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銀行の不良資産を減らす 謝 強 歴史的原因により、中国の国有商業銀行は長年来わりに多くの不良資産を抱えている。いま、この問題の解決が非常に差し迫った時期に来ている。中央銀行はすでに不良資産を減らすタイムテーブルを制定し、各商業銀行はさまざまな措置をとってこのきわめて困難な任務をなしとげている。 中国の国有商業銀行の不良資産の割合は世界でもわりと大きいことは疑う余地のないことである。 いかなる商業銀行でも。不良資産が生まれるのは避けられないことだが、それを一定の範囲内に抑えるべきである。国際警戒線は一般には10%前後だが、中国の監督・管理基準は15%を上回ってはならないことになっている。しかし、ここ数年来、中国の四大国有銀行の不良資産の割合はずっと規定した基準を上回っており、1995年は21.4%に達し、それ以後は年ごとに増えて、2000年末には29.2%にのぼった。 昨年、中国の四大国有商業銀行は初めて不良資産の純減少を実現した。年末には不良資産は3.81%減ったが、それでも25.4%を保ち、ほぼ1兆8000億元に達し、GDPの18.4%を占めた。 それ以前に、四大国有資産管理公司は四大銀行のために1兆4000億元の不良資産を処理した。さる3月に催された中国発展ハイレベルフォーラムで、楼継偉財政部副部長は、いま処理中の1兆4000億元の不良資産は、比較的楽観的な見積もりでは4000億元を回収できるが、それでも1兆元の損失が出ると語った。 中国人民銀行研究局の謝平局長は最近次のように指摘した。現在国有銀行の不良資産はこれ以上減らすことができない、四大銀行自身が解決しなければならない。「解決」は主に今後の新規増加する貸付業務に頼るが、同時に財政部も営業税率を引き下げるとか、貸し倒れを相殺する準備金を増やすなど一部の措置をとっている。 歴史的問題と現実の危機
不良貸付は長年溜まってきたものであり、国民経済の深層の矛盾の総合的な現れである。第一、国有商業銀行は国家銀行として、計画経済体制から市場経済体制への転換及び国有企業改革の大量のコストを引き受けた。第二、中国の金融制度がまだ健全ではなく、間接融資の割合が大きすぎ、直接融資の割合が小さすぎ、企業の資産負債率が高すぎるため、企業によって形成される不良債務が必然的に銀行の不良貸付として現われる。第三、長い間金融会計制度に慎重の原則が体現されず、このため銀行の財務の見かけだけの収入、実際に発生した貸し倒れをすかさず相殺できない。第四、社会の信用制度がまだ健全ではなく、債務者の銀行債務逃れの現象がわりにゆゆしく存在している。 不良資産が多すぎる問題の解決はいまや非常に差し迫った問題となっている。中国人民銀行銀行第一監督管理司の唐双寧司長は次のように見る。不良貸付の割合が高すぎると、銀行の経済を支持する能力が影響を受ける。不良貸付の大量発生は、社会道徳リスクを誘発する。不良貸付の処理は、財政リスクを増大し、納税者の利益を損なう。基礎貨幣に頼って解決するのは、インフレを誘発しやすい。同時に、深刻な金融危機がいったん発生すると、地域的ひいてはグローバルな金融危機を誘発する恐れもある。 広東商学院金融学部の林文?教授はこう考える。この問題を解決するには、五つの措置を取らなければならない。第一は国有商業銀行が真に貨幣を経営する企業に変わり、自主的経営を実行し、政策的貸付業務を引き受けず、新規増加する貸付の質を高める。第二は信用秩序を整頓し、法に依って期限切れの貸付金を回収する。第三は国際通用の原則を参照し、債務再編などさまざまなやり方で不良資産を処理する。第四は貸し倒れ準備金の引き出し割合を高め、すかさず貸し倒れを相殺する。第五は国が一定の助成措置をとって、国有商業銀行が逐次苦境から抜け出すのを助ける。 政府が公表した不良貸付解決のタイムテーブルは、商業銀行に対する徹底的改革と国の援助を通じて、長年にわたって形成されてきた潜在的な欠損を遅くとも5年内に解決するというものである。新規増加する貸付の質を高め、法に依って期限切れの資産を回収するとともに貸し倒れを逐次審査して相殺し、不良貸付の割合を年平均3ポイント前後減らし、2005年末に15%前後に達するように確保する。さらに長期の努力を経て、できるだけ早く先進国のレベルに近づくようにする。 戴相竜行長は、中国の国力が絶えず向上し、国の総合的債務率が今なお国際警戒線以内にあり、商業銀行の歴史的財務負担が絶えず軽減し、2006年に外国銀行に内国民待遇を与える時、中国の商業銀行は外国の大手銀行の中国駐在営業機構との協力、競争を通じて発展することができると信じていると表明した。 抵当資産を競売
競売は広東で大規模に行われているだけではない。6月3日から9日にかけて、中国建設銀行の競売週間は広東のほか、上海、湖北、広西チワン族自治区、重慶、黒竜江、山西などの24の分行、60余りの都市でも同時に行われ、実際に競売に参加した資産の帳面面金額は28億元に達し、競売項目は1403件で、そのうち406件が成約し、帳面面金額は5億2500万元で、3億500万元の現金が回収され、現金回収率は58%に達した。 業界筋の予測では、今後銀行の抵当資産競売が頻繁に行われるだろう。いかにして競売の成功率を高めるかも銀行や仲介機関が考えなければならない課題の一つになろう。 調査によると、今回各銀行が広東で行った競売の成約率は十数パーセントから二十数パーセントの間で、最低は数パーセントしかなく、最高も50%に達しなかった。 資産の質を改善
しかし、中国の各商業銀行が最近公表した上半期の経営状況は人々に少なからず自信を持たせている。これらの情報は、銀行業全体の利潤獲得能力が着実に向上し、各銀行が大量の歴史的財務負担を軽減し、資産の質が引き続き改善されたことを顕示している。 すでに公表された中間業績報告によると、各商業銀行の営業利潤がいずれも二桁の成長を見せている。四大国有商業銀行の中で、中国銀行の帳面面利潤は70億2500万元、営業利潤は213億4600万元に達し、各銀行の中で首位に立っている。中国工商銀行の帳面面利潤は37億7500万元を実現し、前年同期より20%増えた。中国建設銀行は61億5000万元の利潤を獲得し、36%以上増えた。中国農業銀行の帳面面利潤は35億2600万元に達し、19億6500万元増えた。 利潤の増加は各銀行の歴史的財務負担を軽減する能力を強めた。四大商業銀行が捻出した貸し倒れ準備金と処理した歴史的財務損失は100億元以上で、不良資産は着実に減少している。中国人民銀行の統計によると、上半期の金融機構の不良貸付残高は前年末より393億元減少し、不良貸付率は2.26ポイント下がった。 調べによると、ここ二、三年来、商業銀行の新規増加した貸付の不良率はいずれも1%以下に抑えられ、国際同業界の先進的レベルに達している。 業界筋の分析では、銀行の利潤獲得能力の向上は金融業の総合的改革及びその進展と密接な関係がある。中央銀行は中国のWTO加盟で合意した金融開放のタイムテーブルに基づいて、各商業銀行の情報公開、公司構造の合理化、資産の質などの改革に具体的な要求を提出し、また改革のタイムテーブルを制定した。現在、各銀行は着実に諸改革を進めており、不良資産の処理、利潤獲得能力の向上などの面ではタイムテーブルよりも先行している。 そのほか、社会の信用意識の向上も銀行の改革と利潤増加を促進した。各地の政府部門が行っている金融安全地域の建設は銀行の貸付資金の安全に好ましい環境を提供した。 減少した不良資産をどう処理するか 中国人民銀行は7月31日に次のことを公表した。 華融、長城、東方、信達の四金融資産管理公司が発足して二年来、積極的にいろいろの方法と手段を運用して不良資産を処理し、明らかな効果をあげた。6月30日現在、この四公司は段階的に2103億5600万元の不良資産を処理し、累計454億4700万元の現金を回収し、処理済みの不良資産の21.6%を占めた。そのうち、華融資産管理公司が段階的に処理した不良資産は388億5000万元、回収した現金は124億2600万元で、処理済みの不良資産の31.98%を占めた。長城資産管理公司が段階的に処理した不良資産は760億4400万元、回収した現金は65億6900万元で、処理済みの不良資産の8.64%を占めた。東方資産管理公司が段階的に処理した不良資産は319億6200万元、回収した現金は74億1200万元で、処理済みの不良資産の23.19%を占めた。信達資産管理公司が段階的に処理した不良資産は635億元、回収した現金は190億4000万元で、処理済みの不良資産の29.98%を占めた。
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