日本右翼のいま一回の出演

――瀋陽総領事館闖入事件に対する日本の激しい反応は、
日本国内の右翼勢力が強くなっている明らかな兆し

管克江 董浄文

 日本駐瀋陽総領事館事件はすでに妥当に解決された。実際には最初から、鑑識眼のある人は中国側がとても迅速、適切にこの小さな出来事を処理できることを知っていた(この出来事の経緯については、本誌第22号を参照されたい)。日本側の一部の人はこの出来事を大きくしようと思ったが、結局としては実現できなかったばかりか、逆に国際で恥をかいてしまった。事が過去のものになったとはいえ、日本の右翼勢力とそのメディアのこの出来事に対する態度を振りかえるのは、人々が出来事の真相を知り、識見を広めることにとっては依然として必要である。

日本側の態度は自家撞着

 日本側の調査によれば、瀋陽の日本総領事館の日本人館員は、中国側の武装警察が領事館内に入って2人の女性と子供、あるいは2人の男性を連れ出すことに同意しなかった。また、この5人が武装警察の当直室に連れていかれた時、日本側もこの5人が公安局に送られることに同意しなかった。14日午後の日本外務省の記者会見で、中国の武装警察は5人の身元を確認しない状況の下で、阻止すべきかどうかという記者の質問に対し、松永外務省国際報道担当官は、記者の判断に同意しない、また「たとえ武装警察の阻止が合法的であっても、同意を得てから領事館に入るべきだ」と答えた。

 日本側の調査結果によれば、日本領事館の館員は初めから中国の武装警察が身元不明者を阻むのを断固拒否したというが、時事通信は早くから、日本大使館と外務省は58日の文書の中で、5人の身元不明者は「不法侵入者」であり、武装警察は「領事館に入った」のであると認定したが、後に武装警察は「領事館に侵入した」と言い直した、これは前後が矛盾しているではないだろうかと報じた。松永氏はこの問題を避けて答えず、「同意なしに入った事実に何度も抗議した」という日本の態度をくり返し表明した。その夜、『読売新聞』は奇想天外なニュースを流した。このニュースとは、5人が瀋陽総領事館へ闖入する4時間前に、阿南惟茂中国駐在日本大使は日本大使館の定例会議を主宰し、会議で日本政府の難民受入拒否の政策を重ねて言明するとともに、「いったん難民を発見したら、彼らを追い出す」と語ったというものである。これを見ても分かるように、5人が総領事館に闖入する時、彼らは難民であることを知っているという日本総領事館の館員の言い方によれば、領事館の館員はなおさら後に発表されたいわゆる「中国の公安部門が彼らを連れていくことに同意しない」のではなく、難民を追い出すという大使の決定を執行すべきであった。

 ある外国の新聞社に勤めている日本人記者はこう語った――わたしは闖入事件の全過程についてのビデオを見た。事はとても簡単で、どっちが正しく、どっちが間違っているかは、一目見ればすぐわかる。日本の外務省はいまかたくなに自説を固持しているのは、国内の世論と政治勢力の圧力を受けているからにすぎず、日本の外交は本当に「規則を守らない」、「愚かな」ものである。日本国会での質問では、ある議員は「調査レポートは、中国駐在日本公使が領事館に、『不可能なことをするな、彼らがあの5人を連れていくなら、連れていかせればよい』と指示したと言っている。これは中国の武装警察が身元不明者を連れていくことに同意したのではないのか」と声色ともに厳しく質問した。これを見ても分かるように、日本側の態度表明は自家撞着しており、疑問点がたくさんある。

 オブザーバーは、日本のメディアがいま繰り返し放映しているビデオは5人が通行人のふりをして突然闖入するシーンを意識的に放映せず、中国の武装警察がビザホールで2人の男性を連れていくシーンも放映しないのは、明らかに事実をあいまいにするためである。というのは、この二つのシーンがいったん放映されると、人々は武装警察がこれほど短い時間内にどのように領事館を守る職責を履行しているのかがわかり、日本の副領事がうなずき、腰をかがめて、武装警察が身元不明者を連れていくことに同意したのかどうかもわかるだろうと指摘した。あるベテラン記者は、事実が絶えず公表されるにつれて、事件は日本政界の一大スキャンダルになるかもしれない、と語った。

日本の右翼は事によせてわめき立てる

 日本の総領事館に闖入する事件の全過程は、一部の外国組織の事前の画策の下で、一部のメディアが撮影したものである。事後、日本のテレビ局はいずれも共同通信の配給したビデオテープを放映したが、ビデオの長さは235秒である。

 これらの外国組織はまた多くの国のテレビ局などのメディアにこのビデオテープを発送し、またこの数人の身元不明者は「朝鮮からきた政治難民」だと称した。

 日本のメディアはこのビデオテープを手に入れた後、事実を顧みず、異常な反中国ブームを巻き起こした。日本の極右勢力と極右政治家は至宝を手に入れたかのようで、怪気炎をあげ、これは「中国の武装警察が日本領事館の中で拉致したのであり、以前なら戦争だ」とさえ言いふらした。極右勢力とマスコミの扇動的な宣伝の圧力を受けて、この事件に対する日本政府の態度は一歩一歩エスカレートして、日本国内で騒がれる「日本駐瀋陽日本総領事館事件」に発展していった。

 外交の常識を少しでも持ち合わせている人であれば、この235秒のビデオを見ただけでも、この事件に対し事実に合った判断を下すことができる。ビデオの最初の部分を見ても、この5人の「難民」が現場では身元不明者であることが分かり、事件の組織者と事件に参与した外国のマスコミを除いて、いかなる人(もちろん、日本総領事館の館員を含めて)も彼らがどんな動機で日本の総領事館に強行闖入しようとするのかを判断することができない。通行人の行列に紛れ込んだこの数人の身元不明者が突然表門の中に駆け込もうとするとき、日本総領事館の安全に対する脅威となったのは明らかである。中国の武装警察は外国公館の安全を守り、正常な活動秩序を維持する本能から、それを阻止するのはまったくウィーン領事関係条約に合致するものである。残念ながら、日本政府が極右勢力の圧力に屈服して、事実の真相をはっきり調べない状況の下で、全然道理をわきまえない強硬な態度で中国政府が「ウィーン領事関係条約」に違反したと抗議した。

 その実、この事件はまったく一部のいわゆる「NGO」が専門に画策し、丹念にでっち上げた「政治劇」である。彼らはこの5人にどうやって不法に外国公館に闖入するかを教え、しかも早くから中国の武装警察がそれを阻止することを予想し、この機を借りて「中国の武装警察が政治難民に荒々しく対処し」、「国際人道主義に違反する」現場の証拠をつくろうとした。これらの組織は事前に外国のマスコミに、予定の計画通りに瀋陽の日本総領事館の向かい側にさまざまな撮影器材を取り揃え、現場で発生したすべてを撮影し、それから録画を全世界に放映し、「中国が人権をゆゆしく侵犯する」という国際世論の圧力をつくり出す。その目的は中日両国政府に「人権侵犯」と「人道主義違反」の罪名を着せることにある。

 事実を前にして、日本政府と日本のマスコミは本来ならば冷静、客観的な態度をとり、基本的事実の尊重を踏まえて、中国の武装警察の責任を負う行為に感謝し、また協議の態度で中国の警察側に拘束された5人の身元不明者を妥当に処理すべきである。

 しかし、日本側のやり方は全然そうではない。事件の発生後、日本の中国駐在大使館と駐瀋陽総領事館は再三外務省に報告を出したが、報告の内容はその都度大きな差があり、自家撞着している。日本政府と極右政治家、マスコミは事実に基づいくのではなくて、例の235秒のビデオテープに基づいて極端に無責任の反中国宣伝を行ったのである。マスコミと右翼勢力の反中国の調子が高くなるにつれて、日本政府の中国と対抗しようとする態度もちくじエスカレートした。日本の極右翼代表人物は外相を更迭し、駐中国大使を召還し、中国に経済制裁を加えると脅威さえした。

 これに対し、中国政府と中国駐日大使館は終始冷静で理知的な態度をとり、中日友好を守るという大局から出発して、できるだけ事態の拡大化を避け、このような突発的事件のために中日関係が悪化するのを避けようとした。日本のマスコミがいちばん勝手気ままに騒いでいるとき、中国駐日大使館の報道参事官は中国政府の調査した事実に基づき、責任をもって事件の真相を説明し、また誠意をもって、中国政府がこのことによって日増しに好転している中日友好関係に影響が及ぼされるのを目にしたくないと表明し、また日本のマスコミに、このことをエスカレートさせないようにと忠告した。

 日本国内が領事館闖入事件に激しい反応を示したことは、国内の右翼勢力が強くなっている兆しである。日本の有識者は、小泉首相の提唱した諸改革に進展をとげたものが一つもないため、一部の国民が失望のあまり、正常でない心理状態が現われ、右翼と極右翼を問わず、新しい政策を打ち出し、現状を改めることができさえすればよい、と考えるようになった。これは石原慎太郎のような極右翼の登場に適当な土壌を提供した。日本の右翼は主に反中国、「中国脅威論」を利用して人心を扇動している。今回の領事館闖入事件は大きな事件ではないにもかかわらず、日本の右翼にチャンスと資料を与えた。これらのチャンスと資料はまさに彼らの政治的必要にかなったものである。彼らは事実を顧みず、235秒のビデオテープから一部分を取り上げてかれこれ言い、是非を混同させ、むりやり中国を「人権を尊重せず、人道主義を守らない」「悪魔」であるかのように言いふらし、日本の外交を「軟弱外交」と言いふらし、すべての政治家に強硬に日本の主権を擁護すると態度を表明させた。

 右翼勢力と右翼マスコミの扇動の下で、日本の一部の冷静で理性的なジャーナリストは公正、客観的な見方を言う勇気を失った。たとえ言っても、まず「中国はあまりにも人道がない、断固として日本の主権を守る」と言ってから、遠まわしに右翼勢力と右翼マスコミが受け入れられる方式で、日本政府の非理性の外交政策に参考とする意見を提供した。しかし、読者のみなさんが日本国内のこれらの背景を理解するならば、自ら結論を下すことができるものと信じている。