経済成長を促す新しい消費 

藍 心

 張東陽さんは北京市水碓子北里のある団地に住んでいる。毎日退勤した後、自宅の窓から外を見ると、いつも建物の前の広場にいろいろな乗用車がいっぱいおいてあるのが目に映る。張さんは、「窓の下の乗用車はここ一、二年に多くなったもので、以前は団地に乗用車が12台しかなかった」と語った。

 張さん1家は車を購入することを計画した。「わたしの29歳の娘と24歳の息子はいずれも運転免許証をとっている、間もなく自分で車を買うことになるだろう」。車を購入するのは張さん1家がまだしたことのない事であるが、新しく買った住宅はすでに鍵をもらった。「子供たちの住宅を含めて、わたしたちは全部で4セットもっている」。もとの勤務先が分配した住宅を除けば、張さん1家は所得の中から3000余元を出して住宅ローンを返さなければならない。「以前では家庭の所得の大部分は食品を買い、それから家電製品、子供教育の支出に使ったが、いまは住宅は家庭支出の最も主要な部分となっている」。

 今年第一・4半期の自動車、住宅、観光、電信、文化などの面での住民の消費は経済を2%成長させた。417日の記者会見で、国家統計局の邱暁華副局長は、経済に対する新しい消費の促進作用が明らかに現れていると述べた。

 今年、中国経済は7%の成長目標を実現するには、かなりの程度において内需拡大に頼らなければならない。朱鎔基総理は今年3月に開かれた全国人民代表大会で行った「政府活動報告」の中で、特に住民が自動車、住宅などの面の消費を奨励するとともに消費の新しいホットスポットを育成すべきであり、住民が新しい消費を拡大するように励ますことが、すでに法的効力をもつ活動となっていると指摘した。

 今年の一月と二月の住民の「マイカー」購入量は106000台で、昨年同期より13.5%増えた。第一・4半期の全国の建て売り住宅のうちで、個人に売ったものは18.2%増え、建て売り住宅販売に占める個人住宅購入の比率は84.2%を占め、これも昨年同期より1%増えた。

 今年の中央政府の7%の経済成長の目標を実現するため、引き続き内需を拡大し、新しい消費ホットスポットを探さなければならない。というのは今年が中国のWTO加盟後の最高の年であり、経済の直面する局面と問題が以前と全く違うからであり、予定の目標を完成するには、いろいろな困難を克服しなければならないだけではなく、新しい構想をもち、新しい「方式」も求めなければならない。

 世界経済の不確実な要素は依然として存在し、中国がWTOに加盟した後、中国に予期した市場をもたらしていないだけではなく、先進国内部の経済の持続的不況に伴い、貿易紛争もますます多くなる。先進国は一部製品の輸入を制限し、自国の関連産業を保護するため、各種の非関税制限措置を探している。いろいろな制限の下で、経済が高速成長をとげている発展途上国として、中国は往々にして目のかたきと見なされ、そのため、中国の輸出は今後の長い期間に依然として厳しい情勢に直面する。

 外部の環境が明るくない状況の下で、内需を拡大してのみはじめて中国の経済成長を維持することができ、市場の新しい「方式」を掘り起こし、新しい消費を育成してのみはじめて経済を成長させる原動力となることができる。邱暁華副局長は、7%の経済成長率を維持する原動力の9割以上は内需から来る。実際に発生している変化も、中国の大きな市場に大きな消費の潜在力と生命力を含んでいることをますます表明していると述べた。 邱暁華副局長は、ここ数年、住民の消費構造に積極的な変化が生じており、これは都市部住民のエンゲル係数がすでに40%以下に下がり、農村住民のエンゲル係数がすでに50%以下に下がったことに集中的に表れている。これは、中国住民の消費構造の中に、長期にわたって存在している食事を主とする構造にこっそりと積極的な変化が生じていることを物語っている。他の言葉に言い換えれば、住民の支出の中で、食事以外、住宅、交通、通信、教育、観光などの方面に用いる支出がすでに明らかに増えているのである。 今年に入ってから、このような趨勢は引き続き保たれ、個人の乗用車購入と建て売り住宅購入が大幅に増えるほか、前の2カ月間に全国に電話が1722万台新規増加し、毎月ほぼ500余万台の率で増えている。そのうち、携帯電話は1111万台新規増加した。春節(旧正月)に旅行した住民の人数は延べ5158万人に達し、昨年同期より14.7%増え、観光による収入は228億元で、15%増えた。 国家情報センター予測部の高輝清博士は、住宅と自動車の消費のスタートにより、中国の消費と投資が盛んな増加の勢いを保つのは有望であり、これによって内需の拡大に頼って世界経済の不況と異なる成長の状況が現れると指摘した。

市場販売のホットスポット

 報道によると、今年第一・4半期の市場販売のホットスポットは主に以下のいくつかの商品に集まっている。一はマイカーである。昨年末から国内の自動車市場の価格が絶えず下がり、関係管理部門も個人の自動車消費制限の政策をある程度整理し、金を持って購入を待つ者の消費欲望を刺激し、第一・4半期の全国の乗用車販売台数は19万台を上回り、昨年同期より23%増え、昨年第四・4半期の販売減少の情勢を転換した。二は住宅装飾の建築材料である。昨年から建て売り住宅の販売が速くなり、春節のあとは往々にして住宅装飾のピーク期であり、そのため、住宅装飾の建築材料市場のニーズがわりに大きくなる。三は一部の時節に合う商品である。主に「中国服」、グリーン食品、高中級の贈答品、各種祝日用の商品である。

 専門家の分析によると、消費財市場の穏やかな成長の維持を推進する主要な原因は、昨年の都市・農村住民の収入増加が消費財市場に対し促進作用を果たしたことにある。昨年の都市・農村住民の収入レベルがわりに速く向上し、特に行政・事業部門の2回の賃上げ、年末の給与の2カ月分支払いで、今年第一・4半期の住民の消費レベルはわりに大きく向上し、それによって市場販売に対し強い促進的作用を果たしている。

住民の購買力が増加

 内需は投資の需要と消費の需要を含んでいるが、つきつめて言えば、都市・農村住民の購買力である。推計によると、2000年の都市部住民の一世帯当たりの金融資産はすでに6万元に達し、一定の購入の潜在力を備えている。農民の収入も基本的に千元以上の商品を購入する消費能力を持っている。住民の収入状況により、住民の消費はちくじ新しい消費周期に入る。この消費周期では、農村で家電が普及し、住宅、乗用車、コンピューターなどがちくじ都市の家庭に入ることが主要な標識となる。

 国家統計局によると、都市・農村住民の購買力レベルを高めるには、次の3つの方面から着手すべきである。一は経済成長を加速し、住民の収入を増加する。二は住民収入の現在の分配構造を調整し、国民所得に占める住民の比重を大きくし、都市・農村間と住民内部の収入差を改善する。三は特に農村経済の発展を重視し、農民の負担を確実に軽減し、農民の収入レベルを高める。四は消費環境を改善し、消費を促進し、購買力の実現の程度を高めることに努める。

 内需の拡大と育成のため、財政部は消費を制限する各種の料金徴収政策を取り消し、都市部住民の消費能力を増強する。財政部の官員は、政府は自動車向けの料金徴収項目を整理し、住宅建設の料金徴収行為を規範化させ、一時帰休者に対する料金徴収減免政策を実行し、従業員の賃金に対する各種の料金徴収を整頓すると述べた。

楽観的な予想

 中国経済景気モニタセンターは最近中央テレビ局とともに、北京、上海、広州、武漢、西安、重慶など6都市の住民の家庭を訪問し、有効アンケート2403部を得た。調査結局が顕示しているように、61.3%の住民は今年の経済状況が昨年に勝ると予想し、30.7%の住民は昨年並みと予想し、今年の経済状況が昨年に劣ると予想する住民はわずか7.8%であった。

 調査では、人々は楽観的な理由を提出した。まず、2001年の中国経済の7.3%の伸び率はすばらしい予想を誘発する根本的な要素である。次に、中国がWTOに加盟し、北京が2008年五輪招致に成功し、上海経済協力組織会議が開かれ、さらに中国サッカーチームが世界決勝戦に出るなどは、人々を奮い立たせている。

 調査の結果が顕示しているように、調査を受けた住民のほとんどは自分のいる都市の経済が繁栄し、庶民が豊かになるのを望んでいる。

 最も楽観的な都市は北京と広州である。北京では、78.8%の調査対象は北京市の経済状況が昨年に勝ると予想し、20.2%は昨年と基本的に同じであると予想し、昨年に劣ると予想する住民はわずか1%である。このデータは北京人の楽観的な情緒と五輪経済への期待を表している。広州では、81.9%の調査対象は広州市の経済状況が昨年に勝ると予想し、16.5%は昨年と基本的に同じであると予想し、わずか1.6%が昨年に劣ると予想したが、これは6都市の中で状況が最もよいものである。内外の良好な結合は広州市の経済がより良く、より大きく発展する核心的な力である。

 アジア開発銀行の「2001年の中国経済の情勢分析と展望」は、世界経済の成長がスローダウンしているにもかかわらず、中国の経済は引き続き安定成長を保つと見ている。このレポートの2002年から2004年までの経済発展の見通しは楽観的であり、中国のWTO加盟および北京の2008年夏季五輪開催権獲得は経済成長をいちだんと促進すると指摘している。推計によると、WTO加盟の長期的影響はGDPの毎年1ないし2%増加である。五輪開催も巨額の資金を投じてインフラ建設を進めなければならない。力強い国内消費と投資の促進の下で、2002年から2004年までの中国経済が毎年7ないし7.4%のスピードで成長し、インフレ率が0.8ないし1.8%保持されると予想される。