政務の公開を推進

武従文

 安徽省蚌埠市の市民は市政府の会議を傍聴することができるようになった。20011216日、政務公開のルートを広げるため、蚌埠市は「蚌埠市人民政府が市民に会議を傍聴させる規則」を正式に発表した。

 この「規則」は、市政府全体会議が毎回10人の市民に傍聴させ、その他の重要な会議の傍聴人数は状況に基づいて決定すると規定している。傍聴を許される人は市人民代表大会代表、政治協商会議委員、各民主党派、工商業連合会、無所属代表、および満18歳、完全な民事行為能力を持ち、傍聴する意思のあるその他の公民(法によって人身の自由を制限されるかあるいは政治的権利を剥奪された者を除く)を含んでいる。

 傍聴の人は傍聴した会議の討論した内容に提案と意見があれば、書面の形で市政府弁公室に提出することができる。

透明度を高める

 先日、広東省は一部市、県での政務公開試行を踏まえて、今年上半期に全省の県クラス以上の政権機関で政務公開を全面的に推進することを決定した。

 広東省の規定によると、今後およそ法律、法規、規則、要求および政府と政府機関が行った普遍的な拘束力をもつ行政決定は、党と国の秘密事項に属さないかぎり、すべて対外公開しなければならない。政務公開の具体的な内容は、社会・経済の発展戦略、発展計画、活動の目標とその完成状況、全局にかかわる重大な政策決定の過程と制定した政策、財政予算と執行状況、重要な特定経費の分配、使用と重要物資の入札・買付状況、重要な基本建設プロジェクトおよび入札応札状況、政府が出資して建設する公益事業の状況、政府の行政認可したプロジェクト、プロセスと実行状況、政府が社会に約束した大衆のためにする実際のこととその完成状況、公民、法人あるいはその他の組織の権益に直接影響する行政執法事項、当地の重大な突発的事件の処理状況、幹部の選抜・任用、公務員の採用、先進個人・団体の評議・選出、機構改革による人員分流および大衆が普遍的に関心を持つその他の事項、自部門の行政職能、職責範囲、仕事の内容・根拠・条件・手順・過程・期限・結果、活動の紀律、サービス提供の約束および約束・紀律違反のクレームのルート、処理方法などを含んでいる。

 広東省政府の各部門は社会に政務を公開するほか、自機関に内部制度建設、仕事運営、事務管理などの方面の内容を公開しなければならない。それには指導幹部の清廉自律状況、機関内部の財務収支状況、幹部の人事管理状況、幹部・従業員の所得分配、福祉待遇、幹部・従業員が関心を持つその他の重要な事項が含まれる。

 事情を知る権利は人民の基本的権利であり、政府の義務でもあり、行政情報公開制度はすでに近代的な行政法治の不可欠な一環となっている。同時に、政府の情報公開はWTOの重要な原則であり、WTOのほとんどすべての法律文書は政府の透明度の原則を規定、貫徹しており、中国が正式にWTOに加盟した後、政府の情報公開の要求はますます高くなる。中国経済の快速発展に比べて、政府とその行政機能の転換は相対的に立ち遅れ、政務公開は中国では新しい事物であり、一歩進んで発展が待たれている。国は政府の情報公開問題に高度の関心を寄せ、高い段階の協調機構を設けて関連する政策を統一、協調し、できるだけ速く統一した政府情報公開法を制定しなければならないと呼びかける専門家がいる。

政府の公文書を公開に予約購読

 昨年末、北京正義路2号にある北京市政府の西門の受付にテーブルを増やし、毎週月曜日から金曜日まで2002年から大衆も読める「北京市人民政府公報」の予約購読を専門に受け付ける。この知らせが伝わると、「公報」編集部の電話は鳴りっぱなしで、そのうち予約方法を聞くために広東、浙江、黒龍江、香港などからかけてくる電話がかなりある。

 地方法規、行政命令、政府決定などを掲載する「公報」、つまり一般の民衆の心の中で神秘感をもついわゆる「政府の公文書」の多くの内容は、以前はほとんど局レベル以上の指導的幹部しか読むことができなかった。

 北京匯源弁護士事務所の魏貴勤主任は最初に「公報」を予約購読した人の一人で、同主任は「公報の公開発行でわたしたちの仕事は便利になり、政府の公文書を適時かつ的確に読めて、わたしたちは仕事の面で大いに助かる」と述べた。  

 北京だけではなく、今年から、河南省、陝西省、広州市、武漢市、青島市、銀川市など多くの省、市の政府公報も公開に予約購読できるようになった。各地はいずれも「公報」に掲載された政府文書は正式文書と同等の効力をもち、関係部門はこれに基づいて貫徹、実施し、書類を保存する。

 一番速く政府の公文書を公開化したのは上海市である。昨年の年初から、「上海市人民政府公報」は政府部門と主な企業・事業体に発送するほか、全市で100の新聞雑誌売り場、50の郵便局、50の新華書店小売部を選んで公開発行の場所とし、市民たちが無料でもらえるようにした。政府公報の最新号が発行されるたび、それをもらいにくる市民が大勢おり、そのうち弁護士と会計士などが多数を占めている。

「政務スーパーマーケット」

 黄松記さんは南京市の一時帰休の女性労働者。彼女は数年前に5万元を投資して、私立の幼稚園をつくったが、関連政策を理解せず、手続きがそろわないため、開業してほどなく休業を命じられた。その後、彼女は「政務スーパーマーケット」ヘ行って助けを求め、その職員がすぐ関係方面の人を招いてきて彼女を指導した。その結果、証明書類のそろった私立幼稚園がまたも誕生した。

 「政務スーパーマーケット」とは何か。それがどうしてこのような能力と効率があるのか。

 20001016日、全国に先がけて、南京市下関区政府は同区の小市と熱河南路の2つの街道(町内会)で行政サービスの新しい形式を実行し、民政、就職、都市建設、経済、投書・陳情、法律、行政など8種類40余項目のサービス業務を1つの大ホールのいくつかの窓口に集中して扱うようにした。この形式は「スーパーマーケット」の公開性、選択可能性、便利性、豊富性の特徴をもち、そのため、「政務スーパーマーケット」と称されるようになった。翌年、この形式は全区の5つの街道に推し広められた。

 政務スーパーマーケットは「最初に応接した人が責任をもつ制度」、「サービス提供約束制」、「監督フィードバック制」を実行し、大衆に「事情を知る権利」、「政策を知る権利」を十分に享受させ、政府の「陽光行政」のために有効なキャリヤーを構築した。下関区熱河南路街道事務所の「政務スーパーマーケット」の孫威さんは、以前は政策を引き出しの中にしまっていたが、今は政策はすべて「壁」にはっている――どの「スーパーマーケット」にも政務公開欄がある。どんな事がやれるか、いつやり終わるか、「壁」の上にはっきりと示されている。クレームの電話も公開され、仕事をよくしない職員に対し、一回目は批判し、二回目は奨励金を差し引き、三回目になると辞めさせると述べた。

 政務スーパーマーケットの提供するサービスの内容はもとの地域社会のサービス範囲を大幅に超え、もと区に属していた権限はいまは「スーパーマーケット」に下ろされている。たとえば少額の災害救済金の認可、最低生活保障の第一回審査、「三級以下の飲食等級証明書」の発給、新聞・雑誌発売所申請の受付、「都市部住民失業登録証明書」の発給などがそれである。「スーパーマーケット」に打ち明け話をする部屋、法律諮問診療所、街道責任者郵便箱、直通電話と責任者接待日などを設けている。

「政務スーパーマーケット」は広く市民の歓迎を受けている。下関区党委員会宣伝部長の徐雪琴さんは、「政務スーパーマーケット」は民衆の用事を処理する時間を短縮しただけではなく、民衆と政府の間の心理的距離をも短縮したと述べた。下関区の5つの政務スーパーマーケットの回収した意見を求めた評価表が顕示しているように、民衆は百パーセント満足である。

 南京の政務スーパーマーケットは全国で良好なモデルの効果をあげた。名称は全く同じでないが、政務スーパーマーケットのような地域社会の公共サービス形式はすでに瀋陽、上海、福州などで相次いで現れた。

 上海の政務スーパーマーケットの正式の名称は地域社会事務受付センターと言い、現在は全市の80の地域社会に設けられ、50余種のサービスを提供している。上海市民政局の責任者によると、今後3年に、どの地域社会、郷・鎮にも「政務スーパーマーケット」のチェーン店を設け、全市をカバーするネットワークも形成する。

 あるメディアの報道によると、関係部門はすでに全国で多機能、多段階の地域社会公共サービスシステムを確立し、人事代理、保存書類の委託管理、戸籍事務、婚姻登録、企業登録、税金・料金収納、証明書発給、土地の審査・認可など政府の公共サービス事項を集中し、人員が相対的に集中している場所に地域社会公共サービスセンターを設け、「公共サービス・スーパーマーケット」とチェーン・サービスネットワークを確立する。同時にちくじ社会化サービス基準を確立し、サービス行為を規範化させ、事務制度を公開し、名札をつけて仕事をするようにし、「最初に応接した人が責任をもつ制度」とサービス提供約束制を推進する。

「電子政府」

 政府のインターネット接続は明らかに当面の世界の政府の公開施政の流れに合うものである。データによると、現在、80%の社会情報資源、3000余のデータベースが政府部門も握られ、政府は情報資源の最大の保有者である。そのほか、ネット上の政府は政府活動の透明度を高め、事務費用を減らし、事務効率を高めるので、勤勉政治、清廉政治の建設に役立つ。

 いま本当の意味でのネット上の政府とまたかなりの開きがあるが、80年代中期のオフィスオートメ化から1998年に「政府のインターネット接続プロジェクト」の実施を公布するまで、中国は一貫して全国範囲内で電子政務を積極的に推し進め、インターネットを利用して情報を提供し、ネット上の処理、管理・監督の公共サービス形式を模索し、行政機関の組織限界を打ち破り、電子化の擬制機関を構築する。

 ここ数年、中国の電子政務は急速な発展をとげた。まず、商工、税関、税務、公安などの政府職能部門は電子政務のテンポを加速した。次に、政府のウェブサイトが大量に出現し、内容がますます豊富になり、機能が絶えず強くなっている。統計によると、現在、全国に2200余の政府部門のウェブサイトがあり、ネット上で各種の事務を処理し、全社会の情報化建設を促進する上で推進的作用を果たしている。

 2001928日、政府の表玄関のウェブサイトとして、中国語、英語の「中国上海」ウェブサイトが開通し、市政府各部門と区・県政府の情報発表のワークステーションと市民に奉仕する窓口となっている。

 「中国上海」表玄関ウェブサイトは「電子政府」の建設に力を入れている。今日の重大ニュースのコラムに上海の重要な会議、活動、事件、ホットスポットの追跡など最新の政務についての重大ニュースがある。政府のコミュニケコラムは政府の文書、規則などの情報を定期的に発表する。政策法規コラムは各項の政策と法規を集中的に紹介し、多種の検索手段を提供する。上海概況コラムに上海の最新の発展動態がある。投資指導コラムは都市計画、浦東開発、開発区紹介、投資項目、投資案内などを含む上海の投資環境、投資政策などを紹介する。サービスコラムは気象、交通、医療、教育、観光などの人民の生活と密接な関係のある情報サービスを提供するとともに、社会の特殊な人びとのために法的援助と民政救助などのサービスを提供する。事務案内コラムは大衆に事務機構、そのアドレス、連絡方式、事務処理のプロセスとクレーム機構の検索などを提供する。ネット上の事務コラムは大衆がネットを通して直接事務を処理するためにいろいろな便宜を提供する。これには主として項目の検索、表のダウンロード、ネット上の申告、事務処理状態の検索などの機能を含む。

 伝えられるところによると、今年に「中国上海」ウェブサイトは各部門の「サブウェブサイト」と接続し、いっそう完備した政府公衆ネットワークシステムをつくり上げる。計画によると、上海は3ないし5年内に「中国一流、世界と肩を並べる」大型の表玄関式のウェブサイトを建設するように努める。第十次五カ年計画期の末期(2001-2002)に、およそ社会管理とサービス機能をもつ部門は、全部ネット上での事務処理を実現する。

都市計画の公示

 ここ2年来、政務公開の重要な内容として、北京、上海、天津などは都市計画制定の過程で、以前の「家に閉じこもって計画する」方法を改め、都市計画の設計案を社会に公示するとともに公衆参与メカニズムを導入する。例えば計画審査・認可のプロセスと周期、各計画管理の法規、規定、規範と技術指標、計画の調整、地名の審査・認可、計画案の評定・審査などがそれである。この挙は一般市民の大きな関心を集めている。

 昨年10月下旬、北京市計画展覧館が正式に対外に展示し、社会大衆に都市計画を全面的、系統的に展示した。祝日と休日になると、3000uの展覧館に毎日延べ1500人以上の観衆が来る。北京市計画委員会委員の邱躍さんは、「市民は計画にこれほど興味を覚えるのは、まったくわたしたちの想像外である」と述べた。

 展覧館の数冊の部厚い意見薄に、観衆の意見と提案がいっぱい書いてある。計画展覧館は毎週観衆の意見と提案を集中的に伝える「簡略通信」を出している。「北側にさらに『世界貿易センター』を設ける必要がない」、「北京の古い市街区の胡同(路地)、四合院の建築の枠組みを保護すべきだ」、「新たに審査、認可した建設プロジェクトをさらに適時に大衆に通報しなければならない」というこれら一般市民から出された意見は、すかさずとりまとめられ、整理されてから、政策決定機構に通報される。

 ある観衆は、「都市計画を社会に展示するのは、政府が政務公開を推進する決心を十分に体現している。このような改善は非常に意義のあることだ」と述べた。

中国建築学会秘書長、教授クラスの高級建築士の周暢さんは、「都市計画の公示後、専門家による論証、大衆による提案、メディアによる監督の態勢が形成され、人為的な、不利な要素を最低限に減らすことができる」と述べた。

北京市計画委員会主任の単霽翔氏は、「今後北京の重要な計画案は、決定をする前にいろいろな方式を通して専門家と地元住民の意見を求め、合理的な提案を十分に取り入れる基礎の上で決定する」と述べた。