朱鎔基総理、博鰲アジアフォーラムで基調演説

 朱鎔基総理は412日、博鰲アジアフォーラムの第1回年次総会で「手を携えて新世紀のアジアの素晴らしい未来を築こう」と題する基調演説を行い、次のように述べた。

◇アジアの経済協力強調

 近年、アジア諸国の共同の努力で、包容、平等、漸進の地域協力意識が強まり、開放、健全、互恵の協力体制が形成されつつある。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の発展で、東アジア地域協力が盛んになり、「上海協力機構」も順調に運営されている。昨年11月、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は今後10年内に自由貿易地域を徐々に設置することで合意し、関係方面が交渉開始に向け、接触している。これらはアジア各国・地域の交流を拡大し、協力を深める重要なルートと枠組みをもたらすだろう。欧州や北米の地域協力と比べ、アジアの地域協力は遅れている。ここで4つの提案を行いたい。

 第1に、経済協力を重点とし、全方位協力を徐々に展開する。経済を発展させることがアジア各国の第1の任務である。実際の必要と実践からみて、貿易、交通、農業、情報、エネルギーを優先協力分野とし、他の分野に徐々に広げる。

 第2に、既存の協力ルートを足場に、協力の範囲を絶えず拡大する。東アジア、南アジア、西アジア、中央アジアは地理的に相対的に独立し、経済発展にもそれぞれ特色がある。利便性や有効性からみて、まず亜地域協力を強化し、それを基に、アジア全体の協力を積極的に模索する。

 第3に、2国間協力を一層推進し、地域協力の基礎を強化する。2国間協力の強化は地域協力の順調な発展に役立つ。地域協力はまた2国間協力のより大きな余地を開くのに役立つ。両者は互いに促し合うことができる。

 第4に、開放型の地域協力を実施する。開放はアジア文化の伝統である。協力は門戸を閉ざしてはできない。また排他的集団となってはならない。アジア各国はAPEC、アジア欧州会議(ASEM)、東アジア−中南米協力フォーラムなどのルートを通じ、世界各国との協力を一層強めなければならない。

◇中国はアジアと世界に一層開放

 中国はアジアの一員である。この20年余り、改革・開放を揺るぎなく推進し、国民経済の発展を速め、人民の生活改善をはかった。新世紀の到来で、中国の近代化は新たな段階に入り、国民経済は年7%以上の伸びを続け、発展している。中国の改革・開放と近代化の新たな飛躍は中国人民に大きな幸福をもたらすだけでなく、限りないビジネスチャンスももたらし、アジアと世界の経済協力に新たな大きな余地を開くだろう。

 世界貿易機関(WTO)加盟は中国の対外開放の新たな起点である。中国は今後、より広く、より深く、国際経済協力と競争に参加する。中国はアジアと世界に対し、一層開放し、各国の企業家、投資家に開放する。中国はWTO加盟に際しての約束を厳守し、対外開放分野を段階的に拡大し、関税水準を引き下げ、非関税障壁を取り除く。法治を整備し、より公平で、透明で、先の見える市場環境を整える。同時に海外進出戦略を大いに進め、中国の各所有制企業が世界に進出するのを奨励する。

 中国人民は平和を愛している。中国の発展には平和が必要である。中国の経済発展はいかなる国、地域にとっても脅威となることはない。現在は無論、将来も中国は常に世界平和を守り、共同の発展をはかる重要な力である。