李鵬委員長が日本を訪問

――国交30周年を記念し、理解と交流を深める

本誌東京特派員  賀 雪鴻

 日本衆参両院議長の招きに応じて、李鵬・全国人民代表大会常務委員会委員長は42日から一週間にわたる日本訪問を行った。中日国交30周年を契機に両国関係の発展、両国民の理解と交流の増進を目指す2002年「中国文化年」「日本文化年」(日本名は2002年「日本年」「中国年」)の一環としての訪日であった。

 2日に到着すると、李鵬委員長は皇居を訪れ、明仁天皇陛下ご夫妻と和やかな話しをなされた。天皇陛下は中国の西部大開発、三峡ダム工事、環境問題などに関心を示し、李鵬委員長の訪日成功と日中両国民の世々代々の友好を祈った。李委員長は、天皇に中国の改革開放の様子や経済建設の状況を紹介した。

 3日午前、綿貫民輔衆議院議長と井上裕参議院議長はそれぞれ国会議事堂で李鵬委員長と会談を行い、両国関係の発展並びにともに関心を寄せる問題について意見を交換した。

 李鵬委員長は衆参両院の手厚いもてなしに感謝の意を表すとともに次のように述べた。

 中日国交正常化30年来、両国関係は艱難曲折の道を辿ってきたが、全般的には発展を続けている。各分野における双方の交流と協力は両国民に大きな利益をもたらしている。

 「中国文化年」「日本文化年」はすでにスタートした。一連の記念行事を通じて旧い世代が中日友好を開拓し、発展させるために尽くされた貢献を温め、若い世代に友好教育を行い、理解、友情と信頼を更に深め、両国の長期の、安定した発展の基盤を固めることを期待する。

 われわれ双方は「中日共同声明」「中日平和友好条約」「中日共同宣言」の原則を守り、「歴史を鑑として未来に目を向ける」という精神をふまえて、友好と協力を堅持、擁護しなければならない。われわれ両国はすでに、平和と発展のための協力パートナーシップを構築することを認めた。これからたえずその中味を充実し、各分野で実質的成果を挙げるよう力を入れるべきである。

 新しい世紀の中日関係はいろいろな発展の機会に恵まれ、両国の政治家、特に青壮年の議員を含む若い政治家の交流は重要な意義がある。中国は両国の共通の利益を求めるため更に努力していきたい。

 現在、世界は複雑かつ深刻な変化の中に置かれている。平和と発展は相変わらず時代の主な課題である。世界の多極化は曲折を辿りながら発展しつつある。いかなる単独主義と強権政治も時代の流れと世界人民の願望に背くのである。平和と合作を求め、発展を促進しようという願いはすでに各国人民の共通の声となっている。

 綿貫民輔議長は、今日衆議院の七つの政党の代表が会談に参加したが、これは各政党と日本国民が日中友好関係の強化を非常に大切にしていることを示すものである。これから立法などについて中国との交流を強化する、と強調した。

 井上裕議長は「日本にとって日中関係は非常に重要な両国関係である」、「参議院は中国全人代と更に密接な交流と協力を期待する」、「日中双方は経済貿易協力を発展させると同時に、文化、教育、科学技術などの交流と協力を広げ、各分野における友好関係を全面的に発展させるべきである。」と語った。

 4日午前、小泉純一郎首相は首相官邸で李鵬委員長と会見し、小泉内閣は新しい世紀における日中関係の発展のために更に努力すると表明、次のように述べた。

 私は何回も中国を訪問し、上海、新疆、南京などに行ったことがある。中国の改革開放以来の驚くほどの変化を自分の目で確めた。ところが、中国の高度成長は日本の脅威になるだろうという見方がある。私はそう思わない。日本の経済も高度発展の時期があった。こうした発展は日本に有利であるばかりでなく、同時に他の国にも有利であり、相互の経済協力の機会を提供した。われわれはいま、積極的な目で中国の発展を見るべきである。

 日中両国の経済はそれぞれの長所があり、相互補完できる。特に中国のWTO加盟以後、両国は更に高い次元、もっと幅広い分野での協力を強化し、互恵と共同発展を図るべきである。

 李鵬委員長は小泉首相の見解に賛成の意を示し、「中国は一貫して独立自主の平和的な外交政策を実行し、周辺諸国との善隣友好関係を非常に重視している。日本はアジアの大国であり、中国と『一衣帯水』の近隣でもある。そのため、われわれは日本との友好、協力関係を非常に大切にしている」と強調した。

 李鵬委員長は更に、「いま、経済のグローバル化は時代の流れとなっており、地域的協力が速やかに発展している。こうした情勢を背景に、中日両国が各分野での友好、協力を密接にすることは両国の根本的利益に合致するだけではなく、アジアの振興と繁栄にも寄与する。これは、われわれが今後努力する重要な方向である」と語った。

 東京滞在中、李委員長はまた経済団体と友好団体の歓迎昼食会に出席し、川口順子外相や自民、民主、公明、保守、社民、共産各党の責任者と会見し、また国交正常化と日中関係に貢献した政治家たちやその遺族を見舞った。

 5日午後、李鵬委員長は東京のスケジュールを終えて、地方への訪問に立った。富山、宮崎、鹿児島で各界の人々と交流しながら健康・文化施設や農業栽培技術を見学した。

9日、李鵬委員長は日本訪問を終え、鹿児島空港から特別機で帰国の途についた。