を執筆、修正して、多くの影響のある重要提案を提出した。農業の産業構造調整、農村の税金費用徴収改革、国有企業の改革、装備製造業の振興、生態環境の保全、都市の地域社会建設、研究機構の体制改革、民営経済の発展、賃金遅配、社会治安、医療保障などの問題についての多くの提案は中共中央、国務院に支持、肯定、重視された。

　全国政協スポークスマンの斉懐遠氏は、政協委員と関係機構の積極的な努力によって、全国政協は大量の情報を収集、伝達し、中国共産党中央と人民政府に社会の状況や民衆の声を伝えるルートをもう一つ増やした、と語った。