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“フィンガープッシュ”で生活をチェンジ
呉さんは「急用でないときや、簡単な話のときには、こんなふうにして親しい友人と連絡します。お金をかけなくてすむし、ときには意外な収穫もあるんです。普段は言葉で感情を表現するのが苦手な夫が、短いメッセージの後に“ILU(I Love You)”を付け加えることもあって、驚いたり喜んだり、生活に張りが出てきますね」と話す。 携帯が出回り始めたのは、80年代末。そのころ、使用していたのはほとんが外資系企業の上級職員や個人事業者。「大哥大」(ダグダ・本来は年上の兄の意味で、転じて高額所得者)との尊称を持つ携帯は、金銭とステータスを表していた。だが今では、大都市のあちこちで携帯ベルが鳴り続けている。携帯は市民にとってもはや贅沢品ではない。一般市民の生活にすでに浸透し、その生活を変えようとさえしているのだ。 現在、携帯電話の所有者は1億6159万人、平均しておよそ11人に1人が持っている計算になり、中国は米国に代わり世界最大の移動通信大国となった。移動通信業務は電信事業を持続成長させる主要な原動力で、電信総業務量の48%を占める。 生活の必需品
統計によると、大都市では4割の成人が2001年7月以前に携帯を購入している。 ある調査会社は先ごろ、北京や上海、広州、成都、武漢、南京、瀋陽、成安、鄭州、済南の10都市に住む約4000世帯を対象に訪問調査を行い、「10都市の携帯電話の消費とブランドに関する研究」報告書をまとめた。 報告書によれば、10.5%の人が1年以内に買い換えると答え、12.3%が現在は持っていないが、将来購入を考えるとしている。 また、携帯の所持率では上海が10都市の中で最も高くて54.5%、1年以内の新規購入または買い換え比率は34%。各携帯電話最大手は上海をテコ入れしているため、好業績を上げているという。この2つの比率で上海に次ぐのが南京で、それぞれ47.9%に31%。北京と広州では所持率から見て、流行傾向が似通っていた。調査対象2人に1人の割合で携帯を所持している。この2都市は率では上海を下回るが、3台または3台以上購入したことのある消費者の比率は上海を10ポイント上回る。これは一面では携帯消費の歴史が上海より長いこと、一面では2都市の消費者に新製品好みの傾向があることを暗に示している。 以上4都市を除く都市では流行初期の段階にあり、また発展の度合いもまちまちだ。関係筋は、一部の都市では今後1年以内の携帯の購買力は北京や上海には及ばないが、絶対的基数から見れば、こうした都市は将来の主要な成長ポイントとなり、その市場開拓は携帯メーカーにとって長期的な計画になると分析する。総体的に見て、携帯電話は大都市では普及し、市民生活でますまう重要な“役柄”を演じつつある。 ナウさの証明
青少年はいつの時代でもナウいものに一番憧れる。1年前、学生が携帯を持って登校する是非をめぐって議論が交わされたが、今では普通の現象だ。去年9月の新学期の際、広州の中山大学キャンパスでは携帯を使用する学生が格別多かった。暫定統計によれば、広州の大学生の携帯所持率は60%前後、全国の大学でトップクラスにある。同大学コンピューター学部のある学生は「大学生の携帯使用はもう当たり前です。クラスの半数以上の同級生が持っているし、1年と4年生が所持率で一番高い」と話している。 携帯使用は高校生の間でも増えている。深?では、携帯を持っての登校はもう特区内の高校生だけに限った目新しさではない。ある教師は「生徒が携帯を持つようになったのは、この2、3年のこと。今年になって普及のスピードが速くなりました。機種も流行を追って増え、小型で精巧な先進機能を備えた携帯を使っている生徒も珍しくありません。5000元以上の機種を持つ生徒もいる」と説明する。 携帯は父母との連絡強化以外に、高学年の大学生の間ではアルバイトや卒業前の職探し、恋人との会話に使われ始めている。一方、低学年や高校生では同級生とのおしゃべりや短いメッセージの送信が主体だ。 携帯を頻繁に更新することにも熟達してきた。更新は個性を標榜する手段として主流となっている。また、携帯を所持の角度からその人の個性を判断するようにもなってきた。更新と同時にディスプレイ上のアイコン、本体デザイン、呼び出し音、ケース、携帯の仕方や身につけ方なども変化しつつある。流行の変遷が携帯電話の隅々に表れてきた。 “爆発的”なショートメッセージ
中国移動陝西公司によると、メッセージを送る人が多いのでネットに何度もつながらない状態が起きている。同公司では今年の春節、3人を24時間待機させたが大変緊張したという。昨年の国慶節(10月1日)に比べ使用数量で2倍、春節と比較すると数十倍も増大している。 ショートメッセージは多くの人に受け入れられるようになってきた。ある調査で、携帯では音声通話にはほぼ満足しているが、このほかに漢語の入力とショートメッセージの作成という2大機能に携帯消費者が関心を示していることが分かった。こうした関心は、ショートメッセージが音声通話以外の連絡方式になりつつあり、“メッセージ文化”が都市でにわかに台頭してきたことがその背景にある。市民はすでにショートメッセージで情報を交換し、挨拶を交わし、ジョークを送信するようになった。Webサイトでも携帯用メッセージや呼び出し音、アイコンをダウンロードするクリック率が着実に上昇している。これに比べ、漢語入力がサポートできない携帯は消費者から見向きもなれなくなった。 ショートメッセージ市場が“爆発的”になったのは、2001年5月以降。月間送信量は5億件、毎月4000件を上回るスピードで増大し、その年は100億件に達した。 電信消費時代の到来へ
広東移動通信公司の林振輝副社長によれば、同公司は銀行などと携帯ショッピング業務での協力で話し合いを行っているという。近い将来、携帯利用者がキャッシュカード番号と携帯番号を対応させれば、ショッピングする場合にキャッシュカードを持参する必要がなくなる。携帯上で自分のカードの暗証番号を入力すれば、メッセージが商店のPOSに送信され、金額を入力して確認した後、金額分が銀行口座から自動的に引き落とされることになる。 今年の世界電信デーでは、「情報通信技術の全人類へのサービスとデジタルデバイド(デジタル化がもたらす格差)解消への支援」がテーマだった。中国の移動通信は発展していく中で第1世代のアナログを飛び越え、第2世代のGSMデジタルのピークに達した。今では、高速デジタル伝送を提供できる第2.5世代の移動通信であるGPRS技術が市民の生活に浸透し始めている。 中国移動通信は2000年にWAPの難しい試練に立ち向かった。2001年には「ドリームネット」計画を打ち出して無線短信業務に熟知し、同時にその消費も推し進めた。無線を応用した消費をいかに発展させるかが、電信会社や情報端末機器メーカー、応用プランナーの2002年の重点課題だ。 「Monternet」は中国統一の移動インターネット業務のブランド名。Monternetは「移動、開放の特長をしっかりと把握し、ユーザー集約の機能を十分発揮し、SPにユーザーと接続するブリッジを提供し、ユーザーには使いやすく科学的なインターフェイスを提供し、人類が“何時どこにいても目と鼻の先にいる”というドリームを実現したネットファミリーになる」との壮大な計画を掲げている。 短信サービス、個人株式の検索や株式市場の評価サービス提供による財産管理、予約や観光サービス、携帯によるメール送受信サービス、最新の商業情報や人材招聘情報などの相談サービスなどの業務を行うことにしている。そう遠くない将来、移動通信は市民の性格に利便さと変革をもたらすだろう。一つの電信消費時代の到来が予見できる。
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