中国、瀋陽駐在総領事館事件で日本側の調査結果に反論 

 外交部スポークスマンの孔泉氏は514日の定例記者会見で、「きのう午後、日本外相は瀋陽駐在総領事館事件について調査結果を発表した。日本側のいわゆる『調査結果』は一連の重要な部分で事実と大きく食い違っており、結論は根拠のないものだ。中国側としては受け入れられない」と述べ、また次のように指摘した。

 この事実に関する真相は非常にはっきりしているのに、日本側はなおつじつまのあわない説明に固執しており、われわれはこれを不満に覚えている。

 本日午前、中国外交部領事司の羅田広司長は求めに応じて日本外務省領事移住部の小野正昭部長と会見した。日本側は58日に身元不明者が瀋陽駐在日本総領事館に突入した事件についての最新の調査結果を伝えた。そして事件の全過程で、日本側職員は中国の武装警察が領事館に入って、突入した2人の男性を連れだし、5人を武装警察詰所から連れていくことに同意してはいないとした。

 羅局長は、日本側の調査結果は中国側が調査した事実とかなりの食い違いがあり、中国側はもっと多くの細部を日本側に伝える必要があると考えると指摘した。

 羅局長はさらに、次のように述べた。200258日午後155分、瀋陽駐在日本総領事館の警備を担当する武装警察遼寧総隊瀋陽市支隊第8中隊の当直哨兵張兆文、哨兵班長孫永濤は5人の身元不明者(男2人女2人と女児1人)が米、日総領事館南側の塀の外の歩道を西から東へ向かい、日本総領事館の正門から約1メートルの立入り禁止ラインまで入ってきたのを発見、哨兵が行く手を遮り、証明書の提示を求めた。この時、その中の1人の男性が突然身を翻して、総領事館正門東側の通用口に突入した(ちょうど査証受付時間で、正門には幅2メートルの通り道が空いていた)。これと同時に、一緒にいた2人の女性が歩み寄って当直の哨兵につかみ掛かった。続いてもう1人の男性が突入しようとした時、当直の哨兵が後ろから抱きついた。同男性は哨兵の顔に肘鉄を食わせ(哨兵の孫永濤は鼻を負傷して、鼻血を出した)、制止を振り切って、やはり通用口から総領事館内に突入した。哨兵はすぐに武装警察に知らせた。尹国輝大隊長、金暁東副大隊長、呉明宇第8中隊指導員、王冶・同副中隊長が直ちに査証事務所にかけつけた。この時、総領事館の宮下謙・副領事も3人の中国人職員を連れて現場にいた。宮下氏は「ビザの手続きをするのか」と尋ねた。武装警察は「ちがう、証明書はなにもない。中に入りたいだけだ。それに2人の人間が中に入っている」と言った。尹大隊長は宮下副領事に「館内に入って、侵入した2人の男性を連れだしてよいか」と尋ねた。宮下氏はうなずきながら入ってもよいという仕種さをし、日本語で何か言い(中国人職員翁鉄軍氏=男性が「中に入ってその人間を連れだしてもよい」と通訳)ながら、中へ引き返した。そこで尹氏は4人の哨兵を連れて総領事館に入った。総領事館の査証ホールで、宮下氏は2人の男がソファーに座っているのを見て、警備員にどうしたんだと尋ねた。警備員は「朝鮮人かもしれない」と答えた。この時、大隊長らは2人の男性の前にやってきた。大隊長が「何しに来たんだ」と尋ねた。2人は何も答えなかった。尹氏は再び宮下氏に「この2人を連れて行ってもよいか」と尋ねた。宮下は同意を示すように大きくうなずき、中国語で「構わない」と言った。その後、わが武装警察は2人の男性を外へ担ぎだし、武装警察の警備室に連れていった。宮下氏は後からついてきた。宮下氏が電話をかけてから約15分後、馬木秀治副領事が警備室に来て、中国語で(5人に)「どこから来たのか」と尋ねた。1人の男性が中国語で「北朝鮮人だ。われわれは家族だ」と答えた。そして馬木氏に1通の手紙を渡した。馬木氏はちょっと見てから、また同男性に返した。この時、武装警察大隊長が110番通報を始めた。馬木氏は電話をかけ始めた。約5分後、パトカーが到着し、警察が5人を連行しようとした。馬木氏は「ちょっと待て」と言って、また電話をかけた。しばらくして、警察が再度連行しようとし、馬木氏はまた「ちょっと待て」と言った。もうしばらくして、馬木氏は「連れて行ってよい」と言った。警察は5人を連行した。馬木氏は当直の哨兵にお辞儀をして、中国語で「ありがとう」を繰り返した。

 日本側の最新調査結果の中のいくつかの説明に対して、羅司長は事実を根拠にこう反ばくした。

 1、日本側は、宮下副領事は正門で状況を把握した後、館内の査証ホールに引き返したが、背後から56人の武装警察がついてきたことは知らなかったと言っている。中国側はこう考える。正門から査証ホールまでは距離があるのに、宮下副領事は「56人の武装警察が後ろについてきたことに気づいていなかった」などと言っている。こうした説明は理解しがたく、通用しない。

 2、日本側は、たとえ総領事館の1副領事がうなずき、仕種などの行為によって武装警察の立ち入りに同意したとしても、同副領事は総領事館館長を代表することはできず、中国側はこれによってウィーン領事条約に定められた領事館館長の同意を得たと考えることはできないと言っている。2人の身元不明の男が暴力的手段によって総領事館に侵入した緊急事態下では、総領事館の入口に来て武装警察と話した総領事館職員の言動は総領事館を代表するもので、武装警察に館内立入りを許可する意思表示である。この過程で、宮下副領事はいかなる阻止行為もとっていない。

 羅司長は次のように強調した。武装警察の兵士は外国の中国駐在大使館・領事館の安全を保護する過程で、ずっと国際条約と関係規定を真剣に実行している。多くの外国大使館は武装警察が警備を強化し、身元不明者の大使館侵入を防いでいることに感謝している。今回の突発事件で、武装警察兵士がやったことは、ウィーン領事条約の規定にかなうだけでなく、完全に日本総領事館とその職員の安全を守ろうとする責任感から出たものである。日本側は武装警察の善意を正しく理解すべきであり、まして曲解してはならない。中国側はこの事件を非常に重視するとともに、両国領事部門の協力によって、これが真剣、適切に処理されるよう希望している。