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中米関係の雑音はどこからきたのか 中国現代国際関係研究所米州室研究員補助 楊文静
3月9日と10日、アメリカのマスメディアはアメリカが中国、ロシアなど7カ国に対し核兵器使用の制限を緩めるという消息を伝えた。同消息によると、米国防総省が新たに作成した「核態勢見直し」というレポートの一部の内容は、ブッシュ政府がすでに軍部に、必要があれば、核兵器を使用する突発事態に対処する計画を立て、中国、ロシア、イラク、イラン、朝鮮、リビア、シリアなど7カ国を潜在的な打撃の目標とするように命じたことを明らかにしとぃる。中国は潜在的相手であり、通常兵器と核兵器を発展させており、緊迫状況かまたは潜在する緊急な状況が現れる可能性がある。台湾海峡戦争などが起きたら、アメリカは必要を見て核兵器を使用する可能性がある。 3月5日、米軍太平洋総司令部のブレア司令官は国会で、日本と台湾海峡地区が必要とする安全保障を提供するため、アメリカはできるだけ早くシーベイズドミサイル防衛システムの研究・開発を回復させるべきであると表明した。これは中国側がこれまでずっと注意深く見守っているアメリカが台湾との準軍事同盟関係を積極的に発展させるいま一つのシグナルである。昨年以来、アメリカは台湾に大量の兵器を売却し、しかも数量、品質、性能、メカニズムなどの面で以前をしのぐものであった。アメリカの国内では台湾が中国大陸部から来るますます大きな脅威に対処するのを援助するため、アメリカが台湾との軍事面の対話を強化すべきだと鼓吹する人がたえず現れている。今年初めブッシュ米大統領は日本で演説を行った際、「アメリカは台湾人民に行った約束を銘記する」と語り、ひいては台湾を作戦区域ミサイル防衛システムに組み入れることさえ暗示した。 アメリカが上述の一連のやり方をとったのは偶然ではなく、その一貫した対中政策と関係があり、ブッシュ政府の対中政策の実質を表したものでもある。テネド米中央情報局(CIA)長官が言った通り、「9・11」事件はアメリカに対する中国の態度の外部環境を変えたが、両国関係の基本的要素は変わってはいない。 まず、中米間における台湾問題、核拡散防止問題、人権問題などを含む根本的食い違いは変わっておらず、台湾問題はその中の焦点となっている。ここ数年、両岸関係にずっと突破が見られなかったが、アメリカがそれを阻害する面で重要な役割を果たしているからである。実際行動の面では、アメリカ国内、特に国会のかなりの人がアメリカ政府が約束した「一つの中国」と「三つのノー」の原則を顧みず、いわゆる「民主を支持する」名目で、積極的に米台関係を昇格させ、台湾の「国際生存空間」拡大を援助することを企んでいる。ブッシュ大統領は彼が明らかにした「力の及ぶ限り」台湾の自衛を助成するという考えに従い、大量の兵器を台湾に売却することを認可し、軍事協力を改善し、訪米の台湾指導者により大きな活動の空間を与え、また訪中した時、一再ならずアメリカが「台湾関係法」を引き続き支持すると公言した。アメリカはまた「核態勢見直し」の中で台湾海峡事務の上で核兵器を使用すると脅している。アメリカが台湾問題の上で強硬な態度を保っている重要な目的は、「台湾独立」を後押し、引き続き台湾問題がまだ解決されず、台湾海峡情勢の上では現状を維持するやり方で中国の台頭を抑えることにある。 同時に、一部の現実的な政治要素を無視してはならない。伝えられるところによると、アメリカの一部の対中国政策を決定する高官はひそかに台湾の資金援助を受け入れたため、両岸関係の上では台湾の肩を持ち、中米関係を損なっている。このほど公表された台湾国家安全局の機密文書によると、ブッシュ政府の多くの現職高官が米台秘密外交に巻き込まれたかひいてはそれに直接参与しており、ケリー米国務次官補が担当する「戦略と国際問題研究センター太平洋フォーラム」(CSIS)は台湾の資金援助を受けただけでなく、台湾の金銭外交に介入さえしている。
次に、アメリカの対中戦略はその世界覇権戦略の表れである。ブッシュ政府が軽々しく中国に対し核兵器を使用するようなことはないだろうが、「核態勢見直し」の中では中国を打撃のリストに組み入れている。これはアメリカの軍事戦略の中で、中国が仮想敵であることを物語るものである。また、アメリカはアフガニスタン戦争を利用して中央アジア地域にあるキルギスタンとウズベキスタンなどの国で軍事基地を建設し、グルジアに軍事援助に提供している。アメリカはまた反テロの名を借りてフィリピンに軍隊を進駐させて「指導」を行い、シンガポール、マレーシアと反テロ協力を強化したいと表明し、同時に南アジアではインドと密接な軍事協力関係を樹立した。ブレア司令官は先般ベトナムを訪問し、再びカムラン湾にある元ロシア海軍基地にカムバックしようとしている。これらのすべてはアメリカが反テロの機に乗じて中国を封じ込める目標を達しようとしているのではないのかと人びとに疑わさせている。 第三に、「悪の枢軸」論を標識とするブッシュ主義の形成は中米関係にマイナスの影響を及ぼしている。「9・11」事件後、アメリカは反テロの名目で軍事拡張を速め、軍事費は世界のその他の国の軍事費の総合に相当する3800億ドルに増やし、全世界各地における勢力拡張を速めている。同時に、ここ数年来、アメリカの一部のマスメディアは、中国が軍事費の支出を増やし、絶えず軍事力を増強し、アメリカに取って代わる地域的軍事強国となると報道しているが、中国の軍事費がアメリカの軍事費のわずか5%に相当し、日本の軍事費の三分の一にもならないという基本的事実をまったく無視している。実際には、アメリカの一部の官員も、中国には今までアメリカを脅すことのできる大陸間弾道弾(ICBM)が20基しかないことを認めている。1月29日、ブッシュ大統領は「一般教書」の中で朝鮮、イラク、イランを「悪の枢軸」と称しているが、その中に中国に対する意図があるかどうか、これに対し人びとは警戒せざるを得ない。「アジアウィークリー」の記事が指摘しているように、ブッシュの朝鮮悪論の本当の用意が「中国悪」論である。これを拠り所として、アメリカはグアム島駐屯軍強化、米韓国軍事同盟メカニズム増強などを含めて、アメリカが極東地区で強い抑制力をもつ軍事力の確立による根拠をもたせている。ブッシュ主義は二重の目標がある。一つはテロリズムを全滅させること、もう一つは「反テロ」を借りて新しい覇権を求めることである。「反テロで区分する」から「悪の枢軸」に至るまで、人々はそこから実力を核心として、世界覇権をはかるブッシュ主義がアメリカの対中政策に影響を与える重要な思想の根源であることを日ましにはっきり認識するようになった。 国際社会における重要な大国として、中米両国は「和すれば双方にとって有利であり、破れれば双方に害をもたらす」。両国の文化的背景とイデオロギーに大きな相違があり、中米関係を推し進め、改善するには、アメリカはその一方的な考え方を変え、共通点を求めて相違点を残し、相互に尊重し、それによって相互に理解して信用するようにすべきである。ブッシュ大統領は訪中した時キリスト教文化の優れたところを大いに語ったが、中国の文化もすこし理解して、平等な態度で中国に対処し、世界の多様性の存在を受け入れるべきではないだろう。
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