北京観光の知識(一)

　北京は、世界でも有名な歴史的文化都市、古都の一つである。早くも70万年前、北京の周口店地区には「北京人」の原人の一群が出現した。北京は、「薊（けい）」という名で初めて歴史の記録に登場する。紀元前1045年、薊は燕諸侯国の都となったのである。紀元前221年の秦の始皇帝による中国統一から937年まで、北京はずっと中国北部の要衝であり、地方政権の都であった。938年、中国北部を支配していた遼が北京（当時の呼称は「燕京」）を副都としたあと、金、元、明、清の各王朝がここに都を置き、その期間は650年以上に達した。1949年10月1日、中華人民共和国が成立し、北京は新中国の首都となった。

北京の定住人口は1107万5000人で、このほか300万人余りの流動人口がある。中国の56民族を構成する人々が北京に住んでおり、漢民族以外では、回族、満族、モンゴル族がいずれも1万人を超えている。

アカシア、コノテガシワ

コウシンバラ、キク

　北京は72カ国の124都市と友好往来関係を樹立し、そのうち25都市と友好都市関係を結んでいる。首都として、北京市には現在147の外国大使館があり、国際機関の代表事務所が15、外国報道機関の駐在員事務所が190、外国企業の代表事務所が6314あり、外国企業、中外合弁企業、合作経営企業は一万社余りにのぼっている。

　外国人：北京を訪れる場合は、有効なパスポートを持って現地の中華人民共和国の大使館、領事部あるいは外交部から権限を授与されたその他の外国駐在機関にビザ申請をする。団体ツアーに参加する場合は、旅行社がすべての手続きを代行するので、より便利である。

　台湾同胞：香港にある二つの機関が、台湾同胞が大陸を訪れる際の手続きを行っている。それは香港中国旅行社と中華人民共和国外交部駐香港査証事務所である。台湾同胞がアメリカ、日本あるいはその他の国を経由して北京を訪れる場合は、中華人民共和国の外国駐在大使館、領事館で旅行証明書を取得することができる。

　香港・澳門同胞：香港・澳門同胞が大陸部へ観光、親戚訪問する場合は、「香港・澳門同胞帰郷証明書」によって出入境することができる。このほか「香港・澳門住民大陸部往来通行証」も正式に使われ始めた。新しい証明書はカード式のもので、大きさは通常のクレジットカードと同じである。新しい証明書はコード読み取り機によって、出入国審査機関がチェックするもので、カード所持者は出入国カードへの記入はしなくてもよい。成人は新しい証明書を取得した場合、その有効期間は10年で、有効期間内は何回でも使用することができる。新しい証明書を申請する香港・澳門住民は、次の5項目の優先資格に合致しなければならない。�@初めて帰郷証明書を申請する。�A旧い帰郷証明書の期限が切れている。�B旧い証明書の有効期限が二ヵ月以内に満了する。�C旧い証明書の使用回数の残数が15回以内である。�D旧い証明書を遺失した。

　華僑：華僑が帰国する場合はビザ申請の必要はなく、中華人民共和国の主管機関が発給した有効なパスポートあるいはその他の有効な証明書によって出入国できる。

　北京滞在中は、パスポート、帰郷証明書などの有効な身分証明書を携帯する必要があり、ホテルへの宿泊、航空券・乗車券の予約などの際には不可欠で、また万が一の状況に出くわした場合にも多くの面倒を省くことができる。パスポートを紛失した場合は、ただちに自国の駐中国大使館、領事館と北京市公安局外国人出入国管理処に報告する必要がある。問い合せ先 64078237、84015297

　外国人、香港・澳門・台湾同胞、華僑はホテル（中国語で「賓館」、「飯店」など）、旅館（中国語で「旅店」、「招待所」など）、学校などの企業体・事業体や機関、団体およびその他の中国の施設に宿泊する場合、有効な身分証明書の呈示とともに、宿泊名簿への記入を求められる。また、中国の公民あるいは親戚・友人宅に宿泊する場合は、本人または親戚・友人が24時間以内（農村では72時間以内でも可）に、宿泊地の公安派出所あるいは戸籍弁公室で一時宿泊登録を行う。

　旅客が持ち込める旅行用の自己使用物品は、カメラ、携帯用ラジカセ、小型撮影機、ポータブルビデオカメラ、ワープロ・ノートパソコンがそれぞれ一台に限られ、これを超える場合は、事実に基づき税関に報告しなければならない。税関が通関を許可した自己使用物品は、旅客が帰国する際に必ず持ち帰らなければならない。

　旅客は金、銀およびその製品を持ち込む際は、自己使用目的の合理的な数に限られ、50グラムを超える場合には、申告表に記入して税関に申告しなければならず、これを持ち帰る時には、税関が入国時の申告数に基づいて確認を行う。

中国国内で購入した金、銀およびその製品を携帯もしくは託送する場合は、税関は中国人民銀行が発行する「特別領収書」に基づき通関を許可する。

　旅客が外貨、トラベラーズチェック、クレジットカードなどを携帯して入国する場合、その数量には制限を受けない。

　旅客が人民元を携帯して出国する場合、その上限額は6000元である。

　旅客が携帯・託送して持ち出す文物は、中国の文化行政管理部門の鑑定を経るとともに、税関に対して詳しい申告を行わなければならない。

　入国した旅客が出国する際、携帯した外貨で購入した、合理的な数量の自己使用分の漢方の生薬・薬品については、税関は関連の領収書と外貨両替証明書に基づき通関を許可する。

　持ち込み禁止物品

各種の兵器、弾薬および爆発物。

　偽造通貨。

　中国の政治、経済、文化、道徳に有害な印刷物、フィルム、写真、レコード、映画フィルム、カセットテープ、ビデオテープ、ＣＤ・ＤＶＤなどの光ディスク、コンピューターのメモリー媒質およびその他の物品。

　各種の劇薬。

　麻酔、麻薬および精神薬物。

　危険性のある病原菌、害虫およびその他の有害な生物を有する動・植物とその他の製品。

　人と家畜の健康を妨げ、疾病を伝染させ得る食品、薬物とその他の物品。

　持ち出し禁止物品

　持ち込み禁止物品の範囲に組み入れられたすべての物品。

　国の機密にかかわる内容の手稿、印刷物、フィルム、写真、映画フィルム、カセットテープ、ビデオテープ、ＣＤ・ＤＶＤなどの光ディスク、コンピューターのメモリー媒質およびその他の物品。

　貴重な文物およびその他の持ち出し禁止指定の文物。

絶滅の危機に瀕した稀少動物・植物（いずれも標本を含む）およびその他の種子と繁殖素材。

　北京ではトラベラーズチェックとクレジットカードを使うことができる。現在、海外のいかなる銀行あるいは金融機関で発行するトラベラーズチェック（台湾の銀行が発行するトラベラーズチェックを含む）もすべて、中国銀行および銀行支店で両替することができる。クレジットカードは、一部のホテルあるいは指定されたレストラン、商店で決済することができる。

　北京市政府と北京市旅遊局が中心になって編集している『北京月訊』（Beijing This Month）、『北京月訊商務特刊』（Business Beijing）は、北京の基本的な状況、北京観光に必須の知識および外出、飲食、ショッピング、娯楽、ビジネスなどの情報を詳しく紹介しており、空港の国際便発着ロビーおよびホテルのフロントにおいて無料で入手できる。

　英語版の『チャイナデーリー』、『北京週末』は各郵便局で販売しており、高級ホテルでは服務員が客室に配布、一般ホテルではロビーあるいは各階の新聞・雑誌コーナーで無料で入手することができる。

　このほか、ホテルと外文書店では国外や香港・台湾地区で出版された定期刊行物、小説などを販売しており、旅行途上に読むことができる。

　中国国際放送局が、毎日39カ国語と中国語の4方言を駆使して世界各地に向けて放送を行っている。

　北京では、中央テレビ局、北京テレビ局および北京以外の省・直轄市の一部のテレビ局の番組を視聴することができる。そのうち北京テレビ局第6チャンネルと中央テレビ局第4チャンネルでは毎晩英語の番組を放映している。星ランク付きのホテルでは、さらにCNN、NBCおよび香港の衛星放送の番組を視聴することができる。

　一般ホテルの客室からは国際電話が直接かけられる。4つ星未満のホテルでは10％、4つ星、5つ星のホテルでは15％のサービス料を徴収している。通常はホテルをチェックアウトする際に宿泊料とともに精算する。北京ではコレクトコールの国際電話をかけることができる。（具体的な電話番号は本書の「電話帳」の項を参照）

　ホテルの長距離電話は中国の約2100都市と直接通話ができる。ダイヤルする際は、まず0を押してから、当該都市のエリアコード（エリアコードがわからない場合は「176」で調べることができる）、そのあとに目的の番号にダイヤルする。サービス料の徴収基準は国際電話の場合と同じ。

　中国電信（チャイナ・テレコム）では祝祭日および平日の21：00から00：00までは通常の半額、00：00から07：00までは通常30％の割引料金を実施している。

　磁気カードとICカード用の電話機で国際電話、国内長距離電話、市内電話をかけることができる。市内通話料金は三分間につき0.5元だが、国内長距離電話は祝祭日、夜間の半額料金は適用されない。電話用の磁気カード、ICカードは電話・通信サービスを行っている商店や各ホテルで販売している。

　郵便局とその代理店ではIPカードを販売している。現在のIPカードには中国電信のIPカード、中国聯通の宜通カード、中国吉通の吉通カードの三種類があり、国内電話の通話料金は1分間につき0.3元、香港・澳門へは1分間につき1.5元、アメリカ、カナダへの通話料金は1分間につき2.4元、その他の地域への通話料金は1分間につき3.2元で、以上の各項はいずれも現地通話料金を加算して徴収し、時間帯による割引料金は適用されない。

　街角の公衆電話ボックスからは市内通話のみ可能で、5角（0.5元）のコインを投入口に入れるとダイヤルすることができる。このほか、駅・バス停留所、商店街、住宅地には管理人のいる公衆電話があり、通話料は一回につき0.5元（3分間）で、中には長距離電話をかけられるところもあり、その場合は一回につき0.5元（国内）から2.00元（国際）までの手数料が加算される。

　主な市街区、駅、空港、観光地には郵便局があり、郵便局の目印は緑色で示されている。一週間すべて営業しており、電報、電話、テレックス業務は24時間営業している。

　市内宛ての郵便物は60分（6角）、その他の国内宛て郵便物は80分（8角）で、航空便は地域と郵便物の重さによって一通につき8.2元以上で、香港・台湾地域宛てのものは一通につき2.8元である。

　各ホテル、旅館にはポストがあり、国外・国内宛て郵便物を投函することができ、中には郵便・電信サービスコーナーがあるところもある。街中ではいたるところに緑色のポストが見られるが、そのうち「黄色い帽子」のポスト（てっぺんに黄色の塗装が施されている）に投函すると比較的速く配達される（切手を余分に貼る必要はない）。

　国際郵便局は建国門北大街雅宝路にある。国際郵便、国内郵便、小包、国際エクスプレスメール（EMS）を取り扱うほか、為替手形、電信為替などの現金払い、国内・国際電報、長距離電話・市内電話などの業務を行っている。

　国際郵便局の中には税関事務所があり、税関手続きを行うのに便利である。電話 65194631

　郵便局で扱うEMSのほか、DHL、UPS、TNT、ＦedExなど数社が速配業務を行っており、さまざまな緊急書類、資料、物品を世界中の170カ国以上の数万都市に宅配している。北京の45の郵便局とホテルのビジネスセンターに設けられたEMSカウンターでは、国際エクスプレスメール（EMS）を扱っており、EMS担当スタッフに郵便物を取りに来てもらうこともできる。

　中国民航には、国内線が757路線、国際線が約100路線、地域線が20路線余りある。北京から空路で、全国の各省、直轄市、自治区（台湾省を除く）の主な都市と39カ国の54都市に行くことができる。また40社余りの外国航空会社が北京事務所を設けている。（詳細は「電話帳」の項を参照）

　空港は市の中心部から27キロのところにあり、高速道路沿いに30分で行くことができ、タクシーを利用すれば約100元ほどかかる。西単にある中国民航のチケット販売センターから空港への送迎バスは、午前5：30から午後8：00まで30分間おき、美術館および中関村からの送迎バスは一時間おきに出ており、空港から市街区への送迎バスは、国内航空便の最終便が到着するまで運行している。

空港インフォメーション 2580

　中国民航の予約・販売センターは西長安街15号にある。ここには台湾・香港・澳門同胞と外国人専用の購入カウンターがあり、チケットを購入する際には身分証明書を持参する必要がある。

国内便・国際便の予約・問い合せ先 66013336／66016667

　北京には主に5つの旅客輸送駅があり、最大のものは北京西駅である。北京から列車を利用すればチベット自治区、海南省、台湾省を除く中国の各省・直轄市・自治区の省都、区都、主要都市に行くことができる。現在、北京西駅は京広線（北京＝広州）鉄道の約30往復便の列車の発着駅となっている。

北京駅と北京西駅の1階の国際一等座席待合室の中には、外国人、香港・澳門・台湾同胞、華僑のための乗車券販売窓口を設け、一週間前から乗車券を前売りするとともに乗車券の払い戻し手続きを行っている。

北京の交通は四方八方に通じている。しかし、観光の繁忙期には、たびたび航空券、乗車券の購入が困難になるので、帰路あるいは次の旅程への影響を防ぐために、北京到着後はまず、その後の航空券・乗車券を確保してから見学すれば後顧の憂いなく楽しめるだろう。

駅の乗車券予約電話 63217188

　北京ではタクシーを利用するのが便利である。空港、駅、各ホテル、観光地ではいずれも昼夜の別なくタクシーが利用できる。タクシー料金は走行距離に基づいて計算されるが、また車種によっても異なっており、通常はリアウィンドに基準料金が表示されている。留意すべきことは、長安街では、タクシーの乗降場所の標識を特に設けており、タクシーの一時停車が許されるのはこの場所しかないということである。

　バス、トロリーバスは全市をくまなく運行している。乗車券の最低料金は一律1元のものである。エアコン付きのバスの乗車券は2元から11元である。午前7:00から8:30まで、午後5:00から6:30までのラッシュアワーには、非常に混み合うのでできる限り乗車しないほうがよいだろう。

北京の地下鉄は二つの路線がある。一つは環状線で、北京駅、建国門、東直門、西直門、復興門に沿って循環し、4分間おきに運行している。沿線の18駅はいずれも北京市内の主な交通ターミナルである。もう一つの路線は、苹果園から四恵東まで往復運行しており、沿線駅の復興門、建国門は環状線への乗り換え駅となっており、西区間は軍事博物館、公主墳商業区、石景山遊楽園まで達し、中央区間は長安街を横断して西単、天安門、国貿商業区を経由するもので非常に便利である。地下鉄の出入口にはマークの標識がある。切符売り場は改札口の前にあり、乗車券は一律3元である。

　運行時間：5:00―22:30

　人力三輪車に乗って北京を遊覧するなら、いっそう北京情緒を満喫することができる。人力三輪車はホテルの入口前や繁華街などで拾うことができる。

　北京ではこのほかエアコン付きの大型観光バスが運行されており、主な景勝地と市内の大通りを快適かつ手軽に往復することができる。このバスの往復券は6元。

北京の地下鉄路線図

苹果園　古城路　八角村　八宝山　玉泉路　五?松　万寿路　公主墳　軍事博物館　木?地　南礼士路　復興門　西単　天安門西　天安門東　王府井　東単　建国門　永安里　国貿　大望路　四恵　四恵東

長椿街　宣武門　和平門　前門　崇文門　北京站　朝陽門　東四十条　東直門　雍和宮　安定門　鼓楼　積水潭　西直門　車公荘　阜成門　　

速配サービス会社

　　北京双臣一城快運有限公司（市内宛て宅急便）

　　住所　朝陽区大望京南

　　（24時間営業）

　　電話 64362244

　　北京市郵政速逓局（ＥＭＳ）

　　住所　前門東大街7号

　　（8:00―18:30）

　　電話　65129948、185

　　中外運―欧西愛斯国際快逓有限公司

　　住所　朝陽区団結湖上寺路2号

　　電話　65944980、65944981

　　中外運敦豪（DHL）速逓服務

　　住所　朝陽区新源街45号

　　電話　64662211

　　UPS聯合包裏運輸

　　住所　科倫大厦Ｂ座一階、朝陽区光華路12Ａ

　　電話　65812088

　　FedEx連邦快逓

　　住所　朝陽区亮馬橋32号大厦三階

　　電話　64685566

　　全球特快送款服務

　　住所　前門東大街7号

　　電話　65120596

北京市行政区画図

懐柔県

延慶県

昌平区

海淀区

門頭溝区

石景山区

宣武区

豊台区

房山区

10．密雲県　　

11．順義区

12．朝陽区　　

13．東城区

14．平谷県　　

15．通州区

16．崇文区

17．西城区

18．大興県

医療機関

北京協和医院

住所　東城区東単北大街

電話　65296114

北京医院

住所　東城区大華路1号

電話　65132266

友誼医院

住所　宣武区永安路

電話　63014411

中日友好医院

住所　朝陽区和平街北口櫻花東路

電話　64221122

同仁医院

住所　崇文門内大街2号

電話　65129911

北京医科大学第一医院

住所　西城区西什庫大街8号

電話　66171122

香港国際医務診所

住所　港澳中心三階

電話　65012288 ext．2345、2346、2347

北京和睦家医院

住所　朝陽区蒋台路2号

電話　64333960

気温表

　　　　　　 C F C F C F C F

平均　　　　-4.4 24.1 13.0 55.4 30.0 78.1 12.2 53.9　

最高　1月　 1.7 35.1 4月 19.4 66.9 7月 32.6 86.5 10月 18.7 65.7

平均 -2.1 28.2 18.9 66.0 24.0 75.2 4.3 39.7

最高 2月 3.8 38.8 5月 25.3 77.6 8月 28.9 84.0 11月 10.0 50.0

平均 4.7 40.5 23.9 74.5 19.1 66.4 -2.5 27.5

最高 3月 11.0 51.8 6月 29.6 85.3 9月 25.5 77.9 12月 3.0 37.4