中国フィルハーモニック・オーケストラ日本公演

中日国交正常化30周年記念

本誌東京特派員  賀 雪鴻

 中日国交正常化30周年を記念し、両国の文化交流を促進しようと、日本放送協会(NHK)と中国国家ラジオ映画テレビ総局は、中国フィルハーモニック・オーケストラ(中国愛樂樂団)の日本公演を共催する。

 中国フィルハーモニック・オーケストラは、中国放送交響楽団を母体として20005月に成立し、120名編成というアジアでも有数のオーケストラである。中国国内の演奏家のみならず、欧米など海外の著名な演奏家も多数在籍しており、内外とも演奏活動や音楽交流に活躍している。

 日本での公演は今回が初めとなり、916日と23日にそれぞれ東京・渋谷NHKホールとNHK大阪ホールで開催される。曲目はグオ・ウェンジン作曲 管弦楽団のための序曲 作品27、ドボルザーク作曲 チェロ協奏曲 ロ短調 作品104、ブラームス作曲/シェーンベルク編曲 ピアノ四重奏曲 第1番ト短調 作品25(管弦樂版)などがある。

 芸術総監督兼首席指揮者はロン・ユイ(余隆)である。1964年、上海の音楽家庭に生まれ、幼い時から音楽教育を受け、上海音楽学院、ベルリン芸術大学で学び、芸術家としての基盤を固めた。1992年、北京中央歌劇院首席客員指揮者となり、98年には北京国際音楽祭の芸術監督を務め、また、ハンブルグ歌劇団、ベルリン放送交響楽団、ライプチヒ放送交響楽団、ブタペス放送交響楽団、ブレーメン・フィルハーモニック・オーケストラなどの著名なオーケストラに客員指揮者として招聘された経験がある。

 ソリストとしては、いま、世界的に注目されているチェリストのジャン・ワン(王健)が主役を務める。四歳からチェロを習い、早くも上海音楽学院とエール音楽院の在学中、実力派音楽家の頭角を現した。これまでに、シャルル・デュトワ指揮のフランス国立管弦交響楽団、チョン・ミョンフン指揮のNHK交響楽団、ダウスガールト指揮のスコットランド室内管弦楽団をはじめ、ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団、チューリッヒ・トーンハーレ管弦楽団、デトロイト交響楽団、ミネソタ交響楽団、サンフランシスコ交響楽団との共演や、ニューヨーク・リンカーン・センターでアイザック・スターン、イェフィム・ブロンフマンとの共演などを経験してきた。また、ドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、ムハイ・タン指揮のグルベキアン管弦楽団とハイドンの協奏曲、マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)、オーギュスタン・デュメイ(バイオリン)との共演によるブラームス、モーツァルト、シューマンの室内樂曲などをリリースしている。