外資系企業に中国株式市場の門を大きく開く

李 輝

 近い将来にコダック、レフェア、ミシュランなど、世界大手企業500社に名前を連ねる企業の名称が中国の証券取引所の株式相場掲示板に現われ、中国の上場企業と一緒に取引することになろう。中国の株式市場の門はすでに外資系企業に開いている。一方では、中国対外貿易経済合作部と中国証券監督管理委員会は、国内の外国投資企業が中国のA株、あるいはB株市場で大衆株を発行するのを許可するという通達を出し、外資系企業の中国での上場についての法規を制定する予定であり、他方では、上海外国投資工作委員会の消息によると、上述の多国籍企業は目下すでに株式制の改造が終わり、その一部はある期間の指導を終えた。まもなく、これらの世界的に有名な企業は陸続と上海と深センの証券取引所で上場して取引を行い、中国証券市場の現有の枠組みを変えるだろう。

外資系企業の中国上場に関する法規を制定

 聞くところによると、外資系企業の中国大陸部での上場についての関連法規がまもなく制定、公布される。中国対外貿易経済合作部と中国証券監督管理委員会は最近、外資の株式有限会社が中国国内で初めて株券(A株とB株)を公開発行した後、その株式資本総額に占める外資株が10%を下回らないよう要求する通達を出した。

 「上場企業の外国投資にかかわる問題についての若干の意見」という通達は次のように述べている。

 外資の株式有限会社が上場した後、その上場しない外資株の割合は株式資本総額の25%を下回るべきではない。株式資本総額の25%を下回った場合は、外国投資企業の認可証明書を返上し、また規定に基づいて関係変更手続きをすべきである。このほか、外資企業が上場企業の非流通株を引き受けるのを暫時許可しない。

 初めて株券を公開発行する外資の株式会社は、規定と手続きに従って設立するか、体制を改革しなければならず、また上場申請前の3年間に外国投資企業の年間合同検査にパスし、経営内容が「外商投資方向指導暫定規定」と「外商投資産業指導目録」の要求に合致しなければならない。

 同時に、規定により中国側が株式の大半を保有(あるいは相対的に保有)したり、あるいは中国側の持株割合について特殊な規定を設ける必要のある外商投資有限株式会社は、上場後に関係規定の要求に基づいて中国側の持株の地位、あるいは持株の割合を引き続き維持すべきである。

 このほか、B株を発行している外商投資有限株式会社は、その上場しない外資株のB株市場での流通を申請する場合、上場して流通する予定の上場しない外資株の所有者のその上場しない外資株の所有期限が一年以上でなければならず、上場しない外資株が流通株に変わった後に、そのもとの所有者が引き続き所有する期限が一年以上でなければならないという規定に合致すべきである。通達はさらに、条件にかなった外商投資企業は海外で株券を発行することができるとも述べている。

列をつくって上場を待つ外資系企業

 中国証券監督管理委員会の関係者は次のように指摘した。

 外資企業が上海と深センの証券取引所で上場するのを許可することは、三つの段階に分けて行われるが、中外合弁企業が先行する可能性が最大である。そのため、多くの多国籍企業は、中国の優秀な企業と連携したり、中国のブランドを買収したり、合弁企業を新しく設立したりすることを通じて上場の目標を達するという近道を選んだ。

 『フォーチュン』誌の選んだベスト500社の中で第43位にランクされた、イギリスとオランダの合資で設立されたレフェア社は、ずっと前から中国のA株市場での上場に熱中している。この執着は同社が長期以来実行してきた「現地化の多国籍企業になる」というグローバル経営戦略から来たものである。そのため、同社の株式はすでにロンドン、アムステルダム、ニューヨークの証券取引所で上場されているほか、インド、インドネシア、マレーシア、ブラジルなど一部の国でも現地で上場する株式を発行している。

 世界フィルム業界ナンバー・ワンのコダック社は1994年から全業界買収計画を実施し始めた。1998年、コダックは38000万ドルを出資して福達、公元、阿爾梅の3企業を買収し、2社の中外合弁株式有限公司を創立した。

 世界タイヤ業界ナンバーワンのブランドを持つミシュラン・グループの上場意識はとても強い。20013月、上海タイヤ・ゴム(グループ)株式有限公司と契約を結び、投資規模2億ドルの上海ミシュラン回力タイヤ株式有限公司を発足させ、主に乗用車の子午線タイヤ、鋼線、混合ゴムを生産、販売している。

 上海市外資委員会の統計によると、現在すでに株式制に改革する作業を終えたが、まだ上場していない企業は14社ある。これらの企業はコダック、レフェア、ミシュラン、徳律風根、光明乳業、永新カラー・ブラウン管、中橋基建、斯米克陶磁器、シン谷光電、嘉楽株式などである。この14社のほか、上海外資委員会はまた10余社の有名な外資企業の申請を受理した。

 伝えられるところによれば、四川省には現在A株市場進出を積極的に準備している外資系企業が約10社ある。四川省にある5000余社の外資系企業の中では、これら10企業はごく少数にすぎないが、いずれも外資系企業の精華である。

 南方証券公司西南管理本部投資銀行部高級経理の劉強氏は次のように述べた。

 外資系企業が競ってA株市場に上場することは、すでに四川省の証券業界の新たな業務とホットな話題となっている。しかし、四川省の外資系企業の上場は速くとも来年になる。これはまず、証券企業の企業に対する指導が少なくとも一年間かかるからである。ほかに、外資系企業の上場についての政策の「門」はすでに開かれたが、外資系企業のA株市場上場についての具体的な操作方法がまだ制定されておらず、外資企業は具体的な実施方法が制定されてから、はじめて真の意義で上場操作のプロセスに入ることができるのである。

 多国籍企業が中国での上場に熱中するのはなぜか。業界筋は、現地の株式市場での上場を通じて現地社会との融合を強め、企業の現地化を速めることが、これら多国籍企業が上場をあせっている重要な原因であると指摘した。

 多国籍企業が中国という新興市場の見通しに熱い視線を注いでいるのは、積極的に中国の証券市場に参与しようとしているからである。いま一つの原因は、これらの多国籍企業も上場、株券、ストックオプションなど国際に通用する手段を通じて現地の高級管理職に対するインセンチブ、従業員の凝集力の増強の実現を望んでいることである。レフェア社の関係者は、ひとたび上場すると、一部の従業員に株式を提供し、現地化のプロセスを速める意向を表明した。

証券市場の国際化を推進

 中国経済体制改革研究会会長の高尚全氏は最近次のように指摘した。

 外資系企業の中国での上場を許可することは、疑いもなく中国の証券市場が発展する必然的な要求でもあれば、必然的な結果でもあり、同時に中国の証券市場が成熟に向かう標識の一つでもある。

 投資家の利益を守るため、われわれは条件を整えて資本市場の逐次開放を推し進めなければならない。しかし、条件がまだ備わっていない状況の下で一ぺんに開放すると、外国投資家にとっては不利である。大陸部の資本市場の対外開放と国際化は大陸部の証券市場の発展状況、監督・管理能力及びその他の条件に基づいて逐次実行し、経験を蓄積することしかできない。外資系企業の大陸部でのA株発行を許可することは次の四つの変革を引き起こすものと見られる。

国有企業が大陸部の株式市場を独占する枠組みを打ち破る。

A株とB株の株価の差を小さくし、A株とB株の最終的合併を推進する。外資系企業がA株市場で上場することは、投資家のために斬新な投資ルートを切り開き、国内の投資家が国内の公司に限られることによってもたらされたA株の株価がB株の株価よりはるかに高いという局面をある程度改善する。外資系企業が同時にB株市場での上場を許可されるならば、海外投資者の低迷していた自信を増強し、A株市場とB株市場の合併のために条件を作り出すことにも役立つ。  

中国の投資銀行の順調な発展を促進する。外資系企業が大陸部の株式市場で上場するにあたっては、条件にかなった投資銀行を選んで引受側にすることは重要な一環である。しかも上場する国有企業の引受に慣れている大陸部の証券公司は、このような挑戦に受けて立とうと思えば、自身の業務水準の向上に努め、関係ある経験を積まなければならない。

大陸部の上場企業の情報公開を強め、透明度を高め、投資家の権益を保護する。

 一部の証券専門家と業界代表は、外資系企業の上場が中国証券市場の国際化の推進に役立つ、と見ている。

 実際には、外資系企業の株主がすでに上海と深センの証券取引所に進出しているもようで、一部の上場企業は中外合弁企業から発展してきたものであり、また外資側の株主が株権の譲渡、あるいは戦略投資の方式を通じて介入したものもある。19959月、江鈴自動車グループはB株を17400万株発行したが、フォード自動車はその80%を買い取り、株式資本総額の25.10%を占めるにいたった。199811月、外商投資株式有限公司となった江鈴グループは私募の方式でB株を17000万株追加発行したが、フォード自動車はまたその中の12000万株を買い取った。自動車制造業の世界第二の巨頭としてのフォード自動車は真先に中国の資本市場に進出したと言えよう。ほかに、海南航空の最大の株主は米航空有限会社であり、その持株は14.79%に達している。また、フランスのサンゴバン・グループは2社の香港の公司を通じて福耀ガラスの株式を42%保有し、イギリスのテレックス設備有限会社は北方株式の発起に参加した。

 専門家たちの見方では、中国の証券市場に占める外資株の割合は大きくないが、その独特な成分のために証券市場で格別の関心を集めている。

 関係資料が顕示しているように、2001年上半期現在、中国の株式市場で外資法人株のA株を持つ上場企業は63社あり、そのうち、上海証券引取所は34社、深セン証券引取所は29社ある。外資法人株のB株を持つ上場企業は15社あり、そのうち、上海証券引取所は4社、深セン証券取引所は11社ある。A株とB株を同時に発行する上場企業は12社あり、B株しか発行しない上場公司は3社ある。

 分析によれば、外資の中国証券市場の介入は主に、直接上場、株主権の合意による譲渡、B株の定向追加発行、合資などの四種類がある。そのうちの外資系企業の直接上場はここ数年来逓増の趨勢を呈し、しかも中外合弁企業を主とし、いつも上場企業の中で第二大株主としての相対的に多くの株式を保有する地位を占めている。

 資料が顕示しているように、20018月現在、中国の認可した外商投資企業は合計40万社近くで、しかも多くの合併の事例が現われたが、このように膨大な外資企業群は、中国証券市場の重要な資源となるだろう。外資系企業が多数の株式を保有する株主として国内の証券市場に進出し、あるいはそれ以外の株主と戦略投資家として国内の上場公司の経営に参与することは、中国証券市場のグローバル化の標識の一つであろう。

外資系企業の上場はまだかなりの時間がかかる

 いまは外資系企業の上場にあまり大きな期待をかけることができない、と指摘する専門家もいる。その理由は中国証券監督管理委員会主席の周小川氏らの関係者が大陸部の金融市場の開放に触れた際、いずれも控えめであった。例えば、周氏は先日「WTOと中国資本市場の国際シンポジウム」で、中国資本市場の対外開放は逐次推進の方針をとるとか、条件の成熟に伴って、基準にかなった外国企業の中国での上場を許可するとか、外資が段取りを追って、限度付きでA株市場に進出するのを許可するとかと言ったことがそれである。これらの発言は国内資本市場の開放が短期内に実現できないことをはっきりと物語っている。

 業界筋の分析によれば、目下のところ、中国資本市場はまだ開放されておらず、人民元はまだ経常項目の自由兌換がまだ実行されていない現状の下で、外資と外国企業が大陸部のA株市場で上場するのを許可する条件はまだ熟していない。中国はWTO加盟後の三年ないし五年内に金融市場を逐次開放する。レフェア社など企業の申請が認可されたとしても、これはモデル・ケースにすぎず、外資企業の大量上場を招くようなことはない。

 このほか、中国の現状について分析すれば、外資系企業の上場にも困難がたくさんある。まず、中国に外資系企業の上場についての法律ががまだない。「公司法」も、「証券法」も、外商投資企業の中国のA株市場とB株市場での上場についての具体的な条項がない。外資系企業に上場に依るべき法律がない状況は必然的にその発展を制約する。次に、周知のように、「上場」は中国の現段階の最も少ない資源である。これから上場される株式に対し、2000余社の企業が首を長くして待っている。主だった株式をめぐって激しい争奪が繰り広げられることは、なおさら言を待たない。外資系企業がその中からどれだけ手にすることができるかはまだはっきりしない。それから、国有株の低落と上場流通が中国の証券市場を発展させることは疑いもなく、外資系企業の上場よりはるかに重要であり、秩序だって株式市場を発展させるという原則に基づけば、いまは外資系企業の上場にあまり大きな期待をかけることはできない。