絶えず高峰に登る「lnlb

――長豊グループの李建新理事長を訪ねて

楊秋菊 梁 兵

 中国人でも、「永州市」という地名を知っている人はそう多くはない。その代わり、「lnlb」というランドクルーザーを知っている人はたくさんいる。

 「lnlb」ランドクルーザーは湖南省永州市にある長豊グループが生産している。同グループはすでに50年余りの歴史があり、無名の小さな兵器修理工場から中国の軍隊と全国の中高級ライト型ランドクルーザー業種の重点的企業に発展した。 永州市に行って長豊グループの李建新理事長にインタビューする前から、「lnlb」ランドクルーザーが19987月、古くて神秘的な世界最高のチョモランマに登ったということを知っている。自動車が卓越した性能に頼って、大自然の最も厳しい試練に耐え抜き、チョモランマ峰の6000メートルのところまで登る世界記録をつくった。

 「わたしはlnlbのようなあくまで目標をめざす執着さと目標に向かって進む快速の行動を尊崇している。これはわが社が絶えず開拓・進取する精神でもある」と李建新理事長は語った。

 「長豊」の評判がよくなったのは、彼らが勇気をもって市場に立脚し、メカニズムを変え、体制を確立し、世界の先進技術を導入したからだけでなく、李建新氏のような賢明な指導者、本職に精通した科学技術の専門家と管理者がいるからでもある。

 李建新氏はすこぶる伝奇的な色彩をもっている。18年前、工場の数千人の従業員が「自分たちのリーダーは自分たちで選ぶ」と強く訴えた時、「修士」の学位と「高級技師」の職名を持ち、当時技術課の副課長を務める若冠31歳の李建新氏が工場長に推された。

 「民選の工場長として、わたしは数千人の期待にそむくようなことはできない」と李建新氏は言いながら、自分が担っている責任の重さをひしひし感じている。

 就任したばかりの時、李建新氏は幅広い世論調査とマーケット・リサーチングを行った。続いて、思い切って一連の改革案を打ち出し、企業で幹部招聘制、雇用契約制、給料変動制を実施して、「大釜の飯を食べる」という在来の「悪平等」を徹底的に廃棄した。それと同時に、製品開発の面で、方向を積極的に調整し、詳しく綿密な市場調査と分析を何度も行って、最後に「科学技術による工場振興」という戦略的思想を確立し、従業員を牽いて技術イノベーションを原動力とする発展の道を歩み始めた。

 1984年から現在までの間に、長豊で働く人たちは模索した末、現代企業制度の確立を技術導入と結びつけ、資本最適化と結びつけ、健全な科学的管理と結びつける専業化、集約化、スケール生産という企業グループの発展の道を探し当てた。長豊グループは、閉鎖的な生産型から開放的な経営型への転換、単一の軍需品型から軍需品と民用品の結合型への転換、小規模の粗放型から大規模の集約型への転換という3つの根本的転換を実現した。

 現代企業制度の要求に基づいて、長豊グループは公司制の改造を通して、投資主体の多元化を実現し、単一の国有独資企業を国有資産が株式の半数以上を保有する5つの有限責任公司あるいは株式有限公司に改造し、取締役会が集団的に政策決定を行い、総経理が管理、指揮し、監事会が法に依って監督し、労組と従業員代表大会が民主的に管理するという新しい国有企業の指導体制と法人による管理構造を構築した。

 1984年に入ってから、長豊グループは連続して利潤を獲得し、生産額と利益・税金の年平均伸び率がいずれも40%を上回り、企業の資産が100倍以上に増えて、典型的な急速発展の企業となり、その製造した「lnlb」は国内のライト型ランドクルーザー市場で33%のシェアを占めている。

世界の先進技術を導入

 199410月、李建新氏は湖南省企業誘致資金導入代表団に加わって香港へ行き、同地で三菱を含む外国の一部著名な企業の責任者と知り合い、彼らを「長豊」を視察し、協力して新製品を開発するように招いた。同年11月、三菱自動車の一行6人は「長豊」の生産職場、分工場、生活施設などに対し全面的に視察し、また投資の可能性について分析・研究し、最後に次のような結論を引き出した。中国の大型の軍需企業として、「長豊」は一流の品質保証体系を擁し、その主導的な製品である「lnlb」自動車はすでに中国国家機械工業部と公安部の自動車製品目録に入れられ、市場の見通しは明るいものである。そして長豊グループの人の資質が高く、企業管理の基礎がよく、発展の潜在力があり、「三菱」と共通の戦略的目標と経営的理念があり、そのため、先進的な製品の設計、製造、管理技術を輸出し、戦略的パートナーシップを締結してもよい。

 1995年、「長豊」は三菱と「技術資料設備供給契約」、「技術移転契約基本条項」など8つの取り決めと「技術移転と生産許可証契約」を結び、三菱からPAJEROライト型ランドクルーザーの特許と技術を導入し、またカギとなる部品を一部分提供してもらって、企業が以前に製造した自動車と生産ラインに対し大規模な技術改造を行った。

 既存の資産を十分に利用して買収し、再編し、投資主体の多元化を実現するため、1996年、「長豊」はグループの核心企業である自動車製造分工場に対し株式制改造を行い、「湖南長豊自動車製造株式有限公司」を創設した。三菱は「長豊」の総資本の20%を保有して、正式に戦略的協力パートナーとなった。そのため、双方は生産技術、経営管理、資産運営などの面で全面的な協力を始めた。

 その年から、双方の確定した協力開発構想に基づいて、長豊グループは三菱の譲渡した先進技術を利用して「lnlb」ライト型ランドクルーザーに対し技術改造を行い、90年代の世界先進レベルに達するCJY6421Aライト型ランドクルーザー「lnlb(三菱)」を開発・生産し、正式に国の自動車製品目録に入れられ、全国での販売権を獲得した。

lnlb(三菱)」自動車の技術改造プロジェクトは2期に分けて完成したものである。第1期の投資総額は34000万元で、完工後は年間3万台の生産能力を形成し、年間生産額60億元、利潤・税金79000万元を新たに増加した。第2期の投資総額は77000万元で、完工後の年間生産能力が8万台に達し、年間生産総額が120億元に達し、利潤・税金が12億元に達する予定である。

 三菱自動車は「lnlb(三菱)」の技術改造の全過程に全面的に参加し、同プロジェクトに最新の生産技術を提供し、それによって「長豊」と「三菱」という2つの企業が2つのところで同時に開発を行うようにして、技術改造の進度をこの上なく加速した。

 製品の質をさらに向上させ、大規模な集約型生産経営を促すため、19974月、「長豊」は「三菱」と人員派遣取り決めを結んだ。同年6月、「三菱」はCJY6421A車がプロセス、技術、質の面で「三菱」のPAJEROの要求に達するのを確保するため、常務副社長を含む4人の管理者を「長豊」に派遣した。

 長豊は技術を改良しながら生産し、資金を投入しながら生産する旋回発展戦略をとっている。1997年、公司の技術改造プロジェクトとしての塗装職場、組立溶接職場が本格的に着工した。年末に総組立職場の技術改造が基本的に完成し、シャーシー車軸体組立、車体内装、車体積み置き式貯蔵輸送の3つの生産ラインを完成した。

 19987月、押し抜き工場の建物が竣工して正式に操業に入り、車体3万台の年産規模を形成した。それと同時に、「lnlb(三菱)」自動車の関係部品国産化はわりに大きな進展をとげ、前後して国内のメーカーとエンジン、シャーシーフレーム、前後車軸体、ソファー座席などの付属部品の製造取り決めを結んだ。

 19997月中旬、公司はまた1500万元を投じて長沙でlnlb自動車科学研究センターを創立し、企業に新製品を独自に開発する能力を備えさせた。同年の年末に、「lnlb(三菱)」自動車の技術改造プロジェクトが順調に完成し、年間に3万台の完成車を生産する生産能力を形成し、同グループの自動車生産の規模、レベル、質をいちだんと拡大し、向上させるために基礎を築いた。

 2000年は、公司が自動車の技術改造プロジェクトを完成して操業に入ってから急速に運行する最初の1年であり、その生産額と売上高はともに20億元を上回り、利潤と税金が2億元に達し、主な経済指標は全国の中高級ライト型ランドクルーザー生産企業の第1位を占めた。長豊は生産の規模を拡大し、技術のグレードと管理のレベルを高め、効果と利益を増やすことを目標とし、製品構成の調整、経済的効果と利益の向上を中心として、技術にいっそう力を入れた。定刻生産システムの推進を通して、毎日の生産に力を入れ、毎月の生産を安定させ、毎年の生産を保証し、年間に自動車を1388台生産し、CJY6470E塗料電気吹付環境保護車、CFA20306シリンダー高級豪華型ランドクルーザーおよびCFA6470G経済型車を成功裏に開発し、製品構成がシリーズ化した。同年10月に長豊自動車公司の品質保証体系は中国自動車製品品質認証委員会品質システム認証センターのISO9002品質システムの国際認証に順調にパスし、国際市場に進出する通行証を獲得した。

 「lnlb」の新車種の中で、人々は長豊グループが初めて環境保全の概念を提出したことに留意している。CJY6470E環境保護型ランドクルーザーの開発に着手する中で、マルチガソリン燃料噴出エンジン、三次元触媒装置を装置し、ガソリンがいっそう十分に燃焼し、ガソリンをいっそう節約し、排出基準は世界で通用している欧州II号基準に達した。

 20014月、朱鎔基国務院総理は湖南省を視察した時、興味津々に長豊グループの生産したCYY6470 ECMA2030A2つの新型環境保護ランドクルーザーを見てから、「長豊」が世界の自動車の発展潮流にしっかりついていき、困難にめげずに創業し、環境保護型自動車を開発したことを高く評価した。

 現在までに、26000余台の「lnlb」環境保護型ランドクルーザーが市場に出荷された。

 2001年、基本車型を踏まえて、「長豊」はまたV63000を開発し、2つの安全エアバック、滑り止め差速器、スーパー選択の四輪駆動、電動天窓、電子制御ABSなどを装備し、そのハイテク含有量は多くの人と関係方面の興味を引いた。

 国家機械工業局自動車発展研究所が出版したレポート「中国自動車工業の綜合分析」によると、2000年の諸指標に基づいて全国のライト型ランドクルーザーを評定した結果、長豊グループの「lnlb」自動車が第1位にランクされた。長年来、「lnlb」製品は国の業種検査で一級品に評定された。

2005年のトータルな目標

 李建新理事長によると、2005年までに、長豊グループは技術、管理、メカニズムという「3つのイノベーション」の前提の下で、国内の中高級ライト型ランドクルーザー市場で最大のシェアを獲得し、工業総生産額が200億元、売上高が210億元、輸出による外貨獲得額が1億ドルという目標を実現するように努めるという。

 WTO加盟後に中国市場が国際化し、国内の競争相手が増えるという新しい背景の下で、中国のライト型ランドクルーザー産業がどのように国際資源の環境の中に融け込んで、自身の発展をはかるか、「長豊」の技術レベル、管理レベル、イノベーション能力がこの環境の中でどのように高めるか、「長豊」と「lnlb」が勝利を収めるかどうか。これらは李建新氏がいつも考える問題である。

 事実上、中国のWTO加盟の前後に、「長豊」は「長豊」自体が知的所有権を擁する第2世代の作戦指揮車、「lnlbMINI、「lnlbIO型を重点的に開発し、それによってライト型ランドクルーザーのシリーズ製品を形成するため、国内外のメーカーといちだんと技術協力を行い始めた。

 長豊グループ指導者の提供した資料を見ると、2005年に「長豊」が工業を主とし、工業、科学研究、貿易、金融・投資が一体化した超大型企業グループに築き上げ、全国最大手工業企業100社と自動車企業ベストテンに仲間入りし、国内のランドクルーザーの有名ブランドをいちだんとつくり上げ、ライト型ランドクルーザーのシリーズ製品およびランドクルーザーと関係ある主要な付属部品の生産を重点的に含む中国最大のライト型ランドクルーザー生産基地に築き上げることがわかる。

 現在、「長豊」は「イノベーションと発展は企業の魂である」という理念を受け継ぎ、企業メカニズムイノベーション、技術イノベーション、製品イノベーションに立脚し、既定の奮闘目標に向かって前進している。李建新氏によると、「長豊」が新製品の開発と研究に投下する費用は売上高の2%に達するという。

 2005年以前に、長豊グループは技術改造と新規建設プロジェクトを通して、2つの自動車生産基地を形成するほか、自動車の座席、自動車の動力方向転換器、自動車線束および電子製品など5つの部品生産基地と自動車製品技術研究開発、コンピューター情報管理、自動車電子技術製品開発、証券先物金融管理、アフターサービスなど6つのセンターを設立するという。

 2005年には、長豊グループは企業改革、資産再編、構造調整、株式上場、中外合弁・協力などの方式を通して、既存の資産を活性化させ、グループに生産額100億元以上と生産額10億元以上の全額出資持株子会社をそれぞれ2社と23社、生産額1億元以上の株式会社を5ないし8社設立して、グループの規模を急速に拡大すると李建新氏は指摘した。