中国の教育

 中国の教育の概況

 中国政府は、教育を重要な優先的地位に置き、「科学と教育による国家振興」という戦略方針を打ち出しました。教育体制改革を絶えず深め、9年制義務教育を実施しています。各級の政府は教育への資金投入を絶えず増加し、多ルート・多形式による学校運営を奨励しています。

 「現代化に向け、未来に向け、世界に向けて」というスローガンは、中国の教育が進むべき方向を示すとともに、教育改革と教育建設を進める上での指針でもあります。

 学校教育体系

 中華人民共和国の学校教育には、学齢前教育、小学校、初級中学(中学校)、高級中学(高校)、大学、大学院が含まれます。それぞれの入学年齢と修学年限は次の通りです。

 幼稚園:募集対象は3歳以上の学齢前児童、修業年限は3年。

 小学校・初級中学:現行学制は「63制」、「54制」、「9年一貫制」が共存するが、ほとんどの地区で「63制」が主体。したがって、小学校の修業年限は6年あるいは5年、初級中学は3年あるいは4年で、小学校の入学年齢は67歳、初級中学の入学年齢は1213歳。

 普通高級中学:入学年齢は1516歳、修学年限は3年。

 中等専門学校:初級中学卒業生を募集対象とする学校の場合、入学年齢は1516歳、修業年限は通常4年だが、一部の学校では3年。高級中学卒業生を募集対象とする学校の場合、入学年齢は22歳未満、修業年限は通常2年。

 職業初級中学:修業年限は34年。技術学校:修業年限は3年。

 職業高級中学:入学年齢は1516歳、修学年限は23年、ごく一部の学校は4年。

 全日制高等学校(大学):本科の修業年限は4年あるいは5年(一部の医科大学は78年)。

 専門学校・高等職業技術学校:修業年限は2年あるいは3年。

 大学院生:修士課程の入学年齢は40歳未満、修業年限は23年、博士課程の入学年齢は45歳未満、修業年限は通常3年。

 各種成人学校:学制は「同レベル同基準」の原則を実行。成人中等学校は、全面的に職場を離れる場合、通常は同質の全日制学校と同じ修業年限。職場を半分離れるか、あるいは労働時間外に学習する場合、通常は同質の全日制学校より1年ほど長い修業年限。成人高等学校(大学)の本科教育の修業年限は通常45年。専門教育はさまざまな形式があるが、修業年限は通常24年。

 『中華人民共和国義務教育法』の規定に基づき、中国は9年制義務教育制度を実行しています。すなわち、中国の小学校および初級中学の教育は義務教育の段階です。「年齢が満6歳に達した児童は、性別、民族、人種を問わず、全員が入学して義務教育を受けなければならず、条件を具えていない地区では延長して7歳入学とすることができ、国、社会、家庭はこれを保障しなければならない」ことになっています。

 中国の高等教育

 中国で高等教育を実施している機関は大学、学院と高等専門大学です。高等教育機関は教育、科学研究、社会貢献という三つの任務を担っています。

 中国の大学は、国家教育部に直属する大学、省・自治区・直轄市に所属する大学、地方大都市の経営する大学、民間学校に分かれています。中国の大学ならびに独立して設けられた学院は、同等の地位を有する高等教育機関です。

 中国は各大学の学生の質を確保するため、募集に当たっての厳格な入学試験制度を制定しました。高校の卒業証書を取得した学生は、全国大学統一試験に合格して初めて、大学に入学することができます。

 中国の全日制大学は、一学年が二つの学期(ごく一部の学院と大学では三学期制を試行し始めている)に分かれています。第一学期は9月初めから始まり、第二学期は2月中旬から始まります。各学期は約20週間で、授業は毎週5日間です。冬休みと夏休みのほか、毎年11日は1日のみ、旧正月(春節)、51日のメーデー、101日の国慶節はそれぞれ3日間の休みとなります。その他の記念日と伝統的な祝日には学校は休みになりません。

 中国の学位制度

 中国の学位は学士、修士、博士の3等級に分かれています。学科は哲学、経済学、法学(政治学、社会学、民族学などを含む)、数学、教育学(体育学を含む)、文学(言語学、芸術学、図書館学を含む)、歴史学、理学、工学、医学、管理学、軍事学の12学科に分かれています。

 学士学位:大学で学ぶ本科生は、教学計画に定められた各条項を達成し、その課程の学習と卒業論文の成績が合格したとき、学士の学位を授与されます。

 修士学位:大学と科学研究機関の修士・研究生は、修士学位の試験と論文・口頭試問に合格し、履修成績が及第点に達したとき、修士の学位を授与されます。

 博士学位:大学と科学研究機関の博士・研究生は、博士学位の試験と論文・口頭試問に合格し、履修成績が及第点に達したとき、博士の学位を授与されます。

 中国の大学の授業と科学研究

 中国の大学の授業は、教学計画と教学大綱に厳格に基づき実施されています。大学で行われる主な授業形式には教室授業、ゼミ、実験、演習、補習指導などがあります。教室での教授内容を補足し、教室授業の効果をより確かなものとするため、現場授業、見学、実習、社会調査などの活動を組織し、学生の実際的な活動能力と学んだ知識の活用能力を培っています。大学と各学部には図書館あるいは図書資料室があって学生に開放されており、学生の勉学と研究のために好ましい条件を提供しています。教学目標を実現するため、学校は現代的教学設備を配し、現代的教育方法を運用しています。

 中国の大学の科学研究活動は、科学技術を発展させ、経済建設を推進する重要な力です。2000年9月現在、普通高等教育機関は合計1041校、在学の大学院生数は301200人、本科・専科生数は556900人です。大学には国家級の重点実験室と対外開放した研究実験室が102カ所あるほか、国家工程(技術)研究センターが36カ所あります。大学は中国の科学研究事業の中で非常に重要な役割を果たしています。

 中国の大学の学籍管理

 中国の大学は、期日どおりに登録手続きを行うことを学生に求めています。新入生は入学の際、再審査を経て合格する必要があり、そうすることで初めて正式に学籍を取得できます。

 中国の大学は、学生の出席状況と学習成績をともに考査しており、学生はわけもなく授業を欠席してはならず、教学計画に定められた試験を受けなければなりません。学年の定められたカリキュラムを修了し、試験に及第すれば、進級することができます。単位制を実施している場合は、試験に及第すれば、当該課程の単位を取得することができます。試験に及第しなかった場合は、規定に基づき留年あるいは退学処分とします。

 中国の大学は、学業・品行ともに優れた学生に対しては褒賞、表彰を与え、校紀・校則に違反した学生に対しては紀律上の処分を与えます。

 中国の大学のキャンパス文化

 中国の大学は、各校の特色を具えた健全なキャンパス文化を築くことを非常に重視しており、このことは大学生の成長に直接左右する環境要因であり、大学生を積極的に向上させる教育上の働きがあり、好ましい校風の形成に役立つものであると考えています。

 中国の大学は、常に大学生の社会団体活動を組織することを通してキャンパス文化がより充実したものとなるよう図っています。これらの社会団体活動には、科学実験、学術交流、文芸公演、スポーツ競技、公益活動などがあります。外国人留学生は、希望すれば中国の学生が行う社会団体活動に参加することができるほか、大学は特に留学生のために、文芸公演、スポーツ競技、中国語実演会、遊覧・見学などの活動も組織しています。留学生はこれらの活動を通じて、中華文化に対する理解を深め、中国の教師・学生との交流を促進することができます。

 中国の大学の生活施設

 中国の大学には学生寮と食堂があり、学生のほとんどはキャンパス内の寮と食堂を利用しています。留学生の学習と生活の便宜をはかるため、中国の大学ではキャンパス内に留学生向けの宿舎とレストランが建てられています。