正常な成長に入る中国経済

 著名な経済学者の樊綱氏は、2002年は中国経済が1997年と1998年に落ち込んだ谷底から抜け出して全面的に回復した年であり、真に正常な成長を達成する転換点である、この高成長は主に非政府投資と輸出によって促されたものであると見ている。

 2002年の経済の最も突出した特徴は、まず固定資産投資の大幅増である。1月から10月までの固定資産投資は、価格要素を差し引いて24.1%増え、前年の年間の13.3%より10ポイント以上増えた。ここで注意すべきなのは、投資総額は速く増えたが、政府投資が増えず、特別国債で支払う公共インフレ建設投資が1500億元のレベルに保たれていることである。2002年の投資増加は主に非政府投資の増加の結果である。そのうち、外資の増加は重要な部分である。年間外資実際使用額は初めて500億元を突破する。1月から10月までに全国で新規認可された外資系企業は27630社、契約ベースの外資額は7499000万ドル、外資実際使用額は4472000万ドルで、それぞれ前年比34.5%、35.9%、20.1%増え、いずれも前年の年間伸び率より高いものであった。

 2002年の経済成長のいま一つの要因は貿易の増加である。こうした状況は当面の産業構造、製品輸出構成と直接関係があると樊綱氏が見ている。世界経済が不景気に見舞われている時、低い製品コストがより重要な競争要素となったが、中国のWTO加盟とも密接な関係がある。中国の輸出入総額は2002年に6000億ドルに達し、それを上回る見込みである。それは2001年に5098億ドルとなった。200210月末現在の貿易輸出入総額は50026000万ドルに達し、昨年の一年間のレベルに近いもので、昨年同期より19.7%増えた。そのうち、輸出額は20.6%増の2625億ドルで、輸入額は18.7%増の23776000万ドルであり、貿易黒字は2474000万ドルに達した。年間を通じての黒字は300億ドルを越え、前年同期より50%以上増える見込みである。WTO加盟後の1年間にわれわれは甘味をしめたと言える。WTO加盟後、中国の輸出入がショックを受けると予想した人がいたが、それはWTO加盟が中国にとって何を意味するかを全面的に理解していないからである。

 樊綱氏は次のように指摘した。WTO加盟後、最もショックを受けた業種はサービス業である。サービス業の開放後、外資は国内に進出してわれわれと競争し会い、国内サービス業の効率の向上を促進するとともに、既存のサービス企業にショックを与える。しかし、サービス業は主に国内で生産し、国内で販売する産業であり、輸出入と直接関係がない。中国のこれまでの輸出は主に製造業の製品の輸出であったが、製造業の大部分は現在中国の強い産業となっている。一部の産業はまだ国内の強い産業となっていないが、中国に来て投資、生産し、中国のGDPに算入される多国籍企業の強味をもつ産業も中国の輸出の強みをもつ産業となっている。したがって、WTO加盟後貿易のスペースが拡大されたが、これは中国の製造業の輸出に消極的ではなくて積極的な影響を及ぼし、今後、中国の貿易は引き続き増えることになろう。

 2002年の経済成長率は8%に達する見込みである。これと同時に、インフレが予期されておらず、デフレもほとんど解消されたため、今後の12年間に、中国経済は安定成長の時期に入るだろうと思う。この8%の伸び率はおそらく当面の合理的な潜在的な成長率である。遅すぎると、デフレが発生し、就職のチャンスが少なくなるが、これ以上の成長率を追求する必要がなく、またそうすべきではない。なぜなら、そのようにすれば、過熱とバブルが現れる可能があるからである。

 現在、真に問題があるのは、民間投資が大幅に増えた状況の下で、政府がいかにマクロ政策を調整するかにということである。24%という固定資産投資の伸び率は正常のレベルを上回っていると言うべきである。この勢いが2003年も引き続き保たれていくなら、政府投資を適度に減らして、非政府投資の増加が速すぎるという効果と相殺することを考慮し始めるべきであり、少なくとも政府が来年按配する投資総額を2002年を基礎としてさらに増やすべきではない。同じのレベルを保つことは、ある意味では政府投資を逐次減らすことである。マクロ政策の作用は永遠に「不足分をカバーする」ことであり、短期の調節政策として、たえず機会を見て決定すべきであり、最も理想的な状態は「ミクロ調整」を実現することである。