留学生教育

外国人留学生の教育の概況

 新中国の外国人留学生教育は1950年から始まり、ここ数年は大きな発展を見せています。統計によると、2000年、全国の31の省・自治区・直轄市(台湾省と香港、澳門特別行政区は含まず)の346校の大学は、166カ国から52150人の留学生を受け入れました。

 中国の大学は、外国人留学生のために学歴教育と非学歴教育を提供しています。学歴教育には専科生、本科生、修士・研究生、博士・研究生があり、非学歴教育には研修生と研究学者があります。

 中国の大学は、それぞれのタイプの留学生に対し、次のような異なる教授法と養成手段を採用しています。

 専科生:中国の専科大学生の学制とカリキュラムに基づく授業。学習年限は23年。中国人学生と同じクラスで授業を受けます。試験に及第すれば専科卒業証書を授与されます。

 本科生:中国の本科大学生の学制とカリキュラムに基づく授業。学習年限は45年。専門によって中国人学生と同じクラスで授業を受けるか、あるいは単独でクラスを編成して授業を受ける形式をとります。同時に、学生の状況によって、一部の選修科目を適切に減らすか、あるいは単独で課程を設けます。試験に及第し、卒業論文を完成すれば学士学位が授与されます。

 修士・研究生:中国の修士・研究生の学制とカリキュラムに基づく授業。学習年限は23年。留学生は指導教師の指導のもと、養成計画に基づき定められたカリキュラムを修了し、試験に及第して、論文・口頭試問に合格すれば修士学位を授与されます。

 博士・研究生:中国の博士・研究生の学制とカリキュラムに基づく授業。学習年限は23年。留学生は指導教師の指導のもと、養成計画に基づき定められたカリキュラムを修了し、試験に及第して、論文・口頭試問に合格すれば博士学位を授与されます。

 普通研修生:専門によって、中国人学生と同じクラスで授業を受けるか、あるいは単独でクラスを設けます。学習年限は12年。試験に及第すれば研修証明書が発行されます。

 高級研修生:研究課題に基づき、学校側が1人の指導教師を配してその研究を指導します。学習年限は12年。研修計画を修了したら研修証明書が発行されます。

 研究学者:特定の研究テーマに基づき、学校側が1人の連絡教師を配し、学者本人の自主研究を主体に、研究時間はテーマの必要性によって決められます。

 言語研修生:中国の高校卒業以上の学力を具える者の中国語学習授業。学習期限は通常12年。学習を終えたら研修証明書が発行されます。

 中国の大学は、外国人留学生が中国へ来て修士、博士課程を専攻することを奨励しており、一部の大学では直接外国語による課程を設けることができます。

入学試験と資格審査

 *研修生については、学歴証明書に基づき優秀な者を採用します。

 *文科本科生については、学歴証明書と成績証明書、HSK試験の中等C級証明書に基づき、学校の入学試験または資格審査を経たうえで優秀な者を採用します。

 *理学・工学・農学・医学の各本科生については、学歴証明書と成績証明書、HSK試験の初等C級証明書に基づき、学校の入学試験または資格審査を経たうえで優秀な者を採用します。

 *修士・博士・研究生については、すでに取得した学士学位あるいは修士学位証明書、修了済みの課程表と成績表、助教授以上の職にある者2名の推薦状に基づき、関係大学の入学試験または資格審査を経たうえで採用します。そのうち、外国から出願し試験を免除された入学者が論文段階へ進む資格をとるには、中国に来た後、学校の課程科目を学び、課程試験に及第しなければならず、さもなければ研修生として修了することになります。中国で出願を済ませた者は、大学院生の入学試験を受けなければなりません。中国に留学している本科新卒者あるいは修士新卒者のうち、修士・博士・研究生試験免除の推薦条件に合致する者は、学校が試験免除の推薦方法に基づき採用します。

 *芸術専攻の本科生、修士生、博士生、研修生は、本人の作品の写真あるいは録音、録画資料および教師の推薦状を提出する必要があります。

 *中国へ留学したことのある卒業生が再び中国への留学を申請する場合は、優先的に採用します。

外国人留学生の中国語予備教育

 *外国人留学生が中国の大学で学習、研修する際、授業で使われる主な言語は中国語です。各大学の図書館、書類保存館の蔵書、定期刊行物、資料も通常は多くが中国語です。学業を順調に修了するため、外国人留学生は一定の中国語能力を有していなければなりません。

 *中国へ来るまで中国語を学んだことがない者、あるいは中国語能力が専門分野の学習に求められる水準に達していない本科生、修士生、博士生、研修生は、中国に到着後1年ないし2年間は基礎中国語を学ばなければなりません。直接外国語で行われる講義を受講する研修生、大学院生も、学習と生活の便をはかるため、中国語の補習が必要となります。

中国語能力検定試験

 中国語能力検定試験(HSK)は、母語が中国語以外の者に対する中国語能力検定試験であり、中国教育部が設立した国家中国語能力検定試験委員会が統一して出題、試験、採点、判定を行い、統一してレベル証書を授与します。中国語能力検定試験は、初等、中等中国語能力検定試験(略称HSK初等、中等)と高等中国語能力検定試験(略称HSK高等)に分かれています。試験の成績が規定の基準に達した者は、相応の等級の「中国語レベル証書」を取得することができます。

 「中国語レベル証書」の効力は次の通りです。

 1、中国の大学への学部入学あるいは大学院への出願の際に求められる実際の中国語レベルを証明します。

 2、中国語レベルが一定の等級に達していること、あるいは相応の等級の中国語課程の履修免除を証明します。

 3、求人部門が応募者の中国語能力を判断する拠り所となります。

 中国語能力検定試験(HSK)は、毎年定期的に国内と海外で行われます。国内での試験は、指定の大学に試験会場を設けて毎年二回行っており、現在は北京、上海、天津、大連、武漢、南京、広州、西安などの都市に会場を設けています。海外での試験は、現地の大学あるいは学術団体に委託して、毎年一回もしくは二回行っており、現在はシンガポール、日本、韓国、カナダなど20数カ国に試験会場を設けています。