韓国にビジネスチャンスをもたらす
サッカー・ワールドカップ

中国国際問題研究所 呉晶晶

 何億ものサッカーファンが首を長くして待っていたサッカー・ワールドカップはすでにキックオフしたが、その前から韓国の国民はその勤勉と知恵でサッカー・ワールドカップという全世界が喜び祝う祭日を飾り付け、伝統的な文化と現代一流のIT技術で世界の人びとの視線を引き付け、韓国の国際イメージが高くなることを期待し、サッカー・ワールドカップがもう一回経済テイクオフのチャンスとなることを望んでいる。

ワールドカップの前から経済効果が出現

 今年第一・4半期の韓国経済の成長率は5.7%に達し、期待値より1%も高いものであった。専門家の予測によると、韓国の今年の経済成長率は期待値より0.3%高い6%に達する。原因の一つはワールドカップが内需を促し、家電、航空、製紙業を主とする販売量が激増していることにある。涼しい部屋で「家庭映画館」を通じて試合の実況を見るファンが増えて、エアコンの販売量は50%増え、「壁掛け式」テレビなど大型TVの販売量が急増し、携帯式テレビおよび目をあまり疲れさせないデジタルテレビの販売量も昨年より20ないし30%増えた。レンターカー企業は日増しに忙しくなり、航空券の予約率が大幅に上昇し、大韓航空とアシアナ航空のすべての線路は90%を超えている。そのほか、韓国は5月から中国のサッカーファンを迎えに行く航空便を5便増発する。73%の韓国国民は「韓国チームは少なくとも16強に入る」と信じており、韓国チームが16強に入ることを願うひたむきな心を現すため、ある人が韓国チームがグループ試合に出場する64日、10日、14日に赤い上着を着ることを提案した結果、赤摩応援団のTシャツの供給が需要に追いつかなくなり、少なくとも30万枚を売れた。韓国国家サッカーチームのユニホームは上着だけでも12万枚売れた。

ワールドカップは首脳外交、平和外交でもあれば外資導入のすばらしいチャンスでもある

 ワールドカップの前後に、各国首脳、閣僚、王族、スポーツ界の指導者、一流企業の最高経営責任者など200余人が招きに応じて韓国を訪問する。金大中大統領はドイツのラウ大統領、日本の小泉純一郎首相ら14人の首脳が来訪する時に彼らと実際の協力案を討議する。林斗益さんは1966年意外にもボールを蹴り込んで、朝鮮が10でイタリアチームを破り、8強に入って、アジアのサッカーチームがワールドカップ戦に参加する面の最高の記録をつくった。彼も招かれて530日の開幕式に参加する。韓国組織委員会はかつて国際サッカー界でときめいた各国の有名なサッカー選手、例えばブラジルのペレ、ドイツのベッケンバウアー、ユーゼビオ、フランスのプラティニらを招き、競技場で興を添えてもらい、サッカーが世界平和を促進できることを世界に宣揚する。そのほか、韓国産業資源省は50数人の世界の有名な多国籍会社の最高経営責任者を韓国に招き、ワールドカップ開催期間に催される「韓国投資週間」活動に参加させ、投資を吸引する。韓国はワールドカップ開催期間にさまざまな商品展示会、貿易商談会が集中的に開かれ、韓国の三星、現代、LG、SKグループなどの大手業は数千人の外国の著名企業と主な協力パートナーの責任者を招いてサッカーを観戦したり、商談したりする。

韓国にかなりの収入をもたらすワールドカップ

 韓国開発研究院の予測によると、サッカー・ワールドカップの決勝戦は韓国に47億ドルの収入をもたらし、24万人以上を就職させる。サッカー・ワールドカップ戦の賞金は約1600億ウォンに達し、韓国はその中から所得税を約53億ウォン徴収することができる。韓国に来てサッカーを観戦する人が延べ160万人前後に達するものと見られ、韓国は韓国で行われる32回の試合の入場券収入を獲得できる。開幕式の入場券は一、二、三等に分け、値段はそれぞれ500ドル、250ドル、150ドルである。韓国と日本の20の都市で行われる64回の試合はすべて20台のビデオカメラに録画されてから、ソウルに出来たばかりの国際放送センターを通して全世界に実況放映され、テレビを観る世界の観衆は延べ420億人に達すると予想されるので、韓国は実況中継と広告で少なからぬ収入が得られる。韓国の国内でも、サッカー・ワールドカップの実況を中継するため、KBS、SBS、MBCの三大メディアも激しい競争を展開している。64回のワールドカップの試合の中で、KBSは60回、SBS、MBSはそれぞれ47回、46回実況中継をする。試合の画面が大同小異であるため、三つのテレビ局がぞれそれ選んだアナウンサーとサッカー評論家の実力がテレビの観衆を引き付けるかぎとなる。韓国サッカーチームの監督車範根氏はMBCテレビ局のサッカー評論家を担当しているが、これはMBCの一大宝物である。今回のワールドカップのため、韓国は3年がかりでソウルの上岩地区にソウルワールドカップスタジアムを新たに建設した。同スタジアムは座席数64677のアジア最大のサッカー競技専用の場所であるばかりでなく、観光スポットでもあり、すでに100万余りの人がこれを参観したことがあり、観衆の座席の下は競技の後最大限に利用できる未来型の綜合施設であり、大型割引店、10の綜合映像館、スポーツセンター、カルチャーセンター、飲食店街などがある。今回のサッカー・ワールドカップはAtoNikKa2という宇宙からのマスコットを採用し、国際サッカー連盟が初めて画策したこの三つのマスコットを主人公とする3Dアニメーション「Spheriks」は530日に2002韓日サッカー・ワールドカップ開幕式とともに韓国の各劇場で封切りされる。そのほか、100種の「韓国のきれいなボイス」を録音したミニ型DVDをワールドカップの観光グッズとして売り出す。いろいろなワールドカップ記念品、たとえば2002ワールドカップの字を印刷してあるサッカーボール、Tシャツー、記念コイン、鍵の輪などが朝鮮人参、ピクルス、有名ブランドのアパレル、化粧品などと一緒に仁川国際空港の長さ約一キロの免税店の中に陳列されており、サッカーファンと観光客たちの珍蔵品や観光記念品となっている。

短期の経済効果も重視するが、これにもまして韓国の国際イメージの確立に着眼

 韓国サッカー・ワールドカップ組織委員会の見積もりによると、競技が行われる期間に40数万の観光客が韓国を訪問する。そのため、韓国は衣食住、交通の面で全方位の特色あるサービスを提供するとともに、さらに豊富な文化・娯楽イベントで観光の内容を充実させ、韓国特有の伝統的文化を突出させるが、これにもまして環境保全、科学技術を重視する現代理念をさらに融け込ませようとしている。サッカー試合が行われる韓国の十大都市は次々と際立った特色ある宣伝で世界各国のサッカーファンと観光客を引き付ける。ソウルが突出したのは環境と文化である。ソウルのワールドカップ競技場の周りの蘭芝島はかつては面積92万平方メートルのゴミ堆積場であったが、後に科学的処理を経て5つの美しい公園に改造された。ソウルは多くの歴史遺跡をもつ文化的な首都でもあり、そのため、競技挙行期間に豊富多彩な文化イベントを用意し、世人に韓国の伝統的な文化の精髄を宣伝する。530日の開幕式の前夜に、漢江で100艘の「平和の船」船団によってワールドカップの成功裏の開催を祈願する大型イベントが行われる。そのほか、2002世界共同祝賀ファッション・ショー、2002ソウル太鼓祭り、2002旗し芸術祭、2002ソウル世界花火祭り、世界共同祝賀コンサート、世界ロックン・ロール祭り、宗廟大型祭祀、ソウル端午民俗祭および各種の伝統的な文化特別なイベントが陸続と行われる。ソウルにいる中国のサッカーファンは「中国主流飲食展示会」で中国の北京、上海、四川、広東の120種以上の特色ある料理を味わい、韓国最大の唐人街である仁川中華街を遊覧することができ、中国語の字幕付きの韓国の最新映画を見ることもできる。「科学タウン」としてのワールドカップ開催都市大田市が突出したのは科学技術であり、613日から16日にかけて「2002国際智能ロボット展覧会」を開くが、智能ロボットは機械、電子情報、生物、医学などの技術を使ってつくった21世紀の先端的な産業製品であり、観光客は話を話せる人造智能ロボットと話をし、智能ロボットのサッカー試合を見ることができる。水原市が誇りをもっているのは世界最高レベルのトイレであり、30カ所のきれいなトイレは観光項目に入れられ、どれもこれも数億ないし数十億ウォンが投入され、独特な構想と設計で完成したものである。全州市では、サッカーファンと観光客は最も伝統的な韓国の文化を体験することができる。「韓屋体験館」では人々が韓国の伝統的な民家に泊まり、韓国料理を食べ、韓国の民俗ゲームを楽しむことができ、「伝統的な博物館」では50以上の家庭で醸造した酒を味わい、その貯蔵法を学ぶことができ、「工芸品展示館」では伝統的な工芸品を鑑賞し、それを自分でつくることができ、「伝統的なカルチャーセンター」では全州の混ぜご飯を食べながら伝統的な音楽を鑑賞することができる。

 要するに、韓国サッカーチームがワールドカップでどう戦っても、韓国はワールドカップを通じて自国の独特な文化と世界一流の通信技術を宣伝し、情熱で周到なサービスを提供し、親切で素朴な民風を展示して、疑いもなく人々に深い印象を与え、韓国にかなりの収入をもたらし、韓国経済の発展に新たな原動力と活力に注入するであろう。