発展こそ根本的な活路

 ――天津開発区の成功した経験は、発展というテーマとすべての発展のチャンスをつかんだことにある

 天津開発区の創業者の一人で、以前は天津開発区管理委員会主任であったが、現在は天津浜海新区管理委員会主任を務めている皮生氏はこのほど記者のインタビューに応じた。次はその一問一答である。

 記者:開発区創設18年来の成功した経験はなにか。

 皮:開発区の発展から見て、この18年の過程は、発展というテーマをしっかりとつかみ、中国の対外開放という絶好のチャンスを利用して自らの発展の要点を探さなければならないということを証明している。

 天津開発区は18年の発展の中で三つの特別重要なチャンスをつかんだ。

 第一回は1984年から1992年までの間に外部が中国の改革・開放をまだ十分に理解していない環境の下で、開発区はハード環境の整備に努め、すばらしいインフラ建設と好ましいサービスで第一回の発展のチャンスをつかみ、開発区の発展の基礎を築いた。

 第二回は1992年のケ小平氏の「南部巡視講話」の後、中国国内に改革・開放ブームが盛り上がり、外商も中国の対外開放の国策が確固不動のものであることをいちだんと理解したため、かなり多くの多国籍企業と大手企業が開発区に進出した。

 第三回は1997年に入って以来、特にアジア金融危機以来、世界経済の枠組みに非常に大きな変化が生じ、アジアの一部の国が金融危機の影響を受け、不景気に見舞われたが、これはまたも中国のさらなる発展と開放拡大のためにすばらしい発展のチャンスを提供した。開発区はこの得難い機会をつかんで、いちだんと広く、深く経済を引き続き高速に成長させた。

 記者:開発区の発展成果はどの面に現われているか。

 皮:天津開発区の発展は以下の四つの面に現われている。

 一、発展のテンポが速い。1996年から2000年までの平均経済成長率は約60%であったのに対し、2001年から2005年までの所期の経済成長率は平均30%であった。見たところ低くなったようだが、総量が拡大されたため、このような伸び率はかなり高いものであると言えよう。

 二、産業構造がよく、IT産業が開発区の産業全体の70%を占めている。そのほか、バイオテクノロジー、自動車、機械製造及び食品などの産業もあり、このような産業構造はこの区域の発展に適している。

 三、全体の収益がわりとよい。全国の外資企業の平均利潤率はおよそ6%であるが、天津開発区の利潤率は長年来12%を保っている。これは投資環境、投資コスト、投資リターンなどがわりとよいことを示している。

 四、多くの多国籍企業が集まり、その下請けの中小企業もかなり進出したため、すばらしい産業チェーンが形成され、立派な発展の後続力と潜在力がある。

 記者:開発区の急速な発展は、ケ小平氏の16年前の予言を証明しているのかどうか。

 もちろんこう言える。1986821日、ケ小平氏が開発区を視察した時、開発区はまだ荒れ果てたアルカリ地であり、道路が1本建設されたばかりで、工場は23軒しかなかった。当時、多くの人は開発区が成功できるのかどうか、開発区がどのように発展するのかについて疑問と憂慮をもっていたが、ケ小平氏はそのために「開発区は大いに希望がある」と題した。天津開発区の10数年の発展の実践は、ケ小平氏が先見の明があり、賢明であるということを証明している。天津開発区ばかりでなく、全国の開発区、または主要な開発区も、現地の経済成長要素となっている。統計によると、中国に進出した多国籍企業の40%は各地の開発区に投資している。

 記者:開発区が生物製薬への投入を増やしたが、これは産業構造調整の大きな措置であるのかどうか。

 皮:開発区の産業構造には自然に形成する過程がある。今、開発区の産業はIT産業を主としており、IT産業は昨年の開発区の850億元の工業生産額の中で70%を占めた。しかし、われわれの世界経済と先端の科学技術に対する分析及び多くの専門家や学者の意見、一部産業アナリストの意見と提案は、次のラウンドの発展では、バイオテクノロジーがハイテク分野で急速に発展するはずというものである。そのため、天津開発区はハイテク産業の発展をITBTに確定し、しかも重点をバイオテクノロジー産業に置いた。われわれは5年ないし10年かけて産業構造を合理化させ、ITBT35%ずつ占め、食品工業などが一定の割合を占めるようにすることを計画している。こうすれば、産業構造がわりに合理的になる。

 記者:開発区の今後数年の発展目標はなにか。

 皮:短期間の目標はとても明確であり、まず中国北部の加工製造業センターを設立し、それを天津市最大の、影響力が最も強い生産基地につくることである。天津開発区はいま今後十年の発展計画を作成している。この計画によれば、発展の速度は毎年20%以上を保ち、4年ごとに倍増し、経済総量が絶えず拡大するのを保証する。次に、全体の投資環境を整備し、審査許可や政府機構のサービス提供などを改善し、事務効率を着実に向上させる。

 そのほか、われわれは外商に喜ばれる環境を提供し、外商が天津での投資が発展の前途のあることだと感じ、喜んでここで小型企業から大企業へと発展し、絶えず増資し、大きな産業チェーンを形成するように努める。われわれは外資誘致に大きな力を入れ、政府が主とする外資誘致を、政府と民間がともに行う外資誘致に変えて、絶えず外資誘致の質を向上させ、量を増やすようにする。

 記者:WTO加盟が中国にどんな変化をもたらしたか。

 皮:われわれの感じはその他の地区と違うかもしれない。中国のWTO加盟はわれわれにとって大きな衝撃ではなく、逆に多くのビジネスチャンスを提供したと思っている。簡単な例を挙げて見よう。保税区の輸入自動車は昨年は1年で2万台に達したが、今年の上半期だけでも16000台に達した。これは中国のWTO加盟後に生じた大きな変化である。WTOに加盟しないならば、われわれが中外合弁の保険業務を扱うことや、外資銀行が人民元業務を扱うことが不可能である。

 もちろん、われわれは圧力も感じている。中国のWTO加盟後、外商の対中投資の選択範囲がもっと広くなり、各界の競争がもっと激しくなり、われわれが各方面で払わなければならない努力も前よりもっと多くなった。この意義から言えば、われわれは確かに非常に大きな挑戦に直面している。いかにしてこの挑戦に対応し、われわれの仕事を改善するかは、われわれがいま直面している非常に重要でかつ非常に現実的な課題である。現在では、開発区管理委員会は行政の審査許可や事務効率向上、サービス提供などの面での改善に取り組んでいる。