中国、宇宙船『神舟』3号の打ち上げに成功

 中国は北京時間325日午後1015分、酒泉衛星発射センターから、中国が開発した無人宇宙船「神舟」3号を打ち上げ、予定の軌道に乗せることに成功した。江沢民共産党中央総書記・国家主席・中央軍事委主席が有人宇宙船発射場で宇宙船の打ち上げを見学し、重要演説を行った。江総書記は「宇宙船『神舟』3号の打ち上げ成功は、中国の宇宙事業発展史における新たな一里塚で、中華民族の自疆の精神を十分に示し、力を集中して大事業に取り組む社会主義制度の優位性を十分に反映し、中国人民が世界各国と肩を並べる気概と能力をもっていることを十分に証明したものだ。宇宙船『神舟』3号の打ち上げ成功が、全国各民族人民の誇りと結集力を呼び起こし、中国の特色をもつ社会主義を建設する偉大な事業を引き続き前進させる各民族人民の自信を深めることは間違いない」と指摘した。

 呉邦国党中央政治局委員・副首相、曽慶紅同政治局委員候補・書紀処書記、于永波中央軍事委員・総政治部主任、曹剛川中央軍事委員・総装備部部長・有人宇宙飛行プロジェクト総指揮も江総書記に同行し打ち上げを見学した。

 午後1015分、点火されたロケットは上昇を始めた。ロケットは長く赤い炎を噴射し、発射場上空には雷のような音が鳴り響き、宇宙船「神舟」3号は猛スピードで上昇し、夜空に美しい軌跡を残した。10分後、宇宙船は予定の軌道に乗った。今回の打ち上げ成功は、中国の有人宇宙飛行プロジェクトが新たな重要な進展を収めたことを示すもので、近い将来、中国の宇宙飛行士を宇宙に送るための強固な基礎を築いた。

 江総書記は宇宙船の打ち上げが成功したあと、演説を行った。総書記はまず党中央、国務院、中央軍事委員会を代表して、宇宙船の開発、建設、実験に参加した、すべての科学技術者、解放軍の指揮員・戦闘員に熱烈な祝意を表した。続いて「有人宇宙飛行プロジェクトの実施は、党中央が世界の科学技術発展の動向に基づき、中国の科学技術事業と近代化の大局を考えて決定した重要な戦略的政策である。10年来、宇宙船の開発、建設、実験に参加している同志は全員、党と人民から託された歴史的重責を銘記し、国のために栄誉を目指す雄大な志を立て、『両弾1星』(原爆、水爆、人工衛星)精神を発揚し、独立自主、自力更生、団結協力、革新進取の姿勢で、有人宇宙飛行プロジェクトに関する一連の重要技術を攻略し、重大な成果を収め、中国の特色をもつ有人宇宙飛行システムを初歩的に築き上げ、先進的な宇宙船「神舟」号と運搬ロケットを開発し、中国の先端科学技術を結集した宇宙船応用システムを構築し、近代的な衛星発射場、宇宙観測網、宇宙船着陸システムを構築し、宇宙飛行士の訓練に取り組んできた。特に『神舟』1号、2号、3号の打ち上げで、中国の有人宇宙飛行技術は新たな水準に到達した。これらはすべて、われわれが世界のハイテク分野における要害の高地を制圧し、経済発展、科学技術進歩、国防の近代化を促進することに、非常に重要な意味をもっている」と指摘。「航空科学技術部隊は特に苦しい試練に耐え、戦闘力をもち、難関を攻略でき、献身できる部隊である。広範な科学技術者と解放軍の指揮員・戦闘員は有人宇宙飛行プロジェクトの発展に大きく貢献しており、祖国と人民は彼らを永遠に忘れないだろう」と語った。

 また「現在の世界では、科学技術が日進月歩で、科学技術は第1の生産力としての大きな役割をますます発揮するようになっており、1国の総合国力を示す重要な目印になっている。われわれはチャンスをとらえ、挑戦に対処し、発展を加速し、中国の科学技術と総合国力を新たな、より高い水準に高めなければならない」と強調した。

 「神舟」3号の打ち上げに先立ち、江総書記は曹剛川有人宇宙飛行プロジェクト総指揮らの報告を聞き、宇宙船打ち上げ前線指揮部、指令管制ホール、ロケット・宇宙船垂直装着テスト施設、有人宇宙船発射場を視察し、テストに参加した関係者と親しく握手を交わした。

 今回打ち上げられた「神舟」3号は無人宇宙船だが、飛行技術の状態は有人宇宙飛行の場合と完全に同じという。今回の打ち上げ実験で、運搬ロケット、宇宙船、打ち上げ観測システムは一段と改善され、有人宇宙飛行の安全性と信頼性が向上した。宇宙船には、人体代謝を模した装置、擬人生理信号設備、ダミーが搭載されており、模擬宇宙飛行士の宇宙における重要な生理活動に関するデータを計測できる。今回の打ち上げでは、避難救出システムのテストも行われた。このシステムは緊急状況の下で、宇宙飛行士の安全を確保するためのもの。

 「神舟」3号は軌道飛行部分、地上帰還部分、推進部分、付加装置部分からなる。宇宙船は宇宙に打ち上げられてから、地球を数日飛行し、一連の科学実験を行う。中国科学院は宇宙船上でいろいろな宇宙応用実験を行う。その後、宇宙船の地上帰還部分は地上に戻り、軌道飛行部分は予定の後続科学実験が終わるまで、宇宙を飛行する。

 宇宙船が軌道上を飛行している間、北京宇宙飛行管制センターの統一計画のもと、西安衛星観測センター、関係観測ステーション、遠洋宇宙観測船「遠望号」が、「神舟」3号を追跡、観測、コントロールする。

 無人宇宙船「神舟」3号は中国宇宙科学技術集団所属の中国空間技術研究院と上海宇宙技術研究院が中心になって開発し、運搬ロケット「長征2号F」は中国運搬ロケット技術研究院が中心になって開発した。今回長征シリーズとしては66回目の打ち上げとなる。中国の運搬ロケットは199610月以来、24回連続で打ち上げに成功している。