中国、全面開放の約束を果たす

本誌記者 任生徳

 朱鎔基総理は35日に開かれた第9期全国人民代表大会第5回会議で、中国政府がWTO加盟の約束を厳守し、市場の全面開放を実行する、と言明した。

 昨年、中国は成功裏に五輪の開催権を獲得し、上海でアジア太平洋経済協力会議を主催し、つづいてWTOに正式加盟し、経済を発展させると同時に日増しに増強する国力を世界にを示した。朱総理の政府活動報告はこれらの成果をめぐって、内需拡大、改革深化、構造調整の加速、市場秩序の整頓と規範化、対外開放レベルの向上など八つの方面から施政綱領を説明し、代表から嵐のような拍手を博した。

 過去の計画経済体制の時に積み重なり、残されてきた多くの問題が経済の発展を妨げているため、中国政府は長期にわたって経済発展を妥当に、持続的に促すことのできる政策を探していた。大会に出席した代表たちが言うように、朱鎔基総理の報告は中国経済の本質的問題を正視する報告であり、中国が過去の硬直化した計画経済体制の下で国を治める複雑性から抜け出したことを示している。

 吉林省代表の王雲坤氏は次のように述べた。総理の報告は当面と今後の長い期間のことについて述べている政府の政策宣言と任務書である。この報告は国内の安定を重じんる立場に立って、当面の差し迫った任務は都市・農村住民、とりわけ低所得層の収入を増やし、経済構造調整を大いに推進し、経済体制改革を速めて、7%を上回る経済成長率の実現を確保すると強調している。WTO加盟後の新たな情勢に適応し、対外開放のレベルを全面的に高める意義については、アメリカの投資銀行がある予測レポートの中で述べているように、「中国は依然として挑戦に直面し、一時的に挫折を蒙り、とりわけWTO加盟後の最初の一時期内に、自身の調整のために払う代価がそのあげた成果より大きいとは言え、これらの代価で取り替えた成果はとりもなおさず今後のより長い期間内において効率を大幅に高めることである」。王雲坤氏は、中国は短期間内にWTO加盟による陣痛に耐えざるを得ないが、政府が方策を立てて中国経済の持続的な、安定した、健全、急速な発展のためにしっかりした基礎を築くだろう、と見ている。

 WTO加盟後の中国を待っているのは世界経済のもたらす利益を分かち合うことだけでなく、イバラと落とし穴もあるが、代表たちはWTO加盟という政府の行った決定を一致して擁護、称賛した。真先に改革・開放の成果を享受した代表の張高麗氏(前広東省党委員会副書記、深?市党委員会書記、現在、山東省省長)の体得が最も深いものであるかもしれない。「中国政府は20世紀80年代に改革・開放の道を選んでから今までに、最初の『三来一補』(原材料委託加工、サンプル委託加工、部品委託組立て、補償貿易)から中外合資企業の設立、経済特別区の設置から、全方位の対外開放に至るまで、あまり研究しないでやめてしまうとか、小さな成果をあげたことに満足するようなことをせず、選んだ道からはずれるようなことはなおさら見られない。中国はこうして困難に満ちた奮闘を通して一歩一歩富強になったのだ。WTO加盟をメルクマールとして、中国の改革・開放は新たな段階に入り、中国はより大きな範囲内により深く国際経済協力と競争に参与し、中国経済と世界経済とのリンクを実現している。これは中国にだけでなく、世界にも利益をもたらす。全中国人民は全力あげて政府がWTO加盟の約束を果たすのを支持する」。

 欧州連合(EU)のラミー貿易担当委員は「中国はずっとこの既定計画の遵守を保証しており、中国がそれを遵守することができると思う」と語った。中国がWTOに行った約束は「われわれが見たことがない方式で世界最大の国にわれわれの工業製品、農産物、サービス業に開放させることだ」(バルシェフスキ前米貿易代表)。中国政府がWTO加盟に積極的に対応する態度は、実際を重んじ、責任を負う中国が信用を守り、約束を履行し、WTOの関係規定に抵触する法規の整理および関税税率引き下げなどに具現されている。今年11日から、中国はすでに5300余税目にかかわる関税税率を15.3%から12%に引き下げた。「私はこれらの約束を果たすのに時間がかかるのを知っている。中国の約束の中に明確な計画に基づいて逐次実施するものがあるからである」とラミー氏は述べた。

 中国政府がWTO加盟の約束の実行は、経済構造の調整と政府職能の転化を通じて国際競争力を高め、対外開放のレベルを高めることである。これらの措置には、政府活動報告の中で強調されている四つの重要なマクロ活動と企業のミクロ経済行為が含まれている。

 四つのマクロ活動は次の通り。@法制統一、非差別、公開透明の原則にのっとってWTOの規則にも合致すれば中国の国情にも合致する渉外経済法規システムを整備して、法律執行の公正と効率を確保する。AWTO加盟の約束に従って、段取りを追って対外開放分野を拡大するとともに、品質、衛生、防疫、環境保全、安全などの面の市場参入基準をできるだけ速く制定、改正する。BWTOの加盟国としての中国が享受する諸権限を真剣に研究、把握し、それを十分に運用して、地域経済協力を積極的に推し進める。CWTOと関係ある知識と規則の学習、宣伝し、何回かに分けて国家公務員、とりわけ処クラス以上の責任者および大・中型企業の管理者を養成し、WTOの規則と国際経済貿易に精通する各種の専門人材の養成を急ぐ。

 企業のミクロ経済行為は、市場多元化戦略の実施、新しい市場の開拓、輸出商品の構成と最適化、商品の質と付加価値の向上などの手段で国際競争力を増強することである。日本のマスメディアは、中国の総理が国際市場に向かって進軍ラッパを吹き鳴らしたとユーモラスに述べた。

 香港・澳門・台湾の代表と外国人専門家の感覚については、外国記者は次のようにまとめた。朱鎔基総理が政府活動報告の中で提出した「政府の活動の作風を変え、清廉潔白、政務精励、実務的、高効率の政府を建設する」という目標は信頼、実行できるものである。なぜなら、こうすれば、中国のWTO加盟の必要に合致するだけでなく、中国の改革・開放の必要にも合致するからである。中国が外資を積極的に利用し、外資構造を最適化させ、先進技術や現代化の管理経験と専門人材の導入に取り組んでいることから、今後の一時期に中国経済が持続的な、安定した、健全、快速な発展を保つのは阻むことのできないものである。投資環境の改善、法体制の健全化、法による事務処理、サービス改善、効率向上などは中国の指導グループが力を入れて解決する問題となっている。