中国の法体制整備

本誌記者 任生徳

 長期間にわたって法制化を絶えず推し進めてきた結果、中国はすばらしい法制環境によってもたらされたかつて見ない発展のチャンスを迎えている。

 李鵬全国人民代表大会常務委員会委員長は第9期全国人民代表大会第5回会議で中国の法制化の推進とWTO加盟後の法律整備などの問題をめぐって全国人民代表大会常務委員会が1年来行った活動と収めた成果を列挙したが、それは全人代代表と全国政治協商会議委員らが全国人民代表大会、政治協商会議という二つの関係会議の報告を審議する際の最もホットな議題となった。第9期全国人民代表大会常務委員会が可決したか改正した法律は83部に達したが、これは1979年以来歴代人民代表大会の最高となっている。

 中国のような市場経済をわずか20数年発展させただけの国にとって、健全な法制国家の法律システムを確立し、健全にし、国の法制化実現を制約する最大の障害を取り除き、社会の法律信仰を評価することは依然として人民代表大会とその常務委員会の最も重要かつ繁雑な任務である。

 中国の人びとは今日ほど法律を信じ、それを尊重し、政府の法制化に熱心に参与することがこれまでなかったし、中国政府も「法による行政」、「法による国家管理」にかつて見ない姿勢をとり、確固不動の決意を表している。中国の法制化に関心を持つ西側のマスメディアは上述の事実に留意している。

 10数年前の中国人の習慣的な考え方は、政府が政策を調整するかまたは自分の権益を保護するよう要求することであった。彼らは法律に頼るのではなく、不満と思うことや問題について上告書を書いて政府の関連部門に提出し、同情心のある官員が彼らの意見を聴取し、実際の問題を解決することを望むことであった。その時の中国では、法制がまだまだ健全なものではなく、多くの人は法的意識に欠けていた。

 今日では、豊かな暮らしをしている中国人は、10年間にわたった「文化大革命」が中国に混乱と貧困をもたらしただけでなく、中国の13億近い人がいまでも貧しく立ち遅れた小さな村に暮らしているという偏見を西側諸国に持たせる法的意識の欠如をもたらしたことを認識している。

 中国の著名な映画監督の張芸謀氏が監督した「秋菊の物語」という映画の中で、中国の典型的な農村の女性の秋菊がその時代の人々の法的意識の目覚めを代表している。「秋菊の物語」は秋菊が村長に蹴られて怪我した夫のために意地をはって訴訟をすることを描いている。この映画は中国の法律普及専門家たちにこれまでの中国の法制整備の最もすばらしい法律普及教科書に喩えられている。

 これまでの10年間に、人々は法的手段を利用して自らの利益が侵害されないようにすることは最も効果的なやり方であることを深く認識している。法律について相談し、法律知識を学習し、ひいては弁護士に日常の法律事務を任せる人もだんだん増えている。

 多くの地方政府は法律顧問機構や問題を解決するための専門グループを設置し始めた。海南省の裁判所はウェブサイトを通じて2000余件の訴訟事件の法律訴訟と判決に対する意見を聴取した。徐松南全人代代表は、政府はこれまでのように行政手段によって問題を解決したくない、というのはこうすれば政府がイメージダウンすると見ている。

 各業界選出の全人代代表と全国政治協商会議委員は全国人民代表大会と全国政治協商会議の関係報告を審議する時、司法界の腐敗と官員の腐敗に対する処罰に言及した。杜遠明全人代代表は、今年全国人民代表大会に提出した最高人民法院、最高人民検察院の報告は腐敗反対の宣誓、行動綱領と見なすことができる。これまでの1年間に、検察部門は4万余人の汚職腐敗分子を逮捕し、裁判部門は5人の省・部クラス高官を含む2万余人の汚職・賄賂者に法に照らして制裁を加えた。中国の経済の最も発達している南部の数省の制定した新しい法規は、官員が特殊な場合に受け取った贈り物とおひねりの金などを申告しなければならないと規定している。

 WTO加盟に直面して、中国に対する国際社会と投資家の自信を強めるため、中国の指導グループは公平かつ公正な法治環境づくりに力を入れている。朱鎔基総理は35日、全国人民代表大会で官員の腐敗行為に対し再び打撃を加えるよう呼びかけるとともに、WTO加盟の必要に適応する透明で責任感のある法治政府を樹立すると発表した。最高人民法院と最高人民検察院の報告は、特別養成・訓練を通じて、WTOのルールに精通する渉外裁判官と検察官を多数育成し、「渉外民事・商事事件を集中的に管轄し、審判能力のわりに強い裁判所が渉外民事・商事事件を集中的に受理する」と強調している。