上半期の経済成長は7.8

―――邱暁華・国家統計局副局長、上半期の経済情勢について語る

国新

 「外の炎暑のように、経済も一段と温暖になりつつある。国民経済は安定のなか比較的速い伸びを維持した。暫定予測では、上半期の国内総生産(GDP)は4兆5536億元と、前年同期比7.8%成長した」。

 国務院新聞弁公室で行われた記者会見で、国家統計局の邱暁華副局長はリラックスした表情をみせ、笑みを浮かべながら上半期の国民経済運営の状況について語った。

8つの特徴

 邱副局長は「総体的に見て、今年も積極的な財政政策と穏健な通貨政策を継続し、内需の拡大に努め、対外経済を積極的に発展させるとともに、構造調整では経済効率の向上に力を入れ、引き続き市場経済の秩序を整理・適正化して顕著な成果を収めた。多くの経済指数は当初予想を上回っており、国民経済全体の運営状況は良好だ」と述べ、具体的に次の8つの特徴を挙げた。

 第1は、国民経済が安定のなか比較的速い成長を維持したことだ。

 第2は、構造調整で農業生産が引き続き増大したことだ。夏物食糧では良質の小麦栽培面積が16%、良質のアブラナ科野菜が同16.7%増加している。

 第3は、工業生産が急増したことだ。工業関連の各所有制企業全体で生産が伸びたが、なかでも国有及び国有持ち株企業の伸び率は前年比10.0%、グループ企業8.3%、株式企業13.0%、「3資」(合弁、合作、単独出資)企業は12.3%。工業の急速な伸びをけん引した主要業種は、電子通信設備や交通運輸設備である。

 第4は、固定資産投資が大幅に増加したことだ。上半期の投資総額は、前年比を6.4ポイント上回る21.5%増の1兆4462億元に達している。

 第5は、国内市場の販売がほぼ安定し、市場価格が低水準で推移したことだ。今年以降、住民の消費意欲は相対的に安定を維持しながらやや強まり、これに加えて収入が急増したことから、国内の消費市場は総体的に安定した。上半期の消耗品小売り販売額は前年比8.6%増の1兆9448億元にのぼる。

 第6は、対外貿易が急増し、外資利用が引き続き増加を維持したことだ。上半期の輸出入総額は、前年比12.3%増の2707億ドル。うち輸出は1421億ドルで同14.1%増え、輸入は1287億ドルで同10.4%の増。輸出から輸入を差し引いた金額は、134億ドルの黒字で同54億ドル増加している。上半期の外国企業による直接投資額は契約ベースで440億ドルと、同31.5%の増。実行ベースでは18.7%増えて246億ドル。持続的な貿易黒字と増加し続ける外資利用で外貨準備高は大幅に増大し、6月末現在、年初に比べ306億ドル増えて2428億ドルにのぼる。人民元の為替レートも安定している。

 第7は、企業の経済効率が徐々に好転していることだ。経済の急成長と石油価格の安定上昇傾向などの影響で、工業関連企業では年初からの利益の減少傾向に歯止めがかかった。4月と5月の利益は前年同月比で15.5%増え、1〜5月までの累計では1750億元で、同2.8%伸びている。赤字企業の損失幅も段階的に縮小。1〜5月までの損失額は同9.9%の減少、1〜3月に比べると4.5ポイント下がった。

 第8は、都市・農村部住民の収入が急速に増加したことだ。上半期の都市部住民1人平均収入は3942元で、価格上昇を除いた実質では17.5%増と、去年同期の5.5%をはるかに上回っている。農村部住民の現金収入は1123元、価格上昇を除く実質では5.9%増え、同1.7ポイント伸びた。都市・農村部住民の6月末現在の預貯金残高は年初より8034億元増えて、8兆1712億元にのぼる。

邱暁華・国家統計局副局長に聞く

国民経済良好の原因

 今年の国民経済は普通だと予測する人がいるが、上半期について公表されたデータを見ると状況は良好であり、その原因は何か。

 邱副局長 上半期の経済運営が当初予想を上回ったのは、主に3つの要素による。第1は、政策がよかったことだ。この数年連続して実施してきた内需拡大の方針、積極的な財政政策と穏健な通貨政策、及び経済をテコ入れする機動的な調整政策は、実践が証明しているように功を奏した。こうした政策の下で、国内需給が安定増を維持し、当面の経済成長を支えたことで、今後の長期にわたる成長に向けて良好な基盤が築かれた。第2は、人々が努力したことだ。今年に入ってミクロの活力が一段と増強された。これは民間投資が急速に回復し、消費意欲が高水準を維持し、企業家の自信が強まっていることを反映したものである。第3は、世界経済とリンクされたことだ。世界貿易機関(WTO)加盟後、プラス効果が現われ始めている。外需が不可欠な要素となり、対外経済をけん引して持続的かつ急速な成長を維持した。上半期の輸出は14.1%、外資利用は18.7%増加。また経済成長は7.8%で、100ポイント近くが外需主導によるものである。今年上半期の経済では、内需、外需ともに成長をけん引したことが従来と異なる重要な特徴だ。世界経済の発展は中国にプラスであり、中国経済の発展は世界経済にもプラスとなる。

データの信頼度

 海外では多くの経済学者が、中国の経済関連の数字には水増しがかなり多いと考え、その信頼度に懐疑的な姿勢を示しているが、この問題をどのように見るか。

 邱副局長 中国の統計は中国の経済と同様、先進国と比較すると、いろいろと人を完全に満足させることのできないところもある。しかし、当面の経済運営の総体的状況に目を向けさえすれば、基本的な統計データを得ることができ、これは現在の実状を反映した結論となるものだ。例えば、中国のデータはエネルギーや運輸、地区で格差があり、その他一部の面でもデータ間に非協調性があると疑う人もいるが、ここで幾つかのデータを見せれば、やはり協調性があることが理解できる。2001年を1997年と比較した場合、経済は33.9%も成長しており、年平均で言えば7.6%となる。また固定資産投資は47.9%増加し、消耗品小売り総額は37.7%、輸出は45.6%、輸入は71.1%伸びている。需給の角度、それに経済成長の角度から見れば、やはり協調が取れていると言うべきだ。収入面から見れば、都市部住民の収入は33.5%、農村部では15.2%増えており、財政収入は89.2%、企業利益は2.2倍、住民の貯蓄は59.4%増加した。農民の収入増が低目である以外は、その他の収入と経済成長の間にも協調性がある。投入の角度から言えば、この時期、発電量は30.2%、旅客輸送回転率は30.8%、貨物は24%伸びており、通貨供給量は年平均14%前後増えている。従って、中国のこの数年の経済成長状況を疑うのは、根拠がないと考える。

 我々の統計数字が基本的に信頼できるのは、以下の幾つかの要素があるからだ。

 第1は、科学技術に依存していること。統計の基本方法、制度及び採用している技術は先進国と大差ない。この点は、世界銀行(IBRD)や国際通貨基金(IMF)、アジア銀行(ADB)から「中国の統計は総体的に見て、発展途上国のなかでトップクラスにある」と高く評価されている。

 第2は、法制に依存していること。この数年、我々は統計に関する法制の執行を強化している。社会に対して電話によるクレーム件数を公表しているため、いかなる不法行為も我々の視野のなかにある。もちろん、隠蔽行為も一部であるし、米国で起きた粉飾決算の問題も存在する可能性はある。しかし結局のところ、あれほど規模の大きな企業はないし、小規模企業が粉飾決算をした場合、発見すれば厳しく処分することにしている。

 第3は、道徳に依拠していること。我々が全業種で、つまり、すべての統計システムで提唱している職業道徳とは、言えば事実の追求であり、虚偽の数字は出さないというルールだ。職業道徳の教育はこの数年、成果を上げており、全国で200万人を超す統計に従事する職員の職業道徳、また業務資質は規定に合致している、と言っていい。

 第4は、監督を受け入れていること。社会各界が統計を監督するのを、我々は歓迎する。年初にIMFが提唱するデータ公布通用システムに正式加入したが、これは公正かつ公開、透明なものにするというものだ。データの一部の面での修正は、これは正常であり、国際慣例に沿ったものだと考えている。例えば、周知のように、米国の今年第1・四半期を見ると、初めは5.8%、続いて5.6%、最後には6.1%と、3度も修正されている。従って、我々のデータは一般的に言って、修正は少ないほうだと言える。普通、1年に3回しか修正しない。つまり、暫定的な試算数字、暫定的な統計数字、そして最後の算定数字だ。我々の最終データは『統計年鑑』に掲載され、仮にそのデータが修正されているとすれば、方法や制度、分類基準が調整されたためである。従って、重ねて表明するが、中国の統計作業の基礎は信頼できる。

消費需給とデフレ

 物価指数は連続マイナス成長で、消費需給の増加は緩やかになっています。これがデフレの圧力になるのではと言う人がいるが、下半期はどうなるのか。

 邱副局長 現在のところ、市場の物価は非常に低い。それについては、幾つかの見方を示す必要がある。第1は、物価が低いことに消費者は非常に満足していることだ。第2は、生産者が低物価に確かに不満を抱いていることだ。持続的な低物価は企業の利益を減少させている。今年第1・四半期に企業利益は9.1%下降したが、主因は物価の下落である。第3は、今年に入って、市場の低物価に特殊な要素が出てきたことだ。例えば、WTOへ加盟して門戸が開かれ、関税が引き下げられて低価格の外国製品が輸入され、その影響が徐々に鮮明になってきている。関係機関のデータでは、輸入された主要製品のうち、同様の製品を国内価格と比較すると20%前後も安い。また年初以来、市場競争がさらに経済生活のなかに浸透してきたため、独占的な値上げが抑制されるようになった。上半期のサービス価格は2.4%しか値上がりしておらず、この数年で最低の伸び幅となっている。また、技術進歩が加速されたことで、企業の生産コストは下がり、それが市場の物価にもある程度影響を与えている。通信製品の価格はこの2、3年下落を続け、携帯電話は年初には2000元以上していたが、先月は一気に40%も値下がりした。当面の物価がさらに低価格へと押しやるのは必然だ、と言うべきだ。

 市場経済秩序を整理・適正化し、随意に値上げする詐欺的現象の取り締まりは強いダメージを与え、価格吊り上げは抑制された。従って、現在の0.8%の物価下落は、こうした新たな要素の影響を比較的客観的に反映したものだと言える。デフレだとは考えていない。もちろん、根本的に言えば、低物価は現在の需給関係が比較的緩やかであることを映したものだ。動向を見れば、低物価の状況は好転してきた。消費者価格は最高だった1.3%から、6月には0.8%にまで縮小している。工業製品の出荷価格は、第1・四半期に4.1%下降したが、第2・四半期には下げ幅は2.7%まで縮小した。エネルギーや原材料、動力の輸入価格は第1・四半期に4.7%下落したが、第2・四半期には3.1%と、下げ幅は小さくなってきた。

レイオフ・失業者数

 邱副局長 総体的に一時帰休者の数は目立って減少したが、失業者数は依然、下げ止まらないままだ。国有企業の一時帰休者で就業していない人の数は、6月までに464万人減少している。年初より51万人少なくなった。今年に入って、就業の状況はある程度改善されてきた。一方、登録失業者数は依然として去年末の700万人前後の水準にあるが、失業率は4%以下である。

正常な不動産投資

 邱副局長 不動産の開発・投資は今年上半期、前年同期比32.9%伸びた。不動産投資が30%前後の伸びを維持しているのは、やはり正常だと考える。衣食住が足りた生活を実現し、現在はよりゆとりのある社会に向け前進しているため、居住条件を改善することが、多くの中国人にとって基本的な要求となっている。需給の角度から言えば、過熱という問題は存在していないと考える。もちろん、不動産構造に不合理な面もあるのは確かであり、投資家はやはり消費者のニーズに沿って構造調整を速めていく必要がある。富裕層を考慮するとともに、中所得者層をも考慮し、さらに低所得者層など多層的な需要を考慮してこそ、不動産を健全に発展させることができる。

 今年に入って投資が急増している要因は、3点ある。第1は、積極的な財政政策。国有事業体の投資を引き続き急増させるためにプラスとなる条件が整ったことから、今年は資金源が豊かである。第2は、投資環境の改善。これが企業、個人による積極的な投資を刺激した。第1・四半期には、都市・農村部でグループ、個人の投資が10.6%増大し、第2・四半期は25.3%まで達し、上半期では同17.8%の増となっている。これは民間投資が平常になりつつあることを示すものだ。第3は、気候。総体的に施工に適しているため、多くの重要プロジェクトが、以前に比べ前倒しして相次いで着工されている。