非物質文化遺産研究センターを設立

 今年510日、中央美術学院に非物質文化遺産研究センターが創立された。

 記者会見で、同センターの喬暁光主任は、「現在、中国の民間芸術のうちユネスコから世界非物質文化遺産に評されたものが一つしかない。多くの非物質文化遺産は適時に保護しないならば、海の潮が引くように全面的に消え失せてしまう可能性がある」と語った。

  非物質文化遺産は無形文化遺産とも称され、主として人類が口伝の方式で伝え、民族の歴史的蓄積と幅広く突出した代表性をもつ民間文化芸術の遺産を指す。中国では現在世界非物質文化遺産に指定され、非常に良く保護されているものは昆曲しかない。その他の多くの民間芸術、たとえば儺劇、影絵、民間の切り紙細工などは文化の角度から良く研究、保護されていない。

 紹介によると、非物質文化遺産研究センターを創立する目的は、民間芸術を人類の文化遺産として正式に大学の芸術教育に入れ、「学院派」教育の中で、長期にわたって民間文化芸術認知教育を軽視してできたブランクを埋めることにある。喬暁光氏の話では、本科は「文化遺産計画管理」学科の開設を準備しており、この学科は非物質文化遺産の伝承、保護、研究、民間芸術品の開発など一連の問題に照らして開設するものである。そのほか、同センターは重点的に民間の原生態文化情報を緊急救援、集中、整理、研究し、中国の非物質文化遺産文書保管バンクを設立し、民間切り紙細工の保護と伝承プロジェクトを始動させる。

 伝えられるところによると、現在、非物質文化遺産の申告が統一的に行われていないことも中国が世界クラス非物質文化遺産に総数が少ない主要な原因である。喬暁光氏によると、現在、鬼やらいの申告が統一的に行われておらず、湖南省、貴州省、江西省など多くの地方は申告しているが、伝統的な鬼やらい文化は一つの総体的で、1種の文化上の多地域的伝承であり、申告は1つの総体として行うべきである。単一的な申告は文化価値面で混乱をもたらし、鬼やらいの保護にとても不利である。そのほか、北西部を開発する時、文化と経済の双方向の価値認識問題がある。西部は多くの民族の豊富多彩な非物質文化遺産を持っており、北西部を開発して経済を発展させる必要はあるが、短期の少しばかりの利益でいまなお生きしている原生態文化を破壊してはならない。