外資はどこに投入するのか

羅中雲

投資額が強い増加の勢いを見せている。サービス業、製造業及び研究開発機構が投資のホットスポットとなっている。政策の調整が加速されている。

 対外貿易経済合作部の統計データによると、今年上半期、外国の対中国投資は引き続き強い増加の勢いを見せている。上半期の全国の契約ベースの外資額は31.5%増の4399000万ドル、外資実際利用額は18.7%増の2458000万ドルに達した。外資企業の工業生産額は3641億元で、前年同期より12.2%増え、全国工業生産額の25.2%を占めた。この統計データはまた、現在サービス業、製造業と研究開発機構がいよいよ外国投資の重点分野となり、投資額が持続的に増加していることを示している。

外国投資の新たなホットスポット

 中国がWTOに加盟する前に、中国製造業の将来を心配し、製造業、特に自動車、石油化学、IT製品などのような、関税の引下げ幅が大きく、非関税措置が大量に減少する業種はWTO加盟後、外国の直接投資を減らし、製品輸出の形で中国市場に進出させるだろうと見る人が少なからずいた。しかし、現在の情勢から見て、その兆しはまだ現われていない。北京大学中国経済研究センターの海聞教授の見方では、外国の対中国投資はただ関税を避けるためだけではなく、生産コスト、市場の見通しなど各方面の要素も考慮しなければならない。そのため、製造業への外国直接投資は中国が関税を引き下げることで減るようなことがなく、以前の労働集約型から技術集約型、資本集約型の産業に転換し、ハイテクをますます多く使用している。

 東芝の中国駐在総代表は次のように語った。東芝は中国に60余億ドルを投資した後、以前は家電、機械・電力、エネルギーなどの分野に集中していた対中国投資を情報技術とソフトの分野に転換し、液晶技術と半導体への投資は20億ドルを上回るだろう。今年4月から、東芝は中国にあるその合資工場――大連東芝テレビ有限会社でデジタル・カラーテレビとパノラマサイズ・カラーテレビの生産を始め、3億円(人民元約2000万元に相当)を投資して生産ラインを増やし、既存の生産設備を更新している。全面的操業を始めれば、大連東芝の年間生産能力は100万台から150万台に増強され、従業員も今の1200人から2000人前後に増えるだろう。

 聞くところによると、現在、中国国内の軽工業、化学工業、医薬、機械、電子などの業種では、外資が市場のシェアをかなり占めている。例えば、タイヤ業界ベスト59のメーカーの売上高のうち、合資企業は約3分の1を占め、電子業界の生産額も外資企業が3分の1を占めており、米モトローラ社は移動通信設備の分野で中国市場の11%のシェアを占めている。

 銀行、保険、電信、物流、卸し、小売り、貿易および専門コンサルティングなどを含むサービス業も当面外国投資の重点分野となっている。世界最大の飲食企業であるマクドナルドは最近全世界で250軒のチェーン店を閉店処分にする決定を行った。しかし同時に、今から2003年までに、毎年中国で100軒の店をオープンするように確保することをも明らかにした。いままで、マクドナルドは北京、上海、広州、深セン、福建、武漢などの各地でそれぞれ育成センターを設置し、マクドナルドのすべてのチェーン店のマネージャに約2000時間のトレーニングを受けさせている。その内容は、レストランの経営管理知識、会計と財務、人的資源、レストランの設計と設備の管理と配置、PR、セールス拡大、品質のコントロールなどがある。金融サービスの分野では、昨年1229日、上海銀行は一度に3行の外資銀行や機構と13%の株を譲渡する取り決めを結び、外資銀行が中国資本の銀行の株式に参加する幕を切って落とした。また電信サービス業では、今年322日、中国最初の中外合資電信公司が上海でオープンしたことは、外資が全面的に中国の電信市場に進出し始めたことを示している。

 研究と開発も当面外国投資家が直接投資するいま一つのホットスポットである。さる45日、日本の松下は中国に2番目の研究開発基地――松下電気研究開発(蘇州)有限公司の設立を発表した。同様に、ジーメンスも南京に洗濯機と冷蔵庫の研究センターを設置した。ヒューレット・パッカードもそれぞれ上海と深センにアジア地域織物研究開発センターと電子レンジ研究開発センターを設置することを披露した。統計が顕示しているように、昨年末現在、マイクロソフト、モトローラ、ゼネラル・モーターズ、ゼネラル・エレクトリックス、JVC、サムスン、デュポン、PGATTなどを含む多国籍企業が中国に設置した独自の研究開発機構はすでに110カ所に達している。

政策の調整

 昨年12月、中国は正式にWTOに加盟し、中国政府はWTOの規則に基づいて、外国投資に対し全面的な政策調整を速めている。

 今年221日、改正後の「外国投資方向指導規定」が中国国務院によって公布、施行され、その付属文書である「外国投資産業指導目録」も41日から実施を始めた。同時に、中国の全国人民代表大会と常務委員会も「中外合資経営企業法」、「中外合作経営企業法」、「外資企業法」改正案を審議、採択した。これは中国のWTO加盟後の外資利用政策の調整がすでに具体的な実施段階に入ったことを示している。

 730日、対外貿易経済合作部スポークスマンの高燕氏は中国のWTO加盟後の外資導入政策についてより詳しい説明を行い、次のように語った。

 外国投資吸収に関する法律、法規、政策の安定性、一貫性、予測性を保つことはわが国の一貫した原則である。長い目で見れば、中国は政策安定を踏まえて、公平、公正、秩序だった市場環境を作り出し、各種企業の発展によりよい競争のチャンスをもたらす。昨年1211日以来、中国は関税レベルを引き下げ、輸入割り当て許可証管理を実施する商品を33種から12種に減少し、サービス業の開放に関する新しい法規と条例を公布し、サービス分野開放をいちだんと拡大し、知的所有権、外資などと関係ある関連法律を改正し、それらをWTOの関係規則と一致するようにした。国務院の各部門は対外経済貿易業務と関係ある法律、法規を合わせて2300余件整理し、各地も関係ある法規や文書の整理を積極的に進めている。

 高燕氏はまた次のように説明した。

 現在、一部の重要なサービス貿易部門はすでに「外国弁護士事務所中国駐在代表機構管理条例」、「電信企業への外国投資管理規定」、「中華人民共和国外資金融機構管理条例」、「外資保険会社管理条例」、「中華人民共和国国際海運条例」、「中外合作音響製品取扱販売企業管理規則」と「『旅行社管理条例』の改正に関する国務院の決定」など外資の中国進出を審査、認可する新しい法規と条例を公布し、また一部の中外合弁医療機構、外資取扱販売企業及び合資旅行社の設立を認可した。