幹部制度改革の新法を模索

欒忠仁

 ――ここ数年来、幹部人事制度の改革が絶えず推進されてきたが、これは幹部全体の資質を絶えず向上させるうえで重要な役割を果たした。新たに改正された「党・政府指導幹部選抜・任用工作条例」が先日公布された。同条例はここ数年来の幹部制度改革の経験と党建設理論研究の成果を吸収したもので、幹部制度改革の段階的な標識である。

 最近、安徽省は民主評議にパスしなかった8人の庁・局クラス幹部を罷免した。幹部が適任でなく、大衆が信頼しないために免職されるのは安徽省では初めてのことであり、免職された人は多くはないものの、当地に大きなショックを与えた。

 ここ数年来、中国は幹部人事制度の改革をたゆまず推し進めてきた。この制度がまだ充実していないとはいえ、各地が幹部選抜・任用の面で多くの効果的な方法や制度を打ち出したため、幹部工作は逐次制度化、規範化の軌道に乗せるようになった。

指導的ポストは「保障」の限りではない

 今年5月、安徽省の86の省直属部門の429人の指導幹部を対象に、徳性、能力、勤務状況、成績、廉潔など及び前年度の仕事の状況についての特殊な「試験」が行われた。「主任試験官」は科長以上の幹部と所属各部門の責任者が担当し、人数50人以下の部門では部門の幹部全員が参加した。

 「試験」はまず429人の指導幹部が幹部大会か部門の工作要員全員が参加する大会で職務遂行状況を報告し、つづいて各部門の責任者と大衆がこれらの指導幹部に「点数」をつけ、民主評議を行い、審査グループに個人の見方を提出するほか、所属部門の指導幹部に対し優秀、適任、不適任の三段階で無記名投票を行った。今回は6450人の幹部が民主評議に参加した。

 つづいて、審査グループは適任でないという票が30%を超えた指導幹部とその所在する指導グループを重点対象として二回目の審査を行い、民主評議と大衆からの投書、来訪で出した問題を重点的に調査し、これらの問題が生じた原因を分析し、それ相応の処理意見を出した。

 安徽省党委員会は真剣な研究と分析を行った後、民主評議で適任でないという票が30%を超えた8人の庁・局クラスの幹部を免職するか移動させた。同時に、優秀という票を多く獲得した幹部が組織審査を経て抜擢された。

湖南省、廉潔政治資料を作成

 昨年7月から、湖南省各クラスの紀律検査と監察機関は幹部管理の権限に基づいて、各級の党機関、人民代表大会機関、行政機関、政治協商会議機関、裁判機関、検察機関及び大中型企業、大学の副科長クラス以上の指導幹部のために廉潔政治資料を67000部つくり、これらの資料を運用して3480人の指導幹部の選抜・任用、先進と優秀幹部の選出の面で廉潔であるかどうかをチェックし、380人の指導幹部が軽微な紀律違反問題を是正するよう督促し、160余件の重大事件の調査・処分のために価値ある手がかりと証拠を提供した。

 廉潔政治資料の内容を全面的、科学的、規範的、客観的にするため、省紀律検査委員会は内部情況交流制度を確立し、全省各クラスの紀律検査と監察機関に設けた投書・来訪、事件審理、党風廉潔政治建設、法律執行・監督、風紀是正などの職能部門に対し、大衆の提出した指導幹部の廉潔、自律面の状況や重要な摘発に対する調査、事実確認の結論及び指導幹部が法律・規律違反で規律処分を受けた状況などをすかさず廉潔政治資料に記入するよう要求し、また、省紀律検査委員会、省党委員会組織部、省人事庁などの関係部門は不定期に連絡会議を開き、状況を資料作成部門にすかさずフィード・バックする広範なフィードバック制度を導入し、合同会議に参加する部門が情報連絡員を選んで、指導幹部本人とその主な家族の基本的な状況、党風廉潔政治制度建設責任制の執行状況、責任制考課の結果と責任追及状況、在任中の経済責任監査資料、作風評議の中の指導幹部の個人状況などを収集、整理して、廉潔政治資料に記入する情報通報制度を確立し、不定期に幹部を省直属の部門と市、自治州に派遣して調査、研究を行わせ、指導幹部の仕事ぶりを調べ、関係内容を廉潔政治資料に記入することなどがそれである。

 最近、『湖南日報』は湖南省紀律検査委員会の消息を引用して、中央紀律検査委員会が湖南省の廉潔政治資料作成のやり方を高く評価するとともに全国に推し広める、と述べている。

公開選抜

 これまでの幹部選抜はほとんど指導層の範囲内で行われ、選抜の過程に公開監督がなく、選抜の範囲もある程度制限を受けた。ここ数年来、幹部の公開選抜は多くの地方が模索しているやり方となり、選抜と採用の重要な制度として絶えず充実、成熟しつつある。

 昨年、雲南省は32人の副庁クラス幹部の公開選抜を成功裏に行った。今年、同省はまたも「民主推薦、組織考察、公開選抜、動態管理」の原則に従って全省範囲内で1500名の地区・庁クラスの予備幹部の公開選抜を行った。5100人の応募者の中から、資格審査を経て残った3927人が選抜に参加し、選抜の対象は県・処クラスの幹部、博士号や高級技術称号をもつ専門技術者、副県長・副処長クラスの非党人士が含まれ、年齢は45歳に制限されている。

 雲南省は地区・庁クラスの幹部が1400余人おり、しかも省直属機関の指導幹部の年齢が高すぎ、幹部構造があまり合理的ない。

 雲南省党委員会組織部の張金康副部長は、予備幹部の公開選抜という新たな措置は、党・政府指導幹部が党・政府機関からしか選ばれないというこれまでのパターンを打破し、選抜の範囲を拡大し、組織部門が幹部の選抜・任用を決めるというこれまでのやり方をも変えて、幹部採用の透明度を高め、大衆の幹部任免に対する事情了解権、参与権、選択権、監督権を拡大した。

 深セン市党委員会常務委員、組織部長の許宗衡氏は、大衆をより多く幹部選抜活動に参与させることは党の大衆路線と民主集中制原則の具体的な現れであり、大衆のますます高まってきいる政治文化の必要を満たし、幹部工作の中の不正行為を解決する効果的な方途でもあると語った。

 各地が公開選抜で選んだ幹部は若年化、知識化の特徴を持っている。今年611日、中国共産党広東省委員会組織部は社会各界の監督を受けるため、公開選抜を経て就任予定の20人の副庁クラスの指導幹部の名簿を公示した。この20人は2055人の応募者から筆記試験、面接試験、育成訓練、考課、採点などを経て選ばれたのであり、二つの特徴を持っている。一つは年齢が階段状を呈し、幹部構造が最適化している。平均年齢は43.1歳で、最少は34歳、最大は53歳である。もう一つは、学歴が比較的高く、新しい社会経済環境の幹部に対する要求に適応している。彼らの学歴はすべて大卒で、大学院の学歴を持つものは18人もおり、90%を占めている。

新たに改正した重要な条例を公布

 今年79日、中国共産党中央は新たに改正した「党・政府指導幹部選抜・任用工作条例」を正式に公布した。ここ数年来の幹部人事制度改革と党建設理論研究の新しい成果を吸収した同条例は、内外の大きな関心を集めている。新華社は特約評論員の文章を発表し、これは幹部工作の科学化、民主化、制度化建設を推し進める重要な成果である、と指摘した。

 今年、中国共産党第16回代表大会が開かれ、地方各クラスの党・政府の指導グループの交替が続々と行われ、幹部隊列は全体的な新旧交替の重要な時期にさしかかっており、幹部選抜・任用工作はいちだんと規範化させる必要がある。同時に、一部の地方と部門に存在している幹部採用面の不正な気風は、当面大衆が不満をもつホットな問題となっている。条例がこの時点に公布されたことは大きな意義がある。

 「幹部任用条例」は13章、74条からなっている。幹部選抜・任用活動の指導思想、基本原則及び選抜・任用条件を明確にすることから、民主推薦、考察、下準備、討論・決定、就任、法による推薦・指名と民主協議、公開選抜と競争導入、交流、回避、免職、辞職、降職、紀律と監督などを規範化させることを通じて、党・政府指導幹部選抜・任用活動に対し全方位的な規則を行い、幹部選抜・任用工作の完備した体系を形成した。そのうち、総則、選抜・任用条件、民主推薦、考察、討論・決定、紀律と監督が「条例」の重要な環と内容である。

 条例の主な内容は次の通りである。

 @指導幹部の人選の考察は業績の考課を重視しなければならない。 A地区・司クラス以上の指導幹部は一般には大卒以上の学歴を持つべきである。B指導幹部の任用・選抜は民主推薦を経なければならない。C監督不行き届きで幹部を誤って採用した責任者は責任を追及される。D仕事の中で重大な誤りを犯した党・政府指導幹部は引責辞職しなければならない。E党・政府指導幹部の就任は回避制度を実行する。F党・政府指導幹部の就任は就任前に公示しなければならない。G公開選抜と競争によってポストにつくことは党・政府指導幹部の選抜・任用方式の一つとなる。

 「党・政府指導幹部選抜・任用工作条例」が発表された後、中国共産党中央組織部の責任者は人民日報、新華社の記者のインタビューに応じて、次のように述べた。

 今回改正された「幹部任用条例」は次の五つの際立った特徴がある。@時代とともに前進するという思想を堅持し、幹部選抜・任用の原則、基準、プロセス、規律及び紀律などの面の内容に新しい時代的内包を与え、「三つの代表」という重要な思想と中国共産党中央の幹部選抜・任用工作に対する新たな要求を十分に体現している。A民主拡大という基本的な方向を堅持し、党内民主を発揚し、大衆の幹部選抜・任用に対する事情了解権、参与権、選択権、監督権を実行する面に新たな措置をとる。Bプロセスをあくまで完全にし、幹部選抜・任用の各環に対しより明確で具体的な規定を行い、幹部選抜・任用活動の科学化、規範化に新たな進展をとげさせる。C制度革新を堅持し、幹部の公開選抜、競争による職務就任、就任前公示、試用期間制度導入、就職、免職、辞職、降職などの制度の充実、優れた人材の選抜と上がることもできれば降りることもできるという幹部制度の確立を促進する面で新たな突破をとげる。D効果的な監督を堅持し、幹部考察活動責任制、幹部選抜・任用活動責任追及制、幹部選抜・任用活動監督責任制を確立し、科学的な監督管理メカニズムを確立する面で新たな一歩を踏み出した。