国際競争力をもつ大型企業クループの設立に努める
中国南方工業グループ公司の王徳臣総経理にインタビュー 

本誌記者  楊秋菊

 問 中国南方工業グループ公司は中国の有名な国防工業企業の一つであり、各種生産の任務を円満に達成すると同時に、自動車、オートバイを主とする支柱となる民需産業を形成している。中国国防科学技術工業の「軍需産業の民需産業への転換」の成功を収めたモデルケースとして、貴グループ公司はどのようにして生産調整と企業構造の戦略的再編を積極的に推し進めているのかについて話していただきたい。

 答 中国南方工業グループ公司が199971日に設立されて以来、改革と調整を通じて、経済が持続的、急速に成長している。

 生産能力の調整活動がすでに全面的に展開され、調整、改造を通じて生産レベルと生産能率を高め、産業陣の能力を増強し、企業の様相を一新させた。

 中国政府は軍需企業が軍需品と民需品の生産ラインを分け、従業員を分けることを奨励、要求し、完全に市場メカニズムに従って民需品を運営し、企業の財務管理を改革し、国際会計制度と完全にリンクすることを要求している。そのため、われわれは国防科学技術工業のハイテク分野の総合的優位と比較的優位を利用し、一部の人員、物資、資金を集め、いくつかの重点的分野を突破し、一部の新たな「軍需産業の民需産業への転換」産業クループを開発、設立した。現在ミニカー、オートバイおよびその部品、光電子などの支柱となる民需品産業が一応形成されている。昨年、われわれの年間自動車販売量は前年同期比16.3%増の232000台に達し、国内業界の第4位を占めた。「長安公司」の生産額と売上高がともに100億元を突破したほか、オートバイの販売量が1471000台に達し、そのうち、「嘉陵」印オートバイの販売量は前年同期比7.9%増の803000台に達し、再び国内業界の第1位を占めた。ミニカーとオートバイの発展は部品の発展を促し、年間の部品売上高は前年同期比4.2%増の388000万元に達した。

 昨年、わがグループは光電子産業の構造調整案を初歩的に明らかにし、一部の重点的光電子製品項目が突破的な進展をとげ、新たな経済成長要素育成の基礎を築き、今後はさらに非球面光学レンズ、光学冷加工モデルラインと光電子新素材などプロジェクトの建設にりっぱに力を入れる。

 ここ数年、われわれは企業の構造調整と改革の度合いを重点的に強め、一部企業の再編を完成し、9企業の債権を株式に転換させ、一部の弱い企業の破産を積極的に推進し、同時に債権の株式への転換と生産能力を結びつけて活動を調整し、企業の公司化への体制転換と規範化管理活動を積極的に推し進めた。これらの措置は資本構成を最適化させ、資産の使用能率を高め、企業の管理レベルを高め、貧困脱却のテンポを速める上で積極的な役割を果たした。

  規模が大きく、負担が重いなど歴史的原因で、兵器業界は中国国防科学技術工業の中で最も大きな困難を抱える業界となり、困難脱却の任務がとても重い。われわれの知るところでは、2年余り以来、貴グループ傘下の企業の欠損が大幅に減っているが、その「奇跡」はどう起こったと思うか。

  ほかでもなく生産の調整と企業構造の戦略的再編の積極的推進を通じ、中央の関係政策の支持の下で「チャンスをつかんで改革・調整を行い、優れた企業を助成し、劣る企業を淘汰し、貧困から脱却して発展を求める」という方針を真剣に貫徹したため、わがグループ所属の企業の欠損は大幅に減り、2年来の欠損減少額は108000万元に達し、昨年の売上高は200億元を突破して、前年同期より11%増え、工業増加額と納税額はそれぞれ前年より23.9%、39%増え、今年の兵器系統全体の欠損一掃実現のために堅実な基礎を築いた。

 しかし、市場経済の挑戦を前にして、われわれの企業はますます観念、体制、メカニズム、構造、資金、市場など多くの面の制約を受けている。経済グローバル化の挑戦と市場の激しい競争および欠損補助金の逐次取り消しという現実を前にして、長期にわたって国による補助金に頼り、自力ではもはや再生できない企業はこれ以上維持していけなくなったため、破産は回避できない問題となった。

 グループ公司が制定した「経済スケールで企業の雇用規模を確定する」方針に基づいて、われわれは企業の簡素化と剰余従業員の再配置にいちだんと力を入れ、昨年一年で、剰余従業員27200人を一時帰休させた。上級の関係部門の支持の下で、われわれは八方手を尽くして資金を調達し、一時帰休者の基本的生活保障活動をりっぱに行い、企業の安定を守った。それと同時に一時帰休者の再就職を積極的に促進し、年間に自分で職を探した人数は13800人に達した。

 今後、われわれは調整、再編、合併、破産の考えの筋道に従ってさらに整理をする。

問、中国のWTO加盟は貴グループ公司の産業構造調整と技術進歩のいっそうの推進に役立つと思うが、それが貴グループ公司にどのような影響を及ぼすと思うか。

答 WTO加盟後、中国はより大きな範囲とより深い程度で経済のグローバル化に参与し、対外開放も政策から制度に変わっていく。これはなんら疑問のないことである。

 当面、世界で新しいラウンドの産業構造の調整と再編が行われており、一部の加工製造業も中国へ移され、中国が「世界の製造センター」となりつつあると言うことさえできる。これはわれわれが自らの労働力、市場、産業基盤の優位を多国籍企業の技術、資金、管理の優位と結び付けて、在来産業を改造し、グレードアップさせ、新興産業を発展させ、育成することに得難いチャンスを提供した。

 言うまでもなく、WTO加盟は中国が関係法律・法規を整備し、投資環境を改善し、外国投資家の対中投資の自信を強めるのに役立ち、それによってわがグループ公司の外資利用のためによりよい環境を作り出すだろう。同様に、WTO加盟はわれわれが平等に貿易活動に参加し、輸出をたえず拡大し、グループ公司の当面の輸出の比重が5%しか占めていない状況を変え、グループ公司の国際化戦略の実施を促すことにも役立つであろう。

 もちろん、チャンスを見てとると同時に、相応の挑戦をも十分に予見すべきである。制度の面では、現行の経済体制、メカニズム、政策はWTOの関係規則とまだ非常に大きな開きがあり、一定の時間内に、各種の摩擦と衝突が生じるのは避けがたいが、最終的には必ずその基本原則と規則に合致し、国際慣例とリンクしなければならない。例えば、どんな所有制の企業も同等内国民待遇を享受し、国有企業に対する欠損補助もまもなく減らされ、次第に取り消されることになる。政府の補助に頼って生存している企業は続けて生存していくことができず、危機はすでにわれわれの前にたちはだかっている。企業間の市場競争の面では、関税障壁の逐次取り消しと市場の国際化によって、われわれの企業は確かに多国籍企業の競争に直面し、一部の産業と製品も巨大な衝撃に直面するだろう。今年初め、自動車の輸入が明らかに増え、競争の圧力が初歩的に現れている。中国政府の約束に基づいて、5年後に、輸入自動車と部品の国内市場に占めるシェアは中国のWTO加盟前の3倍となる。関税が10%に引き下げられてから、中国の自動車部品企業は3分の1が淘汰される可能性がある。

 挑戦とチャンスが並存しているというべきである。挑戦は回避できないものであるが、チャンスはわれわれが積極的に発見し、とらえ、うまく利用する必要がある。そのため、われわれは「世界的な眼光、戦略的な思考」の要求に基づいて、国内市場に目を向けると同時に、企業を国際競争という大環境において問題を考慮すべきであって、カエルのように井戸の中から天を見てはならず、井戸の底から井戸の外に跳び出し、目を世界に向けなければならない。発展をテーマとし、構造調整をメーンラインとし、国際レベルにねらいを定め、国際市場の競争に適応する必要がある。

 われわれの多くの企業はいくつかの相対的な優位をもつようになったが、この優位はまだ相対的に、分散し、システムをよく整合していない状態にあり、市場競争の中で単独で作戦するものが多く、集団が一つの総体として作戦するものが少なく、時々には内部で相互競争することもあり、限られた資源が十分に利用されず、その上投入が不足で、企業を大きくし、強くするのは難しい。こうしていけば、WTO加盟後の激しい競争の中で個々に打ち破られ、市場から締め出されるだろう。そのため、われわれは「総体としての優位を発揮して大きな事をする」という観念をしっかり樹立し、総体的計画を通じて、系統的に実施し、再編と整合を強化し、資源配置を最適化させて、個々に作戦することを分業して協力することに変え、分散した力を総体の優位に変え、資源を効果的に利用しなければならない。われわれは比較的優位を競争の優位に変え、世界の産業構造の調整と再編および国際経済分業の調整のチャンスをつかんで、有利な区域的優位を奪い取り、秩序立った連合力の優位でレベルの低い弱勢に取って代わり、総体としての優位を発揮し、競争の中で競争力を強め、自分を発展させ、強大にすべきである。

  貴グループ公司はいくつかの世界的に有名な企業と合資、提携を行っている聞いているが、これについてどう考えているのか。

  自動車の面では、われわれは関係発展計画を細分化し、「長安」自動車を先頭にして、自動車部品の発展を促し、マイクロバス、ミニトラックの競争優位を拡大すると同時に、「長安フォード」「長安スズキ」という二社の合弁企業をりっぱに経営し、グループ公司の経済型乗用車が国内の自動車業界の中でわりに重要な地位を占めるようにした。今年、グループ公司は自動車を前年同期比10%増の255000台を販売することを計画している。

 オートバイの面では、われわれは「グループの総体的な優位を発揮して大きな事をする」という要請に基づいて資源の整合に力を入れ、開発センターの建設を急ぎ、引き続き外国との合資・提携活動をりっぱに行い、技術の導入、消化、吸収に力を入れ、自主的開発能力を高める。また内外市場の変化に照らして、グレードの異なる高質のよい新製品を適時に開発して市場を占領し、同時にコスト管理を強化し、原材料、組み合せ、生産流通などカギとなる環のコスト抑制に力を入れ、製品の市場競争力を高める。今年の販売量は150万台の達成を確保しなければならない。

 車両の部品の面では、われわれは国際分業調整のチャンスをつかみ、合資・合作と技術導入などを通じて構造調整と技術革新に力を入れ、産業のグレードアップと製品のモデル・チェンジを速めなければならない。

 「軍需品の民需品への転換」と軍需産業技術の平和への利用は当面世界の多くの国が直面している問題であり、各国が経済・技術協力を行う重要な分野でもある。今後、中国政府は引き続き「軍需品を民需品に転換する」企業が積極的に条件を整えて外資を誘致し、技術と知力を導入し、中外合資企業をよりよく設立することを奨励し、同時に、外国で企業を設立し、「軍需品の民需品への転換」の技術と製品の輸出の拡大に努めることも奨励する。その実、企業の発展を促すためには、国際協力と交流をいちだんと強化する必要がある。われわれは外資利用のルートをいちだんと広げ、さらに多くの合資企業を設立するように努め、「国外進出」という戦略を実施し、輸出品構成を積極的に調整し、オートバイ、自動車、光電子など製品の輸出を拡大し、東南アジア、アフリカ、南アメリカ、中東などの市場を固め、引き続き開拓するほか、ロシア、東欧などの市場の開発を重点的に強化し、今年に、民需品輸出が2億元以上に増加するように努め、同時に国際協力と交流を強化し、国外の知力と先進的な技術と管理の導入にいっそう力を入れる。

  貴グループは「長安」自動車、「嘉陵」オートバイ、「氷山」光学ガラスなどの有名なブランドを擁しており、内外の市場で一定のシェアを占めているが、未来に目を向けて、貴グループはどんな発展戦略と具体的目標があるのか。

  簡単に言えば、われわれは「軍需品で位置付けし、民需品で事業を興す」道を確固として歩み、グループの総体的優位をいっそう発揮し、グループ公司を国際競争力をもつ大型企業グループにつくり上げるために奮闘努力したいと思う。

 具体的に言えば、今年、われわれの重要な経営目標は経済成長率を10%以上に保ち、工業増加額を47億元以上達成させることである。

  国外の自動車産業の中で自動車サービス業の獲得する利潤は60%以上を占めているが、国内ではわりに少ない。これについてどう思うか。

  当面の中国の自動車産業の製品構成からみれば、企業は主として製造業から利潤を獲得しているが、これは全面的ではない。実際には、自動車サービス業もきわめて大きな発展の空間がある。これはまさにわれわれが差し迫って補足、調整する必要のある重要な内容であり、これは広範な販売業者が密接に協力し、共同で自動車サービス業でなにかをやり、進歩をとげ、発展する必要がある。