ますます市場化する中国のテレビ番組

唐元かい

 中国の中央テレビ局(CCTV)はこれまでと同じように「2002FIFAワールドカップ」のすべての試合を生放送したが、以前と異なっているのはCCTVが大金を出して各地のテレビ局の放映権を独占したことである。中国のテレビ視聴者にとって、新しい番組が次々と登場することと古い番組がつねに改版されるは、見慣れたものである。

 昨年CCTV7年間放映を続け、同一時間帯の視聴率の約60%を占め、毎年コマーシャルによる所得を15000万元以上上納する「東方時空」という朝のテレビニュースマガジンを改版した。

金づるとなる

 中国では、テレビがますます安くなっているが、テレビ番組がますます高くなっている。

 先般、CCTVはあるテレビ番組についてコマーシャルの公開入札を行い、最後は底値の2.3倍の6560万元で成約した。

 中国人にとって、テレビ局のゴールデンタイムのコマーシャル入札が日常茶飯事となっているが、今回の入札はCCTVが「同じ歌」という番組のために行ったものである。この番組は異なる時代の代表的な歌を歌う音楽会で、しばらく顔を出さなかった昔の有名歌手を招き、人びとの懐旧の情を満たしている。1999年に放映を始めてから、数年の発展を経て、この番組はブランドテレビ番組となり、自らのブラント効果を利用して企業を引きつける条件と資格がある。

 伝えられるところによる、中国の最も有名な映画監督の一人である張芸謀氏はそれを耳にして、テレビ番組の製作に転業すると言った。これはもちろん冗談だが、少なくとも当面の中国のテレビ番組が映画よりずっと人気があることを物語っている。映画と比べて、テレビ番組の市場化は確かにはるかに高いものである。

 中国のテレビ番組はますます金づるになっており、視聴率はちくじ重要な地位を占めている。視聴者はテレビ番組の運命を決める。多くのテレビ局の具体的な改革措置の中に、数週間連続して視聴率がしんがりにランクされた番組を淘汰することが含まれている。

 テレビコマーシャルは人びとの買物意欲を刺激し、多く買物すれば、メーカーがますます多くのコマーシャルを放映する。テレビ局はコマーシャルと企業の賛助に頼って急速に大きくなり、よりすばらしい番組を製作するための経済的基礎を築く。この分野における市場の役割は日増しに著しくなり、その結果、中国のテレビ番組は産業化の軌道に載るようになる。

「産業化」の道を歩む

 放送とともに、中国のテレビ産業は放送メディアと伝送ネットワークという二つのメインラインに沿って、資源再編を行っている。それは急速に発展する必然的な結果であり、内外の競争の圧力に迫られて行った必要な選択でもある。業界内部の間、テレビ局と民間の製作団体との間、放送メディアと新聞・雑誌などの在来のメディアとの間の競争がますます激しくなっている。中国のWTO加盟後、放送・テレビ業界は国際メディアグループからの衝撃をも受けるようになる。

 国家ラジオ・映画・テレビ総局の計画に基づいて、多くの省・市は有線テレビ局と無線テレビ局を併合したかまたはその準備を進めている。規模が大きくなってこそはじめて、激しい競争の中で勝つことができるのである。

 併合の前に、多くのテレビ局は相互に独立し、いずれも「小さくて全面的」、「総合化」の方向に向かって発展し、職員と設備に忙しいものもあれば、遊んでいるものもある現象が見られ、浪費が大きく、効率が低い。これは市場の細分化によってもたらされたものではなく、機構の間に障壁ができるという人為的な結果である。

 このほか、専門家の推算によると、現在、中国は世界でユーザー数が最も多い有線テレビネットワークを擁し、その価値はほぼ2000億元に相当する。さらに100億元を投じて都市間の光ケーブル線路を舗装し、現有のテレビ放映ネットワークを活性化させれば、その価値を5000億元に増やすことができる。調べによると、いま関係部門は全国の有線テレビネットワークを整合しているという。

 そのほか、各省のラジオ・映画・テレビメディアは続々とグループを設立し、これまでのテレビチャンネル間の閉鎖、硬直化の設置を打破し、番組製作、広告経営、ネットワーク伝送の産業化運営はできるだけ上場公司の枠内で行い、わりに整った産業価値チェーンを一応形成し、実行可能なテレビメディアが資本市場に頼って発展するやり方を探り当てた。

 テレビ局自体が活躍しているほか、日増しに規模を拡大している民間のテレビ製作公司も市場占有のために力を注ぎ込んでいる。そのうちの成功者は広東省の映画館映写技師上がりのケ建国さんである。ケさんはテレビドラマの製作、発行に頼って急速に成金となった。多くのバラエティー番組のプロデューサーはいかなる金儲けの希望とチャンスをも逃がすようなことをしない。さまざまな原因で、かれらが番組を直接テレビ局に売るにはまだ多くの障害があるが、テレビ局は「相互協力」の方式で一部のコマーシャルの利潤を譲ることになろう。