国債レポ取引は最も安全な融資方式なのか

大通証券北京東直門外大街営業部　　高鉄軍

国債レポ取引はこれまでずっと最も安全な融資方式と見なされてきたが、さいきん証券業界のハイレベルの監督管理層に調査されることになり、これは証券取引所市場が国債レポ取引による融資を認めていらいぶつかった最も深刻な問題となっている。

証券監督管理委員会はある証券公司を調査した際、取引先の債券の他の用途への使用という不法融資行為が発覚し、当時に上海証券取引所によって公然と凍結された同公司の国債レポ取引額だけでも数10億元に達した。これを機に証券取引所の国債買戻し問題が調査されることになった。証券監督管理委員会は証券経営者が国債レポ取引方式によるリスク回避のやり方に警戒心を持つようになり、その後、証券監督管理委員会は深せんと上海の取引所が直ちに国内のすべての証券取引所の証券経営者に国債レポ取引業務に関する書類のリストを提出するよう求めた。それでは、国債レポ取引はいったい最も安全な融資方式なのか。現行の国債レポ取引方式は実行しつづけるのかどうか。現在証券監督管理者は一時的に調査を終えたにもかかわらず、この疑いはまだ投資家たちの頭にこびりついている。

国債レポ取引取引は実際には国債を抵当として資金を短期間に借り入れる信用行為である。証券取引所の国債レポ取引は国債現物の品種を抵当とする短期融資行為であり、証券公司、保険機構、投資ファンド、機関の投資家など銀行の性格をもたない機構が主な取引参加者である。取引者は債券所有者と資金所有者からなる。債券所有者は一定の期間国債の抵当権を放棄し、同じ期間しれ相応の金額の資金の使用権を獲得し、満期になれば、国債の抵当権を買い戻す方式で借り入れた資金を返済し、成約した時の市場利率で利子を支払う。資金所有者は一定の期間内の資金の使用権を放棄し、同じ時間内で相応な金額の国債の抵当権を獲得し、満期になれば、国債の抵当権を売り渡す方式で資金を回収し、成約した時の市場利率で利子を受け取る。現在中国の証券市場は国債レポ取引の方式による融資はかなりの規模を備えるに至っており、速やかに発展をとげている。上海証券取引所の2003年における国債レポ取引情況を例とすれば（表1を参照）、月間の平均成約高は3870億6900万元で、上海証券取引所の2003年における国債現物の月間平均成約高は4339億8600万元となり、両者の差額はわずか469億元である。単に国債現物とレポ取引金額との比較から見ても、現在中国の国債レポ取引市場の規模がかなり大きくなり、市場において非常に重要な地位を占めていることがわかる。そのため、この業務を絶えず規範化させることは監督管理層の当面の急務となっている。

具体的に見れば、現在のレポ取引融資方式にはどんな弊害があるか。

第一、国債レポ取引の発展は今では、証券経営者が融資する重要なルートの一つとなり、証券経営者は国債取資格の委託管理の強みを利用して取引先の手元の国債を借りて融資を行うことがしばしば発生しているが、このような情況が頻繁に現れたら、疑いもなく証券経営者の融資リスクを増やすことになる。第二、国債特有の委託管理方式は証券経営者がリスクを拡大する重要な原因となる。株券の委託管理方式と違って、取引所市場において、国債投資家が持っている国債は二級委託管理の方式で取引資格のある証券経営者に委託管理させているので、国債登録公司は証券経営者の国債の総量の状況しか知らず、そこで証券経営者がこの抜け穴を利用して国債レポ取引融資の便宜をはかることになる。見たところ、国債レポ取引融資にはかなりリスクがある。しかし、それによって、国債レポ取引が市場にもたらす利点を完全に否定することはできない。そのため、国債レポ取引という融資方式をたやすく放棄することができず、制度の規範化に力を入れる必要がある。一、調査した時のやり方を続け、国債レポ取引融資を行う証券経営者に対して、定期的に国債レポ取引の統計明細表を提出するよう求めると同時に、監督管理層が不定期の抜き取り検査を行う。二、取引所市場の国債委託管理方式を変え、それを株券の委託管理方式と統一させる。三、市場のイノベーションに力を入れ、買いきり式レポなどの新しい方式がなるべく早く取引所市場に取り入れられるようにする。国債レポ取引市場を絶えず規範化し、諸般の制度を改善するとともに、監督管理に力を入れてこそはじめて、このような融資方式は依然として証券市場において最も安全で最も便利な融資方式となるのである。

表1　上海証券交易所の2003年における月間国債レポ取引統計データ

注：データは上海証券取引所のウェブサイトによる