北京で「中日住宅金融セミナー」

 中国人民銀行、中国建設部、日本国国際協力事業団(JICA)共同主催の「第6回中国住宅金融改革セミナー」がさいきん、北京の長安街東単‐‐王府井の一角でオープンした超デラックスホテル「グランド・ハイアット(北京君悦大酒店)」のコンベンションホールで開催された。

 開幕セレモニーでは、櫻田幸夫日本国際協力事業団中国事務所所長、李若谷中国人民銀行行長補佐、李秉仁中国建設部政策研究センター主任、目賀田周一郎日本国在中華人民共和国公使があいさつの言葉を述べた。

 李若谷氏のあいさつの要旨。

 今回のセミナーは、中国における住宅金融制度の改革についての研究の最終報告発表とそれをタタキ台としてのセミナーということになっている。このテーマの研究は20004月にスタートしたもので、制度および管理の分野におけるJICAの技術協力プロジェクトでもある。2年このかた研究グループは綿密な実地調査と大がかりなアンケート調査を通じて、中国の住宅金融の現状と動きについておおむねそれを把握するに至った。そして、中国の国情と結びつけて、日本を含む住宅金融のプラスの経験を参考にして、参考に値する研究成果をまとめ上げた。これらの成果はわれわれが住宅業のニーズ、住宅金融の現状と未来を正確につかみ取って、関連政策を策定し、それを実施するうえで、非常に価値があり、参考に値すると言うべきであろう。わたしは、これらの成果が、中国における住宅金融制度の充実、発展に役立つにちがいないと信じている。

 住宅業およびそれと関連のある金融業は、中国の経済の重要な構成部分であるとともに、内需を拡大するマクロ政策の重要な一環である。ここ数年来、経済の持続的な急速発展と住宅制度の改革の進展につれて、住宅業と関連金融サービスのニーズが急増し、そのなかで政策的金融と商業的金融が共存する住宅金融システムが一応構築されることになった。そして住宅金融業務はすでに名実ともに商業銀行の目玉商品となっている。未来に目を向けるならば、中国は世界で人口のもっとも多い発展途上国であり、これは中国における住宅関連投資と住宅金融業のマーケットの発展の可能性が非常に大きいことを物語っている。同時に、われわれは中国には数多くの低収入層が存在しており、これらの人びとの住宅に対するニーズを満たすうえでのプレッシャーも大きい。永続的な、安定した、高効率の住宅供給システムと住宅金融システムを構築するには、制度、方法、管理の面で不断なる努力と革新を必要としている。そういう角度から見て、わたしは今回の研究が幸先きよいスタートとなることを願っており、セミナーにご出席された日本側の専門家のみなさんがわれわれとともに中国の住宅金融事業の発展のために寄与されることを願っている。

 開幕セレモニーのあと、草野恵一野村総合研究所主席コンサルタントが調査報告を読み上げた。一時間数十分にわたるプレゼンテーションであったが、中国側関係者の間で大きな反響を呼んだ。

 そのあとで、謝平中国人民銀行研究局局長、李秉仁氏、辺見敬三郎住宅金融公庫理事、草野恵一氏が村本孜成城大学大学院経済学研究科研究科長のコーディネートのもとでパネルディスカッションがおこった。

 今回の研究成果である調査報告は、中国の住宅業、住宅金融についてのこれまでにない全面的な論述でもあり、一冊の本として残しておく価値のあるものであった。

(林国本)