石広生対外貿易経済合作部部長、内外記者団と会見

 石広生対外貿易経済合作部部長312日、開会中の第9期全国人民代表大会第5回会議主催の記者会見に出席し、内外記者団の質問に答え、次のように述べた。

 ◇新ラウンドに積極参加

 世界貿易機関(WTO)の新たなメンバーとして、中国は新ラウンド(多角的貿易交渉)に積極的に参加する。新ラウンドについて、中国は公平、公正、合理的な国際経済新秩序の樹立に役立ち、世界経済の発展と貿易・投資の円滑化に役立ち、先進国と途上国の利益の均衡に役立つものでなければならないと考えている。

 ◇外資導入見通し450500億ドル

 今年、中国が導入する外資は450億から500億ドルに達する見込みだ。昨年、中国の外資導入契約は前年比10.43%増の6919000万ドル、利用実績は14.9%増の468億ドルに達した。利用実績は過去最高となった。

 ◇経済グローバル化に積極姿勢

 中国の多国間、2国間経済・貿易関係面の進展は、より開放された中国が積極的、主動的姿勢で経済のグローバル化に参加することを示している。

 今年は中国のWTO加盟1年目で、加盟によって中国の対外開放は新たな歴史的段階に入った。新たな情勢を前に、われわれはWTO加盟を契機とし、チャンスをとらえ、挑戦を迎え撃ち、現在の世界経済の不振が中国の対外経済・貿易に与えるマイナスの影響を克服し、世界各国、各地域との経済・貿易交流を一層緊密にし、中国の国民経済と対外経済・貿易の発展を促す。

 昨年、中国は15年に及ぶ関税貿易一般協定(ガット)復帰とWTO加盟の交渉を終え、正式にWTOメンバーとなった。WTO加盟は中国の改革・開放により有利な国際環境をもたらすだろう。中国は多角的貿易体制の整備に積極的、建設的役割を果たす。

 昨年6月、中国はアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会議を成功させ、ドーハ会議での新ラウンド(多角的貿易交渉)立ち上げを促すうえで、積極的役割を果たした。中国は市場多様化戦略を実施し、新たな進展を収め、米国、欧州連合(EU)、アジアなど主要な経済・貿易パートナーとの経済・貿易関係が着実に発展し、独立国家共同体(CIS)、東欧、中南米、アフリカなどの国との2国間経済・貿易関係が一層緊密になった。

 ◇対外経済・貿易、好調維持 今年12月の状況からみて、中国の経済・貿易は依然として着実に発展する好調さを維持している。

 今年12月、貿易総額は前年同期比8.8%増の7572900万ドルで、うち輸出が14.1%増の4084000万ドル、輸入が3.2%増の3488900万ドルに達した。外資利用は契約額が前年同期比24.41%増の1144900万ドル、実績が28.37%増の587400万ドルだった。

 この20年余りの実践で証明されたように、改革を深め、開放を拡大することは国民経済の持続的、急速な発展の根本的原動力である。WTO加盟は改革・開放に新たな活力を注入し、国民経済と対外経済・貿易の新たな発展を推進するものである。

 ◇中国は反ダンピングの被害国 中国は世界で反ダンピングの最大の被害国の1つであり、WTOの反ダンピング・ルールを使って自らの利益を守る。これまでに中国に対する反ダンピング提訴は485件に上っている。この数字が示しているように、中国は世界で最も被害の深刻な国の1つである。

 中国の反ダンピングに対する姿勢は、第1に反ダンピングを乱用し、保護貿易主義を行うことに断固反対する、第2に反ダンピングではWTOの関係規定を厳守しなければならない、第3にWTOの規定に基づいて、応訴し、中国の関係企業の利益を保護する、である。現在の状況に対応するため、対外貿易経済協力省は公平貿易局を設置し、国家経済貿易委員会は産業被害調査機関を設置した。この2つの機関は海外製品の中国でのダンピング状況を調査し、裁定を下す。

 ◇米国の保護貿易主義批判

 米国が一部鋼材の輸入関税を引き上げると発表したことは保護貿易主義であり、WTOルールに反するものである。中国は米国の通商法201条発動に対し、WTO提訴を含め、対抗措置を留保する。

 ブッシュ大統領が鋼材輸入に対し、201条を発動すると発表したのを受け、中国対外貿易経済協力省は6日、直ちに中国側の厳正な立場を表明した。われわれは、これは米国の保護貿易主義のやり方であり、WTOのルールに違反していると考える。

 7日、馬秀紅対外貿易経済協力次官が米国の通商担当官と交渉した。8日にはゼーリック米通商代表に書簡を送り、中国の厳正な立場を表明した。

 われわれは次のように考える。米国鉄鋼業界の困難は輸入過多によるものではなく、自らの調整の中での問題である。米国のやり方は世界の鉄鋼貿易を損なうものであり、また米鉄鋼業界の現在の困難を解決しないだけでなく、米国の消費者の負担を増やし、製品の競争力を弱めるものである。われわれは事態の推移を注視している。WTO提訴を含め、今後の対抗措置の権利を留保する。

 ◇GM産品の安全性管理条例実施 遺伝子組み換え(GM)産品の問題については現在、世界で科学研究と論証が行われている。人体の健康と生物の安全に害があるか否かについて、現在まだ科学的定説はない。中国政府は人身と生物の安全を守るため、世界の多くの国のやり方を参考にし、昨年5月、GM生物の安全性に関する管理条例を制定し、また3つの具体的実施規則を制定した。これらの規定は今年320日から実施される。

 中国はこれらの規則と実施方法を制定する際、透明性の原則に基づき、各方面の意見を十分かつ何度も聴取し、関係の合理的提案を取り入れた。

 ◇台湾に大陸漁業労働者の権益保障要求 台湾側が大陸の漁業労働者の権益を保障しないため、大陸側は台湾への漁業労働者派遣を中止せざるを得ない。双方の民間組織が早急に協議し、この問題を解決するよう希望する。

 台湾は大陸の漁業労働者を必要としている。しかし、大陸漁業労働者の合法的権益、人身の安全が保障されなければならない。

 従来から大陸から台湾への漁業労働者派遣は非常に多く、3万人近くに達している。しかし、台湾側が大陸漁業労働者の権益、さらには人身の安全を保障しないため、大陸側は台湾への派遣を中止せざるを得ない。

 ◇1つの中国の原則下で「3通」実現 われわれは1つの中国の原則の下、(台湾海峡)両岸の直接、双方向の「3通」(通信、通航、通商)を主張している。これは両岸企業界と同胞が長く待ち望んでいることであり、台湾と大陸の経済発展に利点がある。

 中国と中国台北の単独関税地域が相次いでWTOに加盟したことは、両岸の経済・貿易関係発展の契機をもたらした。われわれは1つの中国の原則の下、直接、双方向の「3通」実現を主張している。両岸のことは1つの国の内部のことであり、台湾当局が1つの中国の原則を認めるなら、われわれは両岸の経済・貿易協力に関する各方面の意見を聞きたい。自由貿易区を設置する問題の当面の急務はまず「3通」を実現することである。「3通」がなければ、自由貿易区の問題など話にならない。

 「8インチ・ウエハー」の問題は台湾でホットな話題となっている。企業の投資は企業の行為であり、どこに投資するかは経済法則と市場の見返りに基づいて選択される。いかなる干渉によっても阻むことはできない。

 ◇香港との経済関係緊密化で協議

 大陸と香港のより緊密な経済・貿易関係は双方の経済・貿易関係の発展に役立つ。現在、関係の協議が順調に進められている。

 昨年末、香港特別行政区の董建華行政長官は北京で中央政府に対し、より緊密な経済・貿易協力関係の確立について提案を行った。中央の指導者は直ぐに対応し、対外貿易経済協力省が先頭に立ち、香港特区政府と具体的協議に入ることを決定した。

 今年125日、対外貿易経済協力省の安民・次官が香港特区政府の梁錦松財政官とより緊密な経済・貿易関係の確立について協議する枠組みと内容などの問題について具体的に協議し、原則的合意に達した。2月下旬、双方の高官が初の協議を行った。今月末、双方の高官は具体的協議を行う。協議は順調に進んでいる。

 協議の主な内容は2つで、投資・貿易の円滑化措置と貨物貿易の関税と非関税措置である。双方は、投資・貿易の円滑化措置はやりやすいものからやる原則に従い、合意したものからやることを一致して確認した。