呉委員長、小泉首相と会見

日本訪問中の全国人民代表大会常務委員会の呉邦国委員長は9月5日午後、小泉純一郎首相と首相官邸で会見した。双方は中日関係などについて意見を交わし、重要な共通認識が得られた。

小泉首相はまず、日本政府を代表して呉委員長の訪日に歓迎の意を表明した。呉委員長は胡錦涛国家主席、温家宝総理からのあいさつを伝えた。

会見中、両国関係の強化と拡大について、呉委員長は(1)上層部の対話を維持する(2)経済貿易協力を強化し、人的往来を増加する(3)相互の懸念を慎重に処理する――の3点を強調した。(3)について呉委員長は「歴史問題を適切に処理することは、中日関係の重要な基礎である。両国の政治家が大局的かつ長期的な戦略的視点に立ち、『歴史を鏡として、未来に目を向ける』という精神に基づいて、存在する問題を適切に処理することを希望する。歴史問題は、過去のものであるとともに、現実の問題でもある」と述べた。

8月4日に黒龍江省チチハル市で発生した旧日本軍遺棄毒ガス事件について、呉委員長は「日本側ができるだけ早く適切に解決するとともに、有効な措置を取って、このような悲劇が二度と起きないようにしてほしい」と述べた。小泉首相はこれに対し「旧日本軍が遺棄した毒ガスで被害が出た事件に対し、心から遺憾に思う。犠牲者に哀悼の意を申し上げる。日本側は外交ルートを通じ、誠意を持ってこの件を処理していく」と伝えた。

小泉首相はまた「日中貿易を奨励、支持していく。中国の発展は日本にとっては脅威ではなく、チャンスであると一貫して考えている。日中は相互依存、互恵、相互補完、共同発展の関係にある」としたうえで、「日中関係は日本にとって最も重要な2国間関係の一つである。双方の協力分野は広く、未来は明るい」と強調し、さらに「『日中平和友好条約』締結25周年と呉委員長の訪問を契機として、日中双方がともに努力すれば、日中関係はさらに強化し、発展していくと信じる」と表明した。

呉委員長は「中国全国人民代表大会は、日本の国会との友好的な交流を重視している。中国側はさらに日本の多くの議員、特に若手議員の中国訪問を歓迎する。また、より中国の多くの若者に日本を訪問するよう奨励する。若い世代の交流は中日間の世々代々にわたる友好にとって、重要な戦略的意義がある」と述べた。