2008年に、北京はまた砂嵐に襲われるか

蘭辛珍

 北京の人々は、今年318日から21日にかけて北京を襲ったあの強い砂嵐を、いまでも忘れていない。中央アジア地区から来たこの強い砂嵐は、カザフスタン、モンゴルから北京を襲い、最後に東の朝鮮半島を覆い、日本にまで波及した。大気の中の砂塵のは1億トン以上に達し、砂嵐に襲われた北京の可視度は数十メートルしかなかった。

 全国政治協商会議の委員たちはいっせいに「2008年に決して砂嵐を北京に現させてはならない」と声を発した。

 砂嵐防止の確実に実行できる提案を提出するため、先日、10数人の全国政治協商会議委員がそれぞれ内蒙古、寧夏、新彊など各地に行って実地調査を行った。それに先立ち、中国政府はすでに砂漠化防止を第10次五カ年計画(2001-2005)の持続可能な発展の優先分野に組み入れた。

砂漠化防除は焦眉の急

 政治協商会議委員が砂漠化防除について献策した時、内蒙古からまたも人々を憂慮させるニュースが伝わって来た。西北地区の強い砂嵐の主要な発生地の一つであるバタンキリン砂漠とテングリ沙漠がすでに一つになる勢いを呈しており、バタンキリン砂漠が年平均1520メートルのスピードでテングリ沙漠に近づいているというのがそれである。

 内蒙古アラシャン右旗林業局の張?柱局長は、「20世紀90年代から、バタンキリン砂漠の南東の端とテングリ沙漠の北西の端が八卦砂窩というところでつながり始め、今はすでにはっきりつながっている」と語った。

 中国は世界で砂漠化の危害を最も大きく受ける国の一つで、毎年そのために流失する土壌は50億トンに達している。草地の退化面積は135万平方キロで、利用可能な草地面積の3分の1を占め、砂漠化の面積は262万平方キロで、全国土地面積の27%を占め、新彊、内蒙古の砂漠化土地はそれぞれその土地面積の47%と60%を占めたており、中国が毎年砂漠化から蒙る直接損失は540億元を上回っている。

 中国水利部の第2回全国土壌流失リモート・センシングの調査結果によると、中国の土地砂漠化は主に風力浸食地区で発生し、西北と華北の北部に集中的に分布している。全国の風力浸食面積は191万平方キロに達している。

 中国北西地区の2大砂漠の「結合」は再び警鐘を打ち鳴らし、人類の砂漠化防除は焦眉の急となっている。

砂漠化防除にいっそう力を入れる

 土地砂漠化の原因は主に干ばつ、雨が少ない、大風など自然の要素および人類の不合理な開発建設活動である。そのうち、人類の不合理な開発、建設活動はしだいに土地砂漠化の主な原因となっている。総面積27万平方キロの内蒙古アラジャン盟は、砂漠、ゴビ、草地からなり、過度の放牧によって、生態調節の役割を果たしていた草地がひどく破壊され、土地の砂漠化をもたらした。気象部門の観測によると、同地は中国の最も主要な砂塵発生地の一つで、中国北部でここ数年頻繁に発生した砂塵天気のうち、少なくとも4分の1はアラジャン盟で発生したものである。

 中国政府は、今後10年間にアラジャン砂漠に黄河の水を引いて人工オアシスをつくり、アラジャン草地の2万余の住民をこのオアシスに移住させることを決定した。この移民オアシスの総計画面積は7万ヘクタールで、アラジャン砂漠南端の内蒙古アラジャン左旗ジャルガレサイハン鎮に位置している。有名な生態専門家の陳昌篤*教授は、「アラジャン草地という障壁を失うなら、西の新彊から、東の黄河に至るまでの砂漠をひとつなぎにするだろう。移民オアシスの建設はアラジャンの生態環境を大いに改善して、アラジャン地区の砂嵐発生回数を約10%減らすことができる」と語った。

 これは中国の砂漠化防除の新しい措置である。早くも20世紀80年代から、中国は長江、黄河および砂漠化のひどい地区の重点的な生態建設プロジェクトを実施し、砂漠化の総合的整備を始めた。例えば、穀物収量が低く不安定な風食化の耕地を森林や草地に戻させ、退化、砂漠化、アルカリ化した草地では、家畜を放い飼いから囲って飼育するように変えて、草地に生態機能を回復させることがその一例である。

 2008年オリンピックの主催で、中国は環境整備をいっそう重視している。このため、気象部門は北部地区の砂塵天気のモニタと警告システムの建設を強化し、砂嵐の多く発生する北方地区に機器や設備を配備し、配置が合理的で、オートメ化のわりに高い砂嵐天気モニタリングネットワークの建設を始め、それによって「中国砂嵐モニタ警告サービスシステム」を全面的に実施し、生態環境の建設と保護、土地砂漠化の抑制と防除に科学的根拠を提供する。200211日に「中華人民共和国砂漠化防除法」が施行され、中国の砂漠化防除は依るべき法をもつようになった。

国際協力を展開

 砂嵐はすでに世界的な問題となっており、土地砂漠化の防除は国際社会では21世紀の人類の直面する重大な問題の一つに入れられ、その解決は各国の長期の協力と努力が必要である。「中華人民共和国砂漠化防除法」は、国は砂漠化防除の国際協力を支持すると明確に規定しており、中国が国際社会と協力して共に砂漠化を防除することに法的保障を提供している。

 200245日、投資総額15億円の黄河中流寧夏生態防護林建設プロジェクトが正式に実施された。これは日本政府が中国に提供した最初の無償援助生態林建設プロジェクトで、砂漠整備、天然植生回復、砂防模範林営造を目標としており、時間は3年で、4281ヘクタール造林し、林道を61.67キロ建設する。このプロジェクトは完成後、モウソ砂漠が南に広かるのを効果的に阻止することができる。

 200242021日の二日開かれた第4回韓中日環境閣僚会議で、三国は、砂嵐問題を解決し、砂嵐モニタリングネットワークを構築し、専門家シンポジウムを開き、全世界環境金融国際組織の支援を促すことについて合意に達した。

 2002513日、ドイツ、韓国、日本、モンゴル、アメリカなどの七カ国と国連開発計画(UNDP)、国連食糧農業機関、アジア開発銀行(ADB)などの七つの国際組織の専門家と学者が北京に集まり、砂漠化防止のを経験を交流し、砂漠化の国際防除について協力メカニズムを提出し、砂嵐防除の協力プロジェクトの枠組みを制定し、中国、モンゴルを含む東北アジアなどの諸国の砂塵源地区の砂漠化防止の多国間協力のために基礎を築いた。

 2002520日、中米水土保持と環境保全研究センターが陝西省楊凌に設立された。同センターは土壌浸食予測、予報パンターンの研究の面で互いに促進しあい、水土保持の面では、アメリカから同国西部で砂嵐を防除する先進的な措置、器具などを導入する。中米双方は中国西部で世界先進レベルに達する水土保持の試験モデル基地を共同で建設する。人員の相互交流、学生の育成および国際協力プロジェクト獲得などの面で積極的な協力を行うことになった。

 推計によると、0.07ヘクタールの砂地を整備するのに平均46年の時間と人民元約300元の資金がかかる。専門家は、中国政府の努力の下で、また国際社会の協力と支持があれば、2008年までに、中国北部の砂嵐発生の回数と規模が大幅に減少すると見ている。