ますます重視される男性の健康

唐元ト

 中国では、「婦人科」より100年余り遅く生まれた「男性科」(andrology)がまだよく知られていないが、「男性の健康」についての話題はますます重視されている。

進展とげる男性科の研究

 20021017日から21日にかけて、アジア男性科学会と中国科学院が共催する、[新世紀の男性科研究の展望]をテーマとする「第1回アジア太平洋男性科フォーラム」(First Asia-Pacific Forum on Andrology)が中国の上海で行われるが、これは中国が男性科の研究と男性の健康を重視していることを一つの側面から説明している。

 中国科学院アカデミー会員、北京大学医学部泌尿外科研究所所長の郭応禄教授は次のように語った。定義から言って、「男性科」は男性の生殖系器官の解剖、生理異常から炎症、創傷、腫瘍に至る疾病を含んでいる。でも、多くの国と同じように、かなり長い間、中国には専門の男性科病院と医者がなく、男性科の疾病はたいてい泌尿外科などの医者が診療した。しかし、これは中国の医者と科学者が男性科の発展に大きく貢献するのを妨げなかった。彼らは特に出産調節、不妊症、生殖健康などの面で効果的かつ影響のある研究を多く行い、これらの研究は1992年に中国の南京で開かれた「第1回アジア太平洋地域男性科大会」で十分に肯定された。

 前世紀の80年代から、男性の生殖健康および計画出産への参与がちくじ国際の関心を集める焦点となっている。1994年の「国際人口・開発会議」で採択された『行動綱領』は再び男子の参与と責任分担の信念を提出した。中国の関係衛生機構も、男性は計画出産と生殖健康の面でもっと大きな役割を果たし、全社会が両性の健康について正しい観念を確立し、調和のとれた両性の関係を発展させるように促すべきであると強く指摘した。

 1999年に開かれた「第二回全国男性科学術大会」は、かなり長い期間内に、中国の男性科の研究重点を性機能の異常、性病、男性の不妊症、計画出産の面に置くことを明確に規定した。

 19996月、中国科学院上海薬物研究所とアジア男性科学会は共同で『アジア男性科雑誌』(Asian Journal of Andrology)を創刊し、約80人の国際的に有名な男性科学者が招聘を受けて顧問や編集委員を務めている。同誌の創刊は国内外で広範な関心を集め、わずか1年半で、SCI-ExpandedResearch AlertCurrent Contents/Clinical MedicineIndex MedicusMEDLINEなど八つの国際的に有名な検索システムに入り、かなりの国際的影響力を持つ重要な学術定期刊行物となり、中国が男性科の研究レベルと国際交流の成果を顕示した。

社会問題に関心を持つ態度で男性の健康に対応

 調査研究は、男性の平均寿命が女性より短いことを顕示しているが、その原因について、専門家たちは次のように指摘した。男性は自分の体の健康状況をあまり重視せず、その関心度が明らかに女性に及ばない。男性は往々にして強者の役割を与えられ、彼らは事業、家庭、社会に直面し、すべての人の前で強者であることを示さなければならないため、自分の体に関心を持つことができず、また関心しすぎるべきではなく、人に弱者の印象を与えるべきでない。ある心理学者は、現実の中で、生活の負担と社会の圧力は男性が強者であるが消えることがなく、これらの圧力と負担は男性の健康状況に直接影響している。生理的要素を除くならば、男性の健康状況は女性より更に脆弱であるとしている。

 昨年、中国は毎年の1028日を「男性の健康デー」とし、全国の主要都市で宣伝教育活動を展開し、社会の半分を占める男性のために考え、科学的な知識で彼らを導き、それによっていっそう自己を知り、全社会に男性を正しく理解させ、男性の疾病に正しく対処し、男性の健康にいっそう関心を持ち、男性のこの方面の実際問題と具体的困難を発見し、解決し、科学的な治療を展開し、男性科をちくじ普及させ、同時に男性の計画出産参与の自覚性と責任感を高め、家庭のむつまじさ、社会の安定を保障することを定めた。

これに対し、全国人民代表大会常務委員会副委員長、中国の有名な泌尿外科の専門家呉階平教授は次のように述べた。健康レベルは国家の経済レベルや社会の発展と密接な関係があり、すべての人の健康を守り、レベルアップさせるためには必ず生殖の健康を高度に重視しなければならない、男子の生殖健康は男性自身にかかわっているだけではなく、夫婦と家庭の関係にも直接影響し、ひいては人類の発展にもかかわっている。男性と女性は生活と出産の中で共に重要な役割に責任を持ち、生物医学、社会学、出産調節などの角度から言って、男性はより多くの責任を担っており、男性の健康問題は個人の問題であるばかりでなく、重要な社会問題でもある。

 伝統的な意識などの影響を受けるため、性機能の異常、性病、男性不妊症などの疾病を十分に重視しない男性が少なくなく、これらの疾病は年を追って増える傾向がある。多くの人は病気になっても病院あるいは正規の病院に行って受診するのが恥かしく、一部の患者はにせ広告、にせ薬、にせ医者を信じて、病気を治すことができないか治療の時機を逃がしてしまう。

 婚姻生活における男性の性機能障害問題は、いま多くの家庭が仲たがいし、ひいては解体する主な原因となりつつある。言い換えれば、ますます多くの夫婦はこの問題がまさに家庭の不和と解体の原因であることを意識し始めている。そのほか、仕事の中で、多くの中年男性は精力があまりないかあるいは心理的圧力のため、その力を正常に発揮できないでおり、男性の人的資源の浪費問題が次第に暴露されている。そのため、中国社会科学院公共政策研究センターの陸建華研究員は、男性の健康問題は特に性の健康分野において従来複雑な生理、心理と社会文化の要素を兼ね備える総合的な問題であると強調した。

 調べによると、科学関係者が医学、生理学、心理学、社会学、倫理学、伝播学および家庭婚姻などの面から男性の健康に関心を持つほか、関係部門も関連政策の制定を急いでおり、男性にかかわる独特な利益の保護(関連医療制度の改革)、コミュニティー政策(コミュニティーサービス体系における男性の健康保護)、教育政策(性知識と倫理教育、男女の役割の教育)などを含め、男性の健康を主とする総合プロジェクトがすでにスタートした。