科学技術編

 同仁堂は革新を追求している。技術革新は同仁堂が創設300余年来絶えず前進してきた核心的な力であり、これにもまして企業の生命力が存続し、強くなるカギである。

 国の全力あげての援助の下で、同仁堂は50年代の初めから漢方薬の形状の改革を始めた。1952年、同仁堂は北京大学薬学部と提携して漢方薬改良研究室を設立し、模索と試作を繰り返した結果、1953年に銀翹解毒片、黄連上清片、女金片などの錠剤の開発に成功し、全国に先がけて漢方薬の形状改革の先例をつくり、五千余年前から漢方薬の形状が丸薬、粉薬、膏薬、練り薬しかないという歴史に終止符を打った。1954年、同仁堂漢方薬精製工場が正式に発足し、人工牛黄を開発して天然牛黄不足という問題を解決し、製品の科学技術含有量と市場競争力を高めるために良好な基礎を築いた。

 現代では、科学技術は日進月歩で発展し、市場のニーズは目まぐるしく変わり、競争は激しくなる一方である。技術革新はなおさら市場競争に勝つ成功の道である。革新と開発がなければ、製品は市場がない。同仁堂はこの点を深く認識し、「漢方薬の伝統を受け継ぎ、発揚することを踏まえて、先進的な科学技術の手段を十分に運用し、新品種と新形状の開発に力を入れ、製品の科学技術含有量と付加価値を高め、製品の競争力を強める」という技術革新プロジェクトを制定、実施して、多方面から企業の素質を高め、科学技術への投入を増やした。そのため、公司は綿密な科学技術発展計画を制定し、科学研究開発体系を強固にし整備し、国家クラスの企業技術センターを設置し、高性能液体色層分析計器、原子吸収分光器などの先進的な科学研究用の機器と設備を調整、配置し、先進的な検査と測定手段を持つようになったほか、10の科学研究開発機構、300名近くの漢方薬専門の高級技術者が、同仁堂の製品の発展のために孜々として研究を行っている。技術革新を通じて、同仁堂は科学技術含有量が高く、治療効果がよく、市場のニーズに合った新製品を絶えず売り出している。

 同仁堂はここ10年来百余種の新製品を開発、生産した。そのうち、国家クラスの各種の賞を獲得したものは50余種もある。今のところ、液体内服剤、ソフトとハードカプセル、スプレーなどの新形状の製品は10数種もある。愈風寧心片、児童清肺口服液、感冒軟膠嚢、安神健脳液などの新製品は伝統的名薬の治療効果を保つとともに、良薬口に苦しというこれまでの特徴を良薬口に合うように改め、売り出されると飛ぶように売れるばかりでなく、同仁堂の新しいブランド品となった。

 同仁堂の数多くの伝統的なブランド品は百年以上の歴史を持っており、これらのブランド品に市場競争力を引き続き保たせるため、同仁堂は伝統的なブランド品の再開発を非常に重視している。科学技術者は大量の実験を通じて、大活絡丹に含まれる重金属(ヒ素)の含有量基準と検査・測定方法の研究や、牛黄清心丸に含まれる重金属の安全性と有効性の科学的論証を完成した。後者の完成によって、国際医薬界は漢方薬に含まれる重金属の問題を再認識するようになり、漢方薬の研究分野で重大な突破を実現し、出来合いの漢方薬を世界に進出させるために極めて大きな貢献をした。

 科学技術への投入を増やすことを踏まえて、同仁堂は科学研究機構との密接な協力を強化し、外部の頭脳を利用して技術開発の起点を高くし、技術革新を速めることを重視している。90年代の初め、同仁堂は中国科学院西北高原生物研究所と協力して「寒隆風湿酒」の開発に成功した。これは同仁堂の伝統的な薬用酒の製造技術をハイテクと結び付けた産物であり、同仁堂が「生産部門・学校・科学研究機構」三者相互結合戦略を実施する重要かつ具体的な体現でもある。企業を悩ませてきた薬用酒沈殿という難題を解決するため、同仁堂は北京の科学研究機構と密接に協力し、「膜」技術を利用してこの問題を解決し、同仁堂の薬用酒の等級を高めた。

 中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した現在、中国の医薬界はさらに厳しい挑戦に直面している。同仁堂はすでに生薬のGAP、超微細粉砕技術とバイオテクノロジー製薬技術に目を向けた。

 漢方薬の人工栽培品種が直面している質が退化する、生産量が低い、農薬が汚染する、種子に病害があるといった問題を解決するため、同仁堂は真先に漢方薬栽培基地を設立し、中国漢方医研究院漢方医研究所、中国医学科学院薬用植物研究所などの科学研究部門に技術協力を求め、薬用植物栽培の理論、技術と結び付け、物理的刺激あるいは化学的薬物処理の方法を利用して、漢方薬のGAP栽培品種の研究を展開した。同仁堂はGAP漢方薬材料栽培基地を設立し、先進的な科学技術手段をとって、出来合いの漢方薬の生産に純粋の材料を提供し、原料のコストを引き下げ、企業の経済的効果を高め、出来合いの漢方薬の質を高め、企業の名声を高めた。

 超微細粉砕技術は漢方薬の製薬過程のカギとなる技術とプロセスであり、伝統的な方法は粉砕の程度が限られたため、漢方薬の製薬レベルの向上を制約したが、超微細粉砕技術は細胞の粉砕率を95%以上に高め、薬の効き目を高め、浪費を減らすことができ、すでに漢方薬の新しい加工技術となった。

 バイオテクノロジーは近年来世界的範囲でブームを盛り上げたが、これも伝統的な技術と現代の科学技術を結びつけて漢方薬の現代化研究を行うという同仁堂の趣旨に合致するものである。同仁堂株式有限公司傘下の同仁堂科技発展有限公司はドイツのWM Dianorm生物技術有限会社と合資で北京同仁堂麦爾海生物技術有限公司を設立し、その国際水準を持つ脂質体製薬技術を利用してバイオテクノロジー製薬分野に進出している。この技術の導入と利用は、同仁堂の製品のレベルを向上させ、出来合い漢方薬生産が内外をリードする地位を維持し、バイオテクノロジー製薬を開発するうえで重要な役割を果たすだろう。