年賀金延べ棒の買戻し

2003年では中国のヒツジ年に当たる年。中国金貨総公司はそれを祝うために、年賀金延べ棒(金地金)を発行した。この間、上海や北京などの都市で年賀金延べ棒の買戻しが始まった。一般の国民にとって、これは新しい財テクの手段となることになろう。

           唐元ト

6月15日の午前、ある30代の男性が年賀金延べ棒を「北京の金の第1の店」と称されている菜市口デパートで換金売りをし、これで年賀金延べ棒買戻しが始まってから換金売りをした最初のお客さんとなった。

この日の取引価格が93.04元/1グラムで、売り渡した金延べ棒は92元/1グラムで購入したもので、規格は50グラムであるため、今回52元の儲けとなったわけであった。

年賀金延べ棒買戻しは6月15日から始まり、それ以降、国の法定祝祭日と土、日を除いて、月〜金の午前10〜11時半、午後1時半〜2時半に取引されることになっている。関連規定によると、1日の買戻し量は10キロ。

年賀金延べ棒には50グラム、100グラム、200グラム、500グラムの4つの規格があり、金の純度は99.99%にも達しており、売り出しの際には税金5%が免除されたため、同じ重量の金の装身具より少なくとも5%以上は安い。

菜市口デパートは昨年12月18日にヒツジ年の年賀金延べ棒の北京地区での専売権を獲得した。王春利総経理は、買戻し価格は上海金取引所の寄り付き値、終値、国際金価格のリアルタイムの変化によって決まると語った。取引する人たちの便宜をはかるため、店内に上海金貨投資有限公司とオンラインで結ばれた金貨取引システム遠隔取引プラットホームが据えつけられ、顧客は一階の大きなスクリーンを通して絶えず伝わってくる上海金取引所の寄り付き値、終値、国際金価格を知ることができる。金延べ棒の所有者はレシートとニセモノ防止証明を持参してデパートで換金できることになっている。

この買戻しは上海でも6月15日に始まる予定だったが、設備の故障でその翌日に延期された。しかし、売りに来る人は1人もいなかった。なぜかというと、延べ棒の上海での売り出し価格は現時点の買戻し価格93.04元/グラムより高い97〜104元/グラムだったからで、いま売れば損するからである。

買戻しは6月15日に南京などの地区でも行われたが、その反響は金延べ棒発行時の賑やかさにはるかに及ばなかった。この日、全国では、北京だけで90分間の取引時間に合計200グラムの金延べ棒(50グラム2本と100グラム1本)が買戻された。ところが、北京、上海、南京、広州の4都市の発売量は合計1.2トンであった。

北京金経済発展研究センターの専門家高茹コン氏は、現在、株式市場は過去のような勢いはなく、先物のリスクがあまりにも大きく、外貨の売買はかなり時間がかかり、年賀金延べ棒の発行と買戻しのメカニズムが打ち出されたことは、一般の中国人に新しい財テクの形態を意識させるようになった、と見ている。

金投資による収益は預金より多く、買戻し価格が売価よりわずか1元高いものであったが、どちらかというと預金より割りに合うと業界内の専門家は見ている。

その他の財テク形態より、金投資はわりに安定した投資形態であり、リスクが小さいため、収益率も相対的に言って小さい。価格差が5〜7元だったら、収益は3〜4%前後に相当する。ほとんどの買主は金延べ棒の価値保持という特徴が気に入って購入したとのことである。

しかし、金は価値保持と投資の特徴をもっているものの、投資すれば必ず儲かるというわけではない、と指摘する専門家もいる。なぜかというと、国際政治・経済情勢の変化、戦争の影響、株式相場と為替レートの変化、各国の通貨政策の違い、各国の中央銀行の金準備高の増減、金の採掘と精錬コストの変化などの要素はいずれも国際金価格に影響を及ぼすことになるからである。金を適時に売り渡すことができなければ、金投資の目的を実現することができず、もし高い値段で買い入れ、低い値段で売り渡さざるを得なくなったら、なおさら損になる。

南京「宝祥金店」事務室の趙任主任は、年賀金延べ棒の売買は真の意味での「金投機売買」とは言えないと見ており、金延べ棒は既製品であり、未加工品ではなく、記念品としての意義をもっているため、その価格上昇のペースを理性的に分析すべきである、と指摘している。

調査によると、ここ数年間に、中国の大陸部で金価格が続けざまに下落しているが、業界筋の予測では、今年は国際金価格が400ドル/オンスに値上がりすることになるかもしれない。長期的に見れば、国内の金価格も値上がりすることになる。また、新しい財テク向け金製品の「パンダ金貨」(1オンス)も発行されるというニュースもある。