北京の観光知識(九)

北京の代表的文化

 彩り豊かで独特な北京文化の息吹を体感したいなら、北京戯曲の粋でもある「北京情緒」豊かな京劇、昆曲を見逃す手はない。その悠揚迫らぬ節回しはまさに、濃厚な「北京情緒」をたっぷり含んでいる。

オリエンタル・オペラ――京劇

 京劇は正真正銘の中国文化の真髄で、最も代表的な伝統演劇である。その前身は安徽省の伝統演劇「徽劇」で、「皮黄戯」、「平劇」などとも呼ばれ、200年近くの歴史がある。清の乾隆年間に北京にやって来た徽劇の一座が、昆腔、秦腔(それぞれ今の江蘇、陝西省辺りの地方劇)の出し物の節回し、表現方法の一部や民間の曲を取り入れたことで「京劇」という新しいタイプの演劇が誕生した。京劇は200年にわたる発展過程のなかで、歌、セリフ、韻の調子がますます北京化して、ついに成熟した芸術の一形態となったのである。

昆曲

 昆曲には500年の歴史があり、中国古典の詩詞、韻文、講談の伝統を受け継ぎ、非常に高い文学性をもっていて、多くの幅広い伝承に題材をとっている。昆曲の節回しは上品な抑揚のあるもので1000近くの小曲があり、演技はバラエティに富んで芸が細かく、舞踊は優美で含蓄のあるものである。

劇場

 せっかく北京に来ても、生の演劇を間近に見なければ、はるばる北京にやって来た甲斐がないというものだ。

 「長安大劇院」は、東長安街の北側に位置する光華長安大厦内にある老舗で、ここでは京劇を代表としてさまざまな出し物を見ることができる。

 「湖広会館」は北京市宣武区虎坊橋にある長い歴史をもった劇場で、京劇の名優である余叔岩、梅蘭芳らはみなここに出演したことがある。現在は毎晩、北京京劇院の名優たちが素晴らしい出し物を見せている。上品な雰囲気に包まれ、お茶を飲みながら舞台を観賞する楽しみは格別で、ここは「北京初の戯曲博物館」の名に恥じないところだ。

 「梨園劇場」は前門飯店1Fにある。中国最大の京劇劇団 ――北京京劇院が毎晩ここの舞台に立っていて、観客は名物菓子と中国の銘茶を味わいながら舞台を観賞することができる。

現代芸術

音楽・舞踊

 民族・民間音楽、舞踊は北京の舞台で最もにぎやかなプログラムで、近年に「北京歌舞団」が創作した宮廷舞踊は、国内外の観光客にたいへん喜ばれている。「中央民族歌舞団」は中国各民族の音楽と舞踊を結集し、「東方歌舞団」は中国の民族歌舞芸術を国内外の観客に紹介するとともに、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの優れた民族歌舞芸術を中国の観客にもたらしている。

 対外文化交流の窓口として、北京は外国の芸術スタイルを吸収しつつ急速な発展をとげている。北京で開かれるコンサートにはさまざまなスタイルのものがあり、内容が豊富である。北京は中国一流の交響楽団と音楽家を抱えているほか、北京におけるバレーの発展ぶりは中国の伝統舞踊に匹敵するほどである。さらに、外国人アーティストの公演が北京のコンサートにいっそう花を添えている。

 北京コンサートホール(「北京音楽庁」)は国内外のコンサート開催を受け入れており、内外の音楽交流が集中する場となっている。

話劇(新劇)

 新劇は、中国に伝えられて70年余りで急速な発展をとげた。それは現実生活と民族文化を養分として成長し、演出の斬新さと生気あふれる舞台で幅広いファンを獲得している。中国の新劇の特色を最も表現し得ているのが「北京人民芸術劇院」で、この劇団には比較的長い歴史があり、郭沫若、田漢、夏衍、老舎など傑出した作家たちの名作も数多く上演したことがあり、中でも『茶館』と『日の出』はここの古典的作品である。

 最近は北京の新劇界にも新たな発展があり、「実験話劇」の旗を掲げて中国新劇の新たな勢力が台頭してきた。新劇に対するこうした挑戦者たちはクリエイティブな想像力に富んでおり、日常生活の中からほとばしる感情を描くものとして新劇をとらえ、現代演劇の新たな概念を描き出している。北京の人々は新劇を格調の高い芸術形式と見ていて、新劇観賞は一種の流行となっている。