中国駐日大使館、瀋陽事件の真相を公表

 中国駐日大使館の黄星原参事官は513日夜、大使館で記者会見を行い、瀋陽駐在日本総領事館事件の真相を詳しく説明した。

 黄参事官は、中国側の調査によると、事件の具体的状況は次の通りであると述べた。

 58日午後155分(日本時間同255分)、日本総領事館の警備を担当する当直哨兵張兆文、哨兵班長孫永濤は5人の身元不明者(男2人女2人と女児1人)が日本総領事館の正門約1メートルの立入り禁止ラインまで入ってきたのを発見、哨兵が行く手を遮り、証明書の提示を求めた。この時、その中の1人の男性が突然身を翻して、正門東側の通用口から総領事館に突入した。ちょうど査証の受付時間で、正門には幅2メートルの通り道が空いていた。これと同時に、一緒にいた2人の女性が歩み寄って当直の哨兵につかみ掛かった。続いてもう1人の男性が突入しようとした時、孫永濤が後ろから抱きついた。同男性は孫の顔に肘鉄を食わせて、鼻を負傷させ、鼻血を出させた後、制止を振り切ってやはり通用口から総領事館内に侵入した。

 哨兵はすぐに武装警察に知らせた。武装警察部隊の大隊、中隊が知らせを受けた後、尹国輝大隊長、金暁東副大隊長、呉明宇第8中隊指導員、王冶・副中隊長が直ちに査証事務所にかけつけた。この時総領事館の宮下謙・副領事も3人の中国人職員を連れて現場に来た。尹国輝は宮下に「館内に入って、侵入した2人の男性を連れだしてよいか」と尋ねた。宮下はうなずきながら入ってもよいというしぐさをし、日本語で何か言った。中国人通訳の説明では、「中に入って連れだしてもよい」という意味だった。そこで尹は4人の哨兵を連れて総領事館に入り、宮下の確認に従って、2人の男性の前にやってきた。尹は「何しに来たんだ」と尋ねた。2人は何も答えなかった。尹は再び宮下に「この2人を連れて行ってもよいか」と尋ねた。宮下は同意を示すように大きくうなずき、中国語で一言、「構わない」と言った。その後、当直の哨兵が総領事館に突入した2人の男性を外へ担ぎだした。

 2人の男性が当直哨兵によって武装警察中隊の警備室に連れてこられた後、総領事館の馬木秀治副領事(警備担当)が状況把握のためこの警備室に来て、身元不明の5人と話をしようとしたが、言葉が通じなかった。この時、地元公安派出所の人民警官がかけつけて、5人を連れ去ろうとした。馬木は「ちょっと待て」と言って、携帯電話をかけた。その後、馬木は派出所の人民警官が5人を連行するのに同意し、当直の将兵にお辞儀をし、中国語で「ありがとう、ありがとう」と言って、その処置に満足の意を表した。

 黄参事官は次のように述べた。以上の経過から、当直の哨兵の行為は日本側の許可を受けていたことがはっきりとわかる。もともと簡単な問題がこのように大きくなった責任は完全に日本側にある。日本側が態度を改め、事件を一層複雑にしないよう希望する。