中国大陸部の中長期投資のホット・スポット

中国社会科学院経済研究所 楊 帆(博士)

 需要が不足しているため、当面の中国の経済成長率が7%にしか達することができないが、長期の潜在的な経済成長率は9%以上のはずである。向こう10年間に預金率が35ないし40%保たれ、労働力が年平均1.2%増え、技術進歩の貢献度が過去20年間を上回る。労働力資源が部門の間で移転し、生産性が向上し、企業の競争力がたえず強くなって、経済活動効率全体が向上する。

 中長期投資をしようとする外国投資家にとって、中国大陸部の経済の趨勢を把握すると同時に、成長の潜在力のある業種を探すのはなによりも重要である。これらの業種には次のような業種が含まれると私は見ている。

  1. 電子と通信産業
  2.  国は国民経済と社会情報化の推進を向こう5ないし10年の中心任務とし、国民所得の向上によって、都市・農村の電子市場がさらに活気にあふれ、国が電子製品に対し税金の基本的完全還付政策を実行し、電子情報分野で新技術、新業務がたえず発展している。今後数年、電子および通信製品製造業の成長率が25%以上保たれる見込みである。そのうち、投資類製品(通信設備、コンピューターなど)の年平均成長率は22%に達し、消費類製品は18%に達する。

     現在、電話ネットワーク、有線テレビネットワーク、コンピューターネットワークの併合が進められており、2001年の無線テレビ局と有線テレビ局の併合が一応完成し、中国ラジオ・映画・テレビ伝送ネットワーク公司が設立され、全国の有線テレビネットワークが整合され、デジタル業務などを始めている。2005年にデジタル業務が有線テレビにもたらす年間収入は500億ないし600億元になる見込みである。有線テレビネットワークの広帯域伝送改造に2000億元を投ずる必要があり、完成するまで5ないし10年かかる。そのほか、2005年に電信業の業務総量は12000億元に達し、収入総額は1800億元となる見込みである。固定電話ネットワークと移動電話ネットワークの規模が世界のトップとなる。

  3. 自動車工業
  4.  中国人の年平均所得は1000ドル近くになり、マイカーへの需要が急速成長期に入っている。政府は消費抑制政策を整理し、市場の消費環境を改善し、マイカー消費市場の拡大を刺激している。経済型乗用車が絶えず売り出され、消費貸付システムが改善され、国際基準に合致する自動車販売サービスシステムが確立され、乗用車に対する需要の年間増加率が15%保たれ、自動車工業生産の成長率が13%に保たれている。

  5. 建築業と不動産業
  6.  交通、エネルギー、原材料、水利など多くの国の重点プロジェクトが建設中であり、住民の消費のホットスポットは住宅条件の改善に移っている。中国大陸部の建築の成長率は国民経済の成長率より5ポイント以上上回っている。中国の2000年の消費貸付は2347億元増え、2001年から2004年までは年に2000億元増え、毎年6660億元の不動産プロジェクトを始動させ、4年間に27000億元の不動産プロジェクトが始動する見込みである。

     都市化が急速に進んでいる。中国の都市化はずっと工業化より遅れ、1952年は5.1ポイント、1978年は2.64ポイント、199811.8ポイント遅れた。2005年の中国の都市化率は37%に達し、2010年は45%に達する見込みである。

     都市化の発展に伴って、20年内に毎年3000万人の農民が都市に移住すれば、約600万世帯に達し、600万戸の住宅が必要であり、一戸当たりの建造費が5万元とし、関連費用が5万元とすれば、6000億元を投入することになる。住宅の大規模な建設は家具、農業用自動車、農業生産手段、電信、家電に対する需要を促すことになる。

  7. 機械工業
  8.  今後3年は機械工業の発展のスピードが著しく速くなる重要な時期であり、毎年2ポイント上昇して、国民経済の発展を促す重要な力となる。

  9. 観光業
  10.  年間伸び率は15%以上を保ち、国民経済のいま一つの成長要素となる。

  11. 医薬業
  12.  2020年中国大陸部の人口は16億に達し、社会が高齢化となり、高齢者人口は4億人を超え、医療・保健に対する需要が大きくなる。中国の医薬産業は世界先進レベルと比べて大きな格差があり、それは市場の競争力が弱いことに表れている。国家発展計画委員会は35000万元を支出して近代的な漢方薬産業を支持する。そのほか、20023月に公布した「外国投資産業指導リスト」は奨励の分野を拡大し、中国の医薬産業は効果的な外資利用、先進技術の導入を通じて製品をグレードアップさせる。現在、世界で上位20位以内にランクされている製薬所はすでに中国大陸部で工場を建設し、医薬商業の中外合弁企業設立は目下試行の段階にあり、3年後に開放する。

  13. 水資源を中心とする環境保護
  14.  中国の水資源は一人当たりわずか2400立方メートルで、世界平均水準の四分の一しかなく、年間400億立方メートル不足し、全国に給水不足の都市が400余市あり、90%以上の水資源が悪化している。

     国際大手給水会社が中国の給水市場に進出している。政府は汚水・ゴミ処理場、危険廃棄物処理場、環境汚染整備施設の建設を外国投資奨励プロジェクトに組み入れている。

  15. 農業
  16.  中国の農業発展戦略は、東部沿海地区と大中都市の郊外区は外向型、都市郊外型の現代化農業を発展させ、付加価値の高い経済作物と特色ある輸出向け農産物をより多く生産し、中部地区は食糧生産の強みを生かし、良質、生産高安定、高効率の大型商品食糧、加工用食糧、飼料用食糧の生産基地を建設し、西部地区と生態の脆弱な地区は生態環境の保護に有利な特色ある高効率の農業と節水農業を発展させることである。

     牧畜業は重点的に発展させる産業の一つとなり、食糧の転化を促し、栽培業構造の調整および食品、毛紡績、皮革、飼料など関連工業の発展を促す。同時に、水産養殖業を積極的に発展させ、品種の構成を最適化させ、養殖方式を改革する。国は農業機械業界が農業機械の製品構成を調整し、設備レベルを高め、農業機械の新技術、新設備の開発・普及を速めるのを奨励している。

  17. インフラ建設と後進地区の開発
  18.  中国の鉄道の密度はアメリカの三分の一、日本の五分の一で、複線率、電化率、運転速度、コンテナ、冷蔵ボックスなどの現代化輸送手段の面でも大きな格差がある、中国の道路は一平方キロ当たり0.12キロしかなく、総延長121万キロの道路のうち、国道主幹線は10万キロしかなく、発展の空間が非常に大きい。

     中国の地域の発展は生活のレベルときわめてアンバランスである。中国では2000万人の衣食問題がまだ解決されておらず、23000万人(総人口の18.5%)が毎日1ドル以下の生活をもし、67000万人が毎日2ドルの生活をしている。このような地域の格差は貧困の比例、基礎教育の入学率、健康保護施設、インフラの発展および環境問題などその他の社会発展指標にも現れている。

      西部の12の省・自治区・直轄市は中国の総面積の71.3%、総人口の四分の一を占めているのに、GDPは全国の18%しか占めていない。西部の一人当たり国民総生産(GNP)は全国平均値の三分の二、東部沿海地区の三分の一しかない。西部の開発は21世紀における中国の大きな課題であり、中国政府は投資家に対しいっそう優遇の政策を実行する。