朱鎔基総理の政府活動報告<要旨> 

 朱鎔基総理が35日、第9期全国人民代表大会(全人代)第5回会議で行った政府活動報告の要旨次の通り。 ◇昨年、好調な経済発展維持 新世紀の1年目に、世界の経済成長が大幅に減速する中、わが国の国民経済は引き続き好調を維持した。 昨年、われわれは内需拡大の方針を堅持し、積極的な財政政策と手堅い通貨政策(金融政策)を揺るぎなく実施し、経済の比較的高い成長を実現した。2001年の国内総生産(GDP)は前年比7.3%増の95933億元に達した。経済構造調整には積極的進展がみられた。農業構造はいくらか最適化され、良質、専用農産物が増加した。情報、生物などのハイテク産業が急速に発展した。在来工業の遅れた生産能力の改造と淘汰はかなりの進展がみられた。インフラ整備は顕著な成果を収め、多くの道路、鉄道、河川堤防、水利センターと農村電力網改造などの重点プロジェクトが完成した。西部大開発は順調にスタートし、青海チベット鉄道、西電東送(西部の電力を東部に送る)などの重大プロジェクトが相次いで着工された。経済成長の質と効果は一層高まった。年間の一定規模以上の工業企業の利益は4657億元で、8.1%増えた。税収が大幅に伸び、全国の財政収入は16371億元に達し、比較可能枠で計算して2400億元増加した。金融情勢は落ち着いていた。消費者物価の総合水準は0.7%上昇した。貿易総額は5000億ドルを突破、うち輸出は2662億ドルで、6.8%伸びた。外国企業の直接投資は468億ドルで、14.9%伸びた。国際収支の状況はよく、年末の国の外貨準備は前年末より466億ドル増えて、2122億ドルに達した。人民元の為替レートは安定した。都市・農村人民の生活は引き続き改善された。

 昨年、わが国の経済体制改革はさらに深まった。国有企業改革は引き続き進み、近代的企業制度づくりが加速した。国が重点企業に派遣した監事会の役割は強まった。企業の再編、改組活動が積極的に進められた。資源の枯渇した鉱山や著しい債務超過で黒字転換の見込みのない企業が、閉鎖、破産によって市場から退出した。食糧、綿花の流通体制改革で成果が得られた。都市職員・労働者の基本医療保険制度、医療衛生体制、医薬品生産流通体制の3つの改革が着実に進んだ。行政許認可事項が整理され、減少した。市場経済秩序の整頓と規範化でひとまず成果があがり、偽物製造・販売の違法活動の立件・捜査・処分だけで120万件余りに達し、経済分野の違法犯罪分子が強力な打撃を受けた。

 昨年、科学技術、教育、社会事業は全面的に発展した。一群の国家ハイテク産業化重大プロジェトが正式にスタートした。科学技術体制改革が引き続き深まった。全国の大学生募集は268万人で、前年より48万人増加した。資源保護、環境対策、生態系整備が著しく強化された。耕地を林地に戻す事業と天然林保護事業で成果を収めた。重点流域と地域の環境汚染対策が強化され、一部の都市の環境がいくらか改善された。社会主義精神文明建設と民主化・法制整備が引き続き進められた。(刑事事件の)「厳重取り締まり」対策闘争と社会治安総合対策で一応の成果を収め、法によって一群の暴力団組織・犯罪グループを壊滅させ、重大な刑事犯罪者を処罰した。国防と軍の近代化は新たな歩みを進めた。

 昨年、われわれは中国共産党創立80周年を盛大に祝賀、江沢民総書記が「71」重要演説を発表し、「3つの代表」(先進的生産力発展の要請、先進的文化前進の方向、最も広範な人民の根本的利益を代表すること)の思想の科学的内容と重大な意義を説明した。156中総は党の作風づくりを強化、改善する重要決定を行った。北京は2008年オリンピック開催権を獲得した。わが国はアジア太平洋経済協力会議(APEC)第9回非公式首脳会議などの重要国際会議を成功させた。長期の努力を経て、わが国はWTOに正式加盟した。これらすべてのことはわが党と国家の事業の発展に大きく深い影響を与え、全国各民族人民の愛国の熱情をかきたて、民族の誇りと結集力を強めた。

 2001年の経済・社会発展の顕著な成果をあげるのは容易でなかった。これは江沢民同志を中核とする党中央が全体を見渡し、情勢をよく判断し、適時に正しい政策決定と部署配置を行ったたまもので、全国の各民族人民が鋭意進歩をめざし、団結して奮闘したたまものである。

 ◇人民生活の改善続く

 都市・農村人民の生活は昨年も引き続き改善された。昨年わが国の都市住民1人当たり可処分所得は実質8.5%伸びた。中央財政と地方財政は社会保障支出を大幅に増やした。国有企業の一時帰休者の基本生活費と定年退職者の基本年金は、ほぼ期日に全額支給された。都市住民の最低生活保障の対象者は年初の400万人余りから年末の1120万人余りに拡大した。国は機関・事業体の職員・労働者の給与と定年退職者の年金水準を引き上げ、企業定年退職者の基本年金を増額した。これらいくつかのために、中央財政だけで年間に621億元の支出が増加した。

 昨年、わが国農民の1人当たり純収入(総収入から必要な経費を除いたもの)は実質4.2%伸びた。電力網改造の加速と電力料金正常化により、農村の電力料金が下がり、農民の負担が軽減された。都市・農村の市場は繁栄し、住民の居住、交通条件はさらに改善された。

 ◇当面の経済・社会の問題点

 現在の経済、社会生活に早急に解決すべき問題が少なからずあることをはっきり見なければならない。主なものは、農民の収入の伸びが遅く、いくつかの食糧主産地と災害のひどかった地方の農民の収入が減っている、一部地方の給与遅配が深刻で、一部企業の経営と職員・労働者の生活がなお苦しく、就業圧力が増していることである。さらに産業構造の不合理さ、経済体制の深層部の問題が解決されておらず、生態環境問題が依然としてかなり際立ち、地方保護主義がなかなかなくならず、市場経済秩序も引き続き整えなければならない。また一部の地方、部門と指導幹部の間で形式主義、官僚主義が横行し、虚偽・誇張、派手好み・浪費がひどく、一部の腐敗現象がなおかなり目立っている。一部の単位(企業、官庁、機関、団体などの総称)は規則に反して財政資金や特定資金を流用している。法律があってもそれによらず、法律の執行が厳格でないといった問題がかなり広くみられる。重大な事故がしばしば発生している。一部の地方は治安がよくない。

 これらの問題には長年の間に生じたものもあれば、活動における欠点や誤りと関係のあるものもある。これを大いに重視し、解決のための強力な措置をとらなければならない。

 ◇2002年の活動の全体的要求

 党中央の配置によると、今年の活動の全体的要求は、ケ小平理論と第15回党大会の精神を導きに、江沢民同志の「71」重要演説と党155中総、6中総の精神をさらに貫き、実行に移し、「3つの代表」の要求に従って、複雑で変化の多い国際政治・経済情勢を正しく把握し、前進途上のさまざまのリスクと困難を排除、克服して、経済と社会の安定を維持すること、内需拡大の方針を堅持し、引き続き改革を深化させ、開放を拡大し、構造調整を加速し、市場経済秩序を整頓、規範化し、経済成長の質と効率を高め、国民経済の持続的、急速、健全な発展と社会の全面的進歩を図ること、さらに精神文明建設、民主化・法制整備と党の建設を確実に強化し、政府機能を転換し、団結して奮闘し、勤勉・倹約の精神で国家を建設して、改革・開放と近代化の新たな成果で第16回党大会を迎えることである。(以下省略)