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上海協力組織6カ国外相非定例会議が何を物語るか
編集者の言葉 最近、上海協力組織6カ国の外相は北京で非定例会議を開いた。この時にこの会議を開いたのはなぜか。会議はどんな成果をあげたか。それが当面の国際情勢に対しどんな役割を果たすか。ここにこれに対する3人の専門家の各自の見解を掲載する。
大きな発展の潜在力をもつ上海協力組織 中国国際問題研究所研究員 夏善義
外相たちは上海協力組織の創立と「9.11」事件後のその役割を高く評価した。早くも「9.11」事件の発生前に、6カ国は長期にわたってアフガニスタンに起源するテロリズムと麻薬の直接の脅威を受けており、これらの脅威の危害性に注意するよう何回も国際社会に注意を喚起した。まさにそのために、6カ国は2001年6月15日に上海協力組織を創立し、「3つの勢力」に対する打撃を同組織の協力の重点とすることを決めた。アフガニスタン事態の発展は上海協力組織の創立が非常にタイムリーな、まったく正しく、非常に遠見のある決定であることを強く立証した。上海協力組織の創立後まもなく「9.11」事件が発生した。その時、同組織の「憲章」は起草中で、ビシケクセンター設置の任務がまだ決定されておらず、「反テロ条約」がまだ各国議会の批准を得ておらず、同組織の組織機構がまだ確立されていなかった。そこで、6カ国の政府首脳は速やかに専門の声明を発表して、テロ襲撃事件を激しく非難した。同組織は真先に「9.11」事件に反応を示した国際組織の一つである。6カ国は国際反テロ同盟に積極的に参加し、タリバーン政権つぶしに大きな貢献をした。 1、隣国および所在地区以外の国・組織と密接に協力して、所在地区の安全と安定を保護する。それにはアフガン臨時政府および未来のアフガン権力機構の密接な協力も含まれている。 2、アフガニスタン、国際社会と共に努力して、アフガニスタンが永遠に「3つの勢力」の策源地とならないように確保して、アフガニスタンが平和、中立、人権尊重、すべての隣国と友好関係を保つ国となるように確保する。 3、6カ国が所在地区の「3つの勢力」に打撃を加える面で協力を深め、ビシケク地区の反テロ機構の設立準備を速める。「東トルキスタン」、チェチェン、「ウズベクイスラム運動」などのテロ組織とグループに打撃を加える面で協力をいちだんと強化する。 4、上海協力組織の枠組み内における6カ国の信用措置、政治協力、経済貿易と投資協力および文化、人文関係のうち、経済貿易と投資協力を強化し、地域経済の発展を促すことは、地区の安全と安定を守る上で、非常に重要な意義がある。 5、上海協力組織の基本建設を強化する。「憲章」とその他一連の法律文書の制定作業を加速し、同組織の組織機構づくりを急ピッチで進め、2002年6月のサンクトペテルブルク首脳会議のために準備を十分に整える。 会議は時間こそ短かったが、効率はとても高いものであった。会議は当面の国際と地域の情勢に対する6カ国の認識を統一し、6カ国の直面する任務およびこれらの任務を完成するために従うべき原則ととるべき方法を打ち出した。会議の成功は上海協力組織の役割と影響の発展に役立ち、地区の平和、安全と安定の維持に役立つものである。上海協力組織は生気に満ちた開放的な組織であり、6カ国の共同の努力の下で、明るい発展の見通しをもっている。
アフガンの平和と再建に関心を持つ6カ国 中国社会科学院東欧中央アジア研究所中央アジア研究室主任、研究員 趙常慶
まさに「共同声明」が述べているように、「アフガニスタンの近隣として、早くも『9.11』事件の発生前から、われわれは長期にわたって同国のテロリズムと麻薬の直接脅威を受けていた」。最も明らかな例証は、1999年8月と2000年8月に「ウズベキスタンイスラム運動」分子が2回もアフガニスタンからキルギスとウズベキスタンに潜入してテロ活動を行ったことである。そのほか、ビンラディンの訓練地もチェチェンと「東トルキスタン」のためにテロリストを訓練して、ロシアと中国を分裂させる活動に従事させている。アフガニスタンからの極端分子はカザフスタンの安全に対しても脅威を構成している。麻薬問題も周知のように、大量の麻薬がアフガニスタンから中央アジア地区に入り、そこから遠く離れたロシアとヨーロッパに売られている。中央アジア諸国とロシアの人民、特に青少年はその害を大きく受けている。中央アジア地区の安全と安定を脅かす罪悪な勢力を根こそぎにし、アフガニスタンの平和、安定、正常な秩序を回復するのは、「上海協力組織」加盟国の長年の願望であり、このためにたゆまぬ努力を払っている。 歴史が立証しているように、アフガニスタンの事態の発展は完全に本国の願望によって決定づけられているのではなく、世界にはいつもアフガニスタン人民に自分の意志を無理矢理に押しつけ、あるいは一派を抱き込んで他の一派に打撃を加えようとする人がいる。以前このようにした人がおり、今でもこのようにしようとする人がいる。そのため、アフガニスタン人民の選択を尊重し、アフガニスタンの主権、領土保全、国家の統一を尊重することは、各国の共通の認識となるべきであるばかりなく、各国がアフガニスタンの実物に介入する準則となるべきでもある。人々は往年ソ連がアフガニスタンに侵入した失敗から教訓を汲み取るべきである。「上海協力組織」加盟国は「共同声明」の中で「ある種の管理方式をアフガニスタンに押しつけるか、あるいは同国をある種の影響の下に置くいかなる企みも、アフガニスタンとその周辺地区に新たな危機をもたらす可能性がある」と述べているが、これは「上海協力組織」加盟国が自ら決してこのようにしない立場を表明していると見なすことができるだけでなく、同時に歴史を鏡とし、時代の流れに合わない愚かなことをあまりしないよう各国に注意を促している。 「上海協力組織」加盟国は一貫して、アフガニスタン問題は国連の枠組み内で解決すべきだと主張している。今回の外相会議はこの立場を改めて表明したが、アフガニスタンの経済再建問題について単独でアフガニスタンと協力することに反対しない。「上海協力組織」加盟国はこのために積極的に準備を進めている。 1月8日、江沢民中国国家主席はモンゴル人民共和国首相と会見した際、「われわれは、アフガニスタンに臨時政府が樹立されたことを目にして、喜びを覚えている。今後の道がやはり曲がりくねっているにもかかわらず、アフガニスタン臨時政府がアフガニスタン各民族の人々の利益を十分に代表し、アフガニスタンが本当に平和と再建を実現できるよう確保することを心から期待している」と述べた。江主席の話は「上海協力組織」加盟国の共通の心の声を表している。
反テロ闘争は長期の任務 国務院発展研究センターヨーロッパアジア社会発展研究所研究員 苗華寿 地域情勢の発展と各種国際勢力の相継ぐ浸透につれて、それに中央アジア地区の特殊な民族、文化など地縁的条件を加えて、地区安全はずっと中央アジア各国政府が直面する重要な問題の一つであり、特にソ連の解体後、長期にわたって潜伏していた民族、宗教などの問題が新たに独立したロシアと中央アジア各国の政治と経済生活の中で次第に現れ始め、チェチェンとアフガニスタンの長年の戦乱の影響の下でおよび西アジアのイスラム原理主義の浸透、麻薬と兵器密輸の氾濫の下で、中央アジア地区内の国際テロリズム、民族分裂主義、宗教極端主義勢力の活動も徐々にはびこって、独立したばかりの中央アジア各国ないし付近地区全体の政治的安定を深刻な共通の脅威に直面させている。 地区のこのような厳しい安全の情勢に対し、「上海5カ国」の指導者は協議した上、防止措置と闘争策略を制定し、「共同行動をとって」民族分裂主義、宗教極端主義、国際テロリズムという3つの邪悪な勢力に打撃を加えることを提出した。5カ国の指導者の共同の努力と各国と関係職能部門の高効率の呼応の下で、「上海5カ国」の枠組み内の安全協力は徐々に具体化、メカニズム化に向かい、引き続き多ルート、多段階に向かって発展していき、いまではすでに地区の安全と安定を守る重要な保障となっている。 「9.11」事件の発生に伴い、国際反テロ闘争は新たな時期に入った。この新たな発展情勢に適応するため、上海協力組織は北京で加盟国外相非定例会議を開いた。会議の後に発表された共同声明は、アフガニスタンの最近の事態の発展は、上海協力組織が「地区の安全と安定を守り、テロリズム、分裂主義、極端主義の『3つの勢力』に打撃を加えることを各加盟国の協力の重点に確定するのは非常に正しく遠見を持つものである」ことを力強く証明していると強調し、また「9.11」事件後、上海協力組織加盟国の政府首脳はみな速やかに専門の声明を発表して、テロ襲撃事件を激しく非難するとともに、「積極的に国際反テロ同盟に参加し、措置を取っていちだんと自組織のテロ反対活動を強化する」と強く指摘した。アフガニスタンの近隣として、上海協力組織は早くも「9.11」事件が発生する前から、何回も「この国のテロリズムと麻薬の直接の脅威の危害性」に注意するよう国際社会に注意を喚起したが、西側諸国、特にアメリカは長い間国際テロリズムに対し2重の標準をとり、およそ親米の国が人権を侵害し、民主に背き、はては公然と国際テロ活動を行っても、それも見て見ないふりをし、あるいは口先だけで痛くもかゆくもない批判を行い、ひいてはひそかに支持しているが、他方では「米国に反対し」、「米国を憎んでいる」と認めた国に対しては委細かまわずに打撃を与える。これは客観的には民族分裂主義、宗教極端主義、国際テロリズムのいっそうの蔓延を放任し、世界の平和と安定に重大な危害を及ぼしている。ほかならぬアメリカの国家安全戦略のこの致命的な弱点により、アメリカは戦略的高度から自国の直面している真の現実的な脅威に対処するのが難しく、そのため全体的な対応措置をも欠いているのである。「9.ll」事件の発生はアメリカの政策決定者たちをいつくか目醒めさせ、元の戦略を考え直し、調整し始めたが、この政策を徹底的に放棄していない。これは最近米政府がチェチェン問題についてロシア政府に行った非難からはっきり見てとることができる。そのため、今回の上海協力組織外相非定例会議は、国際テロリズムに反対する面で協力をいちだんと強化することが非常にタイムリーでかつ必要なことであると強調した。 要するに、国際テロリズム反対闘争は長期にして、複雑な過程であり、決して一回の打撃で簡単に完成できるものではない。そのため、われわれは各国が偏見を持たず、2重の標準をとらず、共に努力してテロリズムの脅威と効果ある闘争を行うべきだと主張する。
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