海外旅行者、日増しに増加

魯皮皮

 古代エジプトのピラミッドとスフィンクスを見に行くのは、北京のある広告公司で秘書を務めている30歳の荘丁丁さんが小さいごろから抱いている夢である。今年16日、エジプトも中国公民の自費観光の目的地となったことを知って、荘さんは喜んで中国国際旅行社のある支社へ行って問い合わせた。

 この日、申し込みや問い合わせに来る人で北京の各大手旅行社はごった返していた。この日だけでも、123人がツアーの手続きを済ませた。

 212日は中国人の伝統的な祝日の春節(旧正月)である。1月初めから、北京、上海、広州など各地の大手旅行社で海外旅行を申し込む人が絶えず増え、広州の一部旅行社では、2月初めに出発する東南アジア旅行の3つのコースはすでに満員になった。上海の一部旅行社は春節期間に海外旅行に行く人に航空機の座席と線路を増加することで大童である。「海外旅行」はいくつかの大都市で観光市場の「主役」となっている。

 最近、北京美蘭徳情報公司が北京市民を対象として調査を行った。そのうち、市民の国際往来については、北京市民の現下の最大の願望は海外旅行であり、海外旅行に行きたい人数は調査を受けた人の65.0%を占めていることが判明した。

 これまでの中国公民の自費海外旅行の目的地は、ニュージーランド、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ラオス、ネパール、韓国、シンガポール、日本、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ブルネイ、オーストラリア、澳門、香港および新たに増加したトルコ、ドイツ、エジプト、マルタなど21の国と地区である。

 先般公表された統計によると、2000年は少なくとも1000万の中国人が海外旅行に出かけ、消費総額は100億ドルを上回った。向う23年間に中国はアジアで海外旅行者が最も多い国となる。

 世界観光機構の予測によれば、2020年までに中国は世界の海外旅行者の最も多い国となる。

 専門家の分析では、中国はいま経済の高速成長期にあり、アジアのその他の国の通貨がぞくぞくと安くなる状況のもとで、中国の人民幣だけが依然として強気を保っているため、中国人は自費で海外旅行をすることができるのである。

 豊かになった中国人が世界へ

 エジプトは国が新たに認可した旅行目的地であるため、今年の春節期間の旅行目的地リストにまだ入っていない。しかし、荘さんはまもなく彼女の古代エジプトの夢が実現できることを知っているから、依然として興味津々である。彼女は、経済情勢がよいので、彼女が勤めている広告公司の商売はますます順調で、毎月30004000元の収入がある。現在はまだ独身で、収入の中から日常の生活費を差し引いてもある程度貯金することができ、この金はほとんど好きな旅行に使っている。

 経済の発展につれて、中国人の財布もだんだん膨らんできた。2001年の全国都市部住民の一人あたり収入は前年より8.2%伸び、農民の一人あたり収入は4%伸びた。都市・農村住民の預金残高は初めて7兆元を突破し、昨年の年初より8000億元以上増えた。

 住民の消費は非常に活発し、自動車、住宅、情報、観光、教育の5大ホットスポットがしだいに顕在化している。

 報道によると、昨年、北京、上海、広州などの大都市の一人あたりGDP3000ドルに達したという。上海は2000年に率先して4000ドルの大台を突破し、全国で香港、澳門、台湾を除いて真先に4000ドルの大台に躍進した省クラス行政区となった。上海の一人あたりGDPは世界の中進国(地域)の平均レベルを上回り、世界の上の中レベルの国(地域)に仲間入りした。

 香港「アジア週刊」に掲載された文章は、アメリカの「9.11」テロ事件後、中国の観光業のみが盛んになり、世界の一部航空会社は倒産したり、人員を削減したりしたが、中国大陸部の航空公司は便数を1376便増やした。中国はアジア地域で海外旅行者が最も速く増える国となった、と書いている。

 制限解除

 海外旅行はかつて国民に不可能なことだと思われていた。まずは費用が高いからである。1995年、タイ旅行は始まったばかりの時に、バッケージツアー(往復、6日間)の価格は6000余元だった。20世紀90年代に、広東はオーストラリアとニュージーランド旅行を試行したとき、価格は23万元にも達したが、いまは1万元あまりに下がっている。昨年の海外旅行の費用は以前と比べて大幅に安くなったが、手続きが非常に面倒で、旅行に行きたいが、しり込みせざるをえない人が少なくない。現在、中国公民の出入国制限は一連の政策の制定につれてちくじ打ち破られている。

 北京市公安局出入国管理処は1月次のように発表した。中国公民は21日から北京で出国手続きを申請するとき、海外からの招請状を提出する必要はなくなり、出入国管理部門は出国旅券を発給する時、ついでに出国登録カードを発給、交換しなくなり、国境検査機関も同カードを検査しなくなる。「自費旅行に必要な4000ドルの保証金」制度も同時に廃止される。

 中国公安出入国管理部門が昨年1122日に公表した次の6つの重要な改革措置は人々の関心の的となっている。@香港・澳門に行く有効期限を延長する。A開港場ビザ発給機関の発給対象を拡大し、開港場ビザ発給機関に外国人団体観光ビザを発給する職権を与える。B公民が出国を申請するときに国外の招請状を提出し、出国旅券を発行するときについでに出国登録カードを発給するやり方を廃止し、大衆の出国申請手続きをいっそう簡素化し、大衆の出国ビザの申請に便利を提供する。C上海などの10都市の空港に中国公民入国専用通路を設け、公民の帰国を便利にし、中国公民としての栄誉感を増強させる。D中国のグリーンカード制度を確立する。E2005年前に、全国の大中都市で公民が身分証明書、戸籍証明書に頼り必要にもとづいて旅券の発給を申請するように実現する。2002年から上海、珠海、順徳などの都市で以上の改革を試行する。条件を備えたその他の省、直轄市、自治区も地元の条件に基づいて12の大中都市を選んで公安部の認可を得てから試行することができる。

 広東国際旅行社市場部副経理徐春光氏の説明によると、現在、旅券申請の期間は一般には1カ月で、海外旅行は12カ月前に申請するのが普通であるが、今後は2週間前に申請すれば間に合うという。

 中国旅行総社出国部市場処の頓継東氏は次のように語った。戸籍簿、身分証明書に頼って旅券発給を申請できるのは国際とリンクする根本的な改革である。これは二つの利点がある。一つは、住民の海外旅行のプライバシーを効果的に保障し、政治面の審査廃止は出国申請に対する住民のびくびくする気持ちを効果的に解消した。もう一つは旅券申請手続きを簡略化し、出国カードを取り消し、旅券使用はより自由になったので、住民の海外旅行目的地の選択を便利にした。

 国民がどしどし海外旅行に出かける新興の国

 2002年のサッカーワールドカップが韓国で行なわれるため、韓国旅行はブームとなり、「韓国に行ってワールドカップを観戦しよう」はホットな話題となっている。来年のワールドカップでは、中国チームは韓国で少なくとも3戦に出場し、競技場所在地のソウル、光州、西帰浦はいずれも韓国の主だった観光地であるため、大勢の中国のサッカーファンを応援に行くように引き付けるだろう。

 ワールドカップ期間中に、中国のサッカーファンが観光業に2億ドル(20億元以上に相当)の直接収入をもたらすと見られる。目下、韓国側は中韓間の航空機の便数を増やすほか、全州で中華街をつくる準備を進めている。また、各地の政府部門は中国で積極的なPRを展開し、同時に中国観光業の同業者を韓国に招いて実地視察を行わせるつもりである。中国のサッカーファンの観戦と観光に便利を提供するため、出入国の手続きを簡略化する案も作成されている。また、観戦チケットの面では、韓国側は国際サッカー連盟に、中国のサッカーファンが韓国内の入場券販売分を買えるよう要求している。

 中国は日本にとって最も重要な観光客源の国の一つである。日本観光振興会北京事務所の関係筋によると、日本は20009月から中国公民に開放してから、価格が高くすぎて、東南アジアおよび他の国・地域と比べて、日本へ行く中国人の数はずっと大きな突破を見せていない。昨年10月までに、日本は中国の観光客延べ16000人を受け入れた。中国人の生活レベルの向上につれて、海外旅行者数がたえず増えているので、いつかは中国が韓国を抜いて日本を観光する人数が最も多い国となる。

 中国はアジアの観光客が急速に増えている国であることが公認されている。2000年の中国の出国者数は延べ1000万人を上回り、支出総額は1006億ドルであったが、2005年の出国者数は延べ1640万人を越える見込みである。

 国家観光局の関係筋によると、現在、多くの国は一日も早く中国公民の自費旅行の目的地として認可してほしいという強い願望を中国政府に表明した。多くの外国の旅行社は続々と中国に来て事務所を設立したり、専従者を指定して観光協力を管理させたりしている。

 フィンランドは中国公民に開放する申請を中国に出した。スイス、スペイン、ギリシアなど国も中国に来て観光市場を調査し、さまざまな展示即売会を催している。ハワイ観光局副局長の孫女史は、「わたしたちは最もよいものを携えてきた」、「中国は潜在力に満ちた市場であり、ハワイ観光局は中国市場開拓に非常に興味を持っている」と述べ、またハワイ観光局と中国との間にいまのところ実質的な協力プロジェクトはまだないが、PRを鋭意行っており、今後中国市場に進出する準備を進めていると付け加えた。スペイン国家観光局のセールス担当官も、中国に来たのは未来に目を向けるためだ、と表明した。