朱鎔基総理、中国の青写真を描く

本誌記者 任生徳

 朱鎔基総理が35日に行った政府活動報告は約15000字、次の8つの部分からなっている。

 一、内需を拡大し、育て上げて、経済の比較的速い成長を促す。

 二、農業と農村の経済発展を速め、農民の収入増に力を入れる。

 三、経済構造の調整と経済体制の改革を鋭意推進する。

 四、WTO加盟後の新しい情勢に適応し、対外開放のレベルを全面的に高める。

 五、引き続き市場経済秩序の整頓と規範化に大いに力を入れる。

 六、科学技術・教育による国の振興の戦略、持続可能な発展の戦略を実施し、精神文明の建設を強化する。

 七、政府の職能をさらにいっそう転換させ、政府部門の作風の改善に努める。

 八、外交活動をよりよく進める。

昨年のGDP95933億元

 新世紀の1年目に、世界の経済成長が大幅にスローダウンする中で、中国の国民経済は引き続き良好な発展の勢いを保った。

 昨年のGDPは前年比7.3%増の95933億元に達した。年間の一定規模以上の工業企業が実現した利潤は4657億元で、8.1%増えた。全国の財政収入は16371億元に達し、比較可能な枠で計算して2400億元増加した。消費者物価の全般的水準は0.7%上昇した。輸出入総額は5000億ドルを突破し、そのうち輸出は2662億ドルで、6.8%伸びた。外国企業の直接投資は468億ドルで、14.9%伸びた。年末の国の外貨準備高は前年末より466億ドル増えて、2122億ドルに達した。

都市住民の1人当たり可処分所得が8.5%増

 昨年の中国都市住民の1人当たり可処分所得は実質的に8.5%伸びた。都市部住民の最低生活保障の対象者は年初は400余万人だったが、年末は1120余万人に増えた。国は政府機関と事業体の職員の賃金と定年退職者の年金水準を引き上げ、企業の定年退職者の基本年金を増額した。これらの数項目で、中央財政だけでも年間支出が621億元増加した。農民の1人当たり純収入は実質的に4.2%伸びた。

当面の経済と社会の問題点

 当面の経済と社会生活の中に解決を待たれる問題がまだ少なからず存在している。その主なものは、農民の収入の増加が遅く、いくつかの食糧主産地とひどい災害に見舞われた地区の農民の収入が減り、一部地区の給与遅配が深刻で、一部企業の操業と従業員の生活が依然として困難であり、就職の圧力が大きくなっている。産業構造不合理と経済体制の深層部の問題がまだ解決されておらず、生態環境問題が依然としてかなり際立っており、地方保護主義がいくら禁止してもなくならず、市場経済秩序も引き続き整備が待たれている。一部の地方、部門および指導幹部の間で形式主義、官僚主義が横行し、虚偽を弄し、派手好み、浪費の現象がゆゆしく、腐敗現象もかなり際立っている。一部の部門は規則に違反して財政資金や特別資金を流用している。法律があってもそれによらず、法律の執行が厳格でない問題が比較的に普遍である。重大な事故が時おり発生している。一部の地方の治安状況がよくない。

今年、長期建設国債を1500億元発行

 必要性と可能性に基づいて、今年は長期建設国債を1500億元発行する予定である。それは主として、建設中の国債による建設プロジェクト、西部開発プロジェクト、重点企業の技術改良および南部から北部への導水、北京・天津の水資源保護プロジェクト、農村のインフラ、公安・検察・裁判・司法機関と大学の学生募集拡大に必要な施設などの建設に用いる。1998年以来着工した大部分の国債によるプロジェクトは今年内にほぼ完工する。

都市と農村住民、とりわけ低所得層の収入を増加          

 当面の厳しい国際経済情勢の下で、経済の比較的速い成長を実現する根本的方途は、内需を拡大し、消費と投資の両方に牽引の役割をいっそう発揮させることである。まず都市・農村住民、とりわけ低所得層の収入を増加し、その購買力を培い、高めなければならない。その具体的対策は次の五つある。一はいっそう有力な措置を講じ、百方手を尽くして農民の収入を増やし、農民の負担を確実に軽減する。二は都市部の社会保障システムをいっそう整備する。三は引き続き政府機関と事業体職員の基本給を適当に引き上げ、相応に政府機関と事業体の定年引退・退職者の年金を増やす。各種所有制の企業も収益の向上をふまえて、その職員・労働者の給与を適当に増やすべきである。四は就職と再就職を積極的に拡大する。弱きものの就職に特殊な援助を与える。五は消費の分野をさらに広げ、消費環境を改善する。改革の深化を通じて、政策を調整し、消費を制約するさまざまな障害を取り除く。住民が住宅、観光、自家用車、電信・電話、文化、スポーツおよびその他のサービス消費を増大することを奨励し、新たな消費ホットスポットを育成する。

経済構造調整を鋭意推進する

 経済の発展を制約する構造的矛盾と体制面の障害を一歩進んで解決し、経済の持続的な成長を促進し、経済の質と競争力を向上させる。経済構造の調整を大いに推進し、経済体制改革をたゆまずに深化させなければならない。産業構造の最適化とグレードアップを速めるには、次の三つのことをしなければならない。一はハイテクと実用的な先進技術を採用して在来産業を改造し、グレードアップさせる。二は情報、バイオ、新素材などのハイテク産業の発展を速め、情報ネットワーク、新型電子デバイス、集積回路(IC)、ソフトウェア、新素材および漢方薬の現代化など特定分野のハイテク産業化の重要プロジェクトの企画、実施に引き続き力を入れ、国民経済と社会の情報化を推進する。三は第三次産業、とくに現代サービス業を鋭意発展させる。金融、会計、コンサルティング、法律サービスなどの業種の発展を速め、チェーン経営、物流配送、代理制、電子商取引などの組織形態やサービス方式を逐次推し広め、観光業と文化産業を大いに発展させ、西部開発を積極的に推進し、地域間のバランスのとれた発展を促し、西部地区のインフラと生態環境の建設を引き続き強化する。

国有企業の再編、改組および独占業種の改革を推進

 積極的に国有企業の再編、改組および独占業種の改革を推進する。一は現代企業制度の建設を確実に強化する。二は企業の再編と改組を鋭意推進する。一群の国際競争力を持つ大手公司や企業グループをできるだけ早く形成し、発展させる。三は企業の倒産、吸収合併を引き続き段取りを企ってりっぱに行う。わけても政策に基づいて職員・労働者を適切に再配置し、社会の安定を保つように気を配らなければならない。行政・企業の分離と企業の再編を通じて業種の独占を打破し、適度な競争を形成する。

生命と健康に危害を及ぼす食品と薬品を重点として、
市場経済秩序を整頓し規範化させる

 決意をいちだんと固め、より強力な措置をとって、引き続き市場経済秩序を大いに整頓し、規範化させ、重点を際立たせる。一はさまざまな偽物・粗悪品を製造、販売する違法犯罪行為をいちだんと厳しく取り締まり、とりわけ人々の生命と健康に大きな危害を及ぼす食品、医薬品、医療器械などの偽造品の生産、販売行為を思いきり厳しく取り締まる。二は建築市場、文化市場と財政・税務秩序を引き続き整頓し、規範化させる。たゆむことなく、さまざまな税金のごまかし、脱税、外貨の海外への不法持出し、外貨の詐取、ネズミ講式販売や密輸などの違法・犯罪行為を取り締まる。観光市場の秩序を大いに整頓する。三は金融秩序の整頓を深く進める。四は地方保護と業種独占を打破する。五は生産と交通の安全管理を強化し、安全責任制を健全にする。市場経済秩序を整頓し、規範化させる過程で、力を集中して重大案件と重要案件を取り調べて処理し、違法犯罪分子と腐敗分子を厳しく処罰する。

 WTO加盟後の新しい情勢に適応し、対外開放のレベルを全面的に高める

 200211日から、中国はすでに関税の全般的水準を153%から12%に引き下げ、それにかかわる税目は5300のもある。今年は国際競争力の増強を核心とし、重点的に下記のいくつかのことに取り組む必要がある。一は法制の一本化、非差別、公開透明の原則にもとづいて、世界貿易機関(WTO)のルールにも合致すれば、我が国の国情にも適合した渉外経済法律・法規体系の整備を急ぎ、法律執行の公正と効率を確保する。二は世界貿易機関(WTO)加盟の際に行った約束にもとづいて、段取りを追って対外開放の分野を拡大する。三は世界貿易機関(WTO)の加盟国として中国が享有する諸権利を真剣に検討し、掌握し、それを充分に行使し、積極的に地域経済協力を促し、それに参与する。四つは世界貿易機関(WTO)についての知識やそのルールの学習、宣伝をりっぱに行い、世界貿易機関(WTO)のルールと国際経済貿易に精通した各種の専門人材の育成を速める。

 貿易に真剣に取り組み、新しい市場を開拓しなければならない。輸出商品構成を調整、最適化させ、商品の質と付加価値を高める。引き続き外資を積極的に利用し、外国投資構造の最適化をめざす。先進技術、現代的管理ノウハウと専門人材の導入に大いに力を入れる。外商誘致と資金導入行為を規範化させ、内国民待遇制度を逐次実行する。上海の二〇一〇年万国博覧会招致をバックアップする。

 外交活動をよりよく進める

 新しい年に、引き続き独立自主の平和外交政策を遂s行する。平和共存五原則を踏まえて発展途上諸国との連帯と協力を強め、周辺諸国との善隣友好協力関係をいっそう強固にし、深化させ、引き続き先進諸国との関係を改善し、発展させる。積極的に国連およびその他の国際実務に参与し、世界各国人民とともに平和、発展、進歩の事業に力を入れ、覇権主義と強権政治に反対し、あらゆる形のテロリズムに反対し、公正かつ合理的な国際政治・経済新秩序の構築を促し、世界平和の擁護と共同繁栄の促進により大きな貢献をする。