政 治

一、国家機構

 中華人民共和国憲法によれば、中国の中央国家機構は主として全国人民代表大会、国家主席、国務院、中央軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察院の六方面からなっている。

全国人民代表大会 全国人民代表大会常務委員会 国家主席 国務院 中央軍事委員会 最高人民法院  最高人民検察院

 国家主席、国務院、中央軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察院の五大機関はいずれも全国人民代表大会(全人代)によって選出され、全人代とその常務委員会に対し責任を負う。

全国人民代表大会

国の立法権

 全国人民代表大会は憲法改正、刑事、民事、国家機構およびその他の基本的法律の制定、改正の権限を有する。

二、最高国家機関の構成員あるいは指導者を選挙、決定、罷免する権限

 全国人民代表大会は、全人代常務委の構成員を選挙し、中華人民共和国主席、副主席を選挙し、国務院総理、国務院副総理、国務委員、各部部長、各委員会主任、会計検査長、秘書長の人選を決定し、中央軍事委員会主席を選挙し、中央軍事委員会のその他の構成員の人選を決定し、最高人民法院院長と最高人民検察院検察長を選挙する権限を有する。全国人民代表大会は、同大会が選挙または決定した最高国家機関の構成員を罷免する権限を有する。

三、国の重大事項に対する決定権

 全国人民代表大会は、国民経済・社会発展計画の執行状況の報告および国の予算と予算執行状況の報告を審査、認可し、省、自治区、直轄市の設置を認可し、特別行政区の設置とその制度を決定し、戦争と平和の問題を決定する権限を有し、最高国家権力機関が行使すべきその他の職権を享有する。

四、その他の最高国家機関に対する監督権

 全国人民代表大会は憲法の実施を監督する。憲法の規定によれば、国務院、最高人民法院、最高人民検察院は、全国人民代表大会によって選出され、全国人民代表大会に対し責任を負い、全国人民代表大会の監督を受ける。全人代の監督権行使とは、とりもなおさず人民を代表して政府とその他の国家機関を監督することであり、これは国家機関が正常に運営し、法によって事を運ぶのを保障する重要な条件である。

 現行の憲法と関係法律は、全人代は毎年一回開かれ、第一・四半期に全人代常務委によって召集される。全人代の任期は一期五年であると規定している。

 全人代常務委は最高国家権力機関と国家立法機関の常設機関であり、全人代の閉会期間に最高国家権力と国家立法権を行使する。第九期全人代常務委は百三十四人の委員で構成され、その構成員は国家行政機関、裁判・検察機関の活動に対する監督をよりよく行うようにするため、これら機関の職務を担当してはならない。

 全人代常務委は、憲法を解釈し、憲法の実施を監督し、全人代の制定した法律以外のその他の法律を制定、改正し、全人代閉会期間中に、全人代の制定した法律を部分的に補充、改正し、法律を解釈する権限を有する。

 全人代の各専門委員会は、全人代の常設活動機構であり、全人代の会期中の主な活動は、関係議案を検討、審議、制定することである。全人代閉会期間中に、各専門委員会は全人代常務委の指導を受ける。第九期全人代では、民族、法律、内務・司法、財政・経済、教育・科学・文化・医療衛生、対外事務、華僑、環境・資源保護、農業・農村の九つの専門委員会が設置された。

 二〇〇一年の第九期全人代とその常務委員会の活動の進展

 第九期全国人民代表大会第四回会議以来、全人代常務委は憲法と法律から賦与された職責を真剣に履行し、立法、監督などの諸活動がいずれも新たな進展をとげた。

 立法作業はわりによい成果をあげた。全人代常務委は、年間に関係法律の議案を三十件審議し、その中に法律制定が十六件、法律解釈が一件、法律問題に関する決定が三件あり、中国の特色をもつ社会主義法体系を初歩的に形成することに向かってまたも一歩踏み出した。

 市場経済体制を規範化させ、市場経済秩序を整頓し、とくに中国のWTO加盟の要請に適応するため、常務委は前後して信託法を制定し、商標法、著作権法を改正し、それ以前の特許法と中外合資経営企業法、中外合作経営企業法、外資企業法の改正とともに、WTO加盟以前の関係法律の改正作業を一応完成した。

 各地の実践を経た成功のやり方および地方的法規の実施経験を法律化させた。常務委は、人口および計画出産法を制定し、この基本的国策を法律化させた。これは人口の数量を効果的に抑え、出生する人口の資質を高めることに対し必ず深遠な影響を及ぼすであろう。

 経済、社会、環境の協調的発展への法的保障提供を重要視した。常務委は砂漠化の防止とその対策措置法および海域使用管理法を採択し、森林をつぶして農地を造成したり、むやみに林地を占有、乱用する犯罪に照らして、刑法の関係規定を改正、解釈した。また裁判官法、検察官法、弁護士法を改正し、国防教育法を制定し、全人民国防教育デーの設置に関する決定を採択し、職業病予防治療法を制定した。

 民主を発揚し、大衆路線を歩み、たえず立法の質を高めた。多くの家庭と関係のある婚姻法の改正案は、さまざまな形で各方面の意見を聴取し、常務委が審議を何回も行ったあと、二〇〇一年にまたも草案の全文を公布して、大衆の意見をいちだんと求めた。広範な参与、十分な協議、認識の一致を踏まえて、常務委はこの改正案を採択した。

 一年来、常務委はまた外国と締結した条約および中国が加入した国際条約を合わせて十件批准した。「中ロ善隣友好協力条約」の批准は、中ロ間の友好協力関係の長期にわたる安定発展に法的基礎を築いた。中国・ベトナム陸地国境条約の批准に次いで、中国とタジキスタン、キルギスとの国境接点に関する協定を批准し、中国と周辺諸国との善隣友好協力関係をいちだんと強化し、強固にした。いかなる形のテロリズムにも反対し、法に依って国を分裂させる活動を取り締まり、国の安全および世界と地域の平和と安定を守るため、中国とロシアおよび中央アジア四ヵ国が共同で締結した「テロリズム、分裂主義、宗教過激派の取り締まりに関する上海条約」を批准し、「国連がテロリズムによる爆破を制止する国際条約」への加入を批准し、また刑法の関係規定を改正した。常務委はまた中国のWTO加盟の批准を順調に完成した。

 監督活動は新たな進展をとげた。全人代常務委は証券法、村民委員会組織法、農業法、水汚染防除法など四つの法律の実施状況を点検し、農業の基盤的地位の強化と農民の収入増、社会保障制度の充実、通貨政策の実施、社会治安の強化、偽造品・粗悪品の製造・販売の取り締まりなどに関する特定活動についての報告を審議した。各専門委員会も一部の法律施行状況を点検し、関係部門の特定活動報告を審議した。

 代表の活動がいっそう改善された。関係議案に対する大衆の意見を広く聴取するため、全人代代表が常務委の会議に列席する範囲を拡大し、代表の視察方法をも改善した。香港、澳門の全国人民代表大会代表によりよく役割を発揮させるため、全人代常務委は香港と澳門の代表をそれぞれ貴州、甘粛、湖北、安徽へ行って視察させ、中西部地区に対する香港と澳門の代表の理解を深めさせた。台湾省の全人代代表も福建省へ視察に行った。第九期全国人民代表大会第四回会議期間に代表の提出した議案のうち、関係法律の制定、改正についての提案の多くがすでに常務委に受け入れられた。常務委はまた大衆の投書と来訪を真剣に処理し、出された問題について、専門の調査を行うものもあれば、関係ある地方、部門に回して処理させたものもあった。

 任期満了に伴う選挙を指導した。二〇〇一年下半期から、全国の郷クラスの人民代表大会代表の任期満了に伴う選挙が続々と行われた。全人代常務委は調査研究を踏まえて、今回の選挙をりっぱに行うための指導的意見を提出し、そのために講習会さえ開設した。常務委はまた第十期全国人民代表大会代表の定員と選挙問題に関する決定案および香港特別行政区、澳門特別行政区の第十期全国人民代表大会代表選出方法草案を審議し、第五回会議に上程して審議させた。

 地方人民代表大会との連係をいちだんと強化した。全人代常務委は地方人民代表大会と全人代の代表の意見を聴取することに留意し、地方人民代表大会立法法貫徹活動会議を開き、地方人民代表大会の立法活動をりっぱに行う経験を総括、交流した。全人代常務委機関はまた前後してさまざまな形の講習会を三十余回開設し、地方人代の幹部育成・訓練強化を援助した。地方人代も全人代常務委を手伝って多くの活動を行った。例えば、関係法案に対する意見聴取を手伝い、法律執行状況の点検に合わせて、法律執行の過程でぶつかった新しい状況や新しい問題をすかさず報告するなどして、全人代常務委の活動を促した。

 対外交流を積極的に展開した。一年来、全人代常務委は前後して百近くの外国議会代表団の来訪を受け入れた。これらの交流を通じて友情を深め、共通の認識を拡大し、協力を強化した。常務委はまたハイレベルの往来を行い、外国訪問と視察を計画的に組織し、国際と地域議会の開催する会議に参加するなどさまざまな形を通じて、各国議会の人士と広く接触し、率直で誠意をこめて対話を行った。西側諸国の少数の議会が中国の内政に干渉する議案を審議、可決したことに対し、外事委員会はすかさず声明と談話を発表し、中国の厳正な立場と態度を表明した。常務委はまた欧米諸国の議会と構築した対話メカニズムを通じて、相互理解と交流を強化した。

第九期全人代第五回会議

 世界貿易機関(WTO)加盟後の中国の最初の年度発展要綱としての「政府活動報告」は、内需を拡大し、育て上げ、経済の比較的速い成長を促す方針を打ち出し、WTO加盟後の新しい情勢に適応して、対外開放レベルを全面的に高め、引き続き市場経済秩序の整頓と規範化に大いに力を入れ、政府の職能をいちだんと転換し、行政部門の作風建設を強化することを約束している。報告はまた、内需拡大の重要な措置として、二〇〇二年に一五〇〇億元の長期建設国債を発行し、西部開発、重点企業の技術改造、南部の水を北部に導く水利工事、北京・天津の水資源保護プロジェクト、建設中の国債プロジェクトなどに用いると述べている。

 会議は、それぞれ国務院の提出した二〇〇二年度国民経済・社会発展計画を認可し、二〇〇一年度国民経済・社会発展計画の執行状況と二〇〇二年度国民経済・社会発展計画案についての報告を認可する、および国務院の提出した二〇〇二年度中央予算を認可し、二〇〇一年度の中央と地方予算の執行状況および二〇〇二年度の中央と地方予算案についての報告に同意する二つの決議を採択した。

 計画報告は、二〇〇二年の中国経済成長の予期成長目標を七%前後とすることを提出した。

 会議は李鵬委員長の行った全人代常務委の活動報告を認可することについての決議を採択した。同決議は、全人代常務委は立法活動をいちだんと強化、改善し、立法の質を高め、任期内に中国の特色を持つ社会主義法律システムを一応確立するという目標を実現するように努めることを提出した。

 会議は第十期全国人民代表大会の代表人数と選挙問題についての決定を表決で採択した。この決定によると、第十期全人代の代表人数は三〇〇〇名を超えないこととし、二〇〇三年一月末以前に選出すべきである。会議は香港特別行政区と澳門特別行政区が第十期全人代代表を選出することについての二つの規則をそれぞれ採択した。

 会議は、最高人民法院活動報告と最高人民検察院活動報告をそれぞれ認可する二つの決議を採択した。二つの決議はそれぞれ法院、検察院に法によって裁判、検察の職能を履行し、司法を公正にし、裁判と検察の改革を深化させ、作風を改善し、効率を高め、人民大衆の監督を意識的に受け、司法要員の資質向上に努め、廉潔政治建設を強化し、社会主義現代化建設と社会の安定に司法面から力強い保証を提供するよう要求している。

第九期全国人民代表大会常務委員会

委員長 李 鵬

副委員長 田紀雲、姜春雲、鄒家華、ペバラ・ゲレナムジェ(チベット族)、王光英、程思遠、ブハ(蒙古族)、トムル・ダワマト(ウイグル族)、呉階平、彭はい雲(女)、何魯麗(女)、周光召、曹志、丁石孫、成思危、許嘉ろ、蒋正華

(注 前副委員長の謝非氏は一九九九年十月二十七日に死去した。前副委員長の成克傑は二〇〇〇年四月二十五日に罷免された)

秘書長 何椿霖

中華人民共和国主席

 中華人民共和国主席は中華人民共和国の国家元首であり、中国の対内、対外の最高代表である。国家主席は独立した国家機関であり、国家機構の重要な構成部分である。

 選挙権と被選挙権をもつ満四十五歳の中華人民共和国の公民は中華人民共和国主席に選ばれることができる。

 中華人民共和国主席は全国人民代表大会によって選出され、全国人民代表大会主席団によって立候補者名簿を提出され、大会によって選出される。国家主席の選挙は一般には等額選挙の方法がとられる。全国人民代表大会は国家主席を罷免する権限がある。 

 国家主席の任期は毎期五年であり、任期は連続二期を超えてはならない。

 国家主席が空席の時、副主席によって職務を引き継がれる。国家副主席が空席の時、全国人民代表大会によって補欠選出される。国家主席と副主席がともに空席の時、全国人民代表大会によって補欠選出される。補欠選挙を行う前に、全国人民代表大会常務委員会委員長が暫時主席の職務を代行する。

 現行の憲法は国家主席の基本的職権を次のように規定している。

一、対内職権

1 法律の公布 全国人民代表大会およびその常務委員会が法律を採択さした後、国家主席が公布し、法律が正式に発効する。国家主席は法律否決権をもたない。およそ全国人民代表大会およびその常務委員会で採択された法律は、国家主席が公布しなければならない。法律は国家主席の公布を経なければ、発効できない。

2 命令の発布 国家主席は全国人民代表大会およびその常務委員会の決定に基づいて、国務院総理、副総理、国務委員、各部部長、各委員会主任、会計検査長、秘書長を任命し、国家の勲章と栄誉称号を授与し、特赦令、戒厳令を発布し、戦争状態を宣言し、動員令を発布する。

二、 対外職権

1 国家主席は中華人民共和国を代表して外国使節が手渡す国書を受け取る。

2 全国人民代表大会常務委員会の決定に基づいて、外国駐在の全権代表を派遣、召還する。

3 全国人民代表大会常務委員会の決定に基づいて、外国と締結した条約および重要な協定を批准、廃棄する。国務院または国務院の関係部門が外国と締結した条約および協定は、全国人民代表大会またはその常務委員会が批准、または廃棄の決定を行った後、国家主席が公布する。

 中国の国家元首制度は集団指導制度である。国家主席は全人代に従属し、直接最高国家権力機関の命令を受ける。

 中国の歴代の国家主席は、毛沢東、劉少奇、李先念、楊尚昆の諸氏である。

 現任の国家主席は江沢民氏、副主席は胡錦濤氏である。

国務院

 中華人民共和国国務院、すなわち中央人民政府は、最高国家権力機関の執行機関であり、最高国家行政機関である。国務院は総理、副総理、国務委員、各部部長、各委員会主任、会計検査長、秘書長によって構成される。国務院総理は国家主席が指名し、全国人民代表大会の決定を経て、国家主席が任免する。国務院のその他の構成員は国務院総理が指名し、全国人民代表大会またはその常務委員会の決定を経て、国家主席が任免する。国務院の任期は五年で、その構成員の留任は二期を超えてはならない。

 国務院は総理責任制を実行し、各部と各委員会は部長・主任責任制を実行する。国務委員は対外事務の中で、総理の委託を受け、総理を代表して重要な活動を行うことができる。会計検査長は責任をもって会計検査署の活動を指導し、国の財政収支状況に対し、会計検査と監督を行う。国務院秘書長は総理の指導のもとで、責任をもって国務院の日常活動を処理し、国務院弁公庁の活動を指導する。

 国務院は党の方針、政策および全国人民代表大会で採択された法律、法令を貫徹、執行し、十二億九千五百万の人口を擁する中国の内政、外交、国防、財政、経済、文化、教育などの事務を管理する。

 現行の憲法は国務院に広範囲の職権を与えている。これらの職権は概括すると、行政立法権、法案提出権、行政指導権、経済管理権、外交管理権、社会管理権、および全人代とその常務委から委託、授与されたその他の職権などがある。

国務院総理 朱鎔基

国務院副総理 李嵐清、銭其しん、呉邦国、温家宝

国務委員 遅浩田、羅幹、呉儀(女)、イスマイル・アマット(ウイグル族)、王忠禹

国務院秘書長 王忠禹(兼)

中央軍事委員会

 中央軍事委員会は中華人民共和国の最高軍事指導機構であり、全国の武装力を指導、統帥する。

 中央軍事委員会主席は全国人民代表大会によって選出され、軍事委員会のその他の構成員の人選は、全国人民代表大会またはその常務委員会が国家中央軍事委員会主席の指名に基づいて決定する。国家中央軍事委員会は主席責任制を実行し、主席は全国人民代表大会に対し責任を負い、国家中央軍事委員会の職権範囲内に属する事項に対し最終決定を行う権限がある。

 中華人民共和国の武装力は中国人民解放軍の現役部隊と予備役部隊、中国人民武装警察部隊、民兵からなる。中華人民共和国中央軍事委員会は全国の武装力を指導し、統一的に指揮する。中華人民共和国は国防部を設け、国務院に従属し、国防建設事業を指導、管理する国務院の部門である。

 中国人民解放軍の現役部隊は国の常備軍であり、主として防衛作戦の任務を担い、必要な時は法律の規定に基づいて社会秩序の維持に協力することができる。その組織体制は基本的な組織構造に基づいて総部体制、軍種・兵種体制、軍区体制に分けられる。

総部体制。中国人民解放軍の総部体制は、中央軍事委員会が指導する総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部からなる。中央軍事委員会は四つの総部を通じて各軍区、各軍種・兵種を指導、指揮する。国防部の具体的活動は四つの総部によってそれぞれ行われる。

軍種・兵種体制。中国人民解放軍は陸軍、海軍、空軍の三つの軍種と第二砲兵という独立した兵種からなる。

軍区体制。中国人民解放軍の軍区(戦区)は国の行政区画、地理的位置、戦略と戦役の方向、作戦任務などに基づいて設置された軍事組織であり、現在は瀋陽、北京、蘭州、済南、南京、広州、成都の七つの軍区が設置されている。

 中国人民解放軍は軍事科学院、国防大学、国防科学技術大学を設立している。軍事科学院は全軍の最高軍事科学研究機関である。国防大学は主として高級指揮者、高級参謀、高級理論研究者を養成する。国防科学技術大学は主として高級科学・技術要員と専門の指揮者を養成する。

 中国人民解放軍予備役部隊は予備役人員を基礎とし、現役人員を中堅とし、規定した体制と編制に従って編成された部隊である。予備役部隊は中国人民解放軍に組み入れられ、平時は規定に従って訓練を行うが、必要な時は法律の規定に従って社会秩序の維持に協力し、戦時は国が発布した動員令に基づいて現役部隊に転じることができる。

 中国人民武装警察部隊は国から賦与された安全防衛任務を担う部隊であり、国務院、中央軍事委員会の二重指導を受け、内部防衛、黄金、森林、水力発電、交通などの部隊からなる。

 民兵は国家武装力の構成部分である。民兵は軍事機関の指揮の下で、戦備勤務、防衛作戦任務を担い、社会秩序の維持に協力する。

 中央軍事委員会主席 江沢民

 副主席 胡錦濤、張万年、遅浩田

 委員 傅全有、于永波(満州族)、王克、王瑞林、曹剛川、郭伯雄、徐才厚

最高人民法院

 最高人民法院は中国の最高裁判機関であり、全国人民代表大会とその常務委員会に対し責任を負う。最高人民法院は法によって独自に最高裁判権を行使し、行政機関、社会団体、個人の干渉を受けない。最高人民法院は最高クラスの裁判組織である審判委員会を設置している。同時に若干の裁判廷を設けているが、主として第一刑事裁判廷、第二刑事裁判廷、民事裁判廷、経済裁判廷、行政裁判廷、告訴・上訴裁判廷、交通運輸裁判廷などがある。

 憲法と法律の規定によると、最高人民法院の主な職責は次の三つある。@全国に大きな影響を及ぼす案件、高級法院の判決と裁定に不服の上訴案件および最高人民法院が自ら審理すべきであると考える案件を審理する。A地方各クラス人民法院と専門法院の審判活動を監督し、地方各クラス人民法院と専門法院の下した誤った判決を取り消し、再審を決定するかを指令する。B審判の過程で法律の具体的適用の問題に対し司法解釈を行う。この司法解釈は全国で執行しなければならない。

 最高人民法院院長は全国人民代表大会によって選出され、任期は五年で、留任は二期を超えてはならない。副院長、審判委員会委員、各裁判廷の裁判長、副裁判長および裁判員は全人代常務委によって任免される。

 現任の最高人民法院院長は肖揚氏である。

最高人民検察院

 最高人民検察院は中国の最高検察機関で、国の法律監督機関である。主な任務は地方各クラス人民検察院と専門人民検察院が法によって法律監督の職能を履行するように指導し、国の法律の統一的かつ正しい実施を保証することである。最高人民検察院は全国人民代表大会とその常務委員会に対し責任を負うとともにその活動を報告し、全国人民代表大会とその常務委員会の監督を受ける。

 憲法と法律の決定によると、最高人民検察院の主な職責は次の通り。@地方各クラス人民検察院と専門人民検察院の活動を指導する。A汚職事件、贈収賄事件、公民の民主的権利を侵犯する事件、涜職事件などの刑事事件を法によって直接受理するとともに立件して取り調べ、起訴するかどうかを決定する。B法によって法院の審判、刑事事件の取り調べ活動に対し法律監督を行う。C重大な刑事事件に対し、法によって逮捕認可と起訴を審査する。D刑事事件の裁判活動に対し法律監督を行う。E各クラスの人民法院のすでに発効したが、確かに誤りがある判決と裁定に対し、法によって最高人民法院に抗告する。F法によって、監理・矯正場所の活動を監督する。G検察活動の中で、具体的な法律適用問題に対し司法解釈を行う。H検察活動に関する条例、細則、規定を制定する。I法によって検察官を指導、管理する。J検察部門の幹部教育養成活動を組織、指導する。K検察機関の対外交渉を組織し、関係ある司法協力を展開する。

 現任の最高人民検察院検察長は韓杼浜氏である。

二、中国共産党

 中国共産党は一九二一年七月一日、上海で創立された。中国共産党は中国の政権党であり、全中国人民の利益を代表している。

 中国共産党は全国の各民族人民を指導し、二十八年間にわたる困難に満ちた闘争を経て、新民主主義革命の勝利を勝ち取り、中華人民共和国を樹立した。

 新中国成立後、中国共産党は全国の各民族人民を指導してさまざまな困難を克服し、中国を貧しくて立ち遅れた半植民地・半封建国家から初歩的に繁栄と隆盛を実現した社会主義国家に変わらせた。

 中国共産党の指導は主に思想・政治の指導である。党は人民の意志を集中して自らの主張と政策を形成し、そのあと国の法的プロセスを通じ、人民代表大会の決定を経て、国の法律と決定になる。国の指導体制の中で、党は政府の職能を代替しない。党は憲法と法律の範囲内において活動を行い、それらを超越するいかなる権力もない。党員は公民と同じように法の前では、すべて平等である。

 一九七八年十二月に開かれた中国共産党第十一期中央委員会第三回総会は、一九七九年から党の活動の重心を社会主義現代化建設に移すことを決定するとともに、改革・開放の方針を確定した。

 中国共産党は改革・開放を実行し、社会主義市場経済体制を確立する過程で、厳しい試練に直面している。党は腐敗反対、廉潔提唱を自己建設の重要な内容としている。一九九三年に開かれた中国共産党第十四期中央委員会第三回総会は次のように指摘した。清廉政治建設の強化、腐敗反対は社会主義市場経済体制を確立する必須条件であり、重要な保証であり、改革事業の成否にかかわり、党と国の運命にかかわる重要な事柄である。中国共産党中央は、腐敗現象の存在に照らして、党・政府機関の責任者が率先して廉潔を保つように自らを律すること、重大事件を取り調べ、処理すること、大衆が強い不満をもつ不正の風潮に歯止めをかけることなどに重点的に力を入れている。

 中国共産党第十五回全国代表大会は一九九七年九月十二日から十八日まで北京で開かれ、江沢民総書記は第十四期中央委員会を代表して大会で、「ケ小平理論の偉大な旗印を高く掲げ、中国の特色を持つ社会主義建設事業を二十一世紀に向けて全面的に推し進めよう」と題する報告を行った。大会は、新しい中央委員会、中央規律検査委員会を選出し、第十四期中央委員会の報告に関する決議、「中国共産党規約改正案」に関する決議、中央規律検査委員会の活動報告に関する決議を採択した。党規約は ケ小平の理論を党の指導思想として確立し、中国共産党がマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、ケ小平理論を自らの行動の指針とすることを明確に規定した。

 二〇〇一年は中国共産党樹立八十周年であり、江沢民総書記は七月一日に開かれた中国共産党創立八十周年を祝う大会で重要な演説を行った。

 中国共産党第十五期中央委員会第六回総会は二〇〇一年九月二十四日から二十六日まで北京で開かれた。会議は中央政治局が主宰し、江沢民中央委員会総書記が重要な演説を行った。

 総会は江沢民同志が中国共産党創立八十周年慶祝大会で行った演説を高く評価し、演説が中国共産党の八十年にわたる輝かしい歴史を全面的に回顧し、基本的経験を系統的に総括し、新しい歴史的条件下でどのような党を建設するかおよびいかに党を建設するかの基本的問題をめぐって、「三つの代表」という重要な思想の科学的内包を深く解明し、新世紀における党の歴史的任務と奮闘の目標を一歩進んで解明した。それはマルクス主義の綱領的文献であり、党と国の諸活動をいちだんとりっぱに行うことに対し重要かつ深遠な意義があることを一致して認めた。

 総会は党が新世紀に入って後直面する新しい情勢と任務を全面的に分析し、今回の会議が党の作風の建設を重点的に研究するのは適時であり、必要なことであるとし、「中国共産党中央の党の作風建設の強化、改善に関する決定」を審議、採択した。

 総会は次のように指摘した。中国はすでにまずまずの社会を建設し、社会主義現代化の推進を加速する新たな発展段階に全面的に入っており、党が置かれている国内外の環境と党員の状況はともに重要な変化が生じた。党は全国の各民族人民を結束し、導いて、引き続き現代化建設を推し進め、祖国の統一を成し遂げ、世界の平和を擁護し、共同の発展を促すには、終始変わることなく中国の先進的生産力の発展要求を代表し、中国の先進的文化の前進方向を代表し、中国の最も広範な人民の根本的利益を代表し、党の指導と執務レベルを高め、腐敗と変質を拒み、リスクを防備する能力を高めるという二大歴史的課題をめぐって、党建設の新たな、偉大な活動を全面的に推進しなければならない。

 総会は次のような認識に達した。当面、中国は経済が繁栄し、民族が団結し、社会が安定し、全面的に発展する重要な時期にある。わが党は科学的な理論と正しい路線があり、八十年にわたる奮闘によって積み重ねてきた優良な作風と貴重な経験があり、全党の同志が作風建設の強化、改善という差し迫った願望と共通の努力があり、人民大衆の信任と支持があり、われわれは党の作風建設を新たなレベルに高める自信を完全にもっており、またその能力もある。

中国共産党第十五期中央委員会

中国共産党中央委員会総書記 江沢民

中国共産党中央政治局

 政治局常務委員会委員 江沢民、李鵬、朱鎔基、李瑞環、胡錦濤、尉健行、李嵐清

 中央政治局委員(姓の筆画順による) 丁関根、田紀雲、朱鎔基、江沢民、李鵬、李長春、李嵐清、李鉄映、李瑞環、呉邦国、呉官正、遅浩田、張万年、羅幹、胡錦濤、姜春雲、賈慶林、銭其しん、黄菊、尉健行、温家宝

 中央政治局候補委員(得票順による) 曽慶紅、呉儀(女)

 中央書記処書記 胡錦濤、尉健行、丁関根、張万年、羅幹、温家宝、曽慶紅

 現在、中国共産党は六千四百五十余万人の党員がおり、三百五十四万余りの末端組織がある。党中央機関紙は『人民日報』、党中央理論誌は『求是』である。

三、多党合作と政治協商制度

 中国共産党の指導する多党合作と政治協商制度は中国の基本的政治制度である。

 中国は多くの党派がある国であり、政権党の中国共産党のほか、八つの民主党派がある。これらの民主党派は、中華人民共和国の成立前からすでに存在し、政治的には共産党の指導を擁護している。これはこれらの党派が長期にわたって共産党と合作し、ともに奮闘する過程で行った歴史的選択である。中国共産党と民主諸党派は、いずれも憲法を活動の根本原則としなければならない。民主諸党派は組織的には独立し、憲法の定めた範囲内で政治的自由、組織的独立、法的地位の平等を享有している。中国共産党と民主諸党派が合作する基本的方針は、「長期に共存し、互いに監督し、肝胆相照らし、栄辱をともにする」というものである。

 民主諸党派は野党でもなければ反対党でもなくて、参政党である。民主党派が政治に参与する基本的内容は、国家政権に参加し、国の大政方針と国家指導者の人選についての協議に参与し、国家事務の管理に参与し、国の方針、政策、法律、法規の制定、施行に参与することである。

 多党合作と政治協商の形態は主に次のようなものがある。@人民政治協商会議。それは各党派、各人民団体、各界の代表的人物が政治に参与し、それを討議する重要な場所である。A中国共産党中央と地方の各クラス党委員会が招集する民主諸党派と無党派人士の座談会。座談会では重要な状況を通報し、重要な方針・政策問題、国と地方政府指導者の候補者リスト、人民代表大会代表と政治協商会議委員候補者リストについて、民主諸党派と協議し、その意見と提案を聴取する。B民主党派のメンバーの中の人民代表大会代表は各クラス人民代表大会で人民代表の資格で政治に参与し、それを討議し、監督の役割を果たす。C民主党派のメンバーを選んで、国務院とその関係部・委員会および県クラス以上の地方政府とその関係部門の指導的職務を担当させる。D条件にかなった民主党派のメンバーを推薦して、検察・裁判機関の指導的職務を担任させる。

八つの民主党派

中国国民党革命委員会

 民革と略称。一九四八年一月一日に正式に創立され、中国国民党民主派とその他の愛国民主人士が創設し、政治同盟の特徴をもち、中国の特色をもつ社会主義と祖国統一事業に力を注ぐ政党である。

 民革の歴代の主要指導者は宋慶齢(名誉主席)、李済深、何香凝、朱蘊山、王昆侖、屈武、朱学範、侯鏡如(名誉主席)、孫越崎(名誉主席)、李沛瑶の諸氏であり、現任の中央委員会主席は何魯麗女史である。

中国民主同盟

 民盟と略称。一九四一年三月に創設され、文化・教育に従事するインテリを主なメンバーとする社会主義勤労者や社会主義を擁護する愛国者の政治同盟であり、社会主義に奉仕する政党である。

 民盟の歴代の主要指導者は黄炎培、張瀾、楊明軒、史良、胡愈之、楚図南、費孝通、銭偉長(名誉主席)、蘇歩青(名誉主席)の諸氏であり、現任の主席は丁石孫氏である。

中国民主建国会

 民建と略称。一九四五年十二月に創設され、そのメンバーは主に愛国の民族商工業企業家および彼らとかかわりのあるインテリなどである。現在のメンバーは八万五〇〇〇余人。

 歴代の主要指導者は黄炎培、胡厥文、孫起孟の諸氏であり、現任の中央委員会主席は成思危氏である。

中国民主促進会

 民進と略称。一九四五年十二月に創設され、そのメンバーは主に教育、文化、出版、科学およびその他の仕事に従事する中・高級インテリである。

 歴代の主席は馬叙倫、周建人、葉聖陶、雷潔瓊の諸氏であり、名誉主席は謝氷心、趙樸初の諸氏であり、現任の名誉主席は雷潔瓊氏、主席は許嘉ろ氏である。

中国農工民主党

 農工党と略称。一九三〇年八月に創設され、医薬・衛生、科学・技術、文化・教育界の中・高級インテリを主なメンバーとする社会主義勤労者および社会主義を擁護する愛国者の政治同盟である。

 歴代の主要指導者はケ演達、彭沢民、季方、周谷城、ろ嘉錫の諸氏であり、現任の名誉主席はろ嘉錫氏、主席は蒋正華氏である。

中国致公党

 致公党と略称。一九二五年十月に創設され、帰国華僑およびその親族を主体とする民主党派である。

 歴代の中央委員会主席は陳其尤、黄鼎臣、董寅初の諸氏であり、現任の名誉主席は董寅初氏、主席は羅豪才氏である。

九三学社

 一九四六年五月に創設され、メンバーは主に科学・技術、文化・教育、医薬・衛生界の中・高級インテリである。

 歴代の主席は許徳こう、周培源、厳済慈(名誉主席)、金善宝(名誉主席)の諸氏であり、現任の中央委員会主席は呉階平氏である。

台湾民主自治同盟

 台盟と略称。一九四七年十一月に創設され、中国大陸に住む台湾省出身の人で組織された社会主義勤労者と社会主義を擁護する愛国者の政治同盟である。

 歴代の中央委員会主席は謝雪紅、蔡嘯、蔡子民の諸氏であり、現任の名誉主席は蔡子民氏、主席は張克輝氏である。

中国人民政治協商会議

 中国人民政治協商会議(人民政協と略称)は中国共産党が指導する多党合作、政治協商の重要な機構であり、中国の政治生活の中で社会主義民主を発揚する重要な形の一つである。

 現在、人民政協は中国共産党、民主諸党派、無党派民主人士、各人民団体、各少数民族、各界の代表、香港特別行政区の人士、澳門特別行政区の人士、台湾同胞、帰国華僑の代表および特別招請された人々から構成されている。

 人民政協の主な職能は、政治的に話し合い、民主的監督を実行し、政治に参与し、政治を討議することである。

 中国人民政治協商会議第一回総会は一九四九年九月二十一日から三十日まで、当時の北平・中南海の懐仁堂で開かれ、六百六十二人の代表が同会議に出席した。会議は暫定憲法の性格を持つ「中国人民政治協商会議共同綱領」を討論、採択した。会議で、毛沢東が中華人民共和国中央人民政府委員会主席に選出され、朱徳、劉少奇、宋慶齢、李済深、張瀾、高崗の六人が副主席に選出された。同時に、五十六人の中央人民政府委員が選出された。会議は中国人民政治協商会議組織法を制定、採択し、組織面で中国の人民民主統一戦線を完全なものにし、定着させた。会議はまた、五星紅旗を中華人民共和国国旗とし、「義勇軍行進曲」を国歌とし、中華人民共和国の首都を北平に定め、北平を北京に改称し、年号は世界共通の西暦を採用し、十月一日を国慶節とすることを決定した。毛沢東はこの会議の席上、全国人民代表大会開催以前に、人民政治協商会議が全国人民代表大会の職権を代行すると宣言した。

 一九五四年に第一期全国人民代表大会が開催された後、人民政協は全国人民代表大会の職権代行の使命をまっとうしたが、統一戦線組織として引き続き存在し、現在までに全国委員会会議が九期開催された。

 中国人民政治協商会議は厳密な組織機構があり、現行の中国人民政治協商会議規約によれば、中国人民政治協商会議は中央に全国委員会と常務委員会及び九つの専門委員会を設け、地方に政治協商会議地方委員会を設けている。任期は五年で、全体会議は毎年一回開かれる。

 各級政治協商会議委員のほとんどは豊富な経験をもつ政治活動家、社会の著名人、各分野の専門家と学者である。委員たちは関係ある国事と地方の重要問題についての協議、討論に直接参加するほか、各自の専門に基づいてそれぞれ政治協商会議の国際問題、教育、科学技術、法制などの専門委員会に参加し、参観や視察、特別調査などを通じて、各分野の重要問題を調査、研究し、政府に提案と意見を提出する。

第九期全国政治協商会議第四回会議以降の活動の進展状況

 二〇〇一年、中国人民政治協商会議全国委員会常務委員会は国の中心活動をめぐって、団結、民主という二大主題をとらえて、政治協商、民主監督、政治参与と政治討議の職能を着実に履行し、第九期全国政協会議第四回会議で定められた諸任務を実行に移した。

第十次五カ年計画の実施をめぐって建言、立論

 二〇〇一年は第十次五カ年計画を実施する最初の年である。常務委員会は第十次五カ年計画の順調な実施を促進することを、委員が政治に参与しそれを討議する中心内容とし、常務委員会会議、常務委員特別テーマ座談会、主席会議及びその他の形式を通じて協議、討論し、委員に政治討議と建言を行わせ、さまざまなルートを通じて委員の意見や提案、批判を上級に報告した。専門委員会主任合同会議を開き、十余項目の改革と全体の建設にかかわるマクロ的、戦略的、将来性のある課題を選んで、委員たちに二十余りの省、自治区、直轄市の末端に深く入って視察と調査・研究を行わせ(一部の視察と調査・研究活動は副主席の指導で行われた)、わりに大きな影響を及ぼす成果をかなりあげた。

大衆の利益と社会の安定を守るために献策

 常務委員会は委員と大衆の報告したホットな問題と難しい問題を重視し、関係協調、矛盾解消、団結促進、安定擁護などの面で役割を果たすように努めている。例えば、農村の税金費用改革試行問題については、常務委員視察団は安徽へ行って調査研究を行い、試行活動改善、試行期限延長、試行範囲拡大といった十項目の提案を出した。また、都市部の貧しい人々の困難解決問題については、二十九の省クラス政治協商会議が参加する特別テーマシンポジウムを催し、当面の困難解決が直面している問題を集中的に取り上げ、就職ルートを切り開く、社会保障にいっそう力を入れる、所得分配秩序を規範化させる、都市と農村の統一した貧困脱却扶助と困難解決の活動メカニズムを構築する、及び家庭向けの社会救助体系に目を向ける、政策を制定するにあたって大衆の実際的な受け入れ能力を考慮するなどの面から提案を出した。

民意伝達活動を深化

 「民意伝達活動のいっそうの強化についての政協全国委員会の若干の意見(試行)」の指導の下で、ここ一年来、各クラスの政協委員、民主諸党派と商工業連合会のメンバー、無党派人士の民意伝達の積極性がいっそう大きくなり、「政協情報」、「政治参与と政治討議の動態」などの形式を通じて伝達したさまざまな情報は千五百余件、処理した大衆投書や来訪は延べ一万四千五百件にのぼった。民意伝達活動は民主監督の役割を果たし、給料の遅配、住宅の取り壊しと立ち退き、幹部の作風、社会治安、生態環境及び医療保健など、大衆が広く関心をもち、社会が強い不満をもつ一部の問題が重視、解決されるように促し、中央の指導者から肯定され、人民大衆の好評を博した。

香港・澳門・台湾・華僑の人士との団結、懇親を強化

 常務委員会は「平和的統一、一国二制度」の基本方針を真剣に貫徹し、香港・澳門・台湾・華僑の人士との団結・懇親活動を強化した。辛亥革命九十周年を記念する一連の活動を行い、内外の中華民族の息子と娘が「中華を振興する」という孫文らの革命先駆者の遺志を受け継いで、一日も早く祖国統一大業をなしとげ、中華民族の偉大な復興を実現するために奮闘努力するよう呼びかけた。

 関連部門と共同で「祖国統一大業の実現促進のために引き続き奮闘しよう」という江沢民主席の重要演説発表七周年を記念する座談会を催し、海峡両岸の経済文化交流と人的往来の促進に努めた。招きに応じて代表を日本とオーストラリアに派遣して「世界華僑華人の中国の平和的統一推進大会」に参加させ、関係団体と共同で代表団を結成して中南米の四カ国に赴いて海外在住の同胞を訪れ、統一促進・台湾独立反対の統一戦線の発展と壮大を促進した。

多段階の対外友好往来活動を展開

 李瑞環主席がモーリシャス、南アフリカ、モロッコ、トルコ、フィジー、パプアニューギニア、シンガポールを公式友好訪問し、数名の副主席が相前後して代表団を率いて外国を訪問するか国際会議に出席した。ここ一年来、二十一の代表団が三十六カ国を訪問し、二十三の代表団の来訪を招請し、受け入れた。二〇〇二年三月現在、八十七カ国の百四十七の機構及び六つの国際的、地域的組織と友好的な連係を樹立した。これらの活動を通じて共産党の指導する多党合作と政治協商制度をPRし、国際社会の中国に対する理解を増進させ、中国の社会主義現代化建設に有利な国際環境の創出に積極的な影響を及ぼした。

 政治協商会議常務委員会「二十一世紀フォーラム」は中国と世界がともに関心を持つ問題を選んで、二回の特別テーマシンポジウムを催した。一つは「クリーンと環境保護二〇〇一」国際シンポジウムで、いま一つは「異なる文明の対話二〇〇一年シンポジウム」であり、突っ込んだ討論を通じて、広範囲にわたり共通の認識に達した。

 政協常務委員会は中国経済社会研究会を発足させ、また経済社会理事会とその類似の組織である国際協会第七回会議で正式のメンバーと管理委員会のメンバーとなった。これは政協常務委員会が初めて民間団体を組織して国際NGOの多角的な交流に参与したことである。

第九期全国政協第五回会議

 第九期全国政協第五回会議は二〇〇二年三月三日から十三日まで北京で開かれた。

 今回の大会はこれまで通り中国共産党の第三世代の指導部から高度に重視された。大会の開幕後、中共中央政治局の七人の常務委員はそれぞれ各界の委員たちを訪れ、討論に参加した。会議の発言を聴取し、各グループの討論に参加し、委員たちの意見を聴取した中共中央と国務院の指導者、関係部・委員会と最高人民法院、最高人民検察院の責任者は延べ百八人に達し、人数はこれまでの最多であった。

 会議期間中、委員たちは国の政治、経済、社会の重要な話題についてそれぞれ自分の意見を述べた。三月八日現在、会議が受け取った提案は合わせて三千五百八十三件で、審査を経て立件した提案は三千三百六十八件であった。会議が受け取った書面発言は合わせて七百六十五件で、三十七人の委員が三回の会議で建言した。

 会議に出席した委員たちは過去一年の業績を高く評価し、新しい年の目標実現に自信にあふれ、同時に改革、発展、安定にかかわるいくつかの重要問題に大きな関心を示した。WTO加盟の応対、農民の収入増、社会保障システムの整備、弱い人々への配慮、社会信用メカニズムの構築などの問題は委員たちが建言するホットな問題となった。

 全国政協は現在委員が二千二百六十七名おり、閉幕式に出席した千九百七十五名の政協委員は政治決議、常務委員会の活動報告についての決議、第九期政治協商会議第四回会以来の提案活動状況報告についての決議、政協第五回会議の提案審議状況の報告を採択した。

 李瑞環全国政協主席は第十回政協会議の閉幕式で次のように述べた。各クラスの政協組織は職能を履行する過程で思想を解放し、実事求是を旨とし、絶えず実践し、積極的に模索して、重要な意義を持つ経験を多く積んだ。今年は第九期全国政協の最後の年で、政協委員たちは各種の職能を引き続き履行すると同時に、経験を総括し、成績を発揚し、欠点を克服して、今期の政治協商会議を円満に終らせ、次期の政治協商会議のために必要の準備を整えなければならない。

中国人民政治協商会議第九期全国委員会

主席  李瑞環

副主席  葉選平、楊汝岱、王兆国、アペイ・アワンジンメイ(チベット族)、巴金、銭偉長、任建新、宋健、李貴鮮、陳俊生、張思卿、銭正英(女性)、丁光訓、孫孚凌、霍英東、馬万祺、朱光亜、万国権、胡啓立、陳錦華、趙南起(朝鮮族)、毛致用、白立忱(回族)、経叔平、羅豪才、張克輝、周鉄農、王文元

(物故者 趙朴初氏は二〇〇〇年五月二十一日北京で、安子介氏は二〇〇〇年六月三日香港で、盧嘉錫氏は二〇〇一年六月四日福州で死去した)

秘書長  鄭万通

主要な人民団体

 中国では、大衆団体は中国共産党と政府が人民大衆とつながりを保つかけ橋、きずなであり、国家政権の重要な社会的支柱であり、社会主義民主生活の中で重要な役割を果たしている。

中華全国総工会

 中華全国総工会は全国各地の労働組合と産業別労働組合全国組織の指導機関で、「全総」と略称し、一九二五年五月に発足した。

 中国の労働組合の主な社会的職能は、従業員の合法的権益と民主的権利を擁護すること、従業員大衆が建設と改革に参加し、経済・社会発展の任務を遂行するよう動員、組織すること、企業の民主的管理に参与し、従業員が絶えず思想道徳と科学技術、教養の素質を高めるよう教育することである(擁護、建設、参与、教育の四つの職能と略称する)。

 中国の労働組合は世界の百四十余カ国・地域の各派の全国的な労働組合組織と友好関係を樹立した。

 中華全国総工会主席は尉健行氏で、現在会員は約九千万人。

中国共産主義青年団

 中国共産主義青年団は共青団と略称し、中国共産党の指導する先進的青年の大衆組織であり、一九二二年五月に発足した。共青団中央委員会は中国共産党中央委員会の指導を受ける。

 共産主義青年団の基本的任務は共産主義で青年を教育し、青年がマルクス・レーニン主義、毛沢東思想と近代的な科学文化知識で自らを武装するように助け、青年が社会主義現代化建設の実践の中で理想、道徳、教養があり、紀律を守る共産主義事業の後継者に鍛え上げるように導くことである。団員の年齢は満十四歳から満二十八歳までである。

 中国共産主義青年団は現在団員が六千九百余万人おり、共青団中央書記処第一書記は周強氏である。

中華全国婦人連合会

 中華全国婦人連合会は一九四九年四月三日に発足した、中国共産党の指導する全国各民族の女性従業員、女性農民、女性知識人とその他の勤労婦人、社会主義と祖国の統一を擁護する愛国婦人の大衆組織である。

 婦人連合会の基本的職能は、女性の利益を代表、擁護し、男女平等を促進することである。

 婦人連合会執行委員会主席は彭珮云氏である。

中華全国工商業連合会

 中華全国工商業連合会は全国工商聯と略称し、一九五三年十一月に発足した、中国共産党の指導する統一戦線の性格を持つ人民団体と民間商会で、中国人民政治協商会議の構成部門である。

 工商業連合会の歴代の主要指導者は陳叔通、胡子昂、栄毅仁の諸氏であり、現任の名誉主席は王光英氏、主席は経叔平氏である。