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中国経済の重点の中の重点である農民問題 李栄霞 3月18日に閉幕した第10期全国人民代表大会で、朱鎔基氏の政府活動報告と各代表団のグループ別討論会の発言は、いずれも「三農」(農業、農村、農民)問題に言及し、「三農」問題は全人代代表が最も重い気持ちで最も多くふれた話題である。 どうして気持ちが重いのか 朱鎔基氏は政府活動報告の中で、農業、農村、農民の三つの問題は、中国の改革開放と現代化建設の全局にかかわり、いつでも軽視してはならず、ゆるめてはならない、農業を強化し、農村経済を発展させ、農民の収入を増やすことは経済活動の重点の中の重点であると述べた。 専門家が指摘しているように、中国が「小康」を全面的に実現するには、今後の20年の最も重要な任務は「三農」問題を解決し、農村の「小康」を実現することである。 20世紀末に、中国は「小康」を総体的に実現した。国家統計局の統計は次のことを示している。中国の総体的な「小康」社会の16項の指標のうち、2000年までに13項が実現したが、実現しない3項の指標はいずれも農村と直接関係がある。1990年の物価指数に基づけば、2000年末までに農民の一人当たり純収入は1200元であるべきだが、実際には1066元であった。全国の一人当たりの毎日蛋白質撮取量は75グラムであるが、農民は70グラムである。全国の大部分の県に依然として初級医療保障体系が確立されていない。 全人代代表、元農業部副部長の万宝瑞氏によると、2002年の農民の一人当たり純収入は2476元で、その年の都市部住民の一人当たり可処分所得の7703元の3分の1にもならない。農民の純収入の中で4割は実物の現金化による収入で、2割を化学肥料と農薬の予約購入に用いるため、農民の毎年の可処分収入は1000元を上回らない。
全国政治協商会議委員、国家統計局副局長の邱暁華氏によると、中国の都市と農村の格差は6:1となる可能性があるが、世界の多くの国の都市と農村の格差は1.5:1である。 全人代代表、海南省農業庁庁長の林玉権氏によると、農村経済と都市経済は互いに連携し、互いに依存するものである。二者は長期にわたって分割するならば、互いに牽制する悪循環をもたらす可能性がある。現在、内需の不足は農民の購買力の低下と直接な関係がある。中国農村の実際人口は全国人口の70%近くを占めているが、金融資産は30%に達せず、社会購買力は40%に達していない。国際経験に基づけば、先進国は一人当たりGDPが3000ドルに達した後やっと買手市場が現れたが、中国は一人当たりGDPが900ドルになると、工業製品と農業生産物の低水準の過剰が現れた。 多くの経済学者が指摘しているように、農民の収入が低すぎる直接な結果は農村の巨大な消費市場をスタートさせることができず、内需の不足をもたらし、工業の発展に影響を及ぼす。農業、農村、農民の問題は中国の経済発展にとって最大の隠れた憂慮となっている。 解決の措置
唐修亭氏によると、都市と農村を統一的に按配する戦略の主旨は全国の力を挙げて農村の立ち遅れた様相を改めることにある。国際経験によると、一人当たり国内総生産(GDP)が800ないし1000ドルに達した場合、工業が農業を「支持し」始めるが、中国はちょうどこの段階にある。 都市と農村の経済社会発展を統一的に按配することは大型のシステムエンジニアリングであり、社会経済生活の各方面にかかわっている。 ――都市と農村の構造を改め、新しいタイプの都市と農村の関係を確立する。 全人代代表、河北省邯鄲市市長の張力氏によると、都市と農村の経済社会発展を統一的に按配するカギは、都市と農村の二元構造を改め、社会主義市場経済体制下の平等、協調、優位の相互補完の都市と農村の関係を確立する面で突破をとげることにある。国民所得の分配構造と財政支出の構造をいちだんと調整し、農業への支持と保護にいっそう力を入れる。農村の教育、医療衛生など各項の社会事業発展の公共財政体制を構築し、農村の全面的な進歩を推進する。 ――都市と農村の労働力市場を統一する。 林玉権氏によると、都市と農村の統一的按配は就職を突破口とし、都市と農村の統一した労働力市場を形成すべきである。「三農」問題を解決するには、都市化を積極的に推し進め、就職のチャンスを増やし、農村の余剰労働力の非農業産業への移転を奨励し、農民をしだいに減らし、戸籍制度の改革にいっそう力を入れ、農民と都市部住民を同様に対処しなければならない。 ――都市と農村工業の一体化を実現する。 全人代代表、河北省衡水市市長の冀純堂氏によると、現在、郷鎮工業は都市工業の外で「第二工業体系」を構築しており、両者はそれぞれ相対的に閉鎖した系統内で運行し、業種と製品構成の重複建設をもたらした。このため、農村から都市に伸びる産業チェーンを構築し、合理的に分業し、統一的に計画する必要がある。郷鎮企業は労働集約型の産業を引き続き発展させ、地区の資源の優位、伝統的技術の優位、特定市場の優位を突出させなければならない。 ――農産物の高度加工と活路を解決する。 全人代代表、安徽豊原グループ董事長の李栄傑氏によると、農業の増収は、栽培構造の調整と農産物の高度加工に力を入れる必要がある。現在、中国の農産物の高度加工総量が小さく、農業発展をあまり促進できない。中国の農産物の高度加工の生産額と農業生産額の比率は0.79:1であるが、先進国は一般には3.4:1である。先進国の農産物の高度加工率は平均70%ないし90%であるが、中国は30%以下である。大多数の農産物を簡単に加工するかあるいは入庫すると同時に、政府は毎年大量の外貨を保って高度加工の農産物を輸入している。このため、中国は農業加工プロジェクトへの支持にいっそう力を入れるべきである。 ――土地の規模化経営と農業経営組織の革新。 中国農業大学教授、全人代農業と農村委員会委員の毛達如氏によると、土地の規模化経営を奨励すべきである。規模を拡大する方法の一つは家庭請負責任制を引き続き堅持、改善し、特に土地の譲渡を認めなければならない、即ち農村にいない農民が土地を他人に譲渡し、自分が相応の株式を保留し、株式によって土地の収益を獲得するのを認めることである。農業の経営組織は革新する必要がある。この目標を実現するには、まず先導企業を通じて農業の産業化を促し、つづいで農業の専門経営協力機構の建設に力を入れなければならない。 伝えられるところによると、中国は今後新規増加した国債を主に農村の中小型インフラ施設の建設と「耕地の林地への還元」に用いることを決定し、今後毎年新規増加する教育、医療衛生、文化事業の費用も主に農村に用い、これによってしだいに都市と農村が社会事業発展面での格差を縮小する。農民の「受診難」を改善する農村医療体制改革も実施し始めた。
表1 農村の主な経済指標
表2 主な農産物の収量
表3 農村の物価(前年=100)
表4 農民の生活
表5 農村の教育、医療衛生
表6 農村住民の貧困状況
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