不良資産処理の国際化を目指して

                     謝 強

 国外の一部の投資銀行は中国の巨額の不良資産に大きな興味を示し、中国の一部の資産管理公司と商業銀行もその不良資産の売却を通じて不良資産率を下げようとしている。しかし、不良資産処理の国際化を本当に実現するまでの道のりはまだまだ長いものである。

                       編集部

 不良資産はゴミではなく、適切な環境があれば、富を生み出す可能性もある。

 中国人民銀行の関係専門家によると、資産負債率が高く、現金の流通量が少なく、管理がわりに混乱している債務企業は、優遇政策と優待価格の基礎の上で、管理レベルが高く、国際競争力の強い投資銀行に買収されたあと、成長の潜在力と投資リターンの潜在力がいずれも非常に大きなものである。

 2001年に、米アーンスト&ヤング会計事務所の協力の下で、4社ある資産管理公司の一つである華融資産管理公司は大規模の不良資産国際入札を行った。9カ月にわたる資産選定を通じて、それぞれモーガン・スタンレー社、ゴールドマン・サッチス社、レーマンブラザーズ社などからなる多国籍応札チームに総額128億元の不良資産を売却し、不良資産処理の国際市場を切り開いた。

 そのあと、東方資産管理 公司は海外に不良資産を売却したことがある。長城資産管理公司は531日、内外向けの不良資産の一括競売を始動させ、競売の帳面面資産額は115億元に達すると発表した。

 四大国有商業銀行の一つである中国建設銀行は海外への不良資産売却を計画しているという。前出のアーンスト&ヤング会計事務所が最近建設銀行上海市分行に係員を派遣し、建設銀行の上海、浙江、江蘇の3支店の不良資産を審査し、その価値を見積もっている。          今回の取引が成功すれば、国有商業銀行が海外に不良資産を売却する先例を切り開き、国有商業銀行の不良資産問題解決のために国外ルートを切り開くことになる。

未解決の懸案

 国有銀行の不良資産の比率が毎年23%下らなければならないという人民銀行の要請に基づけば、今年の建設銀行の不良資産処理額は500億元である。中国建設銀行資産保全部の楊小陽総経理は次のように語った。

 昨年の620億元は楽々と完成できたが、今後はますます難しくなる。現在、国有銀行が不良資産率を下げる手段は2種しかない。一種は法に依ってローンを回収することで、一部分を回収できるが、全部回収するのは不可能である。もう一種は貸し倒れの審査・帳消しである。つまり貸し倒れ準備金を使って、一部の貸し倒れを審査・帳消しにすることである。四大銀行の不良資産率が着実に下がっているにもかかわらず、2005年の15%の目標とまだ大きくかけ離れている。二つの旧い手段に頼るだけではだめで、国際資金導入、債務再編という新しい方法を探す必要がある。

 伝えられるところによると、モーガンスタンレー、ゴールドマン。サッチス社などの国際投資銀行の巨頭はいずれも建設銀行の不良資産を買い取る気があるが、現在、モーガンスタンレー社が建設銀行の40億元の不良資産を買い取る可能性がある。

 しかし、この計画を実現するには多くの障害を乗り越える必要がある。事実上、それ以前に、一部の管理公司が外国投資家に不良資産を売却したときにとった若干の政策面の制限はいままだ新しい進展を見せていない。建設銀行はこれからも多くの新旧問題に直面する。

 規定によれば、銀行の資産は割引して売却してはならないことになっている。そのため、最近、各銀行が行った大規模な競売による帳面面の損失はいまでも帳面に残ったままで政策を待っている。楊小陽総経理によると、不良資産は市場価格に基づいて売却され、市場価格が帳面面の価格と同じでないことは断言できるが、銀行はその権限がなく、国務院の政策を待たなければならない。そのほか、割引してそれを売却する場合、どのようにして帳面面と市場価格の間の損失を処理するか。華融の不良資産売却事件で弁護士を務めた李暁陽氏は次のように語った。

 銀行が利潤で不良資産を相殺するようなことは、銀行はやるはずがない。国が補助すれば、国の税金を使うことになり、庶民の負担を重くする。長期にわたって帳面につけっばなしで、問題を最終的に解決できなければ、これからの銀行の1歩進んでの資産処理に影響を及ぼす。  

 もう一つの障害は税金と費用の問題である。華融事件では、主に2つのことが最も心配された。一つは四大資産管理公司が合わせて一兆元余りの不良資産を売却することはできるが、そのすべてを外国業者に売却すれば、国の外貨準備高に大きなプレッシャーがかかる。もう一つは徴税の問題で、外国業者が不良資産を処理したあと、現金を手に入れ、四半期あるいは月ごとに送金するとき、税金をどう徴収するかということである。

 そのほか、四大銀行は国有銀行で、帳面面の価値より低い市場価格で不良資産を売り出せば、「国有資産の流失」という非難を招くおそれがあるのに、まして外国人のところに流失するのはもってのほかだと心配する関係筋がいる。できるだけ早く資金を回収することとできるだけ多くの資金を回収することの二者の間に矛盾があるので、この二者の間で一つを選ばなければならない。できるだけ早く資金を回収すれば、より多くの資金を回収する可能性はないが、より多くの市場機会をつかむことができる。

 関係法律が公布、施行される前に、建設銀行は外国投資家に不良資産を売却するために払ったすべての努力がどういう結果をもたらすかはわからない。楊小陽総経理によると、四大国有商業銀行は直接外国に不良資産を売却することに大きな興味をもっており、中国人民銀行もできるだけ早く国有銀行内部の巨額の不良資産を解決するのを望んでいる。こうするなら、関係政策と法律ができるだけ早く公表される可能性がある。

中国建設銀行と韓国会社の協力  

 中国建設銀行と韓国資産管理会社(KAMCO)が79日、北京で不良資産協力処理「了解覚書」と「トレーニング。サービス協定」に調印し、双方は不良資産処理の情報交流、職員のトレーニング、資産セールスの面で協力と協調を展開する。

 中国建設銀行の張恩照行長は、「これはわが銀行が初めて外国資産管理会社と行う業務協力であり、わが銀行が不良資産処理の分野において行った斬新な模索でもある」と語った。

 韓国資産管理会社は1997年に発足し、現在は韓国唯一の銀行の不良資産を専門に買収、処理する永久的な国有金融機構である。同社はとくに優れた財務技術と誇れる業績によって、アジア金融危機以後に、資産管理、不良資産処理の面で良好な国際的名声を博した。1997年、同社の不良資産の再編規模は韓国GDPのの11%を占め、20013月末現在、同社はすでに40%の資産再編を処理し、回収率は平均42%に達した。

 張恩照行長は次のように語った。

 法律制度の環境が大いに異なり、不良資産形成の要因も異なっているにもかかわらず、国際経験を現実的に扱い、利用できる資産処理の具体的手段を吸収すれば、中国現行の法律制度の環境の下で、より多くの活路を探し出せるかもしれない。韓国資産管理会社の経験には技術性と有効なものがたくさんある。

上場をめざす中国建設銀行  

 四大国有銀行の中で、中国建設銀行は上場に最も積極的である。今年5月のアジア開発銀行(ADB)の年次総会期間、建設銀行の張恩照行長は、同行が四大国有銀行の中で率先して上場することを明らかにし、また同行が上場するまで3年かからないと公言した。

 内情を知っている人によると、建設銀行の上場計画に重要な修正が行われた。つまり以前の全体として上場する計画を放棄し、より速い分解して上場する案を選び、沿海地区の支店を率先して上場させる可能性がある。最も重要な原因は、建設銀行の18.4%の不良資産率は早くても2005年にならなければ、政府が要求する10%前後のレベルに下げることができないことにある。全体としての上場レベルに達し、旧いバーゼル協定に定められた最高8%の不良資産率を達成するには、まだかなり長い時間がかかる。

 相対的に言って、沿海各省の建設銀行の不良資産率は8%にきわめて近いものである。こうすれば、一部の不良資産の債務再編を経たあと、建設銀行はその沿海各省の業務を分散し、単独で上場させ、条件が完全に熟するのを待って、逐次その他の省の業務を扱うことができる。外部の推測によると、その初歩的な目標は香港、ニューヨークで同時に上場することにある。

 建設銀行の上海、浙江、寧波、江蘇、蘇州にある5支店は、分解して上場する未来の計画の中で重要な構成部分となる。現在、建設銀行が積極的に準備を進めている。多国籍投資銀行に一括売却する不良資産は上記の沿海5支店の不良資産である。これは建設銀行が上場を加速するシグナルであると外部は見ている。

 投資銀行界の関係筋によると、張恩照行長は国際保険業の大型グループ、その他の大型金融グループの株式参与を導入して、逐次持株金融グループへ移行するというより大胆な構想をもっているという。