中国語能力検定試験(HSK)について

全世界で54万人がHSKに参加した

任暁

 2002年12月24日午前、異なる国籍の4600名の受験生が北京語言大学に設置された中国語能力検定試験(HSK)の試験会場に入った。

 中国語能力検定試験(HSK)はますます多くの外国人受験生を引きつけている。中国がWTOに加盟した2002年に、HSKに参加した外国人受験生の人数は史上最高を記録した。

 北京語言大学中国語能力検定試験センターの責任者は次のように説明した。

 2002年のHSK受験生は約14万4000人で、2001年より4万余人増えた。外国人受験生のうち、韓国人が最も多く、その後は日本、アメリカ、ドイツ、イタリアの順である。

 HSKは漢語以外の言語を母国語とする人の中国語能力を検定するために行われる国家クラス標準化試験であり、毎年中国国内と海外で定期的に実施されている。HSKは1988に北京で初めて実施され、1990年に専門家の鑑定を経て、1991年に国外で試験的に実施され、1992年に国家クラス標準化試験に正式に確定された。HSKは基礎(1-2級)、初等と中等(3-8級)、高等(9-11級)の三種の試験からなる比較的整ったシステムとなっている。得点(スコア)が規定の等級に達した受験者はそれに相応する等級の「漢語水平証書」を授与される。

 1988年に行われた一回目の中国語能力検定試験に参加した受験生は数十人しかいなかったが、1990年代の初めでも毎年せいぜい200余人の人しか受験しなかった。その後の10年間に、受験生の人数は毎年40ないし50%のスピードで増えたが、その速度はアメリカの教育試験サービス(Educational Testing Service,ETS)の行うTOEFL試験の最初の10年とほぼ同じであった。HSK受験生が試験に参加する目的も変わっている。北京語言大学中国語能力検定試験センターの調査が示しているように、HSKの設置初期には、受験生はほとんど中国の大学に留学するためであったが、今では、留学のために試験に参加する受験生の割合は15%しかなく、就職の目的で試験に参加する受験生は35%とかなり大きな割合を占めている。自分の中国語能力を調べるために試験に参加する受験生が半数近く占めている。

 2002年のHSK受験生数の激増は中国の経済発展と関係がある。世界経済が不景気に見舞われている状況の下で、中国経済は平穏裏に成長しており、そのため中国に来て発展をはかろうとする外国人が大勢いる。中国のWTO加盟はより多くの外資企業の中国市場進出のために扉を開き、中国語もますます重要になってきている。現在、全世界の中国語を学ぶ人(中国語を母国語としない人)は6000余万人にのぼり、今後2年の受験人数が増えるものと見られている。

 現在までのところ、世界大手企業500社のうち、中国に投資しているものは400余社あり、地域本部を中国に設けることを考慮する多国籍企業は増える一方である。

 「漢語水平証書」はその効用と信頼度がますます多くの国の教育機構と大手会社に認められたため、一部外国人の求職時の重要な資格証明書となった。伝えられるところによると、韓国政府はHSK、TOEFL、IELTSの中の一種の試験にパスすることを公務員採用の必須条件とし、韓国人は中国に設ける韓国の会社に就職する場合、HSKにパスしなければならないことを決めた。

 昨年末現在、120余カ国の54万人がHSKに参加した。いままでのところ、HSKは香港、マカオを含めた中国の27の都市と地区に44の試験会場、日本、韓国、シンガポール、カナダ、アメリカなど27カ国・地域に約60の試験会場を設けている。

資料:

1、HSKの実施対象

 HSK(基礎)は基礎的な中国語能力を持つ中国語学習者、つまり、100-800時間の現代中国語の正規教育を受けた学習者(同等の学力を持つ学習者を含む)に適用する。HSK(初等と中等)は初等と中等の中国語能力を持つ中国語学習者、つまり、400-2000時間の現代中国語の正規教育を受けた学習者(同等の学力を持つ学習者を含む)に適用する。HSK(高等)は高い中国語能力を持つ中国語学習者、つまり、3000時間とそれ以上の現代中国語の正規教育を受けた学習者(同等の学力を持つ学習者を含む)に適用する。

2、「HSK証書(漢語水平証書)」の効用
 @中国の大学あるいは大学院に留学するときに要求される中国語能力の証明となる。
 A中国語能力が所定の等級に達している証明またはそれ相応の等級の中国語課程の履修を免除する証明となる。
 B求人側が中国語のできる人材を採用する際の根拠となる。

3、主催部門と証明書発給機関

 HSK主催部門は国家中国語能力検定試験委員会である。

 具体的な事務は国家中国語能力検定試験委員会弁公室と北京言語大学中国語能力検定試験センターが担当する。

4、申込方法

 (1)申し込む時は受験者の無帽の写真2枚(40mm×30mm)と写真付の身分証明書(パスポートあるいは居留証)を携帯するが必要がある。

 (2)申し込む時、一定金額の受験料と申込料を納入しなければならない。中国国内の場合、HSK(基礎)は人民元200元(70元の申込料を含む)、HSK(初等と中等)は人民元250元(70元の申込料を含む)、HSK(高等)は人民元400元(150元の申込料と採点料を含む)。(国外の受験料と国内の少数民族の受験料は各試験地が別途公布する)。受験料と申込料はいっさい払い戻しをしない。申込料は郵便料金を含む。受験生は自身が克服できない原因で、時間どおりに試験に参加できない場合、試験の前に試験会場に通知しなければならず、試験会場がサインした後、試験に参加する機会を一回保留することができる。同受験生は次回の試験に参加する時、受験料を免除し、申込料だけを納入すればよい。

 (3)受験生は試験会場所在地にいない場合、書簡で申し込むことができる。受験生が申し込み締め切り日の1週間前に身分証明書のコピー、履歴(氏名、性別、国籍、生年月日)、住所、無帽の写真2枚(40mm×30mm)を書留で試験会場の申込所に郵送すると同時に受験料と申込料も郵便為替で試験会場の申込所に送金する。試験会場は一般に電話による申込を受け付けない。受験票は受験生が試験地に到着後自ら受け取る。

 (4)申込後、各試験会場は受験票と「HSK受験ガイドブック」を受験生に交付し、受験生は受験票に記入された時間、場所に従って試験に参加する。

6、試験用テキスト

 HSKは一般の言語能力を検定することを目的とする標準化試験であり、いかなる特定の教材あるいは特定の教程の内容を根拠としない。そのため、受験生は特定教材の内容に基づいて試験を準備する必要がない。HSKが要求する中国語のレベルと試験方式を理解するため、受験生は『中国語能力検定試験(HSK)大綱』(各試験会場で売っている)を真剣に読む必要がある。同大綱は受験のガイドブックであり、HSKについての説明、HSK模擬問題とその解答、HSK語彙一覧表があり、ヒヤリング試験問題の録音テープも付いている。

7、試験時間

 中国国内 基礎試験は毎年の5月、7月、12月に、初等と中等の試験は毎年の5月、7月、高等試験は毎年5月にそれぞれ行われる。

 国外 所在国が自国の状況に基づいて、毎年の3月、5月、9月の3週間目の土曜日と10月の最後の週間の土曜日の中から試験の期日と試験の回数を選択することができる。

8、試験時間

 HSK(基礎)の試験時間は約135分間、HSK(初等と中等)の試験時間は約145分間、中間休みなし。HSK(高等)の試験時間は約180分間、筆記試験後に10分間の休憩がある。

9、問い合わせ

 中国国家中国語能力検定試験委員会弁公室試験センター

 アドレス  中国北京市海淀区学院路15号

 郵便番号  100083

 電  話  86-10-82303672,82303962

 ファックス  86-10-82303901

 Eメールアドレス HSK2@blcu.edu.cn HSK1@blcu.edu.cn

 ホームページ

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 中国語能力検定試験情報サービス電話 86-10- 96268-56678