重大な進展をとげたロボット技術と産業化

唐元かい

 20世紀50年代末に、世界最初のロボットがつくられたが、今日、この技術はすでに第3段階にまで発展した。これは総合的なハイテクであり、現在、ロボットの技術及び関係あるオートメ化装備の発展レベルは、国の工業水準をはかる重要な目印となっている。

 1980年、中国最初のロボットが誕生した。これを起点として、中国はロボットの研究と製造を始めた。多年の難関突破を経て、特に「863」ハイニューテク計画の支持の下で、中国のロボットは技術と産業化の面で重大な進展をとげ、数十項目のカギとなる技術と応用基礎技術の研究成果が国際先進レベルに達した。

研究・開発の成果

 いくつかの展覧会で、中国人が開発したサービス、水中、工業、農業・林業・娯楽などの各種ロボットと操作システムは展示されている。そのほか、サッカー競技を行うロボット、脳外科ロボットなど多機能のロボットがある。

 最近、中国は操作の精度がナノメーター級に達する高精度微動ロボットを開発し、産業に応用し始めた。

 天津の南開大学も細胞、胚胎、染色体の操作に用いるミクロン級の微操作ロボットを開発した。中国農業科学院はこのロボットを利用して、植物の細胞染色体に対し切断操作することに成功した。一部の医学研究部門はこれを利用して遺伝子転嫁試験を行っている。

 ロボットを実用化させるため、大学と産業界は協力している。企業は大学の開発した技術を利用して製品を増加し、大学は企業に一部の開発費用を分担させることができる。

 人類の形と機能を模倣するロボットの研究は80年後半から始まったものである。2001年から始まる第10次五カ年計画の中で、人の形をしたロボットが重点的に開発する課題に指定された。現在、一部の研究部門は開発に取りかかっている。

 中国科学技術大学が開発したロボットは、昆虫の足のように曲がった6本の長い腕の先に輪をとりつけてあり、坂道などを直接またり越えがることができる。話によると、この技術は月に対する無人探測に使われる可能性があるという。

 中国がロボットの開発に大きな力を入れている目的は、製造効率と製品の品質を高めることにある。報道によると、現在、中国の工業用ロボットの年間需要量は約1000台であるが、まだかなり多く輸入する必要がある。生産ラインのいっそうのオートメ化を実現すれば、ロボットの需要量は大幅に増加する。

 専門家によると、基礎製造業のレベルが依然として低いため、中国はロボットの製造と応用の面で、相変わらず先進国と一定の差がある。陳懇清華大学精密機器学部教授は例を挙げて、20世紀90年代に、中国で始まった高精度微動ロボット研究はわりに高いレベルに達したとはいえ、生産と応用の面で始動段階にあると語った。

産業化を実現

 長春「一汽フォルクスワーゲン」の30万両乗用車のロボット・パンチプレス生産ラインは中国科学院瀋陽自動化研究所が自主的に開発した最初の大型ロボットパンチプレス自動化生産ラインであり、系統的性能は国際同類製品のレベルに達しているが、価格は国外同類製品のわずか三分の一で、非常に強い市場競争力を持っている。

 同所の王天然所長によると、同所に設けている「国家ロボット工学研究センター」はロボットを育成する「揺りかご」からロボット産業化の基地に発展した。水中ロボットの研究と開発は「ゼロ」を突破して成熟に向かい、潜水の深さが200メートル、1000メートルから国際先進レベルの6000メートルの無ケーブル自治水中ロボットに仲間入りした。

当面の技術の強みに頼って、同所は数年前から、先進的な製造分野の新しい成長要素を開拓し始めた。同所が相次いで展開した知能ロボットと知能システム、製造システムの構造とモデル、先進的製造技術の研究は、いずれも製造科学の中でイノベーションの意義をもつものである。

 ロボット技術と産業の発展の見通しに触れて、王天然所長は次のように語った。中国のロボット市場の発展潜在力が非常に大きい。そのため、現代化の経営理念で運営すべきである。瀋陽自動化研究所はロボット技術の重要な部門として、すでに瀋陽市、遼寧省、中国科学院瀋陽分院などの科学技術公司と連合して現代ハイテク公司を設立しており、同時にABB、IGMなど世界の有名なロボット会社と協力して、中国の国情に適するロボットシステムを共同で開発しているる。

 現在、中国は10余のロボット研究開発センターと20余のロボット産業化基地をもっており、2000年の各基地の生産額は67500万元に達し、7種の工業ロボットシリーズ製品、102種の特種のロボットを開発し、100余件のロボット応用プロジェクトを実施した。